【人】 ]]『審判』 チェレスタ[かつてのチェレスタは、 旅芸人の一座にお世話になってこそいたが、表舞台に出ることはなかった。 裏方を手伝いつつ、大きな秘密を抱えながら世界を巡り、 何かの弾みで奇異の視線にさらされたり、 あるいは、かつての痛みがぶり返したりするたびに、 歌を歌って痛みを和らげた。 歌を歌うのは好きだ。 だが、歌で身を立てずとも生きていけるわけで。 かつてのチェレスタの中にはわざわざそうするだけの理由はなかった。 何より、表舞台に立つのは――――怖い。 だから、そんな風に、おおむね安穏と生きてきた。 それを変えようと思ったのは、8年前のことだった**] (271) 2022/12/12(Mon) 3:31:46 |