【人】 Y『恋人』 クリスタベル── 最初の朝 ── [ 鏡を前に、難しい顔をして黙り込む。 あまりの見慣れなさに脳が理解を拒否している。 着られている、というのも正しいかも知れない。 16歳の誕生日には、相変わらず選ぶという意味を 知らない包装の山の中、男女揃いの衣装があった。 聞けば母親が仕立てさせたものだというが、 どれも身体に合わせて作られたらしいそれ。 彼女の目に、ひとりでふたりを嘯く我が子は どう映っていたのだろうか。 ] (300) 2022/12/19(Mon) 9:26:49 |