【人】 ]『運命の輪』 クロ[黒い羊。染めることの出来ない黒い毛は、価値がない物と考えられている。 転じて、「一族の恥さらし」「放蕩息子」それから「厄介者」などの意味がある。 両親は健在であったが、生まれた子供に「クロ」と黒羊からとった名づけをする羊飼いたちが、証持ちをどう考えているかは想像に難くないだろう。信心深く迷信深く、典型的な村人達だった。 仕事と新しく生まれた子の世話に忙しい両親に代わり、クロの世話をしていたのは専ら村はずれに住む老婆だった。彼女も身寄りのない立場の弱い人物だったから、押し付けられたといった方が正しい。 一通り自分のことが出来るようになり、老婆が亡くなった後は、しぶしぶ元の家に迎えられ、羊の世話を叩き込まれた。] (139) 2022/12/11(Sun) 17:20:42 |