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![]() | 【人】 尸解仙 キファ>>9 ヌンキ 「はあ!? 何故そうなるのだ!」 キファは、これまでの経緯を説明する。 自分は一度死んだこと。 唯一死者の見えるラサルハグに伝言を託したこと。 幽霊となって、自分を探すヌンキをずっと見ていたこと。 「”思い出さなかった”のか?」 まあ良い、と続ける。 「おまえが苦しんでいた時、吾は何もしてやれなかった。 声は届かない。差し伸べた手はすり抜ける。 だから、今するぞ」 小躯な自分より大きな背中に腕を回して。 キファはヌンキを抱き寄せる。 「ありがとう」 親愛の抱擁、だった。 キファはヌンキを好いている。 ……でも、それは恋情ではない。 (33) kano_teiki 2021/04/30(Fri) 8:47:13 |
![]() | 【人】 尸解仙 キファ>>52 >>53 ヌンキ 「……行かぬ」 「おまえに訊ねなければならぬことが出来た」 あなたの発言に、先程から違和感を抱いていた。 まるで、自分のことをNPCだと認識しているかのような。 『この"orion"にNPCが存在する』と推測するのは容易だ。 現実のキファは、サイバー分野に聡い。 蘇生したキファに対する住民の反応だって、それの証左だ。 そしてNPCがテスト参加者に紛れていない 保証は、出来ない。 シュミレーションシステムをテストに 参加させるのは、理にかなっているだろう。 無論、これは『ヌンキが自分をそう把握している』と 考えたから口にする。 常なら、……これは残酷な言葉だ。 「おまえ、NPCだろう」 隠した手を引っ掴んで、引き出す。 ヌンキは、きっと更に何かを隠している。 (56) kano_teiki 2021/04/30(Fri) 13:17:36 |
![]() | 【人】 尸解仙 キファ>>60 サダル 「…………」 「許す」 へにゃり、と笑った。 サダルの真意が測れないのはいつものことだ。 そんなミステリアスな面も含めて。 サダルという人間を、キファは愛している。 きっと、どこまでもまっすぐな愛だった。 もう、不安定な頃のキファとは違う。 色々なことを乗り越えた。 どのような障害が有ろうとも、 キファはこの愛を貫き通すのだろう。 「おまえに愛されなくったっていい。 共にいられなくったって良い。 吾はそれで良い。誰にも強いぬ。 だが。覚えておけ。 吾はおまえが存在しているだけで、幸せになれるのだ」 キファとサダルの幸せの形は、平行線だ。 きっと、交わることは無いのだろう。 それで良い、と思っている。 『”だから……”、何だ?』 キファはあなたの言葉の続きを促す。 (63) kano_teiki 2021/04/30(Fri) 15:02:19 |
![]() | 【人】 尸解仙 キファ>>48 ハマル 無邪気に目を輝かせるあなたに、 キファは胸に熱いものが込み上げるのを感じた。 「無論、パーフェクトだ! 今日は沢山甘やかしてやろう〜」 ヨチヨチヨチヨチ……。 ナデナデナデ……モフモフモフ……。 『置いていって、すまなかった』 ……ふと。 舌に載せ掛けた言葉を胸にしまう。 今は、己の懺悔を聞かせる時では無い。 「吾がシトゥラに託したことも、 そのシトゥラが死んだことも。 キュー”達”が立ち塞がったことも。 おまえが苦しみ藻掻きながら、 最後まで折れなかったことも」 「おまえの──ううん、 おまえ達が。吾らが為したことは。 全部、全部今に繋がってる」 → (64) kano_teiki 2021/04/30(Fri) 15:20:57 |
キファは、サダルをビンタしようかと思ったが、やめた。 (a25) kano_teiki 2021/04/30(Fri) 16:01:27 |
![]() | 【人】 尸解仙 キファ>>68 サダル 「……ヌンキが」 ヌンキの様子がおかしい。NPC。 この時点でうすらと感じていたヌンキの”違和”。 この一幕はきっと、後にヌンキへ投げ掛ける 問いかけの一助となるのだろう。 「さて。……成程、な。 サダルの頑固っぷりは筋金入りだ。 むう。困ったな。実に困ったぞ」 「……吾が、ヌンキを幸せにしたら。 おまえは満足するか? 例えば、”吾と恋人になる”以外の形で。 彼奴に幸せを差し出せるのなら」 無論、ヌンキの経歴は理解していた。 その身に巣食うウィルスまでは、 この時点で把握してはいなかったが。 だが、キファはヌンキが苦しむ姿を見ていた。 彼女にとっても、掛け値なしに ヌンキを幸福にしたいと思っている。 → (71) kano_teiki 2021/04/30(Fri) 16:19:11 |
![]() | 【人】 尸解仙 キファ>>68 サダル 「今そんな重大な話をするな!!!!!!!!!」 バチーン!(エアビンタ) キファのモデルは故人だ。 故に、ものすご〜〜〜〜く大事なところなのだが それと同じくらい今ものすご〜〜〜〜く大事な話をしている。 幸いにも今のキファは物事に対して動じなかった。 だって、今までにもそういう話は沢山あった。 「吾が関与できぬ場所での話だ。 急を要するのなら今すぐログアウトしろ。 そうでないのであれば。 先程の話を続けろ。覚悟だけはしておく。 ……『キファ』も。きっともうすぐ、 この世界とはお別れだからな」 (72) kano_teiki 2021/04/30(Fri) 16:26:37 |
![]() | 【人】 尸解仙 キファ>>69 >>70 ヌンキ 「おまえの認識で相違ない。 ……吾は、おまえを助けたい。 幸せになってほしいと、思っている。 吾はおまえのことが。 それが、恋情でなくとも──好きなのだ」 友愛。親愛。この世界にだって、"恋"以外の 愛の形は有るだろう。 最も。恋愛は殊更情熱的なものであるということを、 キファは良く知っている。 さて。 NPCはどれだけ自律的に行動しても、 あくまで"orion"の管理下である。 その口から聞き出せることは限られるだろう。 「ヌンキよ。 どうしたら、おまえを治せる?」 (74) kano_teiki 2021/04/30(Fri) 16:45:26 |
![]() | 【人】 尸解仙 キファ>>75 >>77 サダル もの凄い複雑な表情をしているのは読み取れた。 「分かった」 「……吾は、ヌンキを助けたいと思う。 好ましい人が苦しんでいるのなら。助けに行くのは、道理だ」 そう宣言すると。『少し待っていろ』と、何事かを呟き始める。 あなたに事故現場の住所を訊ねたりもしただろう。 『外部との連絡は可能なのか……? 否、通常なら不可能な筈。 コマンドは? キファの使っていた『占』はその一種の筈。 チャットコマンド程度なら、”天啓者”の権限で使用できてもおかしくはない。 賭けだ。幾つかそれらしいのを打ち込んでみるか……。 …………。 ……。 ……!』 「……出来る限りを尽くしたぞ。 うまく行けば、XX社側から救急要請をしてくれるだろう。 更にうまく行けば、おまえは助かる。 現実の吾はこの言葉が嫌いだが──後は現実のおまえの意志、 そして『運否天賦』というやつだ」 → (93) kano_teiki 2021/04/30(Fri) 22:34:40 |
![]() | 【人】 尸解仙 キファ>>78 >>79 ヌンキ キファは推理する。 ヌンキは、システムの枠組みに縛られる中で 精いっぱい自らに伝えようとしている。 キファは、ヌンキを助けたい。 彼は恐らく、”想定されていない挙動”を起こしている。 平たく言えば、バグだ。 想定されていない挙動とは、何か。愛か。 それは確信できないけれど── キファは考える。 ヌンキに残された時間は少ない。 今から脱出してXX社にプログラムの修正を要請したとして、 "proxy"による自浄作用の前に間に合うだろうか。 だからといって、"orion"内部から何かを起こせるか? キファでは無理。何か── その時、点と点が結ばれた。 ブラキウム。 → (106) kano_teiki 2021/04/30(Fri) 23:29:21 |
![]() | 【人】 尸解仙 キファ>>78 >>79 ヌンキ Ma'at社のセキュリティAIAmmut<Vリーズ 最新弾【Brachium】。 管理AIの暴走というこの状況下である。 Ammut。Brachium。この一致は、偶然では済ませられまい。 秋葉義一は、 警視庁サイバー犯罪対策課対策係のオフィサーである。 サイバーテロ対策に関連する情報の集約が業務内容に存在する。 ・・・・・・・・・・・・・ だからこそ、知っていてもおかしくはない。 だが、これは賭けだ。 【Brachium】の処理によって、 ヌンキがどのような結果を演算するかは、 キファは推測することができない。 「ヌンキ」 「ブラキウムの元へ行け」 「消えたくないと願うのなら」 「完全無欠のハッピーエンドに辿り着きたいと、 僅かでも思うのなら」 (107) kano_teiki 2021/04/30(Fri) 23:31:11 |
![]() | 【独】 尸解仙 キファ天啓者よ。神祓衆、やっと会えたわね。 お互いを求めあった一日目。 エピローグにして、アタイたちはようやく 結ばれたの。 (-103) kano_teiki 2021/04/30(Fri) 23:36:06 |
![]() | 【人】 尸解仙 キファ>>ルヘナ向け白レス さて、これはハマルと旅に出るまでの暇のこと。 物語はエピローグとカーテンコールに差し掛かった。 人々は、各々と別れの挨拶をしていることだろう。 キファは談話室の机に着いて、息を吐いた。 目まぐるしく移り変わる状況。時には限りがある。 休息出来る間は、少ない。 (128) kano_teiki 2021/05/01(Sat) 0:33:13 |
![]() | 【人】 尸解仙 キファ>>116 >>117 ヌンキ 「善く言った!」 ヌンキの背中をバン!!!!!!!!!!!!!!! 「……行ってこい」 「どのような結果になろうとも。 吾はそれを許す。吾は心が広いので。 それくらいで、おまえを嫌いになったりはしない」 間。躊躇いがちに口を開く。 「なあ、ヌンキよ」 例えNPCでも、あなたは。 1=2というシュミレーションの絶対的演算を、覆した。 恋という、意志の力によって。 「おまえは人形じゃない。 こんなに葛藤する人形を吾は知らない。 こんなに泣きそうな顔で笑う人形を知らない。 エスコートしてくれたあの日。 あんなに暖かい手を持つ人形を、知らない」 → (130) kano_teiki 2021/05/01(Sat) 0:37:24 |
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![]() | 【人】 尸解仙 キファ>>113 >>114 サダル 「阿呆。吾は吾だ。中の人に何と言われようが── 吾はおまえとえっちが出来る」 ……閑話休題。 号泣するサダルをよしよししながら、 近場から紙を手に取り、何かをメモする。 「しょうがないな。吾は秋葉ではない。 だが、サダルがあんまりにも甘えん坊だから、教えてやる」 差し出されたメモには、何かのIDが書かれている。 現実世界の記憶を取り戻したあなたなら、 それが某メッセージアプリのアカウントであることを 理解できるだろう。 「……仕事用ではなく、私用の連絡先です。 僕にしては珍しいんですよ。感謝してくださいね」 記憶については、 ブラキウムが”お手伝い”してくれるそうだ。 けれども、あなたは生死を彷徨う現状。 はたして連絡が出来るかどうかは、定かではない。 でも、"無いよりはマシ"だろう? 「存外、吾の面影が有るかもしれんな?」 (194) kano_teiki 2021/05/01(Sat) 15:05:45 |
![]() | 【人】 尸解仙 キファ>>138 ルヘナ ──びくり、と肩が跳ねる。 こんなことをしでかす人物など、 キファには一人しか思い浮かばない。 「ルヘナ。 おまえ、もう少し普通に登場することは 出来ないのか?」 口にしてから、苦笑した。 知っている。 ルヘナという男は、刺激を好む質である。 気の利く茶の差し入れに にぃ、と口の端を吊り上げると、 問いに答えた。 「今が最も忙しないかもしれんな。 墓の下は、存外退屈だったのだ。 何も出来なかったから」 早速カップの片割れを手にすれば、 熱い液体で舌を濡らす。 「さて。ここ数日で様々な騒乱が有ったのは おまえも知っての通りだ。 ……どうだった? おまえの退屈は、満たされたか?」 (235) kano_teiki 2021/05/01(Sat) 20:32:09 |
![]() | 【人】 尸解仙 キファ>>263 ルヘナ 「今。死した者はみな蘇り、一先ずの大団円と言えよう。 だからこそ、こう言える訳だが。 ……あぁ、満たされた」 カップに揺れる水面を見下ろす。 実のところ、キファの性質はルヘナと似ていたのだろう。 ただ、生に執着していただけ。 人の範疇から昇華しかけた心は、 情熱を無くしていた。 表情豊かに見えていたのなら、 きっとそれは、殆どが演技だ。 思い出させてくれた。人らしさを。 有象無象の、取るに足らない、ちっぽけな人間。 迷い、葛藤し、慟哭し、藻掻く。そんな人間らしさを。 俗物性に、汚されたのだ。 → (290) kano_teiki 2021/05/02(Sun) 15:22:50 |
![]() | 【人】 尸解仙 キファ>>263 ルヘナ 「キファの物語はもうすぐ終いだ。 ……十分だ。十分過ぎた。 これ以上、彩る必要も、汚す必要もないだろう」 美しい日々は。鍵を掛けて、胸の奥に仕舞っておこう。 ”彼”には、帰る場所がある。 思い出なんて言葉、少し寂しいけれど。 いつかまた迷ったときに、自らの道を指し示す標となる。 ”天啓”になんて頼らずとも。己の過去が、教えてくれる。 「互いに。求めるものを、 どこかで手に入れて来てしまったようだな? ……それで良い。 吾の色だけのキャンバスじゃ、きっと退屈だ」 カップの縁を撫でる。 「結局、腰を落ち着けて話せたのは、 全てが終わった後になってしまったが。 ──それも、好ましいだろう? 素敵な舞台の後に、感想を述べあうような。 茶飲み友達としての関係って。 何だかとっても、吾等らしいじゃないか」 (291) kano_teiki 2021/05/02(Sun) 15:30:54 |
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![]() | 【人】 尸解仙 キファ>>297 >>298 ルヘナ 「ああ、でも。 おまえ、ホワイトボードに『向こう側』での名を 書いていたな、吾も見かけた」 「もしかしたら。いつかどこかで、 ”向こう”の二人が出会うことも有るかもしれない」 例えば、"orion"の記録復元の手段を持つ Brachiumに、情報の提示を求めたなら、どうだ。 そこに、”あの”如月ルヘナの名が書かれていたら。 可能性はゼロじゃない。 「でも、それは『キファ』と『ルヘナ』に。 近いようで、きっと遠いのだ。 どんな事実が暴かれようとも。 吾にとっての現実は、此処なのだから」 → (323) kano_teiki 2021/05/02(Sun) 23:14:33 |
![]() | 【人】 尸解仙 キファ>>メレフ さて、此処はどこだろう。 談話室? 或いは、皆で何度も集まった会議室かもしれない。 どこだって構わない。 「わっ」 キファは、メレフの背に声を掛けた。 ルヘナリスペクトである。 「やあ、メレフ。数日振りだな」 エピローグの訪れによって、死した人々は蘇った。 キファも、その一人である。 (327) kano_teiki 2021/05/02(Sun) 23:28:17 |
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キファは、怒涛の愛の言葉に、両頬を手で押さえた。 (a122) kano_teiki 2021/05/03(Mon) 10:24:23 |
キファは、どこかのメレフを鼻で笑った。 (a123) kano_teiki 2021/05/03(Mon) 14:43:06 |
![]() | 【人】 尸解仙 キファ>>367 ハマル 「頃合いだな」 星見杯亭の談話室で、 ハマルと旅の思い出話を語り合っているとき。 キファはふと、そう切り出した。 「吾はそろそろ、”行く”」 「吾はキファである。 キファにとっての現実は、此処だった。 吾は確かに、233年を生きていた。 ……だが。 『秋葉義一』には、帰らねばならぬ場所がある。 『キファ』という人生は、終わるのだろう」 キファは、覚悟をしている。 ……それはきっと、”死”程に冷たいものでは、ないのだろう。 例えるなら、生まれ変わりに近いのかもしれない。 「……最後におまえと、海を見れた。 約束を全部果たせたのだ。……良かった」 キファは、にっこりと笑った。 永い旅だった。 今度の旅の目的地は、ずっと遠い。 (412) kano_teiki 2021/05/03(Mon) 21:46:34 |
![]() | 【人】 尸解仙 キファ>>386 メレフ 「どうだ。 こんな神の御業を見せられたんだ。 ならば逆に、”それに至る手段”も存在するということだ。 人間が、神に等しき仙人になれるように。 死者蘇生だって。今では不可能ではあるまい?」 それは、今あなたの眼前に立つ少女が証明している。 キファは揶揄うように軽く首を傾げて、 少女みたいに愛らしく笑って見せた。 「何、これはただの意地悪だ。 本気だったのだぞ? 吾は。 敢え無くフラれてしまったが──あぁ、”共同研究”の話だ」 『別に独り占めになんてしないのに』、そう続ける。 どうやら少女は、あなたのことを同類として 結構気に入っていたらしい。 さて、本題は此処からだ。 「おまえはこれから、どうしたい?」 (430) kano_teiki 2021/05/03(Mon) 23:25:15 |
![]() | 【人】 尸解仙 キファ>>386 メレフ 「……半分外れ、半分正解。 この街に残るか、脱出するかの話だ。 だが、今の答えで理解した」 指先で薄翠の髪を弄ぶ。 「いや、何。 同じくらい永きを生きたおまえに、聞きたかったのだ。 "orion"を出ることは、自らが消えるのと同義よ」 特に、キファは秋葉義一と完全に意識を切り離していた。 それでいいと思っている。覚悟だってしているつもりだった。 明るい別れがモットーだ。 だから。大好きなサダルにも、 ヌンキにも、ルヘナにも、話していない。 これは、境遇の近いあなたにだけ、話すこと。 「寂しいだろ? この世界が好きだっただろう? おまえにとって、この世界は簡単に諦めきれないほど 大切なものだっただろう?」 でも、どうやら。 存外、自分は未練たらしかったらしい。 だってまだ、ハマルと海にだって行ってない。 (448) kano_teiki 2021/05/04(Tue) 0:55:28 |
![]() | 【人】 尸解仙 キファ>>483 メレフ 『邪魔するぞ』と、誰にともなく 投げ掛けた。 「蜥蜴が逆さまに吊られていたりは。しないんだな。 吾のギルドみたいに」 言われなければ、『等価交換』とは気づかないだろう。 そんな、洒落ているただの邸宅。 その筈なのに、奇妙な郷愁を感じさせるのは。 数十年、百数年の歴史があるからだろうか。 「否。吾は唯、本当に長生きしたいだけよ。 その為に選んだのが、神秘的領域だっただけのこと。 おまえと同じ道を選んだのだ、吾は。 異なるのは。”誰かの為”ではなく ”自分の為”という所だろうな」 『ほら、はよ見せよ』。そう促す。 どうやら、キファにも見学したい理由があるらしい。 (484) kano_teiki 2021/05/04(Tue) 15:27:58 |
![]() | 【人】 尸解仙 キファ>>501 メレフ 「吾自身だ」 きっぱりと言い切った。 それで、キファのスタンスはある程度伝わるだろう。 ”プレイヤー”にどのような意図があろうが、 キファはキファである。それを言葉裏に語っている。 それだけは、伝えておきたかったようだ。 それから、少しだけ感傷に浸るように黙りこくった。 蛍のような光を視界に認めれば、こう話しかけて来る。 「随分もったいぶるんだな。 ……それ程厳重、ということか」 誰の目にも触れさせないように。 誰も、眠りを妨げることが無いように。 再び目覚める時まで。 ……キファは祭壇の正体に、 ある程度予想をつけていた。 (502) kano_teiki 2021/05/04(Tue) 18:23:28 |
![]() | 【人】 尸解仙 キファ>>510 メレフ 「断る。人の棺の前で死ぬ趣味は無い。 それに、吾にはまだ行くべきところが有る」 即答。 それから、小さな花に触れた。 メレフの、妹の為に綴った大切な言葉たちが 流れ込んでくる。 ”成程”、と溢した。 彼の想いを知るには、それで十分過ぎる。 「もう十分なんじゃないか」 「これだけのことを為した。 人間の一生分では、ゆうに読み切れない 知識と言葉を寄越した。 おまえの妹だって、おまえを置いていったんだ。 許されるさ」 キファは割り切りが早かった。 これはこれ、それはそれ、と割り切ることができた。 感情に囚われることを好まない。 ……本当は、そうなのだ。 あなたの前で披露する機会は少なかったが。 → (511) kano_teiki 2021/05/04(Tue) 19:47:17 |
![]() | 【人】 尸解仙 キファ>>510 メレフ 「あとはおまえの心次第だ。 ……まあ、すぐに決断できることでは無いだろうな。 おまえは今も迷ってる」 そして、急かす権利も、道理も、 キファは持たない。 キファはポケットから鍵を取り出した。 『運否天賦』ギルド本部マスターキーの合鍵、と説明する。 書庫から、キファの私室まで。 全てを調査できる権利があなたに預けられた。 「好きに使え。 吾が東方を駆け回って手に入れた知識が、そこにある。 天国に行く方法も。動く死体を作る方法も」 『あぁでも、使ったものは元の場所に戻しておけよ』 そう言って、くつりと笑った。 → (514) kano_teiki 2021/05/04(Tue) 19:50:34 |
![]() | 【神】 尸解仙 キファ キファはその日、朝早くに家代わりのギルドを出た。 荷物は少ない。けれど、大切なものは全部詰め込んだ。 タロットカード。屋台で購入した朝餉代わりのバケット。 何度も読み返した経典。お気に入りの茶葉。 臙脂色の星のブレスレット。羊のぬいぐるみ。 思い出の貝殻のネックレス。そういうものが、沢山。 旅立ちの時だ。 『キファ』はもうすぐ役割を終える。 それは即ち、自我との別れだ。 でもそれはきっと、”死”よりも冷たいものじゃない。 別れ際、存分に皆と語り合ったので。 惜しむことも、人生の振り返りも、もう十分だった。 goodbay world! さよなら、世界。 良い人生だった。 明るい別れがモットーだ。 夜明けの空を仰ぎ見て、キファは静かに街を去ろうと── → (G55) kano_teiki 2021/05/04(Tue) 21:56:18 |
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![]() | 【人】 尸解仙 キファ ──『運否天賦』はその日、ギルドマスターを交代した。 然るべき手順の後、キファの一番弟子であるエルが継いだ。 彼女はだらけ者の先代よりも、しっかり者であった。 師匠について尋ねると、彼女はこう答える。 「『新たな地に旅立つ』と、書置きが残されてたんです。 律儀に、彼女本人の印が押された申請書まで置いて有って」 『まぁ、部屋は片付けて行って欲しかったですけど』 そう言って、エルは笑った。 元より、『運否天賦』は中堅のギルドである。 そのギルドマスターであるキファが持ち込んだ 『道教』という概念は、レムノスにて密やかに 認知度を高めつつある。 キファはこの世界からいなくなった。 でも、全部が無くなったわけじゃない。 彼女の痕跡は、この世界に遺り続ける。 きっとそうやって、未来は紡がれていくのだろう。 (537) kano_teiki 2021/05/04(Tue) 21:57:36 |
尸解仙 キファは、メモを貼った。 ![]() (a174) kano_teiki 2021/05/04(Tue) 21:58:05 |
キファは、ログアウトした。 (a175) kano_teiki 2021/05/04(Tue) 21:58:51 |
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