人狼物語 三日月国

87 【身内】時数えの田舎村【R18G】


【人】 君ぞ来まさぬ 百千鳥

 海の家を出て、波打ち際をずうっと歩いていった。

 寄せては返す波が時折サンダルを突っ掛けた足を濡らしても
 今日こそは水遊びで濡れてもいいように、
 適当なシャツとハーフパンツに着替えて来たのだから
 それを厭う理由なんて何処にも無かった。

 遠くから、宵闇の歌が聞こえる。

 遠くの方に皆が集まっているのが見えて、
 そちらの方へと足を向けて、声が聞こえる所まで近付けば
 どうやら歌い終えて暫くした頃のようで、
 おうい、と声を掛けて手を振った。

 その背を押すように一際強く風が吹いて、
 
一瞬、風に弄ばれる長い髪に違和感を覚えた。


 
「──アタシも髪、短くしようかなあ」


「…なあに、真似っ子?僕は呼子お姉の髪、長い方が好きだけど」
(86) 2021/08/14(Sat) 3:07:03