人狼物語 三日月国


113 【身内】頽廃のヨルムガンド【R18G】

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視点:


【秘】 残影の フランドル → 残氷 の エアハート

 
鬩ぎ合う葛藤をどうにか往なして、平静を取り繕って。
理論上は可能、という程度の不安定な二つの人格の固定化も、
まあ、どうにか上手く行ったらしいと確証を得た頃。

「……ここに居ても、もう意味は無いからな」

決まりきった答えであるように、解答は至って簡潔なもの。

ここに滞在し続ける事は何も不可能ではないし、
行く先も決めず発とうとするほど無計画でもない。
とはいえ、この街に長居する理由が無いのも確かな事。

「そもそもお前、忘れてる…というか、そも意識に無いようだが
 そっちはそっちで追われてる身なんだからな。
 上が更に追手を掛けるほど仕事熱心とは思えないが、
 用心に越した事はない。とっとと引き上げるに限る。」

「お前はもう向こう騎士団には戻れやしないし、その気も無いだろう。
 上には発つ直前に餞別退職届をくれてやるつもりだ。

 お前が居ないなら騎士を続ける理由は無い。そもそもの話、
 俺が追行の任を受け、騎士としてここに来たのも。
 全く体裁上のもの、他の追手への牽制でしかない。
 決別するにせよ、こうなるにせよ。結果がどうあれ、
 最初から、お前を見付けたら騎士は辞めるつもりだった」

やはりそれが当然の事とでも言うかのように、淀みなく。
発つならまあ船か、なんて考えながら答えを返した。
(-42) unforg00 2021/12/19(Sun) 22:45:36

【独】 残影の フランドル

/*
サロメになるなよ。
(-50) unforg00 2021/12/19(Sun) 23:35:18

【秘】 残影の フランドル → 残氷 の エアハート


「血眼になって探しやしないだろうが、
 逃げられたままじゃ格好が付かないだろう、上も。
 あわよくば、の意図はあったように思うが…」

それに、持ち出したものが持ち出したものだ。

持ち出した人間を野放しにした結果、何かまずい事になれば
責任は当然騎士団側にも波及するだろう。
そういう意味でも完全に目を瞑るつもりは無かったように思う。
その結果がこの形ばかりの追行任務なのだろうが。

そのリスクを負ってでも持ち出したものとは、さて。

「…敢えて言おうか。お前が言うのか、と。
 そうは言っても……
は?


健気というよりは、と言い掛けて。

本人に代わる。
本人に代わるという事は、本人に代わるという事だ。
その言葉の意味はわかる、が、今?
(-84) unforg00 2021/12/20(Mon) 1:11:13

【秘】 残影の フランドル → 残氷 の エアハート


貴方の発した抗議の声の後、暫しの気まずい沈黙。
きまりの悪いような、ぎこちない動作や言葉は。
確かに覚えの在るものだ。昔からよく見知ったものだ。

あの日から、ずっと探し求めていたものだ。

「……半年ぶりだな、ハーディ。
 会って早々で悪いんだが…」

ばつの悪そうな貴方と反対に、落ち着いた調子で、

「一発殴っていいか?」

右拳を握って向き合った。

あの時貸し借りの清算に殴られたのは、
エディと定義された後から生じた人格の方であったわけで。
両方殴っておいた方が平等じゃない?貴方の剣はそう思った。
平等も何もこちらの人格は無関係?ならこれは出奔した分だ。
(-85) unforg00 2021/12/20(Mon) 1:11:55

【秘】 残影の フランドル → 残氷 の エアハート


なんで


なんでではなく。

「手始めに一発殴られておいた方が余計な後ろめたさとか
 無くなるんじゃないかって親切心から言ってやったのに。
 それとも先んじて申し開きでもしておきたいか?
 今なら何だって聞いてやるよ、…なんて」

握った拳を解き、ひらひらと振って、
それも尻すぼみになっていく言葉と共に動きを止めた。

本当は違う。
決して嘘ではないが、切り口を少し本題からずらしたのも事実。
決して、いきなり本題から入れるほど、強い人間ではない。
そうであれば、そもそも貴方に隠し事などしなかっただろう。

「……申し開きをすべきは俺の方か。
 悪かったな、隠してて。
 事実は変えられない。どんなに隠したって、絶対に。
 俺が、フランドルという人間が"不義の子"なのは確かな事だ。
 …受け入れられなくても仕方ない。仕方ないと思ったから」

だから、向き合う事ができなかった。
自分すら事実と向き合う事から逃げて、受け入れる事を拒んで。
全て灰になってしまえと手紙を火に焼べる事しかできなかった。

「お前に嫌われたくなかった。拒絶されるのが怖かったんだ
 お前の傍に居られないなら、…生きていても、なあ」
(-101) unforg00 2021/12/20(Mon) 2:51:45

【秘】 残影の フランドル → 残氷 の エアハート


「………いや、いい」

曲がりなりにも自分から言い出しておいて、
承諾されたら手の平を返すのもどうかとは思うものの。

こちらとしても、自分にも非がある、というよりも。
現状としては、大いに自分に非があると思っている。
だから一発殴ればそれで帳消しとしてしまいそうだし、何より、

今はまだ、
貴方の血を見るのが少し怖かった。


「…言えるわけないだろ。
 たとえ隠したところでいつかは露見するとしても、
 隠している間だけは今まで通りで居られる。
 明かせば拒まれないとも言い切れない以上、隠し続ける事で
 少しでも長く結論を先送りにし続けるしか選択肢は無かった」

実際の所は、それしか選択肢が無かった、という事もなく。
受け入れられる事を期待できず、信じる勇気も無い為に
それしか選ぶ事ができなかった、というのが正しいのだろうが。

結局は、変な所で臆病者なのだ。
きっと死さえも恐れはしないような顔をして、
その実貴方に見限られる事ただそれだけを何よりも恐れている。

「何が正しかったかなんてわかりやしないのに、
 いつだって間違ってたって事ばかり後からわかるんだもんな」

つくづく霧中を歩んでいるようだ。兎角この世は生き辛い。
(-104) unforg00 2021/12/20(Mon) 5:27:51

【秘】 残影の フランドル → 残氷 の エアハート


けれど、それでも。

「──
生きて苦しめって?


一度、敢えて悪し様に取るような言い方をして。

「死にやしないさ。
 偉くも何もなくたって、お前が居る限り。
 前にも言ったように、お前の許しを得なければ」

俺はきっと、殺されたって死ねやしないんだ


二度、それさえも受け入れる事を選ぶ。

いつだって、生きるという事は多くの苦痛を伴う。
至極この世は生き辛い。それでもきっと、捨てたものではない。

貴方という生きる理由、存在意義がある。
あの日垣間見た煙霧の向こうを知っている。

そんな不確かな"よすが"が、貴方という寄る辺がある限り。
或いは、それらの幻影が自らに死を許さない限りは。
愚直な貴方の剣は、折れる事など知らないままだ。
(-105) unforg00 2021/12/20(Mon) 5:30:43

【秘】 残影の フランドル → 残氷 の エアハート


「…とはいえ、とはいえ、だ。
 俺だって流石に許されないよりは、
 極力許された上でお前の傍に居たいとは、思う」

一呼吸置いた後に再度口を開けば、若干の歯切れの悪さ。
言い切った手前、ややしまらないなという気持ちがあるため。

「お前が俺の血の事で何かしようとしてるのは知ってる。
 知ってるが、具体的に何をしようとしてるのかはわからん。
 わからんが、家の根絶以外なら止めは…多分、しない。
 …今のお前は、どうしたいんだ」

以前の発言や、行動からある程度の推測は立てられるものの。
いまいち具体的に何をしようとしているのか確証が持てない。
まあそれもそのはず、手段は何も一つではないようで。
(-106) unforg00 2021/12/20(Mon) 5:31:42
フランドルは、わからん。
(a21) unforg00 2021/12/20(Mon) 5:33:17

【秘】 残影の フランドル → 残氷 の エアハート


投げ掛けられた問いに、ぐ、と言葉に詰まった。
先の返答から直様その発想に至るのは、
言ってしまえば不自然だ。尤も、何も知らないのであればの話。
然れど行き着く程の何某かを知られていたか勘付かれていたか。

そんな気持ちと、それから。

「……いや……いや、後悔は、してる。
 味じゃなくて…やらなきゃよかったって
 …悪い、今思えばどうかしてた。
 受け入れられなくて当然だ。あれじゃ引かれても仕方ない…」

苦々しげに理由は述べれど、味に関しては言及する事を避けた。
血の味それそのものは問題ではなかった。なかったのだ。
問題ではなかった事が、却って問題ではあったが。
それを言えば、余計に引かれかねない。そんな葛藤を含んだ間。

実際の所、この半端者の身が唯一求める血の味は。
その血の齎す歓びは、他の何にも代え難いものだった。
狂おしい程に、どうしようもない程に、甘美なものだった。


あの後吐き戻してしまったのは単に、あの行動が
ある種貴方への裏切りにあたるのではないか、という罪悪感。
それから、拒絶されても仕方ない事をしてしまったという不安。
或いはそんな自分への自己嫌悪。そういったものからだった。

あのまま胃の腑に収めたままにしておくという事が、
貴方への後ろめたさから、どうしても耐えられなかったのだ。
(-109) unforg00 2021/12/20(Mon) 10:20:10

【秘】 残影の フランドル → 残氷 の エアハート


「…見付けた時はとことん詰めてやろうと思ってた。
 でも、話聞いてる限り実質俺が発端みたいなものだろう。
 なら…お前の事、言えた義理じゃないし」

お前の言に倣うなら、互いに許し合わなきゃならんのだろう。
帳尻合わせや謝罪の一つくらいは求める権利があるだろうが。

それに何より、痴話喧嘩は大抵惚れた側の負けに終わる。
これもきっと、つまりはそういう事なのだろう。


何なんだ今の間は。

 …まあ、正直キツい。死んだ方がマシ。
 死んでいく奴に生きろって言われるのはさ、呪いだよ。
 俺はお前が居なきゃ生きてても苦痛でしかない、なら尚の事」

謎の間に関しては反射的に問うただけなので、答えは要らない。
いっそ答えないでほしいと思った。
また誰ぞに
趣味が悪い
だの何だのと言われそうなので。

それはそれとして。

たとえ今際の際に貴方に生きろと言われたとしても、
或いは、死ぬ事を許されなかったとしても。
この男は死んだように生きていく事になるのが目に見えている。
一度折れた剣は、二度とは元に戻らない。

それを一思いに殺してやるのが慈悲と感じるかどうかは、
まったくもって、人それぞれなのだろうけど。
(-110) unforg00 2021/12/20(Mon) 10:22:14

【秘】 残影の フランドル → 残氷 の エアハート


「あとお前、後で円満の意味を調べ直した方が良いぞ」

円満とは、かどだたず、おだやかな様子。

「現実的に考えてくれ、何人殺すはめになると思ってるんだ。
 その上貴族殺しなんかやらかせば盛大に追われる事になる。
 何処行っても追手を警戒する生活は俺は御免だよ。
 総括すると掛ける手間に利益が全然見合ってない。却下。」

単なる間違い探しでもするみたいに問題点を指摘していく。
よくよく聞けば全ては損得勘定の上であって、
別に人を殺す事だとか家に被害が及ぶ事は全く気にしてない。
人殺しは今更だし、あの家には特に思い入れも何も無いため。

「それから、…血は…他人のは、嫌だ。
 わかってるだろうが、俺は他人の事は好きになれない。
 それとそっくり血を入れ替えられるなんて事は
 言ってしまえば俺にとって悪夢でしかない。とはいえ…
 …お前と入れ替えるのは、それはそれで、お前はいいのか」

あれだけ忌み嫌っていた貴族の血、という意味でもあり。
凡そ人間の半端者とはいえ、純正な人間とは言い難くもある。
そういう意味で、本当に良いのかと問わずには居られなかった。

現実的に考えれば単純に血を入れ替えるだけでなく、
骨髄だの造血組織も挿げ替えなければ意味が無いのだろうけど。
まあそれはそれ。魔法を使えば概ね何でもありだ。とはいえ…
(-111) unforg00 2021/12/20(Mon) 10:24:33
フランドルは、もっとわからん。
(a23) unforg00 2021/12/20(Mon) 10:24:42

フランドルは、俺は何をされるんだ?
(a24) unforg00 2021/12/20(Mon) 10:24:49

フランドルは、何もわからん。
(a25) unforg00 2021/12/20(Mon) 10:25:00

【独】 残影の フランドル

/*
あれ!?この人達、また心中の予約入れてる!?

今気付きました。なんでだ?
(-112) unforg00 2021/12/20(Mon) 10:28:16

【独】 残影の フランドル

/*
一人遺されるの、つらいからね……慈悲ですよこれは
オレ達は慈悲深いPLなんですよ。そういうことです。
心中はハッピーエンドなんだ(精神異常者)。
(-114) unforg00 2021/12/20(Mon) 10:34:33

【独】 残影の フランドル

/*
ままままあ慈悲の形は人それぞれですからね(便利な言葉)
(-116) unforg00 2021/12/20(Mon) 10:41:58

【秘】 残影の フランドル → 残氷 の エアハート


助けて欲しいのは俺の方だよ……


本当に助けられるものなら助けて欲しい。
まあ誰にも助けられないから今こうなっているのだが。
"もう一人"は寧ろ嬉々として火に油を注ぐ側なわけだし。

「……不味くはない、し、誰にでもはならない。
 昔から、
おかしくなるのはお前の血でだけだった。

 …それはそれで何か、却って気味悪いだろうけどな…

 …異種族そのものには偏見が無いってわかってても、
 この血は、間接的にあの家に連なる証明にも繋がるから」

──曰く、リロワーズ家は吸血鬼の末裔だという。


今や受け継いだ血はごく薄く、
これまでは殆どただの人間として生きてきたとしても。
それでも、その噂を肯定するような性質を生まれ持った事。
その血を継いでいる事を証明するような性質を生まれ持った事。
自分の中で、それは決して容易に認められるものではなかった。

それでも、貴方が確かにそれを許容するのであれば。
ある程度割り切り、折り合いを付け、受け入れる事を選ぶなら。
自分がこの血を受け入れ難いと感じる理由は、
貴方に嫌われ、見限られるのではないかという恐怖だけ。

だから、貴方にさえ拒まれないのであれば。
今になって、漸くこの血を少しは肯定できるのかもしれない。
(-154) unforg00 2021/12/20(Mon) 19:47:17

【秘】 残影の フランドル → 残氷 の エアハート


「…俺は、今でも知られなきゃ良かったと思ってる。
 あのまま手紙を焼き続けて、この血の衝動に耐え続けて
 全部、無かった事にし続けて。
 そのままお前と"ただのフランドル"のままで居られる事が、
 きっと何より平穏で幸せだったろうと思ってる」

独白のように語るのは、今や叶わぬ夢。

「それでも…そうはならなかった。
 
そうはならなかったから、今の俺達があるんだ

 この血も、あの日の別れも、この街で受けた痛みの全ても
 何か一つでも欠けたら、ここでこうしてはいなかった」

夢が覚めれば、後に待ち受けるのは現実ばかり。

「だから、
これまでの全てを否定しようとも思えはしない。

 …きっと…今はそれで良いんだと思う」

人は、いつか必ずそれと向き合わなければならない時が来る。

けれど、決してそれが苦痛ばかりを齎すわけではない。
事実と向き合い、受け入れてこそ得られるものもある。
たとえば、"ハーディ"と"エディ"、
そんな二人の何にも代え難い存在を得たように。
(-155) unforg00 2021/12/20(Mon) 19:50:57

【秘】 残影の フランドル → 残氷 の エアハート


「決して全てを受け入れられはしないけど、
 だからといって、全てを否定しもしない。
 案外誰しもそんなもんで、
 どうにかこうにか折り合い付けて生きていくんだろう。
 …そんなもんなんじゃないかとも、思う」

誰にだって許せないものがあって、
それでも、誰にだって、許したいものがある。
どんなに痛みを伴うとしても、受け入れたいものがある。
きっと、それはまったくおかしな事でもないのだろうと思う。

「だから、お前がそれで折り合い付けられるなら。
 それならきっと、俺も漸く俺を許せるようになるから。

 …血を抜かれずに済むならそれが一番、
 でも他に手段が無いなら仕方ない。逃亡生活は御免だ。
 他人と中身を挿げ替えられるのも御免被りたいが。
 お前と痛み分けなら…まあ、悪くはないと思う」

実際の所は、悪くはない、というよりも。
ある意味では本当の意味で対等になるわけなのだから、
こちらとしては利ばかり、痛み分けですらない。
ただ、貴方の心境を思うと、自然とそういう言葉選びになった。

「お前と共に在る為なら、他の全ては必要経費だ。
 お前の傍に居られるなら、場所は何処だって構わない。
 それでも選ぶ事ができるなら。
 俺達とは何の関係も無い、何のしがらみも無い所まで行こう。
 …
ずっと傍で、俺以外の何にも囚われないでいてくれよ。
(-156) unforg00 2021/12/20(Mon) 19:54:41
フランドルは、三度、請願を口にする。
(a46) unforg00 2021/12/20(Mon) 19:54:50

フランドルは、貴方の陰であり、貴方の剣であり、そして、
(a47) unforg00 2021/12/20(Mon) 19:55:29

フランドルは、きっと、貴方の目に焼き付いた残影でもあったのだろう。
(a48) unforg00 2021/12/20(Mon) 19:56:00

【置】 元騎士 フランドル


──飛び去る鳩を見送った。

宣言通り、ヨルムガンドを発つ日の事。
託した封書は、"離反者"の拿捕の報せ──

では、なく。

当然ながら、内容は騎士団宛の退職届だ。
如何にもそれっぽく革命軍に感化されましたよ、
というような内容の。
(L3) unforg00 2021/12/20(Mon) 20:50:11
公開: 2021/12/20(Mon) 20:55:00

【置】 元騎士 フランドル


筋書きとしては、こうだ。

外征騎士フランドル・スキアーは追行任務に赴いた先で、
情報収集の為に革命軍へと潜入した、のちに。
感化されたか、或いはそうならざるを得ない何かがあったのか。
何れにせよ、悉に革命軍の一員になってしまったらしい、と。

くれてやるのはそんな道化芝居も斯くやの筋書きだけ。

その先の事など教えてはやらない。汎ゆる痕跡は全て消して行く。
仮に追手が掛かっても、この街で暫し足止めを食うだろう。
この街で足取りが途絶えた以上は、
当然ながら、その近辺を虱潰しに探すしかないわけで。

取り立てて探りを入れる先だって、革命軍くらいのもの。
革命軍も、随分と人のものに対して好き勝手をしてくれたのだ。
末端には良い迷惑だろうが、せいぜい執拗に嗅ぎ回られちまえ……
もとい、これくらいのツケは払ってもらわなければ。

いつだって同じ事だ。

人は生きている限り、常に何かの犠牲の上に立っている。
そして、貸し借りはいつか必ず清算されなければならない。
片時たりとも忘れた事は無い、至極当然の事。
いつだって、たったそれだけの事だ。
(L4) unforg00 2021/12/20(Mon) 20:50:46
公開: 2021/12/20(Mon) 20:55:00

【置】 元騎士 フランドル


宿の部屋は既に引き払った。
元々この街には来たばかりだ。そう時間は掛からなかった。

持ち出すものと言えば、何時ぞやに受け取った生花くらいのもの。

──ラナンキュラスの花言葉。
花売りが、花に込めた期待を裏切ってしまわない内に。
夢を見せるなら、せめて夢のままに幕を下ろすべきだろう。


その内にふと、彼女に倣って花でも贈ろうかな、なんて思った。
枯れた白い薔薇と、紫のオステオスペルマム。
渡すならきっと、その二つがいい。
(L5) unforg00 2021/12/20(Mon) 20:51:08
公開: 2021/12/20(Mon) 20:55:00

【置】 元騎士 フランドル


やるべき事を終えれば、後は。

「──じゃあな、あぶれ者の街ヨルムガンド
 上も下も表も裏もそれ以外もろくでもないくせに、
 そのくせろくでもないばかりで居てくれない卑怯なやつ。
 生きていれば再び訪れる日も来るだろうが…」

遠く街並みを見下ろして、散々な捨て台詞。

今となっては、大した思い入れも無い街、でもないが。
とはいえそれらは一度ここに置いて行くとしよう。
得てして旅人というものは身軽であるに限るし、それに。

囚われる先は、一つあれば十分だ。

「その時は、今よか良い空気になってると思いたいな」

かつん、軽い音と共に踵を返して。

「…ま、良くなるにせよ、悪くなるにせよ。
 『相見えるは黄昏の先』。そこで終わりじゃないだろう。
 いつか黄昏に眠り、そして再び目覚めるその日まで。
 今はまだ、白日の夢を見続けるといい」

よそ者は、今度こそ街並みに背を向けた。
(L6) unforg00 2021/12/20(Mon) 20:51:32
公開: 2021/12/20(Mon) 20:55:00

【置】 元騎士 フランドル


そうして、ヨルムガンドの街や人々を巻き込んだ
この騒動は今一度幕を下ろす事になるのだろう。

この慌ただしい数日間は、果たして人々にとって何であったのか。


或いは、この街は、世界は徐々に良くなって行くという喜劇。

或いは、人一人に救えるものは限られているという悲劇。

或いは、"蝙蝠"の言葉など信用してはならないという道徳劇。

或いは、革命及びその弾圧の巻き添えとなる人々という不条理劇。


或いは、
人生の一断片«Tranche de Vie»。
(L8) unforg00 2021/12/20(Mon) 20:52:08
公開: 2021/12/20(Mon) 20:55:00

【置】 元騎士 フランドル


もしも、もしも。

これらが人の一生のただ一断片、
けれど掛け替えのない、一つたりとも欠けてはならないもの。
そんなただ一つの断片を映したものであるならば。


この世界は、すべてこれ一つの舞台。

人間は男女問わずすべてこれ役者にすぎぬ。
それぞれ舞台に登場しては、退場していく。
そしてその間に一人ひとりが、さまざまな役を演じる。

舞台は年齢によって七幕に分かれているのだ。

きっと終幕にはまだ早い。

今はこうして一度幕は下りれども。

人生は、これからも続いていくのだから。
(L10) unforg00 2021/12/20(Mon) 20:53:44
公開: 2021/12/20(Mon) 20:55:00