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【秘】 夜の一族 チャンドラ → 浮遊想 テラ「……」 誰もいない。 やっぱりただの気のせいかしら。 ざわざわと胸がざわめくのを感じながら、それでもわたしはその場から動けずにいた。 ──くい、と。 籠が引っ張られたような気がして、驚いて手を離す。 「……!!!」 籠は宙に浮いて、ひとりでに机の上に吸い込まれていく。 言葉を失ったわたしは、叫び声すら上げることができずに後退をした。 本当に恐れを覚えたときは、声なんて出ないものなのかもしれない。 壁が、背中にとん、と触れた。 (-7) oO832mk 2021/10/19(Tue) 21:08:48 |
【秘】 夜の一族 チャンドラ → 浮遊想 テラ/* 寒冷現象の犯人じゃないの!やだァ! フフ、それじゃあ任意にとても寒くならせてもらうわね。 来客の約束はないけど来客そのものはあるかもしれない状態だから、もし来たらベッドの上で寝ているところから始めさせてもらうわ! ありがとう、ベル記……催促したみたいでごめんなさいね。kiss…… (-15) oO832mk 2021/10/19(Tue) 21:43:16 |
チャンドラは、部屋に紙飛行機と、赤と緑の宝石を1つずつ飾っている。 (a0) oO832mk 2021/10/19(Tue) 21:54:16 |
【秘】 夜の一族 チャンドラ → 探偵 キエ「見たいから……そんなに簡単なこと?」 驚いたわたしは、キエをじっと見つめた。 まるで魔法のようだと思っていた。 それをそんなにあっさりと言ってしまうこと。 キエは特別な人なのかもしれないとそんなことを思う。 「……キエは不思議ね。 自分のことを棚に上げて、『人間は』なんて言うんだもの」 あなただって人間じゃない。 少なくともわたしにはそう見えているから、肩を竦めてくすりと笑った。 「でもそうね。規律や理に縛られるのは大変。 月に触れようとした鳥みたいに、やりたいことをやり続けられればいいのだけど」 その鳥も、しばらく月をお預けされたようだし。 規律を破ると罰があるなら、規律を守りたがるのもきっと無理はないことだと思う。 (-24) oO832mk 2021/10/19(Tue) 22:31:41 |
【秘】 夜の一族 チャンドラ → 浮遊想 テラひんやりと冷たいものが触れた。 びくりと肩を揺らしながらもすくみ上がったわたしは、やっぱり声を出すことが出来ないでいる。 たすけてとそればかり、胸に沸きあがる。 姿の見えない誰かが、間違いなくそこにいる。 「………テラ……」 たすけて、と言いたかった。それでも声にはならなかった。 掠れた吐息のような音が漏れて、何とか名前のようなかたちを作る。 あなたはここに来ると言っていた。 わたしが耐えていれば、きっと助けにきてくれる。 そして作り物のような声で言うのだ。 どうしたのチャンドラちゃん。怖い思いでもした? 早鐘のように打つ鼓動を聴きながら、わたしは現実逃避をしている。 悲鳴は上げない。怖いとも口にしない。ただ、それだけ。 (-32) oO832mk 2021/10/19(Tue) 23:29:05 |
【秘】 夜の一族 チャンドラ → 探偵 キエ「……? 人間じゃ、ない? そうだったの?」 オウム返ししか出来ないくらいには驚いた。 わたしは『キエ』をまた見つめて。 そして続いた言葉に、目を伏せた。 「……最期。そうなの。そう、だったの……」 落胆した様子がきっとすぐに分かる。 月を愛する同志。生まれる国が違えば、きっとお友達になれたのに。 「それじゃあ、その鳥も規律の犠牲者よ。 ルールを破ったのはいけないこと。 そしてそれで罰せられるのが規律。そうでしょう?」 「……規律を定めるのは、何も人間だけじゃないわ」 少なくともそんな規律がなければ、鳥は今も自由に月を目指していたのだろうから。 (-34) oO832mk 2021/10/19(Tue) 23:37:03 |
【秘】 夜の一族 チャンドラ → 探偵 キエ「……」 キエの言葉を聞いて、わたしは考える。 わたしの理と、その国の理では大いに違う。 月に触れるのは容易くない。 触れたいと手を伸ばすものも少なくない。 そこは同じなのかもしれないけど。 「……わからないわ。 月に触れていい相手は、月が決めるべきよ。 他の誰かが決めるべきじゃない。 それがわたしたち、夜の一族の考え方だもの」 どんな理由があったとしても、月に何の権利もないのならそれは身勝手な規律。 種族や民族が違えば考え方だって異なっていく。 そのことをわたしは、あなたから月の沈まない国の話を聞いた時に、薄々気づいてはいたけれど。 (-44) oO832mk 2021/10/20(Wed) 0:03:42 |
【秘】 夜の一族 チャンドラ → 探偵 キエ「粗末になんて……」 わたしは緩やかに首を振った。 月が遠く離れていることなんて知っている。 その温度までは、確かに考えたことはなかったけど。 「わたしはただ、月に触れたいほど愛する気持ちを蔑ろにしたくないだけ。 家族を置き去りにしてでも、鳥は月に触れたかったのでしょう? 何かを愛する気持ちを、規律が縛るだなんて悲しい話よ。 ……わたしは、そう思うわ」 家族も鳥を愛していたかもしれない。 でも鳥は、家族を振り切ってでも月を目指したのでしょう? 月は好きでそんな高くて寒いところにいる。 月は好きで昇って降りている。 そうして月は──夜は、愛してくれた一族に贈り物をくれた。 それが、わたしたち夜の一族の伝承。 「あまり意地悪を言わないで、キエ。 人の考えなんていくらでも違うものだもの。 それを縛ることなんて誰にもできないわ。 ……それが例え、神様であっても」 (-59) oO832mk 2021/10/20(Wed) 0:45:35 |
【秘】 夜の一族 チャンドラ → 浮遊想 テラ金縛りにでも遭ったみたいに、わたしの身体は動かない。 頬に触れていた冷たさが全身を包み込む。 今が夜であったなら、きっと何だってできたのに。 この館には夜が来ない。 だからわたしは、何も出来ないただの箱入り娘。 ただ怖かったのか、それが悔しかったのか、わたしにもよく分からない。 そんなことを考えるいとまは、今この部屋にはどこにも残されていなかったもの。 身体の震えが恐怖からくるものか、寒さからくるものか、それすらも分からないまま。 (-61) oO832mk 2021/10/20(Wed) 1:08:47 |
【秘】 夜の一族 チャンドラ → 浮遊想 テラ声が聞こえる気がする。 気のせい? 分からないわ。 ただ唇が、やけに冷えたことだけを鮮明に感じて。 頭の芯まで冷え切るような心地がして。 耳鳴りがして。頭痛がして。 もう、それに何か感情を抱くよりもずっと前に。 (-62) oO832mk 2021/10/20(Wed) 1:12:30 |
チャンドラは、自室から出てこない。 (a3) oO832mk 2021/10/20(Wed) 1:13:46 |
チャンドラは、『 』に酷い冷たさを感じたあと。 (a4) oO832mk 2021/10/20(Wed) 1:14:26 |
チャンドラは、こびりつくような 寒さ を、その身に感じていた。 (a5) oO832mk 2021/10/20(Wed) 1:15:28 |
【秘】 夜の一族 チャンドラ → 浮遊想 テラ目を覚ました時、何事もなかったかのようにベッドにいた。 身を起こすと酷く寒い。 ベッドに寝ていたはずなのに、不思議だとわたしは思う。 そうして気付いた。 ベッドに寝た記憶はない。 じゃあその前、何をしていた? 「………っ!!!」 その恐怖を思い出したわたしは、やっぱり声なんて出なかった。 息が詰まるような心地だけ覚えて、顔色悪く布団に篭もる。 がたがたと震えが止まらない。 もうこの部屋に、『誰か』はいないのかしら。 それを確かめることすら、暫くはできもしなかった。 (-65) oO832mk 2021/10/20(Wed) 1:27:43 |
【秘】 夜の一族 チャンドラ → 浮遊想 テラ──きゅう、とお腹が鳴る。 そうだ、何かを食べないといけないんだった。 でも冷たいベーグルもマフィンも、あんなに楽しんで集めたお菓子でさえも、今は食べたいと思えなくて。 ふらり、ふらりと身を縮めながら外に出た。 食べ物を探さないと。 でないとわたしは、夜じゃない場所では生きていられない。 部屋を離れる足取りは、どうしても覚束無いものになった。 (-66) oO832mk 2021/10/20(Wed) 1:31:17 |
チャンドラは、目を覚ますと部屋を出た (a7) oO832mk 2021/10/20(Wed) 1:33:19 |
チャンドラは、食べるものを探しに、パーティ会場へ向かう。 (a8) oO832mk 2021/10/20(Wed) 1:35:00 |
【人】 夜の一族 チャンドラ覚束無い足取りで、わたしはパーティ会場を訪れる。 「クロノ、いるかしら」 外套を羽織り、小刻みに震えながら。 それでもわたしは、その震えを必死に隠そうとしていた。 「あたたかいものを、探しているの」 そうでないものは、今は喉を通りそうにない。 やることは、たくさんあるの。 だからみんなに心配をかける前に、この震えをどうにかしなくては。 (12) oO832mk 2021/10/20(Wed) 1:40:33 |
チャンドラは、今は余裕がありません。 (a11) oO832mk 2021/10/20(Wed) 1:47:40 |
チャンドラは、後で、思い出すのでしょう。客人が、部屋に来るはずだったことを。 (a12) oO832mk 2021/10/20(Wed) 1:48:35 |
【人】 夜の一族 チャンドラわたしの声は、パーティ会場の喧騒に掻き消える。 常時なら頼ることも出来たお友達──彼女が手配してくれた、携帯食料すら喉が通らない今は、その姿を探すのも気が引けた。 ふと、一際騒ぐ3人組に視線を向ける。 そうだ、彼にノートも返さないと。 もしかしたら彼なら、あたたかいものを作ってくれるかもしれないけど、団欒の邪魔はしたくない。 そうこうする間、寒さとともに目が回るような空腹が襲う。 わたしはクロノを探すのをやめて、近くの椅子に座り込んだ。 冷たい料理が目の前に並ぶ。 それでもやっぱり、食べる気が起きなかった。 (15) oO832mk 2021/10/20(Wed) 2:09:48 |
【人】 夜の一族 チャンドラ>>20 ポルクス 「……ポルクス?」 声をかけられ、自分でも驚くくらいに情けない声が出た。 飢餓感と寒さ。そうだ、あなたとも約束をしていた。 「大丈夫……ただ、あたたかいものを食べたくて。 会場にはさすがに並んでいないから、使用人を探していたのだけど」 少し疲れちゃって、と笑うわたしは、自分の笑顔がとても力ないものになったことに気付かない。 (21) oO832mk 2021/10/20(Wed) 8:11:51 |
【人】 夜の一族 チャンドラ>>24 ポルクス 「………」 無意識に、羽織った外套の合わせを強く握る。 元気がないと見抜かれてしまったのがなんだか申し訳なく思えた。 差し伸べられた手を見つめ、わたしはためらっていた。 でも、立っているのもやっとなくらい、寒くてお腹が空いていて。 (25) oO832mk 2021/10/20(Wed) 12:45:53 |
チャンドラは、ポルクスの手を、ゆっくりととる。 (a18) oO832mk 2021/10/20(Wed) 12:46:42 |
【秘】 夜の一族 チャンドラ → 逃亡者 ポルクスその手は酷く冷えていた。 まるで氷水に手を入れて遊んだあとのようだった。 そしてそれだけ冷えたわたしの身体は、あなたのぬくもりが分からなかった。 悴むほどに凍えた手のひらの感覚は、とても鈍い。 (-131) oO832mk 2021/10/20(Wed) 12:48:53 |
【人】 夜の一族 チャンドラ>>24 >>25 ポルクス 「……ありがとう、ポルクス」 その手を支えにわたしは立ち上がる。 目が回るような心地がまたしたけれど、導き手がいるならきっと大丈夫。 また力なく微笑みかけると、行きましょう、とわたしは言った。 (26) oO832mk 2021/10/20(Wed) 12:51:44 |
【秘】 夜の一族 チャンドラ → 探偵 キエわたしはキエの言葉を聞いて、少し考え込む。 愛する人。今浮かぶのは家族くらいね。 「……いいわ。少し、考えてみる。 わたしの答え、見つけてみるわ」 家族だとすれば、その場ですぐに返すこともできた。 一族を背負って立つお父様には、そんなことが必要になる時もあるでしょうから。 それを直ぐに答えなかったのは、そうして欲しくないと言われたからと、そうして出た答えでキエは納得しないだろうと思ったからだ。 (-168) oO832mk 2021/10/20(Wed) 17:45:25 |
【人】 夜の一族 チャンドラ>>27 >>28 ポルクス 抱き上げられたわたしは、小さく悲鳴をあげる。 抵抗する力なんて残っていなかったし、ふらつくわたしの足で歩くよりずっとマシだと思ったものだから、大人しくはしていたけれど。 冷え切った体に触れると隠していた震えがきっと手に取るようにわかる。 ポルクスの部屋に運ばれて、布団に寝かしつけられたわたしはきっと少し困ったような顔をしている。 シトゥラに合わす顔がないわ。本当に。 「ええ、大丈夫。……ごめんなさい。 あまり心配は、かけたくなかったのに」 せめて身体くらいは起こしておきたいものだけど、そろそろ限界が近いのか1度寝そべった身体はそう簡単に動いてくれなかった。 2人きりの部屋の中、小さな溜め息が零れる。 (34) oO832mk 2021/10/20(Wed) 18:06:05 |
【秘】 夜の一族 チャンドラ → 逃亡者 ポルクス/* 大丈夫よ!わたしはこのまま表でも構わないわ! 秘話がよかったらそれっぽくできるようにはしたから秘話に移行して頂戴。 助けに来てくれてありがとう kiss…… (-173) oO832mk 2021/10/20(Wed) 18:07:52 |
【秘】 夜の一族 チャンドラ → 死神 ゲイザー/* ハロー、マイフレンド! 見ての通りアタイは寒くなっていて、今はポルクスの部屋にいるわ! その後どうなるか分からないけど、シュレディンガーのチャンドラで良ければお出しできるけど、どうしましょう? チャンドラの姿は見当たらない、とすることも、シュレディンガーじゃなくなった頃にお返しすることも出来るわよ! (-181) oO832mk 2021/10/20(Wed) 19:27:29 |
【秘】 夜の一族 チャンドラ → 死神 ゲイザー/* OK、描写をするわね! 申し訳ないわね。楽しみにしているのは本当よ。 また会いましょう kiss! (-183) oO832mk 2021/10/20(Wed) 19:40:40 |
【人】 夜の一族 チャンドラ>>36 ゲイザー 広間を探しても、中庭を探しても、わたしの姿はどこにもない。 寒く凍えたわたしは今は、ポルクスの部屋に連れられていた。 きっと広間にいるなんて、あなたには嘘をついてしまったわね。 使用人の誰に聞いても、わたしの行き先を知る人はいない。 あんなに毎日広間でいろんな食事をしていたわたしがいなくなったことを、使用人のみんなも不思議がっていたかもしれなかった。 (41) oO832mk 2021/10/20(Wed) 19:50:20 |
【独】 夜の一族 チャンドラ/* ミズガネは黒鳴者だから、ゲイザーと共鳴でお話できていたのよね。 そういうことよね? たぶん (-186) oO832mk 2021/10/20(Wed) 20:07:59 |
【人】 夜の一族 チャンドラ>>43 ポルクス 「……それが、分からないの。 ハロウィンパーティが終わって、部屋に帰って」 布団の中は、そうすぐにあたたかくなりはしなかった。 その中にいるわたしが冷たく冷えきってしまっていたからかもしれない。 そんな布団の中でわたしは体を震わせている。 あの時のことを思い出したからか、冷たい体がそうさせるのか、わたしにはやっぱり分からなかった。 「 部屋に、誰かがいたの。 姿が見えない誰かが。 そうしたら、体が動かなくなって。 ……ものすごく、寒くなって」 用意をしていた食事をとれなかったのが、さらに悪かった。 けれどあたたかいものを探しに外に出た結果、こうしてポルクスに拾われているのだから悪いことばかりでもなかったのかもしれない。 結果として約束をいくつか、反故にしてしまったことになるだろうけど。 「──そうよ、わたし。 待ち合わせをしていたの。部屋で。 彼、わたしを探しているかもしれないわ……!」 落ち着いたからか、漸くそのことを思い出す。 体を起こそうとすると、目眩がした。 こっちは寒さのせいじゃなく、空腹のせい。 (44) oO832mk 2021/10/20(Wed) 20:45:33 |
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