人狼物語 三日月国


29 【2IDソロル+ペア混合】交換日記【完全RP村】

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【独】 軍医 ルーク

/*
エピ入りお疲れさまです!
村建てさまは村たて業務や細やかなご連絡ほんとにありがとうございます、体調の方、お大事になさってくださいね。

相方をもふもふ尻尾枕しながら。
灰見てきたけど、無理しないでゆっくりしてね…!> <
うさぎさんが大好きでどうしようとなってるきつねです。エピでもまたゆるりとよろしくー!
(-10) zelkova 2020/05/27(Wed) 7:37:37

【独】 軍医 ルーク

/*
村建てさまの灰に。
響狐窓の選択理由はもふもふだからでありました。
我ら隙あればもふを増やす民。
設定相談したとき真っ先に確定したの、基地にはぺんぎんたちがいるってところだったという。
綺麗な紫で良いなあってなってた…!

メモの記入欄とか諸々でのソロ・ペア透けのところは思い当たりませんでした、すみません> <
(-11) zelkova 2020/05/27(Wed) 7:42:59

【独】 軍医 ルーク

/*
>>-11 誤字った! 思い当たらないじゃなくて、思い至りませんでした、だ…)

シュゼットに手をぶんぶん振る!
窓はわたしも狐だー!ってわいわいしていた記憶がある。
いくらか良くなったならよかった、毎日ほんと遅くまでお疲れさま。投下時間は体力無理してないかは心配だったけど、こちらは大丈夫だったよ!
(-16) zelkova 2020/05/27(Wed) 8:12:22

【独】 軍医 ルーク

/*
今回相方のロルに集中してたから全部は読み込めてないのだけれど、皆さん素敵だったなあと…以下入村順。

ロートレー兄妹さんたち
すごい生き生きした物語を読んでいる感じでした…! カミラちゃんかわいい。

神置さん&楊さん
お話の内容とか交換日記の使い方が凄い好き。価値観とか言葉のとらえ方とかの、真摯なやり取りというか

冒険者組
世界観すきすき。ふたりの性格の組み合わせとかとても好みです…

ミアさん&アーサーさん
描写の繊細さとか展開に引き込まれるし、表を読んでて日記の内容すっごく気になっていた…!

いえやす組
少女さんのこととかとても気になっていた、体調お大事に…!>< 

女子高生s&先生
女子高生sどっちもすごく応援したくなるから先が気になってふおおおってなってます…!

中学生コンビ
描写がみずみずしかったり切なくてすてきだなあ…
(-31) zelkova 2020/05/27(Wed) 16:04:19

【独】 軍医 ルーク

/*
交換日記っていう共通項があって、世界観とか限定なしだと、ほんとにバラエティ豊かになるものだなあと、すごく面白く見てました。
入村前は、ふたりだけ異世界でドンパチしてたらわらおうと思っていたよ…(ふるえる
(-32) zelkova 2020/05/27(Wed) 16:06:55

【独】 軍医 ルーク

/*
とてもガタっと身を乗り出している

>シュゼット
うさぎさん滅茶苦茶かっこいいしとてもかっこいいし、第一攻撃部隊の子たち頑張れー!ってなる…
シュゼットの戦闘ロルすごい好きだし楽しみにしてたからたくさん読めてうれしみの限り…!!
いまから書いてくるけど、多分お返事は1時間〜1時間半くらいかかると思われるので、ねむいときは寝てね…!
(-68) zelkova 2020/05/27(Wed) 22:52:56

【独】 軍医 ルーク

/*
>>-71 シュゼット
外壁に駆けてくるところとか、対機獣砲の場面とかめちゃくちゃ目に浮かぶ…!
ここ数日わたしの方がリアル時間取れそうだから、こっちで動かせる分はと思って状況描写進めちゃってたんだけど、動きの邪魔にならないかドキドキしてたから、そう言ってくれてありがとうよかった!
時間こちらも了解―、それならもうちょっと練り練りして時間遅めに落とすかもしれないから、ゆっくり寝ちゃってね(もふー
わたしは今日結構眠れてるから大丈夫だ!(・・)b
(-73) zelkova 2020/05/27(Wed) 23:01:54

【人】 軍医 ルーク

[ 外壁の階段を、ぺんぎんと共に降りてゆく。
 基地の内部、建物からばらばらと出てくる武装兵たちが
 遠目に見えた。
 総攻撃に対して、出来る限りの戦力が投入されている。
 けれど、基地を完全に手薄にしたわけではない。
 基地を守る防衛部隊も、此処には残っているのだ。
 
 一歩足を踏み出せば、
 外壁がぐらりと揺れて足を踏み外しかける。
 ずるりと足が滑り、そのまま転げ落ちそうになる。
 咄嗟に石壁にしがみ付くようにして身体を支え、
 一歩、一歩下へと降りてゆく。]
(48) zelkova 2020/05/27(Wed) 23:53:34

【人】 軍医 ルーク

[ きゅい! と切羽詰まった鳴き声。
 がらがらと落ちてくる何かの音に耳がぴくりと動き、
 咄嗟にぺんぎんを抱え込み、壁面に身を寄せれば、
 爆ぜ割れ、弾け飛んだ壁面の瓦礫が足元を掠め、
 人の頭など砕いてしまいそうな勢いで、
 下へと落ちていった。

 砲声の向こうから金属の咆哮が響き、大気を揺るがす。
 火薬の匂い、煙、破壊音、
 そのひとつひとつが、五感に突き刺さり、
 白い耳が、ふる、と本能的に震える。

 動けなくなる、脚が竦む。
 そのまま頭を抱えて屈みこみたくなるのを、
 ぶん、と強く首を振って振り払う。]


  ……、逃げよう、
  下に防衛部隊が、いる、


[ ぺんぎんに言い聞かせる声は、
 自分にも言い聞かせるように。
 以前、この脚が生身であったころは
 一息に駆け下りられたに違いない階段を、
 時折鳴り響く爆音に追い立てられるように、降りて行った。]
(49) zelkova 2020/05/27(Wed) 23:56:04

【人】 軍医 ルーク

[ 外壁を降り、基地の内部――東棟の中へ。
 まだこの建物の中にいたぺんぎんたちが、
 慌ただしく駆け回りながら、
 ぱたぱたと必死で羽をはばたかせ、
 窓から首を出して外の様子を見ている。
 きゅきゅいと鳴き交わし、跳ねまわる一羽に声をかけた。]


  外に三体いる!
  昆虫型――形状は蟷螂に似てる、
  詳細は確認できなかったけれど、新型だ、
  恐らく以前の型から類推するに、
  脚部に複数の火器――…!
  蟲型の特徴は規格外の脚力と、
  触覚による索敵能力、
  外壁を飛び越える恐れがある、
  奴らの目的は基地だ!
 

[ 早口でそう告げる。
 恐らく、あれを見た者は自分だけではない。
 司令部では戦況も確認されているはずだ。
 それでも、情報はあるに越したことはないだろう。
 以前研究所で見た蟲型の装備を頭の中に並べ、
 類似点を絞り出す。]
(50) zelkova 2020/05/27(Wed) 23:57:37

【人】 軍医 ルーク


  司令部――それか、然るべきところに伝えて、
  君たちも奥に避難をして!


[ ぺんぎんたちにそう告げる。
 耳がぴくぴくと動き、
 基地内に鳴り響く新たなサイレンを捕える。
 襲撃が迫っていること自体は、やはり把握され、
 情報が行き届いているらしい。
 先程外壁から逃げるときに見えた防衛部隊の動きも、
 統率が取れたものだった。

 パニックになっていたぺんぎんたちは、
 “おてつだい”のお仕事にはっと我に返ったようで、
 四方八方に散ってゆく。
 中の一羽が、自分と一緒にいる一羽に、
 がんばれ! とでもいうようにぱたぱたと羽を動かし、
 飛んでいった。
 
 どうすればいい、どこに行けば?
 思考は一瞬だった。
 いまは基地の奥、非戦闘員の避難区画まで行くべきだ。]
(51) zelkova 2020/05/27(Wed) 23:59:40

【人】 軍医 ルーク

[ 此処に奴らが押し寄せてきたなら、
 どこにいたって逃げ場なんてない。
 どれほど基地の奥、堅牢な一画に身を寄せようと同じこと。
 けれど――…

 敵は近づけさせないと、そう彼は言ってくれた。
 外壁から見えた敵の数がどれ程多く、
 その一体一体が、どれだけの力を有していたとしても、
 その言葉を、何よりも、強く信じている。
 歩き出そうとした、そのとき。


   
ぴしり
、と、
 
 乾いた音を立て、
 足元の床を、
銃弾
が穿った。]
(52) zelkova 2020/05/28(Thu) 0:01:31

【人】 軍医 ルーク

 

  『何処に行くつもりだ?』


[ その声に、振り向く。
 開いた扉の前、銃口を真っすぐに此方に突き付け、
 戸口を塞ぐように佇んでいる人影がある。

 ――覚えのある犬耳が、逆光の中、揺れた。]
(53) zelkova 2020/05/28(Thu) 0:01:53

【人】 軍医 ルーク

[ ぺんぎんを後ろに庇い、男を睨みつける。]


  そんなことをしている場合か?
  外に何がいるか、分かっているだろう、
  確か防衛部隊の所属だったな、
  何故いま、こんなところにいる?


 『その言葉、そっくりそのまま返そうか?
  お前が外壁から降りてくるのが見えたんでね。
  ああ、やっぱりそうか。
  そういうことなら、
  もう答えを聞く必要も、ないよなあ』
 
    
[ こつり、軍靴が鳴る。
 一歩の距離が近づく。
 自然と後ずさろうとする足を、
 “動くな!”と吼えるような恫喝と、
 かちゃりと鳴らされた銃が遮る。]
(54) zelkova 2020/05/28(Thu) 0:02:49

【人】 軍医 ルーク

 
   ・・・・・・・・・・・・・・・・・
  『またお前があれを呼び込んだんだろう?
   第二研究所がああなったのは、
   機獣の武装が暴走したから――
   そんなことは大嘘だ。
   お前が、スパイを呼び込んだ。
   あの研究所には“何か”がいた、そうだろう?』
 
 
[ なにを、と聞き返そうとして――…
 思考が奔る。
 いま漸く、この男の耳まで届いた『噂』が
 どのように捻じれていたかを、察する。
 何処から嗅ぎ付けたか、この男は上が想定しているよりも、
 真実に近づいているのだろう。
 けれど、それは違う。

 また、一歩。
 逆光の帳から踏み出した男の顔が、露になる。
 其処に深く、昏くぎらついているものは――
 焦燥と、“恨み”]
(55) zelkova 2020/05/28(Thu) 0:03:58

【人】 軍医 ルーク


   違う。
 

[ これまで何を言われても、否定することはしなかった。
 “天の向こうには、機獣を送り込んでくる者たちがいる”
 その真実を、人に知らせてはならないと、
 そう言われていたからだ。
 上は恐らく、彼らの目的をいくらかは察しているのだろう。
 ――“彼女”から、血肉と命ごと毟り取った情報で。

 探ろうとする相手に何をされたところでどうでもよいと、 
 踏みつけられる人形を他人事の目で見るように、
 そう思っていたからだ。
 けれど、いまはもう、駄目だ。
 明確に否定の声を上げ、男に向き直り、睨みつける。]
(56) zelkova 2020/05/28(Thu) 0:06:00

【人】 軍医 ルーク


  『警告は終わりだと言ったはずだ』


[ 男はそう言って、引き金に指をかける。
 怒りに煮えながら、それゆえにどこか平坦な口調で。
 
 そうして、引き金をひとつ、引いた。]*
(57) zelkova 2020/05/28(Thu) 0:06:17

【独】 軍医 ルーク

/*
まだ続くけれど、書けたところまで落としつつ…
(-76) zelkova 2020/05/28(Thu) 0:06:52

【独】 軍医 ルーク

/*
>シュゼット
過去の話とか男との対立の理由も、早めに全部開示したほうが分かりやすいだろうなあとは思いながら、シュゼットの方の過去が気になって心配過ぎて開示が遅くなってしまって、色々分かりづらかったと思うけれど済まぬ―
こっちの話は後だー! ってルークが過去ごと蹴っ飛ばしてきつねキックしてた。
(-77) zelkova 2020/05/28(Thu) 0:09:31

【人】 軍医 ルーク

[ 脚部に走る強い衝撃に、痛みはない。
 けれども、武装でもなければ機能にも劣る義足の何処かが、
 ばきりと嫌な音を立て、何かが砕ける感触が伝わる。
 片足からかくりと力が抜け、揺らぎかけた身体を、
 咄嗟に手近なドアの枠に手をついて支えた。]


  少し考えれば分かるだろう、
  もしわたしが天の向こうとの内通者で、
  そのせいで研究所の事故が起こったとするなら、
  上が放っておくはずがない。
  前線送りで済むどころか
  即処刑がいいところだ。


[ そう、男が疑っているのはそういうことだろう。
 “自分が機獣から回収された部品の扱いを誤り、
 事故を起こしたという噂”
 ――真相を隠すため、意図的に広められたそれではなく。
 どこからか、カイキリアの存在を嗅ぎ付けて。
 自分が彼女とかかわりがあったことを知り、
 爆破事故に結びつけたに違いない。]
(65) zelkova 2020/05/28(Thu) 1:37:57

【人】 軍医 ルーク


  『だったら説明をしてもらおうか?
  研究班の奴らが言っていたな、
  お前は、誰も知らない、知りようがない
  機獣の通信機を、一度の捜索で見つけてきたと。
  それにな、見張り台で不審な動きをしていたお前を
  見かけた見張りがいるんだよ。
  大穴の調査?
  確認したが、お前にそんな任務はないはずだ。
  そのとき、一体何をしていた?』


[ その問いに―― 一瞬のこと、口を噤む。
 通信機を見つけることが出来たのは、
 嘗て研究所で同じ部品を見たことがあったと、
 そう話すことも出来ただろう。
 けれどもその一瞬のうちに、どうしても、
 それを本当に見つけたのが“誰”であるかを
 このような男に知られてはならないと、そう過ったから。
 見張り台でのことを問われたなら、
 懐に大事に抱えたままの赤い袋に、指が伸びる。

 その一瞬の沈黙をどう捕らえたか、
 男が再び引き金に指をかけようとした、そのとき。]
(66) zelkova 2020/05/28(Thu) 1:38:35

【人】 軍医 ルーク

[ ―― その幾つかの出来事は、同時に起こった。

 外壁の外、最早間近へと迫っていた蟲型の機獣が、
 高台の上に現れた敵へと無数の矢を放ち、>>37
 炸裂した対機獣砲が、
 砲声すら巻き込み、爆発音を上げる。

 爆炎が噴き上げ、煙が外壁の外を覆い、
 蟲型が断末魔の叫びをあげる。
 衝撃に煽られ、
 機獣と比べるべくもないほどに小さな赤い身体が、
 外壁の方向へと吹き飛ばされてゆく。>>40]
(67) zelkova 2020/05/28(Thu) 1:39:08

【人】 軍医 ルーク

[ そして、外壁の“もう一か所”
 三体の前方からの進撃に紛れるように、
 周りこんで後方へと迫っていた
“もう一体”

 遂に行動を開始する。>>3:298
 
 迷彩を施した鱗に覆われたその体躯は、
 例えるなら蛇に似ているだろう。
 それは基地の側面に迫り、鎌首を擡げ、
 蟲型が破壊されると同時に、その巨大な口を開く。
 放たれた砲弾が、外壁の一画へと直撃した。

 外壁の上部、見張り台が傾ぐ。
 がらがらと崩れ落ちてゆく石壁、
 ひとなど容易く押しつぶしてしまう程に巨大な瓦礫が、
 中庭に雨のように降り注ぐ。
 最後に、ずん、と音を立て、
 見張り台の残骸が、地に突き立った。

 そして、間を置かずに次の攻撃が放たれる。
 基地内部の建物へと砲撃が撃ちだされるその寸前、
 防衛部隊の反撃が蛇の横腹に突き立ち、
 その軌道が逸らされた。]
(68) zelkova 2020/05/28(Thu) 1:41:35

【人】 軍医 ルーク

          [ 砲弾が、炸裂する ]


[ 音も、視界も、すべてが真っ白に染まる。
 すべての瞬間が、ひどく引き伸ばされるようだった。
 目の前にいた男が振りむこうとしている、
 その動きがひどくゆっくりと見える。

 ぱきり、と、
 砕け散る窓ガラスの最初の罅すら、
 見えるほどの一瞬だった。
 
 咄嗟に、身体が動いた。
 まだ動く片足、両腕、その全部を使って、
 ぺんぎんを掻っ攫うように抱きしめ、
 手をついていたドアの枠の内側へと滑り込む。
 
 全てが飲み込まれて行くような、真っ白い一瞬の中で、
 全身で抗いながら、手を伸ばしてくる死から逃れようと。]
(69) zelkova 2020/05/28(Thu) 1:42:40

【人】 軍医 ルーク


[ 考えていたことは、ひとつだけ。
 絶対に死なない、死ぬものか、
 ここで待ってるって約束したんだ、
 これから何が起こるとしても、何処に行くとしても、
 決して離れない、君の手を離さないって。


    そうだ、わたしは――…  ]
(70) zelkova 2020/05/28(Thu) 1:43:20

【人】 軍医 ルーク

[ ――… ]

  ―― 
回想:第二研究所
 ――

>>2:183
[ 目の前が真っ白になる。
 格納庫に明かりが灯り、
 暗闇にいた目が明るさに慣れずにいるうちに、
 格納庫の扉が開き、なだれ込んできた兵士たちが、
 見る間に自分たちを取り囲んだ。

 銃口が突きつけられる。
 彼女に、そして自分に。]


  『泳がせておいて正解だった。
   案内ご苦労、
   “良い警官と悪い警官”というのは、
   古臭い手だが悪くない、
   君はいい仕事をしてくれた』


[ 上司はそう言って、青い光を放つ通信機に指を伸ばした。]
(71) zelkova 2020/05/28(Thu) 1:44:04

【人】 軍医 ルーク

[ 銃を突き付けられ、兵士たちに拘束され、その少女は]


  『――、
   あーあ、ばれちゃったか。
   折角上手く行くと思ってたのに』


[ くすり、あざ笑うように笑った。]


 『本当にね、“案内ご苦労”――
  わたしも、もう少し警戒するべきだったかなあ。
  こんな甘い子を一人で担当にして、
  泳がされてるに違いない、って』


[ 彼女は、別人のような眼差しを向ける。
 その視線に、ぞくりと背筋が泡立つ。
 まるで機械のように、虫のように、
 感情のないまなざし。
 上司の男は彼女を見下ろす。]
(72) zelkova 2020/05/28(Thu) 1:44:45

【人】 軍医 ルーク


 『機獣とともに此奴が回収されたのは僥倖だったな、
  戦闘要員というよりは、情報を集めるために
  人に取り入る術を叩きこまれた諜報員だろう。
  病原菌のようなものだよ、
  放っておいては酷い被害が出ていたに違いない。
  さて、君らの処分はまた考えねばならないとして――
  これが通信機か?
  記録が残っているなら、これは役に立つな、
  十分な成果だ』


[ 次の瞬間だった。
 彼女――カイキリアが、息を呑む。
 顔色を失い、目を見開き、
 自分に銃を突きつける兵士たちの“向こう側”にある
 ひとつの部品を凝視して。
 彼女の視線を追い、気づく。
 その部品に、赤いランプが灯っている。
 ちか、ちか、と規則正しく点滅しながら。]
(73) zelkova 2020/05/28(Thu) 1:46:03

【人】 軍医 ルーク


  『……嘘、どうして?』


[ 彼女の口から零れたその声は、
 先ほどまでとは打って変わって、
 凍り付いたような恐怖を露にしている。
 彼女はもがき、兵士たちから逃れようとする。
 がつりと殴りつけられ、顔を上げ、叫んだ。]


  『爆発する…!!
   いやだ、やだ、
   此処から逃がして、逃げないと…!!』


[ 僅かな間のこと――奇妙な静寂が、その場を支配する。
 そのような馬鹿な、と、口にしかけた上司の口が、
 言葉を発せず噤まれる。
 ひい、と引きつるような息をしたのは、
 自分たちを抑えていた兵士だ。
 彼らは顔を見合わせ、銃を放り投げ、
 ばらばらと勝手な方向に駆けだしてゆく。
 そして、最後まで残った上司の男もまた、
 彼らの後を追って走り出す。]
(74) zelkova 2020/05/28(Thu) 1:46:48

【人】 軍医 ルーク


   ――、 
   逃げるよ!


[ 茫然と立ちすくむ彼女の手を取り、駆け出す。
 どれだけの時間があるかは分からない、
 一分? 数十秒? それとも――

 格納庫を駆けだし、あたりを見回す。
 どこまで余裕があるだろう、
 視線で問うた彼女の目を見て、
 もう本当に猶予がないのだと知る。
 背後から迫って来るそれは、確実な死だ。

 限界まで足を動かして駆け抜け、
 手近な部屋へと駆けこんだ。
 倉庫のようだった。
 少しでも奥へと、彼女の手を引いて、
 物陰へと身を潜め、身体を丸める。

 がたがたと指が震える。
 耳も、尾も、何一つ現実味のない圧倒的な恐怖の中で、
 破裂しそうに早鐘を打つ鼓動の音を聞きながら、どくどくと。]
(75) zelkova 2020/05/28(Thu) 1:47:36