【人】 ]『運命の輪』 クロ[そんな無邪気な姿に、絆される一部の村人もいたようだ。 絶対に他人に見られないように気を付けながら、「余ったからやる」と食べ物を少し寄越されたり。 放牧していた羊が一匹見当たらなくて、困ってきょろきょろしていたら、「おい黒羊、向こうで羊見かけたぞ」と一言声をかけてくれたり。 「証さえなければ良い子なのに……」と 声はかけられずとも、同情のこもった瞳で見られたり。 表立たない所では、小さな親切を受けることも時々はあったのだ。だから人間を信じられた。両親は相変わらずだったけれど、笑顔でいられた。 ……事件が起きたのは、そんな頃だっただろうか。**] (609) 2022/12/13(Tue) 20:36:32 |