人狼物語 三日月国


254 【R18G】星海のフチラータ【身内】

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【秘】 黄金十字 アウレア → 通信士 カテリーナ

「カッテリーナ〜? ど〜こだ」

お茶会の後。
――そしてアウレアが命を落とす前の時間。


いつものトートバッグを持ったまま、
アウレアはぷらぷらと船内を歩いてあなたを探していた。
さて、あなたの姿はどこにあるだろうか。
(-114) susuya 2024/04/02(Tue) 16:30:31

【秘】 黄金十字 アウレア → バンカー ストレルカ

『バンカー・ストレルカ様。――承認要請を受諾しました。
 これより操作制限を解除します。
 おはようございます。こんにちは。こんばんは。
 ……現在時刻設定がリセットされています。
 バックグラウンドで時刻調整を実行します』

……あなたのコールは届いた。
あなたの想像通り、アウレアは既にあなたにマスター権限を
付与していた後だった。
ドローンは幾分か元の調子であなたにそう話し、
くるくるとあなたの周りを回り始める。

『む』

それから、ベッドに横たわるアウレアの方を向き。

『…………』『有事でしょうか』

こてりと首を傾げるように、機体を傾かせた。
(-124) susuya 2024/04/02(Tue) 16:55:13

【秘】 黄金十字 アウレア → カポォwwwレジーム マンジョウ

「ハハ! ま、お陰で寂しい思いはした事ねえやな」
「それのコレクションも持ってんの!? すっげ〜。
 俄然楽しみになって来たぁ、知識ある人のおすすめって
 やっぱ当たり多いからさあ」

にぱ! と笑って新しく出来た予定に少し心を弾ませた。
この人はどのくらいそういうコレクションを
貯めこんでいるのだろう……と想像しながら。

「あっ、音楽良いな……オルゴールとか付けようかな」

より良いオトモ君になればより良いお仕事が出来るかも。
今のままでも自慢のサポート機体だけれど。

優しッ……
、ホントにブレねえなあ!
 ウチの上司サマは全く……」

肩を竦めて手を挙げる、それでも嫌そうな顔はしていない。
むしろ安心したような表情で笑って。

「……わかったよ。信じ続ける事は良い事だ、そうだろ?
 何が起こったって恨みゃあしない。シスターとしてお祈りしとくよ。俺様ちゃんだって皆の事好きなんだ」
 「もちろんアンタのそういう所も嫌いじゃねえ。
 だからついて行ってるんだしね!」

そう言って、その時はカラカラ笑っていたのだろう。

――結果として、『なんか』はあってしまったのだけれど。
それでもアウレアがあなたを恨んだ事は無かった。
ただ無事ではいられなかった事が、申し訳なく思ったかもしれなかった。
(-144) susuya 2024/04/02(Tue) 17:44:54

【秘】 黄金十字 アウレア → バンカー ストレルカ

『……はい。アウレア様の生体反応はロスト』
『アウレア様がエンジニアであった事は当機の
 基本データベースに保存されています。
 その他の情報を検索しています……』

チラチラと機体に青のランプが走る。
数秒の内にピピ、と電子音が鳴った。

『音声データ、映像データ共に検索結果0。
 その他メモリー内に以下のタイトルを確認しました』

機体の表面が少しスライドし、そこからモニタが投影される。

そこには、『アウレア:プロトタイプ』と名前の付いた
人格データが一件。
無題のテキストデータが一件。
『type-Noah 説明書』と書かれた画像ファイルが一件。
それが映されていた。


『また、当機内部に複数のアイテムを確認。
 ユーザーデータ『ナル』で登録された
 アイテムも確認しました』
(-150) susuya 2024/04/02(Tue) 18:13:36
黄金十字 アウレア(匿名)は、メモを貼った。
susuya 2024/04/02(Tue) 18:22:18

【秘】 黄金十字 アウレア → 荷物運び エーラ

「おう、ナイショナイショ……
 バレちまったら怒られるからなあ〜!」

過去にも何回か、こっそり二人だけ……がバレて
誰かに怒られたことがあるのかもしれない。
今回は大丈夫大丈夫。たぶん。

お部屋に着けば扉を開けて。「先入んな〜」とあなたを通す。
部屋は概ね片付けられていて、壁には十字架が一つ。
机の上だけが絶望的に汚かった。


「好きなトコ座んな〜。なんか飲みもんいる?」

なんて言いつつ、用意していたクッキーを取りに行こうと。
(-160) susuya 2024/04/02(Tue) 19:26:52

【秘】 黄金十字 アウレア → バンカー ストレルカ

「はい。それでは順に表示します」

機械音声がそう告げると、モニターの表示が変わる。
ディレクトリ内部のデータの詳細はこうだ。

アウレア:プロトタイプ。
これの内部に入っている人格データは一つのみだった。
アトラ・アルゴ。これはあなたの内部に存在する現存の
アウレア・チャーチに存在している名前だった。
しかしこの人格データの最終更新は
十年以上前
と記載されている。
七人分の人格データを同時に再生するプログラムは無く、
代わりに、人格データをプログラム上で簡易的に再生するアプリケーションがそこにあった。このアプリだけを他の記憶媒体に保存する事も可能そうだ。

無題のテキストデータの内容を要約するとこうだ。
『自分が死んだ時、自動的に教会でアウレアは復元される』
『けれどそれはノッテのアウレアではないだろうから、
 今までのアウレアと混同しないように』
『自分の人格データは付属のプログラムが無いと動かない。
 万が一プログラムが破損した場合、
 プロトタイプデータからアウレアを
作り直す
事』。

オトモ君の説明書には基本的な機能と整備方法、
それから各種コールとコールに紐づけられた操作の説明が。
今回作動した緊急コールの内容も記載されており、
『マスターが何らかの要因で生命活動を脅かされていると判断し、
 即時光学迷彩機能の使用、および逃走または潜伏を行う。
 このコールが行われた後、一時間以内にマスターの帰還が認められなかった場合には、事前に設定したデータ以外の内部情報をすべて消去する』
……そのような内容だ。


(-161) susuya 2024/04/02(Tue) 19:59:36

【秘】 黄金十字 アウレア → バンカー ストレルカ

その後ドローンの内部を検めるならば。

型の古いUSBデバイスが一つ。
教会を背景に、シスターと子供たちが、
仲良く笑顔で写っている写真が一つ。
いちご味の飴玉が一つ。
それから、よく分からないネジが一本。

『内部情報は以上になります。
 ユーザーデータは USBデバイスに付与されています』

ドローンはそう述べて、機体の下部に開いた穴から
小型のアームをふりふりと振った。
(-162) susuya 2024/04/02(Tue) 20:00:01

【秘】 黄金十字 アウレア → バンカー ストレルカ

/*
そしてお疲れさまです! こちらこそ多大なる感謝を……。

人格データの内容は以下に綴ります!そいっ ↓

データに添えられた文章は簡易的な説明のみです。
【アトラ・アルゴ】 10代後半。女性。
【ビーチェ・ブレロ】 10代後半。女性。
【コルネリオ・チェルラ】 10代前半。男性。
【ディーノ・ドロエット】 20代前半。男性。
【エルマ・エルコラーニ】 10代前半。女性。
【フランカ・フォルキット】 10代前半。女性。
【ジャンニ・ジーリ】 10代前半。男性。

アウレアの名前はどこにも無く、
代わりにその全てがアウレア・チャーチ聖アウレア教会に所属していたことが記載されています。
また、アウレアが既に義体であることも記されているかと思います。

付属しているプログラムの情報から、
生前のアウレアは7人分の人格データを
常に同時に再生していた事をナルくんは分かっていいですし、
このプログラムを見れるようにしたのは人格データを覗いたのが自分だけじゃずるいよな……と言う気持ちからでした。

アウレアはとっくに壊れていて、壊れたまま堂々と生きていたのかもしれない。
みたいな地の文を挟むと彼に何らかが伝わるかもしれません。
伝わらないかも。maybe。


という訳で長々と申し訳ありません。
情報を掻い摘んででの描写でも勿論大丈夫です。
よろしければお願いします……
(-164) susuya 2024/04/02(Tue) 20:19:04

【秘】 黄金十字 アウレア → 仕分人 ナル

「ああ……まあ、壊しやすいのは、そうかもなあ。
 エンジニア的には壊してほしくはないんだが」
「機械は壊しやすい、それって良い事なの? 悪い事なの?
 うんうん、アウレアちゃんはそゆ事わかんないけど……」

「まっ、正気か狂気かって二の次でいいと思うけどネ!
 愛着ってんはかなりわかるからぁ。
 人間に医者、AIやメカにエンジニアってね。
 直して大事にして守っていきたいから発展してんの」
「義体交換でも機械になるんでもメンテしたかったら
 俺様ちゃんのトコに来な〜。嫌って程長持ちさせてやる」

新しい命の形を迎合したシスターは、
身体が錆びつき朽ちてもなお廻る魂に価値を見出している。
それは進化だと思っているし、正しさの一つだと思っている。
正気だろうが、狂気だろうが。
手の届く半永久的な輪廻に手を伸ばさない理由を、
今のアウレアは持たなかった。

抵抗なく掴まれれば、こつんと機体に額が当たった。
オトモ君に体温などは勿論ない。ひんやりとしていて。

(-194) susuya 2024/04/03(Wed) 0:01:16

【秘】 黄金十字 アウレア → 仕分人 ナル

『はい。オトモ君はできます』
しなくていいぞ〜〜〜〜?


平然と受理するオトモ君と、
何を言ってるんだとでも言いたげなマスターになった。

「えっ? 何に使うんだよ?」
「趣味?」


失礼ですらある。
(-195) susuya 2024/04/03(Wed) 0:01:35

【秘】 黄金十字 アウレア → 通信士 カテリーナ

「あ、いたいた。よーっす」

ひらひら、手を振ってあなたに軽い足取りで近づいていく。

「さっきはサンキュー。ほら、お茶会。
 良い感じにチル出来たし……そう、茶が美味かったんだよな!
 あのフレーバーティどこのか聞きたかったんだよ」

そのまま並び立つように横に来て。

「お話ししたかっただけなんだけどネ。今暇?」
(-196) susuya 2024/04/03(Wed) 0:09:43

【秘】 黄金十字 アウレア → 荷物運び エーラ

「だよなぁ!? アイツ真面目なんだもんよ……」
「次はうまくやるぞ〜、うん」

一人と一機が入れば、扉をからりと閉めて。

「アウレアちゃんの机の上には夢と歴史があるらしいから……」
「大事なモンば〜っかだもん。あとすぐ取れた方がいい」

ちょっと言い訳じみていた。
それなら自分もオレンジジュースにしよう。
二人分のクッキーとジュースを持って、
あいよとあなたの目の前に椅子を持って来て座った。

「これ食べてお話したらちゃんと寝るんだぞ?」
(-200) susuya 2024/04/03(Wed) 0:41:04

【秘】 黄金十字 アウレア → バンカー ストレルカ

『はい。対象をバンカー・ストレルカ様に指定し、
 該当データの送信を行います』

白い機体に緑の光が走る。
いつかあなたの元に7つの人格データが送られた時と同じ。
そして今、8人目の人格データが送信された。
『アウレア』はエンジニアリングのプロフェッショナル。
そしてあなたはA級のAIである。
技術も知識も方法も、それを処理し実行する力もここにある。

かつてのアウレアの宝物たちを機体にしまって、
オトモ君は応えるようにくるりと一回転。

『はい、バンカー・ストレルカ様。オトモ君がお供致します』
『わあ』『アウレア様〜』

呆れる声も、驚く声も、オトモ君を呼ぶ声も。
それはいつも通りの会話だったかもしれない。
それはこの場限りかもしれないし、
いつかあなたのお陰で再び一人の人間として
復元されるかもしれない光景。

「やっぱすげーわ、お前」


なんて呟いたのはこの場の誰だったか。

アウレアが死んだ事実は変わらない。
それでも、あなたのお陰で続くものがあった。

『アウレア』はまだ、あなたという舟の中に護られている。
(-203) susuya 2024/04/03(Wed) 1:13:03

【秘】 黄金十字 アウレア → 通信士 カテリーナ

「ん。ありがと」

やったぜ、と小さな声で喜んで、
それから舷窓の方に背を向け寄りかかる。

「んえ、ナルが? そーなんだぁ。
 んじゃナルにも明日聞いてみっかな……何の花なんだろな?
 ウチも初めて飲んだタイプでさ」
「……疲れてる? 大丈夫?」

少しあなたの顔を覗き込んだ。
カチャ、とハートフレームの眼鏡が少し落ちる。

「お前も色々頑張ってたもんなあ。
 回線とか内線の通信環境とか大分ひっ迫してたろ。
 全く、困ったさんが居るものだな……」
(-204) susuya 2024/04/03(Wed) 1:24:21

【秘】 黄金十字 アウレア → 通信士 カテリーナ

「ナハハ。ちょっと心細くなったから甘えに来たぁ。
 今日は俺様ちゃんの方が迷える子羊かもしれんね」

にぱ、と笑い返す。表情ばかりはいつも通りだ。

「地球なー。実は行ったことないんだよナ、あんま機会無くて。
 アルファとディンカには行くんだけどなー」
「…………」

なんだか些細な表情の機微に違和感を感じて。
一度、二度瞬き。

「平気ならいいんだけどさ。うーん」
「俺様ちゃんはマジで頑張った、お疲れ、功労者その1。
 大体直ったのが奇跡のようだぜ……ハア」

「カテリーナぁ。一応用心しとけよな、何あるかわかんねーし。
 あんま一人でいるんじゃねーぞ? 信用できる奴と一緒にな」

まあ僕も同じなんですけど……なんて、ボソリと付け足して。
そんな事を言う壁に寄りかかる姿は無防備で、
それはあなたの事を信用しているからだった。
(-207) susuya 2024/04/03(Wed) 2:14:40

【秘】 黄金十字 アウレア → 荷物運び エーラ

「さすがはノッテのドクターってトコか?
 アイツはまあ……『アチャーwwwまあ今回は特別でござるよwww』って
 なんだかんだで許してくれるから……」

おそらくきっと。どっちの事も信用してるんだけどもね。

「そんな……ウチ片づけきらい……」「ウチが分かればいいと思う」

子供じみた言い訳を続けつつ、クッキーとジュースをはいどうぞ。
自分もジュースを一口飲んでから、クッキーをサクリ。

「うま。フフ、罪の味だなー」
「シスターがこんなことしていいんでしょうか……
 マフィアだからいっか、俺様ちゃんは悪いシスター」

「……てかさ、あんまり夜中一人で歩くのやめろよな?
 なんか今そういう雰囲気じゃん……危ないし」
「次からはすぐ俺様ちゃんとこ来ていいからさ。
 眠れないのは悪い事じゃねぇし、どうせ起きてっし」
(-210) susuya 2024/04/03(Wed) 2:24:20

【秘】 黄金十字 アウレア → □□ エーラ

「ナルも言ってたのかよ!!
 まあ手伝ってもらう時に困るのはそうなんだけどさッ……」

こればかりはあなたの方が正しい。
深夜に自室の机の汚さを年下の後輩に諭されている図。
分かっちゃいるがそれはそうなので言い返すのをやめた。

「俺様ちゃんともなると二つの性質を併せ持つか……」

なんてふざけた事を言いつつ、
こちらはすいとコップを空にして。

「だってそうだろ。……なんだよ、甘えんぼか?」
「俺はしょうがないトコあるし……それに、」

抱き締められれば、少しの温かさ。
いつも通りに抱き返そうとしたところで。

(-242) susuya 2024/04/03(Wed) 13:01:26

【秘】 黄金十字 アウレア → □□ エーラ


「ッ、あ ?」

痛み。


「な、にして……ッ、!?」

あなたの背中に回そうとした手は、
代わりに拳の形を作り鳩尾に目掛けて突き飛ばすように
あなたに叩きこもうと。

何をされた? いつもの悪戯ではない。
何かを流し込まれた感覚。注射針?
であれば、どうして、 ――いや。


「……エーラ」

「本当は何の
ご用事
なんだァ?」

言ってみろ


あなたが離れても、離れずとも。
アウレアは針を刺された場所を押さえながらそう問いかける。
(-243) susuya 2024/04/03(Wed) 13:04:01

【秘】 黄金十字 アウレア → □□ エーラ

即座に立ち上がり素早く距離を取る。
やはりというべきか、袖から見えた針。
その先から床に落ちる一滴を少し目で追って舌打ちをした。

「ふ」
「ふは、は、はは! あははは! そう、そぉかあエーラ……」
「オメェかぁ……
もう一人
は。
 こりゃあ他にも誰か居やがるな」

「勿体ぶってないではっきり言えばいいんだよ!
 俺を殺しに来たんだろう? 良いチョイスじゃないか。
 メイドマンかつエンジニア、邪魔臭いだろうなあ」

アウレアは呵々と笑う。
すっかりいつも通りのなりを潜めたあなたを、
いつも通りの調子で見据える。睨みつける。

……少し頭が痛い。何を打たれたかわからないが、悠長な事はしていられない。
この身体の事だ、少しは丈夫に作られているだろうが。

覚悟はもう既に決まっている筈だ。


一つ、息を吸い込んで。

「――Type-Noah、
緊急コール:Carpe diem!

 次のアウレアによろしくなぁ、良き旅を!!」
『本気ですか?……緊急コールの受理。アウレア、良き旅を』

鋭い声がオトモ君――小型ドローンにコールを告げる。
ピピ、と小さい電子音の後、ドローンの姿は搔き消える光学迷彩機能が起動する
(-257) susuya 2024/04/03(Wed) 14:53:53

【秘】 黄金十字 アウレア → ソーレファミリー エーラ

「知ってるともよ。そっちが動くと思ってたんだが……、
 小回り効くのは確かに君の方だ」

「流石にそこら辺は分かってるってワケね。
 やっぱヨソにも有能さが知れちゃったか〜っ、と。いいもの持ってんな?」

修道服の横、目立たないスリット部分に手を入れ――、
拳銃を向けられれば止まる。

「俺様ちゃんがこの世から居なくなったら
 流石に世界の損失だろ〜? もち取ってるってぇ」
「……なんて冗談も言ってられなくなってきたんだけどな。
 お前、どこのシマの奴だったんだ? いや待て、当てよう」

凶器を突き付けられるのは想定内だ。
動揺はしないが十分警戒に値する。それでも努めて、いつも通りに。

「最近見た名前なら……ソーレか、」

途端。
――カクン、とあなたの照準から外れるように体の力を抜く


なァ!!


そのまま自ら頽れるような動作を踏み込みに変換し、
背の低いあなたのさらに下方から投擲したのは……杭だ。
修道服に忍ばせておいた銀製の太い杭は、
ナイフのようにあなたに目掛け飛ぶ。
これもただの牽制だ。少しでも動揺を買えば次に繋がる、筈。
尤も、そろそろ薬が効いてくる頃だろうか。
(-268) susuya 2024/04/03(Wed) 18:23:22

【秘】 黄金十字 アウレア → ソーレファミリー エーラ

投擲した時点でさらにもう一本袖から杭を出す。
踏み込んだ足が床を全力で蹴り飛ばし、
肉薄せんとする間にもう一つ――十字が刻まれた槌が握られた。
視線が合う。

無謀だろうか。相手の持つ武器は一発当たれば死に至る。
対してこちらは武器とも言えない古びた道具。
無謀でも愚かでもなんでもいい。


絶対に逃がしはしない。


 「あんまり、」

狙いは定めた。片足を前方、あなたの横に踏み出し支えに。
左手に杭。右手に槌。ここからなら心臓を目掛けて、


  
「ナメんじゃ、……ッ、!」



ぐらり。


――途端に眩む視界。
ぐにゃりと歪んだ視界に、体勢が傾げる。



構わない。当たればいい。
ぎり、と奥歯を噛み締め、

(-283) susuya 2024/04/03(Wed) 20:41:56

【秘】 救済執行 アウレア → ソーレファミリー エーラ



「――ねェぞ!!」



思い切り、振り抜く。


大幅にずれた狙いは胸から腹へ。
自分の手ごと埋める勢いで振ったつもりが、
予定よりも傷は浅かったかもしれない。
もしかすれば、簡単に躱されてしまったかもしれない。
それでも鋭い金属が勢いよく人体に打たれれば、
少なくとも無事ではいられない事はあなたにもわかるだろう。


「ぐッ、う!」「あ、」

どさ、と勢いのまま床に無様に倒れ伏す。
すぐに立ち上がろうとしては、また膝を付き。

「ノッテがんな、
簡単に
、ぃ」「マジ、っ、何打った?」

途端に息を荒くして、それでも尚まだ対峙しようと。
落ちたウィンプルに見向きもせずに立ち上がる気で。
(-284) susuya 2024/04/03(Wed) 20:43:00

【秘】 救済執行 アウレア → 通信士 カテリーナ

「だってよお」

「……誰も疑いたくないんだもの。嫌んなるよな。
 俺様ちゃんにとっては全員大事な人間だったぜ」
「俺様ちゃんは裏切りは嫌いだが……怨めねえわ。
 今まで一緒に居た奴を信じられないって、心細いんだよ」

「……だから誰がクロだとしても赦しちまうわ。
 悲しい、寂しいより先に。性分だな」

報いはあるべきだと思うがな、と付け足して。
声音は本当に、寂し気で。

「ねー。その時はお土産の袋でも持って行くかな。ハハ」

そうやって笑うアウレアも、すぐにいつもの調子に戻る。

「えっ、ホントか!? やったぜ〜! 楽しみにしとくな!
 俺様ちゃんからもなにかご褒美を予定しようか……」

「…………」「しっかりしろよ〜?」

そしてまた沈んでしまった表情に、
腰に手を当てて苦笑いをした。

「お前は大丈夫だよ。しゃんとしな」
(-286) susuya 2024/04/03(Wed) 21:01:14

【秘】 黄金十字 アウレア → 通信士 カテリーナ

「……ま、しゃあねーのかもな。
 平和な振りしてっけどその実マフィアなんてこんなもんさ」
まあキレたっちゃキレたけど……


キレていました。喉元過ぎれば平気なタイプなのかも。

「全ての魂は赦されるべきだよ。そして祝福されるべきだ」
「どうせマフィアなんざ全員地獄行きだしねぇ。
 今の内に赦し合って地獄の門の向こう側で笑いたいや」

どうせウチらが何言ったって神様は許してくれるからね、なんて。
シスターにしては緩い言葉でそう言ってケラケラ笑った。

「まっ、今日は早く寝とけよ〜?
 仕事が落ち着いてるときに寝た方がいい」
「俺様ちゃんもそろぼち残った仕事してきますかねぇ……。
 オハナシ聞いてくれてありがとさん」

そう言って、ひらりと手を振って。
そのまま離れようとしたけれど、途中「あ、」と気づいたように。

「ほい! チョコ!」

持っていたトートバッグの中から、ポイとあなたに放った。
(-297) susuya 2024/04/03(Wed) 23:13:00

【秘】 黄金十字 アウレア → 通信士 カテリーナ

「まかせな〜? 一言はガツンと言ってやるって」
「まあ……死なねえのが一番だよ。
 どうせ笑うなら全員笑って生きててほしいもんだぜ」

――結果として、それは叶わなかったのだけれど。
叶わないかもしれないから、どうか、なんて。
祈りの意味を込めて、言葉にしたのかもしれない。


「そ。いっちゃんデカいブツの点検がまだなんで。
 だぁいじょうぶだよ、ウチはただじゃあやられないから」

かつん、かつん。
手の上で踊るように跳ねて収まったチョコと、
慌てたようなあなたの姿にくすくすと笑い。

「頑張れよっ。おやすみ」

ぱちんとそんなウインクをして、
あなたの元を去ったのだった。

それが最期だった。
結局アウレアは、あなたが『裏切り者』なのだと気づかぬまま。
それはきっと神様の悪戯だったのかもしれない。
知って、生きていたらきっと、また違う未来が。

その全てはもはや、もしも話でしかないけれど。
(-359) susuya 2024/04/04(Thu) 23:29:43

【秘】 黄金十字 アウレア → ソーレファミリー エーラ

「動ける、し……!」「キ、ッツい、けど!」

――嘘だ。動けていない。

ようやく立ち上がって、槌を握りしめているので精一杯だ。
辛うじて外れていないハートフレームの眼鏡の奥で、
緑の目があなたと、あなた以外の何かを見ていた。
袖からもう一本杭を出そうにも、酷く手が震えている。

「こんな事、すんなよ」「キャプテンだって悲しむ、んだよ」

黒い影に囲まれている。かつての仲間の姿が見える。
炎に包まれている。マーブル模様のノイズ。強い光。


「う、ぁ」「は、ははは、は」「あッ、たま痛い……」

伽藍洞に見える。歪んで見える。眩んで見える。その隙間に、あなたの姿が見える。
目を閉じてはいけない。目を逸らしてはいけない。


「潰れる、訳、ねェだろ……宙がある限り、」
notteはずっと続く、ってな」

随分重たそうに。ずるり、と、槌をゆっくりあなたに向けて。

「……とっとと殺りなよ。あんたにはあんたの役目が、だろ」
「お互い、カッコはつけとかねェと……ふ、ふふ」

「よーく狙えよ……外したら殺しちまうぞ」

(-368) susuya 2024/04/05(Fri) 0:41:44

【秘】 君の友達 アウレア → ソーレファミリー エーラ


アウレアは立っている。自分のプライドと、精神力だけで。
もうろくに真実を映さぬ目を歪めて、笑っている。

抵抗はない。出来ない。ここで殺されることを悟っている。


「安心しろ」「神は赦して下さるよ」

死ぬのは怖くない。怖いと思った事は無い。
ただ、



「……エーラ」

「楽しかった」


胸が痛い。



膝を 付いた。
(-369) susuya 2024/04/05(Fri) 0:45:00

【秘】 黄金十字 アウレア → 仕分人 ナル

「おお……俺様ちゃんの保存か。びっくりした。
 盗撮を本人の目の前で依頼するんじゃねえ。
 人格データなら取っといてるぞー、探して勝手に見ろ」

なんとも投げやり。ただし嘘は言ってなかった。
自分があなたのデータを見たのだから自分も明かそうと、
この船のどこかに隠してあるんだ、なんて付け足して。

「まあ……要はあれだろ、アルバム作り。
 オトモ君のマスター権限ナル君にもあげておこうかな……。
 後から好きに見れるようにしとくね。悪用しないでしょ?」
『はい。オトモ君も良いと思いました。
 お任せください、オトモ君にはセンスがあります』

ぴぴ、と電子音の後、白い機体が誇らしげにくるりと回った。

「……ん。頼むぞナル君、その意気だぜ」
「死ぬなよ〜?」

んじゃな、と笑みにはにかみを返した。
背中を最後まで見送って。
どうかあなたが望む通りになればいいと、祈った。

それから先。アウレアの死が告げられた後。
きっとアウレアの言う通り、オトモ君のマスター権限はあなたにも付与されていただろう。
オトモ君の内部データはクリーンアップされていたけれど、
あなたの望んだ思い出はアウレアの持つガラクタのどこかに。
それが見つかるのがいつかは、命無き者には判らぬ事だ。
(-377) susuya 2024/04/05(Fri) 1:25:13

【秘】 黄金十字 アウレア → 正常動作 エーラ

ぱん。


「ぁ、」

     視界が弾けた。あたまが、はじけた。

ぱん。


     激痛。焼けるような、燃えるような。

ぱん。


     冷たいような。


撃たれた勢いで、アウレアの身体は仰向けに倒れた。
壁に掛かる黄金の十字架を仰ぎ見るように。
気に入っていた煙草がそのはずみでポケットから落ちて、
広がっていく紅に浸って行った。

見えない。なにも、どこも動かない。
けれど最期、声だけは聞こえて。

「    」

照れんなよ、って皮肉ってやろうって思ったけれど。
その前にふっと、意識が落ちて。

そのままだった。
それきりだった。
(-379) susuya 2024/04/05(Fri) 1:53:15
黄金十字 アウレアは、メモを貼った。
(c4) susuya 2024/04/05(Fri) 2:02:25

【秘】 黄金十字 アウレア → 仕分人 ナル

終ぞ剥がされなかったままのシール。
このドローンにも自分で剥がせる術はあるのだが、
あれからずっと貼ったままでいる。

『……現存しているプロトタープデータから分析した結果』
『感情が関係するため演算結果の正確性は不明ですが』

『アウレア様は楽しんでおられたと推察します。
 あの方は仲間と過ごすのがお好きな方ですから』

『寂しがり屋であることは事実だと判断します。
 でなければ『アウレア』という在り方を
 選ぶことはなかったでしょう』

幼い子供の声をした合成音声がそう告げる。
かつてのマスターの亡骸を見ながら。
誕生日はいつになるかという問いには、機体を傾けた。

『不明です。当該データはロストしました』

ふよ、と体勢を直しながら一つの事実を述べて。
それからお供をするように、あなたの後を追っていった。
(-397) susuya 2024/04/05(Fri) 10:53:28
 




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