【人】 騎士見習い テンガン[手はするりと衣服の内に入り、男の黒肌を撫でた。 男はそれを拒絶するどころか>>120可笑しそうに哄笑を漏らす。 それが彼がテンガンを同類だと認めたからこその笑いであるとは、すぐには理解できなかった。] 同類……? [彼の言葉に首を傾げ。 ああ、確かにそうなのかもしれないと思う。 オレはあまりに近づきすぎた……いや、最初からそうだったのだ。 このダンジョンに入って変質したのではなく、あくまでも本性に気が付いただけ。 ――――自分は最初からこうだった。] オレはテンガン・ケッセルリング。 誇り高きケッセルリング家の次男です。 [テンガンは敢えてフルネームを名乗った。 同じ貴族同士に対してする名乗りのように。 それは自分を同族と認めてくれた相手への敬意であり、"誇り高き"という修飾語への皮肉でもあった。 家訓に従い生家から遠いこの場所まで旅をしてきたから、男がテンガンの生家の名を耳にしたことがあるかは定かではない。] (121) 2021/05/05(Wed) 20:56:01 |