人狼物語 三日月国


224 【R18G】海辺のフチラータ2【身内】

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視点:


【秘】 pasticciona アリーチェ → オネエ ヴィットーレ

必死に焦燥感と戦いながら練り上げようと試みた最中にかけられた声に、一瞬目を丸くしてから、ようやく自分が暴走している事に気づいたのか、恥じ入るように顔を伏せて。

「ごめん、そうだよね、
 焦りばっかり先走って、私……
 全然ヴィットーレの事安心させられてない、や……」

ひとつひとつ、諭されれた単語。
それが全て心に重くのしかかる枷のように辛いけれど、
落ち込んでいてはいけないのだ。

「……違う。ヴィットーレ。
 私、貴方に安心させてほしくてここに来たんじゃない。
 貴方を守りたくて、寄り添いたくてここに来たの。

 それは辛い事から優しい目隠しをして貰って、
 夢だけ見せてもらうのとは、きっと違うと思う」

声色を聞いて、後悔が滲む。
自分は、何をしに来た?ヴィットーレを困らせに来たの?
心配をかけるばかりで、本当にそれは助けになるといえるの?
──違う。

「──貴方の姿が見たい」
「辛くて、痛くて、苦しいなら、気を使って隠さないで」
「わたし、もう立派な大人よ。守られるだけじゃない」

「貴方の中の私は、肩を預けるのすら、頼りないかな」
(-56) poru 2023/09/20(Wed) 23:40:37

【秘】 オネエ ヴィットーレ → 法の下に イレネオ

「そう。思考停止ね。」
「その書面に携わった誰か一人でも悪人だったら、
 その紙には何の意味もないのに。」

仲間想い、良い事だ。
仲間を信じて己の業務に集中すれば楽な事だろう。
後はその紙面どおりの情報が出るまで絞るだけ。
        
捻じ曲げられた

痛みに耐えかねて暴 か れ た 真実も、沢山あるのだろう。

「……っちょっと……なにするの?
 やめなさいよ………っ!」

貴方が立ち上がり布を持って近寄れば、
それには拒絶の意思を見せはするものの。
未だ痛む指先と、痛みで力が入らない体では、
ろくに抵抗も出来ず、為すがままにされるしかないであろう。
(-166) arenda 2023/09/21(Thu) 11:15:57

【秘】 オネエ ヴィットーレ → pasticciona アリーチェ

「……ごめんなさいね、貴方を不安にさせるような事に
 なってしまって。……本当なら、傍にいてあげたかったわ。」

そう謝罪する男はやっぱり、己よりも貴方の安心を重視していて。
弟が、妹が、家族が。子供達が辛い目に合わないために、
汚いものから目隠しするのは昔から得意だった。
自分だけが汚れた道を見据えて、目隠しした子達の手を
引いて先導してあげる。それが理想だった。
……それはある意味で、ヴィットーレの弱さでもあった。
強く頼れる大人でありたいという………弱さだった。


その弱さを見据えるように、貴方から言葉を掛けられる。
姿を見せれば、きっと貴方を悲しませる。
でも……今ここで姿を見せなければ……

「……そんなはず、ないわ。
 立派に成長してくれた……自慢の、頼れる妹よ……」

………貴方の心を傷つけてしまう。
貴方を大切に、大切に思っているヴィットーレは……
……シーツを脱いで、その姿を貴方の前に見せるだろう。
顔は腫れ、手は爪が剥がれて赤黒いネイルでもしたかのよう。
衣服だって同じ色に濡れ、きっと服の下は青色だらけ。
そんな……辛くて、痛くて、苦しい姿を……貴方に晒した。

「……っ……アリーチェ、泣かなかったのね。
 偉いわね………」

悼む体を引き摺って、檻の前まで歩み寄って。
その頬に色濃い涙の痕が無い事を見て…
あるいは化粧で隠されてるのかもしれない
…力なく笑うのだった。
(-173) arenda 2023/09/21(Thu) 11:35:30

【秘】 幕の中で イレネオ → オネエ ヴィットーレ

悪人なんていない。俺たちは警察だよ。

酷く盲目な様を男は晒していく。
それを異常だとは全く思わない。
男にとって正義は警察こちらで悪とはノッテそちらだ。

さて、どうだろう。男は実質正義の徒だった。
善良な一巡査長・・・・・・・がこんなにも平然と人を嬲るようになったのは、例の新法が出来てからのこと。
忠実な法の犬は、法によって正気のまま狂った。


貴方の目は覆われてしまう。それでも厚い布ではないはずだから、光くらいは差すだろう。
自分の血や膿の臭いが鼻につくかもしれないが、男には知ったことではない。

そのまま。

「立て。」

視覚の外から触覚が切り込み、貴方の腕が強く引き上げられた。
貴方はこれを拒んでも構わない。
そうした場合の保証もまた、ありはしないが
(-174) rik_kr 2023/09/21(Thu) 11:46:49

【秘】 オネエ ヴィットーレ → 幕の中で イレネオ

「可愛らしいbambinoだこと。」

その言葉を最後、視界が塞がれる。
僅かに光を感じる程度のその景色は、
周囲への感覚を研ぎ澄ませ、それは同時に
痛みに対してもより敏感になるという事だった。
実際の所、ヴィットーレは正義か悪かで言えば悪の人間だ。
闇の社会に身を置き、人身売買をしたこともある。
どんな理由があれど許されないその罪に手をだし、
そうして稼いだ金で生きている。
調書に間違いは何もない。
……それでも。
───貴方が狂っている事は、間違いがない。


「アンタ、外出たら覚えときなさいよ……っ!」

わめきながらも立たされる。
貴方とぴったり同じ背丈だ。
未だ血の滴る指先から垂れたものが、靴を汚した。
(-182) arenda 2023/09/21(Thu) 12:22:22

【秘】 幕の中で イレネオ → オネエ ヴィットーレ

引き立てる腕はその言葉で一層力が籠ったはず。
低い唸りは言葉にならず、舌打ちだけ残していった。
その通り。
男が狂っていることは事実で、狂法に身を委ねたのも男の選択である。
そこに同情の余地などない。


男の足音は一度遠ざかる。間を置かずになにか金属質のものを手に取る微かな音がし、それを携えて戻ってきたようだった。
貴方は従順に待っていただろうか。
待っていたなら、まず男が触れたのはその足だ。
衣服の上から硬いものが触れる。足枷である、と気づくのは易いだろう。両の足を繋いで、貴方の動きを封じようと言うのだ。

無言の空間に無機質な音だけが響いた。
視界を奪われた感覚では真っ直ぐに立つだけでも神経を使うはずだ。
研ぎ澄まされた神経が、不安から更に活発になっていく。
カチリ、と最後の作業を済ませたらしい男は、さて。ぐるりぐるり、貴方の周囲を歩き始めたらしかった。

(-194) rik_kr 2023/09/21(Thu) 14:22:57

【秘】 幕の中で イレネオ → オネエ ヴィットーレ

かつり。
かつり。


かつり。
かつり。
かつり。

かつり。
かつり。



反響する。
くく、と押し殺した笑い声が、貴方の前から後ろへ抜けた。

「そう震えるなよ。」
「大の男が情けない。」

「バーの店主は表の顔だ。吐け、と言ってるのはそれじゃない。」

男がどこにいて。
何を企んでいるのか、分からないはずだ。
(-195) rik_kr 2023/09/21(Thu) 14:23:27

【秘】 オネエ ヴィットーレ → 幕の中で イレネオ

人は五感の一つが潰える度に、他の感覚が鋭くなる。
視覚が塞がれた瞬間、耳は何倍の音も拾うようになるし、
自分の血の匂いもよくわかるようになった。
勿論肌に触れる何かの感覚も、同じように。

「何してるの?やめなさいよ……!」

と、軽く抵抗するものの、少し動けば転んでしまいそうになる。
転べば支えるための手は今は使い物にならない。
故に転ばないように気を付けて……結果的に足枷は装着される。

足音が後ろに回り込む音。
笑い声。挑発。
感覚が鋭敏すぎて少し気持ち悪くすらある。

「……アタシ、裏表がない人間なのよ。
 バーで常連さんを迎えるのが唯一の楽しみなの。
 それ以外の顔なんて何もないわ。すっぴんよ。」
(-234) arenda 2023/09/21(Thu) 19:20:54

【秘】 幕の中で イレネオ → オネエ ヴィットーレ

かつり。


  どん。



貴方の言葉が止まってすぐ。
続いたのは二つの音だった。一つは男が立ち止まる音。
一つは貴方の鳩尾に男の拳が叩きこまれる音だ。


その衝撃は緊張しつつも無防備な貴方の身体にどう響くだろう。

単に痛みだったかもしれない。予想して耐えたかもしれない。それとも、異から液体が不快に逆流して? 貴方の丈夫さは如何ほどだろう。
どうあれただ一撃で頽れることは許さない。貴方の腹を殴りつけると同時、男はその肩を支えていた。
(-256) rik_kr 2023/09/21(Thu) 21:06:19

【秘】 路地の花 フィオレ → オネエ ヴィットーレ

「もう、タバコには気を付けてって言ったのに。
 あの家具だって探すの大変だったんでしょ?」

普段通りの言い方をするのなら、それに乗ることにする。
実際あのお店にはこだわりの家具があったはずだから、思い出がなくなってしまったみたいで寂しい。

あなたがファミリーのことも、お客さんのことも大事にしていたことをよく知っている。
だからこそ、傷が痛々しい。
自分以外の皆を守ろうとしてできた傷。
心が痛まないわけがなかった。あなたのことが大好きだから。

「なるべく、楽になれるようにしていて。
 ……何ともないなんて強がりは言わなくてもいいから。私の前でくらい、弱音を吐いてくれたっていいの」
「うん、大丈夫。
 私は捕まらないわ。ヴィーを泣かせたくないもの」

「それに、皆に比べて……それらしいことは全然、出来てないんだから」

目星だってつけられてない…と思いたいけれど。
難癖をつけて腕を掴まれることだってあるんだろうから、過信は出来ないが。
安心させたい気持ちと、申しわけない気持ちが綯い交ぜになって眉は下がった。
(-299) otomizu 2023/09/22(Fri) 1:56:28

【秘】 オネエ ヴィットーレ → 法の下に イレネオ

音が響き。
衝撃が響く。


「───ッ」

ぅげほっ!!と肺から無理やり空気が漏れる。
食道を焼くような感覚も感じたが、それは何とか飲み込んで。
立っているのが辛いのに、支えられて倒れ込むことも出来ない。
げほ、げほ、何度か咳き込み、どこにいるのかも分からない
貴方を、汚れた布越しに睨みつける。

「なにも……話すことなんか、ないわよ……!」

息も絶え絶え、主張は曲げない。
(-306) arenda 2023/09/22(Fri) 6:21:33

【秘】 オネエ ヴィットーレ → 路地の花 フィオレ

「次からは気をつけるわ。
思い出は……また積み重ねてくしかないわねぇ。」

取り寄せた家具も幾つかある。
貴方とカタログを見て選んだ家具だってあったかも。
全て大切な思い出のある、数年来のお店の従業員達。
それら全ての思い出を消してしまうために、火をつけた。
思惑は見事達成したが……決して嬉しい気持ちばかりではかった。


「……ありがとうね、キャシー……
ごめんなさいね、アタシ、強がるのが癖みたい」
「…………貴方も」
「みんなのためにたくさん頑張ってるじゃない。
最近だって、皆にとっての悪いやつを見つけてくれたでしょう?
……貴方も立派な家族よ。だから、気をつけて。」

ヴィットーレは貴方が貴方なりに頑張って来たことを知ってる。
文字が読めずとも、難しい話がすんなり理解できずとも。
貴方は貴方に持てるもので、ファミリーを支えてくれたことも。
出来てない、なんてことはなくて……だからこそ、心配だ。
貴方はヴィットーレにとって、孤児院に住まう弟妹達のように
大切な家族なのだから。
(-307) arenda 2023/09/22(Fri) 6:30:07

【秘】 幕の中で イレネオ → オネエ ヴィットーレ

最低限の支え。次いで突き飛ばすように離す。
貴方がよろめきはすれど倒れない程度の力だ。
貴方の脳を揺らしてゆっくり攪拌する刺激だ。

くく、く。笑っている。視覚の外、鼓膜だけ揺らす。

「なんだ。」
吐かなかったな・・・・・・・。」
「やっぱりつっかえているんじゃないか? 言えば楽になる。」

再び声は遠ざかる。
(-372) rik_kr 2023/09/22(Fri) 15:53:48

【秘】 幕の中で イレネオ → オネエ ヴィットーレ


 かつり。

かつり。
    かつり。

かつり。


  
かつり。



靴音が近く遠く反響する。
部屋の広さは如何程だっただろうか。
これほど響く場所だっただろうか。
いくら集中したとて、その対象が単調な音であればどこかで意識は逸れるのだ。
男はそのタイミングを待っている。
次に狙うのはこめかみ。平衡感覚を失ってしまえばいい。
(-373) rik_kr 2023/09/22(Fri) 15:54:01

【秘】 pasticciona アリーチェ → オネエ ヴィットーレ

「強くなりたいって強さを、貴方がくれたのよ。
 誰でもない貴方の背を見て、追いつきたくて、」

いつの間にか、それだけじゃ足りなくなっていた。
ずっと目隠しをして守って貰ってる自分に気づいた時、真っ先に思い浮かんだのは貴方の姿。
ねえヴィットーレ。貴方には寄り添える人はいる?  
私じゃ、だめかな。


「ふふ、わたし、偉いでしょ。でもね、」

姿を晒してくれたのを感じ、貴方に視線を移して。
本当はこんな檻を壊してすぐにでも駆け寄りたいのに、その居た堪れなさとやるせなさの混じった衝動を、奥歯を食いしばって耐え忍ぶ。

目を背けちゃだめなんだ。懸命に私達を守ろうとしてくれた勲章を、他でもない私が否定するわけにもいかない。
女は一度も泣いていない。泣きはしない。
化粧の下にも、一度も痕は残っていない。貴方から貰った強さの証明だ。


「ヴィットーレ。貴方の方がたくさん凄くて偉いわ。
 私なんかより何倍も、ずっとずっと、偉いよ」

「そんな痛々しい傷を負ってまで大切なものを
 守り続けようとずっと耐えていてくれたんだよね」
「──ありがとう。私達の為に頑張ってくれて」

きっと貴方は、家族の誰にも隠そうとするから……
その一つの言葉ありがとうに心からの感謝を伝えたい。
せめてその偉業を、私だけは認めたかった。

だからあなたに見せる表情は、ここに来て初めて見せる穏やかで柔らかな労りの笑顔。この子は大丈夫だと思って貰えるように、少しだけ気丈に。

檻の向こうに手を伸ばせるほどその隙間は広くはないだろうから、せめて肌と肌が触れ合えないか試みるように一部の隙間に手を押し付けた。
(-390) poru 2023/09/22(Fri) 17:05:49

【秘】 オネエ ヴィットーレ → 幕の中で イレネオ

突き飛ばされればよろめいて、
過敏になった三半規管が揺れて吐き気を催す。
それを生唾と共に飲み込む。
荒くなった呼吸は隠す事も出来ず、
貴方の足音とヴィットーレの呼気だけが部屋に響く。

「何度も言ってるでしょう。吐く事なんて、なにもないの。」
「アンタにとっての正義ってなに?悪人を痛めつける事?
 それとも無辜の民を平穏に過ごさせる事?」
「…アンタのお仲間が絶対に間違えないんだったら、
 アンタが逮捕されてるのはどう説明を付けるのよ。」

単調な音を塗り潰すようにしゃべり続ける。
とはいえ喋れば酸素が抜ける。
息継ぎの瞬間にでも、意識はそれる事だろう。
(-400) arenda 2023/09/22(Fri) 18:35:53

【秘】 オネエ ヴィットーレ → pasticciona アリーチェ

「………そう。アタシみたいなのでも、
 誰かの道しるべになれたのかしらね……。」

ヴィットーレは誰かと寄り添おうと思ったことはないし、そうしようとしてきた人もいない。
誰とでもフレンドリーに、でも誰とでもフラットに。
家族を、少なくとも3人も踏み台にして生きてきた己なんて。
人並みの幸せなんて得てはいけないと思っているから。
他の家族には、貴方にはたくさんの幸せを得てほしい。
マフィアなんて関係がない所で、平穏に、平和に。

見るに堪えない顔でも、せめてもといつもどおりの笑みを浮かべる。
涙を流さないよう必死に頑張った、昔弱虫だった貴方の。
その成長が嬉しいから、自然に零れた笑みでもあった。

「………なんでかしらね、孤児院の家族たちにも、
 よくお礼を言われるのに………」
「………アリーチェに言われると、嬉しくて、安心して……
 ……なんだか、泣きそうになっちゃうわ。」

潤んだ翡翠の瞳。
きっと貴方が、家族の中で貴方だけが、ヴィットーレの
してきた行いを知っているから。
他の家族に感謝されても、騙してるような心地がして
素直に受け取れなかったそれらの言葉が。
……全てを知った貴方が、尚もそう言ってくれたなら、
汚れた自分を受け入れてもらったようで、心が温かくなる。

「……アリーチェ、本当に立派に成長してくれたわね…
 アタシ、嬉しいわ。本当に、自慢の……家族よ…」

気丈で穏やかな、大人の女性の顔。
そんな顔もできるくらい、ちゃんと育ってくれたのだ。
これからはもう、撫でたり抱きしめたり、子供扱いは
しちゃ駄目ね、なんて苦笑して………貴方の手に合わせるように、
血が固まった大きな手を、檻に押し付けた。
ほんのわずかくらいは、触れ合えるだろうか。
(-404) arenda 2023/09/22(Fri) 19:00:01

【秘】 pasticciona アリーチェ → オネエ ヴィットーレ

「もう、"みたいなのでも"なんておかしいよ。
 こんなに立派になったって言うのなら、
 そのお手本になった人ももっと肯定してあげてほしいな」

くすりと笑ってはいるが、心からの言葉だ。どうにもヴィットーレはたまに妙に自罰的過ぎるように聞こえる事を言うのが、どうにももどかしい。
きっと貴方がそんな事を思っているなんて知ったら、
思わずお説教でもしてしまったかもしれないくらいだ。


「ヴィットーレ……」

「泣いてもいいのよ。だっていつも、
 辛い時は泣いていいって言ってくれてたじゃない」
「わたし、ヴィットーレがずっと耐えてきたの、知ってるよ。
 だからもう一人で耐え続けなくていいよって、言いたいの」

貴方が泣いては駄目といったのは、自分達の関係を隠す時だけ。酷い事、と貴方が言っていたように、それくらい、泣くのを抑える事はアリーチェだって辛い事だと思っている。

だからそんな事を言われたら、無理やりにでも貴方との手を合わせるように押し付けてして、その手と触れ合う。

そんなに傷付いた姿であっても、まだ温かい血が貴方に通っているのが嬉しくて、その体温に触れられるのが嬉しくて。

「無理して泣かなくてもいいわ。
 でも、無理して我慢しなくてもいい」

「──自慢の家族なら、分かち合いたいもん。
 辛い事も嬉しい事も、こうして……掌が温かい事も」

自分が泣いている時、或いは泣くのを堪えた時、貴方が優しく包み込むようにしてくれたように。
──あれ、でもおかしいな。何でわたし、今、胸がちくっとしたんだろう。
(-431) poru 2023/09/22(Fri) 21:19:48

【秘】 オネエ ヴィットーレ → pasticciona アリーチェ

「……ふふ、そうね、ごめんなさい。
 こんなんじゃ、心配させちゃうわよね。」
 
ちょっとしたお叱り。
常に上の兄弟であり続けたヴィットーレには、
そんなお叱りも新鮮で、そして暖かいものだった。
今この時ばかりは、貴方の方が上の姉であったり、
あるいは母親のように見えてしまう。
 
「………もう、年を取ると涙もろくていけないわね……
 …アタシ、ずっと一人でこの罪悪感を抱えて生きると
 思ってたのよ………本当に……独りで……」
 
ぽろ。と瞳から何粒かの涙が零れる。
貴方が歩み寄り、傍にいて、支えてくれること。
それは暗闇の中のランタンのように暖かで、安心できて。
ヴィットーレにとって今のあなたは……貴方が望む形かは
別にして………『寄り添ってくれる人』には違いがなかった。
 
「……本当にありがとう、アリーチェ。
 …正直、ここに来てからの仕打ちに参ってたの。
 明日も明後日も、同じようにされるのかと思うと憂鬱で……」
「……でも、やっぱりアタシは、あなた達家族が愛おしくて、
 大切で、かけがえのない存在だわ。」
「……まだ頑張れるわ、アタシ。この手の温もりがあれば。」
 
貴方の柔らかで暖かな手。この手がずっと柔らかく暖かで
いられるように……貴方を守れるように。
無理をして耐え忍ぶわけじゃなく…明確な目的と決意を持って。
明日からも頑張ろうと、心に暖かなものを宿して立ち向かう。

「ti amo.アリーチェ。」
 
貴方に感謝と愛を伝えるために、そう告げて。
ちょいちょい、と顔を近づけるようにジェスチャーしたら、
貴方の頬か、額に……親愛の口づけを、檻越しに落としたことだろう。
(-459) arenda 2023/09/22(Fri) 22:52:59

【秘】 幕の中で イレネオ → オネエ ヴィットーレ

「俺が」


     
かつん。

かつん。    
かつん。

   
かつん。
  ​
────ひゅん。音。

 
かつん。
   
かつん。



「逮捕」「されたのは」


かつん。

   かつん。  
かつん。

   ​
────ひゅん。

 
かつん。
   
かつん。



「こうするためだよ。」



 
────と  ん 。


 

                        それは。
               男の手によるものではなく。
               何か鈍器による打撃だった。

          ────この部屋は取調室であり、急拵えの拷問部屋。
       上等な器具などない。置かれているのは精々、工具くらいだ。
(-460) rik_kr 2023/09/22(Fri) 22:59:10

【秘】 favorire アリーチェ → オネエ ヴィットーレ

「……三人の事がどれだけヴィットーレにとって
 覚悟がいる事で重い十字架だったのか、痛いほどわかる。
 だからこそ、わたしに話してくれたのが本当に嬉しい」

この檻さえなければ、今すぐにでも貴方に抱き着いて、その涙を拭ってあげたかった。或いは、両手を取って優しく握り込んであげたかったのに。

「だからね、こちらこそ本当にありがとう。
 絶対もう貴方を独りにはしないから」

それでも、貴方が私の前で泣いてくれた事に、心底安堵した自分もいて、それと少しだけ罪悪感も募る。
その感情の元手が何処かはわからないけど、少し浅しい気がするのは……どうしてなのかしら。

「……ごめんね、ヴィットーレ……
 まだ、貴方に頑張ってとしか声をかける事ができないのが、今、本当に悔しいけれど……それを反骨精神にして、頑張るわ。少しでもこの状況を崩せる何かを探してくる」

だから、少しの間だけお別れ……
言いかけて、あなたが顔を近づけるように呼ぶのがみえたから、何の覚悟も備えもなく、檻に近づいて。


頬に触れたぬくもりの正体に辿り着く頃には、あなたは離れていただろう。
きょとん顔が、時間が経つにつれ真っ赤に染まっていくのがよく見て取れたはずだ。

「ヴィッ、いま、わた 、わ、〜〜〜〜!!!」

羞恥に染まり切った顔では碌な言葉を発することができず、ついには何を発音してるのかわからないほどにずるずると檻伝いに沈んでいって。

── ti amo. 共通語で言えば"愛してる"。
恋人に贈る言葉よ、なんて訂正を、今はする気にはなれなかった。
ばかばか。いじわる。わかっていてもわかってなくても……ずるいひと。
(-513) poru 2023/09/23(Sat) 2:24:29

【秘】 favorire アリーチェ → オネエ ヴィットーレ

だから、ようやく起き上がって来て少し拗ねて
むくれた様子も隠さないまま、貴方の真似をするように
とんとん、とジト目になりながら檻を叩く。

先ほどの顔を近づけるジェスチャーの真似事をしているのだ。
叶うならばそのまま、唇の位置に口づけを檻越しに落としてから、ゆっくり身を離して、貴方を見つめる。

その柔く細められた瞳からの眼差しは、
今まで貴方に見せた事のない、
どれもが大人の女が謳う感情を含んでいて。

「ti amo.……ヴィットーレ」

どこか大人びていて、
切なげで、愁いと熱を帯びた色。
言われたからには、言っていいって事だよね?



「──またね」

そうして、貴方の反応を窺う事もなく、
一度も振り返らないまま、その場を後にした事だろう。
(-516) poru 2023/09/23(Sat) 2:27:43

【秘】 オネエ ヴィットーレ → 幕の中で イレネオ

音が響く、反響する。
聞こえすぎて気持ちが悪い。
どこから、何をされるのかまるで想像ができない。
汗と血が体から滴り落ちる。




「────うグッ!?」

ガン!硬い何かで、こめかみを殴り付けられる。
勢いを殺すことも出来ずまともに食らって、
思わずその場に倒れ伏して。
咄嗟に支えようとした手も傷だらけだから、
余計に痛みが走ってあぁぁ!と小さな叫びをあげる。

「はぁ……!はぁ……はー………」

痛みを和らげるための深呼吸。
もはや憎まれ口を叩く余裕すらなく。
見えない周囲を警戒して、残り少ない
神経をすり減らしている。
そうまでしても、何かを白状したりはしない。
(-536) arenda 2023/09/23(Sat) 6:18:54

【秘】 オネエ ヴィットーレ → favorire アリーチェ

「ふふ、もう絶対独りにしない、なんて。
熱烈な告白みたいね。モテ期かしら♡」

なんで少しからかうように告げるヴィットーレは、
やっぱり君の気持ちには気づいてはいないようで。
頑張るのはいいけど、無理はしないでね、と、
あなたに落とす口付けは、家族への親愛の証。
それ以外の感情なんて、持つべきじゃない。


そのまま真っ赤になってへたり込むあなたに、
あら、まだ刺激が強かったかしら、なんて
心配半分、面白半分に大丈夫?なんて声をかけたら。
むくれた様子の貴方がじとりと檻を叩くのを見て、
くすくす、仕返しかしら、とその通りに顔を近づける。


そうして施された仕返しは………
予想した場所とは少しズレた場所を湿らせて。
(-537) arenda 2023/09/23(Sat) 6:28:10

【秘】 オネエ ヴィットーレ → favorire アリーチェ

「……ッ!?あ……アリーチェ!?」

思わず目を丸くして、パッと檻から体を離す。
指を自らの唇に当て、あなたの顔をまじまじと見て。
その顔は。
昔のようなあどけない子供の屈託のない笑顔とは違う。
熱が含まれて、欲や感情が混ぜられた。
───切なげな、大人の笑み。
……思わずどきりとして、顔に熱が昇った。


「じょ、冗談で言う言葉でもすることでも無いわ。
アリーチェったら聞いてる………あ!……も、もう……」

有無を言わさず去っていくあなたを檻越しに見つめて。
よた、よた、ベッドに戻り、うなだれる。

「……アタシも大人の男なんだから……
そんな意識させるようなこと、しちゃだめよ……」


小さなつぶやきだけが、牢の中に響くのだった。
(-539) arenda 2023/09/23(Sat) 6:35:56
ヴィットーレは、牢屋の中のベッドに潜り込んだ。
(c25) arenda 2023/09/23(Sat) 6:36:25

【秘】 幕の中で イレネオ → オネエ ヴィットーレ

ばたんと倒れ伏す姿は人形のようで滑稽だった。
どたんと立てた音は物の音のようで愉快だった。

貴方の悲鳴を聞いてこの男は楽しそうに笑った。

「あはは!」


かつり。かつり。
かつり。

早くなる足音が追うように近づく。まるで狂犬猟犬のそれだった。

混ざってきた ・・・・・・んじゃないか?」
「そろそろ溢して・・・くれればいいんだが」

きっと立ち上がれない貴方の、その余裕すらないだろう貴方の周囲をぐるぐると回る。獣が獲物を追い詰める時の動き。
判断力を低下させて間違った答えを選ばせるための動き。
このは、貴方から答えを狩り取ろうとしている。

本当に?
それだけだろうか。
男の声には、喜悦が滲む。


────だからこそ責め苦は続くのだ。
貴方が気を失うか、男が満足するか、時間が来るまで。

貴方が床に右手を着いているなら、次に狙うはそこ。
剥き出しの指先を、押し潰すように叩くつもり。
(-607) rik_kr 2023/09/23(Sat) 12:54:09

【秘】 オネエ ヴィットーレ → 幕の中で イレネオ

貴方のように笑う人たちを知ってる。
自分は絶対に火の粉がかからない場所で、
弱者が蠢くのを見ては楽しみ、あるいはもっと動けといたぶって。
そうして野蛮な獣性を発散しては、表社会では
さも理知的な人物であるかのように振る舞う。
………
児童を買って欲を満たす金持ちと同じ笑い方だ。


「………楽しそうね、アンタ…………」
「一生笑ってなさいよ。いつか自分が正義、っていう
思い込みから覚めた時、アンタがどうなるか見物ね。」

ヴィットーレは。
たとえここで貴方に腕をもがれ、目を潰され。
命まで奪われようとも、何も話すことはないだろう。
だから、きっと。
貴方が満足するまで、玩具は鳴り続けるのだ、ずっと。
(-666) arenda 2023/09/23(Sat) 17:51:56

【秘】 幕の中で イレネオ → オネエ ヴィットーレ

「楽しいわけがないだろう」

本当に?


「嘆かわしいよ。こんなことに時間を取られて」

本当に?



ひゅん。

   
がん。



男に最早自制も内省もない。
それらの声は聞こえない。けだものの息遣いが染めて聞こえない。

装甲のない先端に金属の平面が降った。
問いすらない。あるのは痛みだけ。
貴方が逃れようとしないのならば、
男もまた、逃れる選択を与えない。
(-671) rik_kr 2023/09/23(Sat) 18:15:42

【秘】 オネエ ヴィットーレ → 幕の中で イレネオ

「ッ〜〜〜〜〜〜〜〜!」

「───あァァあああ!
ぁぁぁ………!」
末端の、神経の敏感な、剥き出しの肉。
そこに来る衝撃に、出したくもない叫び声が出る。
痛みに対する防衛反応のひとつだ。
声を出すことで、痛みを誤魔化すという。
………貴方からすればそれは、大の大人が痛みに喘いで
泣き叫んでいるようにしか見えないはずで。

「……Vai all'inferno地獄へ落ちろ……ッ」

口汚い言葉も、余裕のない証。
食いしばりすぎた歯がミシミシと音を立てて、
刺激に対する反射として出てきた涙が頬を濡らした。
(-678) arenda 2023/09/23(Sat) 19:44:29
 




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