人狼物語 三日月国

77 【ペアRP】花嫁サクリファイス 弐【R18/R18G】


【人】 書生 茅

[青年とて、『人』に刃を向けたことなど生まれてこの方一度もない。
命の取り合いをしたこともなければ、『隙』が生まれた所で気づくはずもなく。>>161
ただ、やたらめったらに振るったのみ。
それでも青年は本気だった。
本気で
『山神さまを弑する』
が己の使命と信じていたし、それは誰に強要されたものとも思っていなかった。
この愚直な青年に、カギひとつとはいえ盗みなど成功し得る要素などひとつもないというのに。

本気で、その刃が届くと信じていた。
だって青年は知っていた。
『刃物は肉を断つことができる』と。
だから、
『刀があれば、敵を斬ることができるのだ』
と。

その切っ先が、『山神さま』の肌を薄く裂き、そこから散るはずの血の色が、何色なのか、確認する暇すら無く、いつの間にやら逆に小刀を握りしめた手首を囚われていたのは。
青年からすれば、本当の本気で青天の霹靂で、何が起こったのかまるで分らずに目を白黒させた。]
(193) 2021/06/16(Wed) 23:22:04