人狼物語 三日月国

224 【R18G】海辺のフチラータ2【身内】


【人】 Scorri, fiume eterno! ヴィンセンツィオ

>>111

「っ、はははは。
 物知らずが店一つ任されるくらいだ、それくらい教えられてりゃ問題ないだろうよ」

空笑いが返る。くるくると葉巻を回してポケットへとしまいこんだ。
張り合って上げる大げさな声も、突き放すような物言いも、やけに満足そうに耳を傾ける。
背中の向こう、振り返らなければわからない街の様子などわからない。
残された彼らがどうしているかなど知る術もなく、知らせる者もいない。
それでよかった。

スピードを上げる車とは裏腹に、悠揚と構えて眼の前を見ていた。
話す相手に目を向けるのでもなく、ただ紫色を帯びていくオレンジを見ていた。
たかだかの干渉に集約してしまうには、男のほうは、今にすっかり満足していた。

車が停まれば扉を開けて助手席から外へ逃れ出る。
景色を見に来た、だなんて。そんなことは欠片も思っちゃいない。
それでも求めるものを提示されるまでは、開け放った扉に手を掛けて、
沈みゆく夕日が海を照らしているのばかりを見ていた。

体重を他に預けて構える、その片目は失われていた。
全身打撲の状態であちこちに殴打の痕があり、片足は半ば引きずっていた。
外套の内側からは血が流れ出す。左肩は粉砕され、脇腹はじんわりと血を吹いていた。
一番顕著であるのは右胸の傷で、すっかり黒くなった血の跡を染めるように新たな血が流れる。
今は空にされた助手席のシートが、凄惨さを物語っていた。

#BlackAndWhiteMovie
(112) redhaguki 2023/10/01(Sun) 2:16:30