情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 エピローグ 終了 / 最新
【独】 走馬灯 マオ────お祭りの前日のある一幕。 「はなび。はなびはどこじゃ」 マオはそこら中の箱の中をひっくり返して探し回る。 確か人間からもらったものがあった気がしたから。 もらうだけもらって、溜め込んでいたものが。 整理整頓ができないマオは、ただひたすら散らかし放題。 余計にみつからなくなって困って、やがて村の人間をひっつかんできた。 「褒美をやるから花火を用意するのじゃ!」 村の人間は、マオを神さまに近い存在として見ているから なんでも言うことを聞く。都合のよい夢のような生活。 毎日幸せなはずなのだけれど、その代わり映えのしない幸せにも 飽きてくる、そんな気まぐれなマオにとって。 レグナは望みの外からやってきた──実在する人間なのだからそうだ──、簡単には思い通りならない刺激のある存在だった。 「たのしみじゃ」 たくさん用意してもらった花火を前にして満足そうに笑う。 これだけあればきっと十分。瞼の裏に彼の喜ぶ顔を思い描いた。 (-4) DT81 2023/09/11(Mon) 10:35:43 |
【独】 走馬灯 マオこれからの日々が続くように─── そう、願ってお祭りを沢山楽しんで花火をする約束だった。 それなのにどうして、己は今レグナを怒らせて首を絞められている。 試練だかなんだか知らないが、こんな趣味の悪いものを考えたのは誰だ。 さぞかし偉そうで、我儘で、自分本位なやつなんだろうな。 死んでしまったら約束が守れない。 はじめて約束を破ることになるのかと思うと癪だ。 (-5) DT81 2023/09/11(Mon) 10:48:38 |
【独】 走馬灯 マオわざとだ。わざと、怒りを煽るようなことを言って 怒らせて、殺させて、彼に出てもらおうと思った。 思いやりでもなんでもない。 あの時言った"嫌いなやつがひとりいなくなってはっぴー" は半分本気で言っていた。 もう半分は、レグナはそんなひどいこと思わない かもしれないという信頼があったのかもしれない。 はじめて自分が嫌になったから、周りのすべてが偽りに思えた。 人間はみなマオ様を崇め敬い甘やかすものという幻想が壊れた。 人間は、尊いけれど、恐ろしい裏側があるのだって知っていて。 だから、マオはこわくなったのだ。 きっかけは、ささいなこと。 死ぬのは嫌だった。 でも、大好きな人間に嫌われる世界にいるのはもっと嫌だ。 だから、レグナの手で殺されるなら幸せな最期かと思った。 (-6) DT81 2023/09/11(Mon) 11:59:44 |
【鳴】 しもべじゃない レグナあなたが何かを言おうとしていたのを、見逃さなかった。 けれど聞き取ろうとしたところで、それが聞き取れる筈もない。 自らを引っかいていた手が、此方の頬に触れていた手が、だらりと投げ出されるのを見る。 腕を離す。それでももう動き出す事はない。 我儘も無茶振りもすり寄りもしない、生命からただのモノになったマオがそこにある。 ――終わったのだと、奪ったのだと、思い知る。 ▼ (=0) smmmt 2023/09/11(Mon) 15:22:08 |
【鳴】 しもべじゃない レグナ「…………、」 後はあなたの願いを叶えなければ。 叶えなければ、奪った意味が無くなってしまう。 ああ、本当に!居なくなって欲しい訳がないのに、何も分かっていない! 最後の最期までなんて願いを遺してくれたんだ、あの馬鹿は!! 「は、はは、」 声に出して、笑う。 目からあふれ出る、胸を突き刺す邪魔ものを、必死に手のひらで抑え、 無理矢理に笑い声を口に出す。 「ははははは……!!」 ――道化にすらなり切れなかった、哀れな男の。 壊れた様な笑い声が、唯々部屋に響いている。 (=1) smmmt 2023/09/11(Mon) 15:22:43 |
【独】 しもべじゃない レグナ/* 本編でもそうなんですが、出る為なら人を殺す事すら出来てしまう、そんな自分にも嫌気がさしているかもしれませんね。 (-8) smmmt 2023/09/11(Mon) 15:24:19 |
【鳴】 死体 マオ死体はなにも何も語らない。 無機質な空間で慟哭にも似た笑い声が響く中、鳥居が現れた。 条件に達し、ここから出られるということだ。 この死体を連れて行くか否かは自由だ。 (=2) DT81 2023/09/11(Mon) 15:59:19 |
【鳴】 悪役にすらなれない レグナひとしきり、笑い声を零した後。 この部屋に来る時と同じ鳥居が現れるのを見た。 ああ、本当に。こんな自分に嫌気が差す。 あまりにも愚かで笑い声が止まらない! 「あは、……はは、ははは……」 条件が満たされたというのに、乾いた笑いは止まらないまま。 あなたの亡骸を背負う様にして、鳥居を潜る。 ぐるぐると頭の中が回っている。 ここから出て、それからどうする?皆には、アリアにはどう説明するんだ? こんな現実、夢だったかのように、 無かった事になってしまえばいいのに。 (=3) smmmt 2023/09/11(Mon) 18:27:08 |
【人】 水底の石 マオこの息苦しくて、底に沈んでいくような感覚を 知っている気がする。 冷たくて、苦しい、手を伸ばしてもなにも掴めない。 もがいてももがいても、その苦しさは消えない。 ──わたしを、置いていかないでほしい。 そんな寂しさと孤独感に包まれて。 ──わたしを、助けてほしい。 手を伸ばして空へと引っ張り上げてくれるものを探している。 水底に眠る石を拾う者などいないというのに。 (0) DT81 2023/09/11(Mon) 19:44:44 |
【人】 神仙様の 祭囃子──視界がホワイトアウトして あなた方は試練という夢から覚める。 「試練達成おめでとうございます!!!」 鳥居から抜けると、狐面の男が変わらない高らかな声で出迎えた。 パァン!パァン!!! どこからともなくクラッカーが発射され 色とりどりの紙吹雪が二人の頭にかかる。 「すばらしい!達成した お二人 には祝福と褒美が授けられます」祝福は、この神仙祭りのものを全て"無料"で楽しめる権利で 褒美は『 魔法のねこじゃらし 』。虹色をしている。振るといろんなことが起きるらしい。 そして、ついでのようにさっきの空間が "試練のための仮想空間"ということを知らせられる。 そう、人を殺したとてリアルなゲームとして処理されるのと同じ。 もし、そのことを咎められるのならば 「仮想だとわかったら、試練にはならないでしょう?」 なんて言って、面の下で悪気もなくころころ笑うのだった。 (1) Dream 2023/09/11(Mon) 19:49:24 |
【人】 水底の石 マオマオはふいに、目を覚ます。 クラッカーの破裂音と、狐面の男の声が 頭の中にこだまするものだから、思わず呻き声をあげ レグナの背中でもぞもぞと動き出した。 「……ん、 ぅん……うるさいのじゃ…… 」なんだか身体が怠いような、眠いような感覚。 悪い夢を見ていたような。 ぼんやりしながら、その背のあたたかさに身をゆだねようとして ──今までのことが、頭の中をめぐって。 「──っ……!?」 跳ねるように顔をあげ、目を白黒させながら 首元に触れて、周囲を見回して。 ──誰の背にいるのかに気づいたから。 マオは、飛び上がるようにしてどこかへと逃げ出した。 気づかれないよう木々の茂みに隠れ、おずおずと様子を伺う。 (2) DT81 2023/09/11(Mon) 19:55:07 |
【独】 水底の石 マオ/* 一回目の死:現実(猫)で池で溺れる 二回目の死:夢(本編)で溺れる 三回目の死:仮想空間で愛♡のしもべに首絞められて死ぬ 三回死んだ猫(全部窒息) (-11) DT81 2023/09/11(Mon) 21:35:38 |
【人】 悪役にすらなれない レグナ鳥居を潜って、ぱち、と瞬き。 何処からともなく響くクラッカーと紙吹雪に、 流石に驚いた様にそれらをぼんやりと見ている。 けれども、感情はそれに追い付く所ではなく。 その神仙様を殺した相手に何を言っているんだか、と思いながら、 ぼうっと話を聞いていたら。 「……ん。えっ、は?ちょっと待て、二人?仮想空間??」 ついでの様に知らされたそれに、ぼんやりとしていた意識が段々とはっきりしていく。 ばっと背負ったマオの方を見るのと、 マオが跳ねる様に飛びあがって、何処かへと逃げだしたのは恐らくほぼ同時だ。 当然知らせなかった事に怒りが差したが、ころころと笑われ猫じゃらしを渡されて。 「〜〜〜〜っ、 俺は、ほんっ、きで、……、……!!」と、今更覚悟の恥ずかしさやら、それでも殺した事実はそこにある事やらが込みあがって来て。 とにかく、猫じゃらしを手に持ったまま。 適当に狐面をあしらって、マオの逃げた方向を追う。 (3) smmmt 2023/09/11(Mon) 22:41:53 |
レグナは、マオを追いかける。最中、01.ぼんやりと提灯の明かりを追っていると、人ごみに飲まれてしまう。君の背中が、遠ざかっていく。vil (a0) smmmt 2023/09/11(Mon) 22:43:55 |
レグナは、邪魔だと人混みを掻き分ける様にして、逃げた背を探す。探す。 (a1) smmmt 2023/09/11(Mon) 22:44:27 |
【人】 水底の石 マオレグナが走り出したのを見ると、反射的に再び駆けだした。 人の多い場所をあえて通り、軽い身のこなしで 屋根から、屋根へとなりふり構わずとび移っていく。 いつのまにか暮れた夜空に紺色が紛れていった。 「なんで……っ、追ってくるんじゃ……」 人ごみをかきわけているのが振り返った一瞬、見えた。 マオの頭の中は混濁した感情と混乱でいっぱいで ただ、逃げることしかできずに。 やがて足も疲れてきて。高い木の上に腰を落ち着けた。 肩で息をしながらよりかかって、提灯の灯を ぼんやりとうつろな瞳に映す。 いつの間にか、レグナを見失ってしまった。撒いただろうか。 (4) DT81 2023/09/12(Tue) 0:23:54 |
【人】 水底の石 マオ「……なんで、わしは逃げてるんじゃ……」 悲し気にまつ毛を伏せたマオの横顔を、月が照らしている。 せっかく選んでもらった浴衣も、ぐちゃぐちゃでみっともない姿のまま。 「なんで……、……」 ──雨が、降ってきた。 ぽた、ぽたとマオの頬を、浴衣を濡らしている。 ここにだけ、ただしずかに降っている。 若草色から溢れる、小さな雫が。 「……レグナ……」 首元をなぞると、まだ感触が残っている気がした。 もう走る気力はなく、見つかるのも時間の問題だ。 (5) DT81 2023/09/12(Tue) 0:27:36 |
マオは、どんな顔をして会えばいいのかわからない。 (a2) DT81 2023/09/12(Tue) 0:28:18 |
【人】 唯の青年 レグナ――それから、どれだけ時間が経っただろうか。 少しかもしれないし、夜空に大きな花火が打ちあがるまで、時間がかかってしまったかもしれない。 どちらにせよ、レグナは。それでもあなたを探す事を諦めなかっただろう。 「マオ」 あなたが高い木の上に登っているのを、見つけたのなら、そう声を掛ける。 「……、なあ。俺は、」 「あんたさえ、許すのなら。仲直りが、したい」 「花火をするのだって、諦めてない」 「…………。ごめんな、あんなに怒っちまって。 苦しい思いも、させて」 だから、これは自分の身勝手だけれど。 ……それでも、と。 (6) smmmt 2023/09/12(Tue) 19:27:29 |
レグナは、マオに手を伸ばす。降りられなくなったのなら、受け止めるから。 (a3) smmmt 2023/09/12(Tue) 19:27:49 |
【人】 水底の石 マオ名を呼ぶ声がして、レグナを見下ろす。 月の逆光で、表情はよく見えない。 力なく、木に寄りかかっているシルエットのまま。 「…………何を、言っている?」 心底不思議そうな、呆けた声が降ってくる。 それでは全部レグナが悪いみたいで それが違うことくらいはわかっていた。 「おまえを怒らせたのは、……わざとじゃ。 あんなに怒るなんて、思ってなかったが…… あれはちと……いや、すごいびっくりしたのう 」想いを馳せるように、首筋を指でそっとなぞる。 痕はなんにも残っていないけれど、どこか愛おしげに。 「せっかくおまえに殺してもらったのに、現実でなくて残念じゃ」 半分は本当で、もう半分は強がり。 くすくすと、力なく笑う声がため息に変わる。 マオが木から降りる気配はないが、代わりに レグナの頭上からぽた、ぽたと小雨が降っている。 雨の正体は木の上に座るマオなのだけれど。 (7) DT81 2023/09/12(Tue) 20:45:07 |
マオは、さっきからずっと涙が止まらない。 (a4) DT81 2023/09/12(Tue) 20:49:33 |
【人】 水底の石 マオ──その時、 ドォン! と大きな音と共にマオの背の空から大輪の花が咲いた。 「ヌ゛ァ!???」 その音にたいそうびっくりして、呆気なく 木から滑り落ちて行った。もちろん、レグナの上に。 (8) DT81 2023/09/12(Tue) 20:50:26 |