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人狼物語 三日月国


224 【R18G】海辺のフチラータ2【身内】

情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 4日目 5日目 エピローグ 終了 / 最新

視点:


【秘】 favorire アリーチェ → 口に金貨を ルチアーノ

何が起こったかわからなかった、と言うのが本音だ。

閉塞な牢に突如解放の知らせが届いた
と言う噂を、逮捕者の後方で聞いていた女は、
四方八方に散っていった他の逮捕者達に後れを取り、
気付けば一人、見知らぬ廊下に佇んでいる。

そんな状況だから、偶然か意図的かはさておき、
この現在地すらもわからぬ廊下を歩いていた貴方を
見つけた時は、それはもう見てわかる通り、
明らかに安堵の表情を覗かせて、が、声をかける際は
一瞬緊張したように声を縮めて、話しかけてくる。

「Mi scusi.
 あの、人が解放され出したって本当でしょうか?
 わ、わたし、道がわからなくなってしまって……」

要は迷子であることを明白に伝えるのは恥ずかしいが、
背に腹は代えられず、よりによって洒落た伊達男に対して
道を尋ねる事になってしまったのを恥じるように、
視線が合わず俯いたまま貴方に声をかけている。
(-19) poru 2023/09/27(Wed) 16:28:03

【人】 口に金貨を ルチアーノ

>>30 ニーノ

暗い知らせと取締法が収束しかけ明るい賑わいを見せる頃。
空は晴れ渡り、火花が空に咲き――
まだ知人達が数人拘留されている時間、外に用があった男は出歩いていた。

そうしてふ、と一台の車が目に入る。
その車の運転手など見えない、ナンバーに覚えもない。
それでも、都合の良い『あいつ』の車だと気付いた瞬間、
ルチアーノはパレードの通りに向かって走っていた。


パン。

音がやけに大きく聞こえた気がした。
どんな状況であるか男は確認できないまま辺りを見渡す、そして漸く見つけた知り合いは。
賑やかな喧騒の前に立ち尽くす、彼らが大事にする小さな弟分だった。

「ニーノ!」

その呆然としている姿に声をかける、貴方はこの嫌な予感の当事者であったのか。
それとも、ただの、目撃者であったのか。

#BlackAndWhiteMovie
(37) toumi_ 2023/09/27(Wed) 18:18:59

【秘】 口に金貨を ルチアーノ → favorire アリーチェ

「ン? お嬢さんは――アリーチェかあ」

貴方に映るのはやけに興味深げに顔を見つめてくる男の姿だ。
それは迷子であることに対する興味か、
羞恥で目をそらしている事に対するものか。
実際はどちらでもあったが、重要なのは名前を即座に呼べたことだろう。

「ご機嫌よう、牢獄の生活は堪えただろう。
 怪我や病気にはかかっていないか?

 件の法案で捕まった連中はマフィアも警察もこぞって釈放だ。
 俺でよければ道案内しよう。
 だが、お嬢さんは確か幼馴染みがいたと思うんだが……
 エスコートしてくれる色男は他にいないのかな?」
(-28) toumi_ 2023/09/27(Wed) 18:27:53

【秘】 favorire アリーチェ → 口に金貨を ルチアーノ

「ええ、アリーチェ……そう、なんだけれど」

「どこかでお会いしたことがあったかしら?
 こんな色男さんの名前を忘れる事はないと思うのだけれど……失礼ながら、お名前をお伺いしても?」

名前を呼ばれたことで正直に目をぱちり。合わせて頷く。
知り合いかと思って警戒が増すどころか緩む気配を感じる。
とてもじゃないが危機感がてんでないのがわかるだろう。

「私なんて、拷問された人に比べれば大したことないわ。
 この通り、ネイルの一つ剥がれてもいないもの。
 ……陰鬱な気持ちにはなったけれど、それは皆同じだろうしね」

爪を、剥がされている様を見たことがある。
それを裏付けるような話題のあと、無意識に手元を撫でる。

「……幼馴染……テオとニコの事?
 二人とは牢に入れられてから一度も会えてないの。
 この状況にまぎれて脱出してくれるとは思うのだけど……

 二人の友達なら、そっちを心配した方がいい気もするわ。
 私、まだ探したい人がいて……」
(-32) poru 2023/09/27(Wed) 19:31:16

【秘】 口に金貨を ルチアーノ → 花浅葱 エルヴィーノ

「……はあ、まったく……」

このあと直ぐにタートルネックを部下に持ってこさせた男は、あまり目立たせることなく監獄を過ごせることにはなる。
差し入れも、もしその時が来るのであれば助かったのだろうが。

「おー……まあ。少しでも寝られたか。
 ついてやるとも言ったのに……こんなことして」

「おう、戻れ戻れ。ああだがちょっと最後に聞かせろ」

「お前にこの入れ知恵をしたのは誰だ? 絶対居るだろ。
 そして……本当にそいつがここまでするように指示したのか」

ここまで、というのには首についた歯型を指している。
随分な見た目になったし、正直貴方がここまでやるとは思わなかったと返して。
(-46) toumi_ 2023/09/27(Wed) 22:34:45

【秘】 花浅葱 エルヴィーノ → 口に金貨を ルチアーノ

>>-46
「うん、
大事な仕事
があるからね」

絶対に失敗できない仕事だ。
成功すれば、タートルネックを男が持ってくることはない。
それ以前にそんな時間は全くといっていいほどなかったのだが、それは未来の話だから割愛させてほしい。


「……?」

あなたに背を向けて牢を出ようとしたところ、かけられた言葉。
なんだろうと振り向けば、首についた歯型を指している。
これはどう返せばいいだろうか。
自問すること、数秒。
少しだけ言いづらそうにすること、数秒。

「……ええっと、ルチアをどうにかしたいならって話をしてきたのは、黒眼鏡だよ。
 首のそれは……そうしたほうが良いのかと思って……その」

自分のタートルネックの襟を、ぐいっと引っ張る。
襟の下から出てきたのは、あなたについているのと似たような、多くの歯型と鬱血痕がつらなった首輪があった。

だ、かれる、のは初めてじゃなかったから
………見様見真似で」
「あ、これは流石に黒眼鏡じゃなくて、その、…………………
後輩が


怒られるかもしれないと、あなたに忠告される前の話だったのだ、と説明を付け加えたが、
多分。時期の話はあまり関係ないだろう。
(-48) eve_1224 2023/09/27(Wed) 22:52:23

【秘】 口に金貨を ルチアーノ → 花浅葱 エルヴィーノ

>>-48 

「あの老害は俺を一体どうしたいんだ」

頭を抱えた、どうしてこんなことを教えたのだろうか。
俺になにか恨みでもあったのか?と言いたくなるような仕打ちだ。
よくもまあ、ここまで。本当に理解をしていて困る男だ。

「……
こんな噛まれ方をして抱かれた事がある

「……
名前を言え


言ったらかえって良いぞ、と。
同時に、言うまで帰るなとシンプルで分かりやすく笑顔を向けておねだりをした
(-56) toumi_ 2023/09/28(Thu) 1:36:38

【秘】 花浅葱 エルヴィーノ → 口に金貨を ルチアーノ

>>-56

「……ええと……」

これは怒っている。
笑顔だけど、怒っている……気がする。
言ったらどうなるというんだろうか。……主に、後輩が。

彼がこれまでやってきた事を、何一つしらない男は、流石に言いづらそうに視線を彷徨わせた。
流石にこの件で喧嘩しに行く、なんてことはないと思いたいのだが。

「ぼ、僕が頼んだ、ことだから」
「意識が落ちるまでしてくれたら、薬も酒もなしに寝れるんじゃないかって…………だから」

彼は何も、悪くないからね?
と、できる限りの念を押して。
仕事にだけは行かねばならぬと、ぼそぼそと小さな声で名前を告げた。

「イ……イレネオ・デ・マリア……僕が教育係をしてたひとつ下の後輩だよ」

「ひどく見えるかもだけど、本当に心配をしてくれただけだからね」

これは大分頑張って庇っていた。可愛い後輩のために。
あなたからしてみれば、その名を聞けば思う所はきっとあるだろう。
だが、男から見た彼は、ただの大型犬であった。
この意識の差を埋めるのは、かなり困難なハードルだ。
(-58) eve_1224 2023/09/28(Thu) 2:09:55

【秘】 口に金貨を ルチアーノ → Scorri, fiume eterno! ヴィンセンツィオ

「……うるさい。随分ご機嫌なようで」

まったく目の前の男は突然口が回る。最悪の気分であろうに、一体どうしてそんなにその威勢を保てるのか。
本当に殺しておけばよかったと思うのはこの先に予知できる破滅の音のせいだろうか。

知ることが好きだ。先がわかることは安心する。
大事な人が知らない場所で死なれるのが嫌だった。
いなくなるぐらいならなら、この手で、目の前で死んでいなくなって欲しい。
何故こんなに執着してしまったのか身体を重ねたからなどではない、と思っている。
ならばやはり、少なからずこの目が貴方をただの悪人と捉えていないからであるのだが。
この感覚は説明できるものではないし、理解されるとも思えず終ぞ口に出されることはなかった。

溢れんばかりの情報を、大雑把に勘だけで見通してきたここ数年間。
ただただこの男が、理由もない大悪党だとは思わないという理由だけで。
本当に今更な感情に振ってくる言葉も途中まで考えられず、最後に漸く顔を上げた。

(-72) toumi_ 2023/09/28(Thu) 9:18:15

【秘】 口に金貨を ルチアーノ → Scorri, fiume eterno! ヴィンセンツィオ

「死体……?」

ヘタれた子供と呼ばれた男はうっそりと目を細めた。
それは彼の周りの人間は知らない顔であることを、また彼自身も知ることではない。

「…………」

万が一が起きたその時。
黒眼鏡も、ボスも、必要なのは生死の判断だろう。
もしかしたら死体を傷めつけられたりするかもしれない。
死者を冒涜する人間も晒し者にする存在もいるかもしれない。
自分はそんなことはさせたくはないし、させるつもりもなかった。

「わかった。
 必ず見つけてあんたの墓の常連になってやる」

自分以外が簡単に知ることもないようなその場所に、一体どんな意味があるだろう。
貴方にとってもその墓を懇意にする事実がどういったものをもたらすかもわからない。
しかしまるで望んだ物を手に入れたような様子でルチアーノという男は貴方にうすく笑いかけていた。
(-73) toumi_ 2023/09/28(Thu) 9:21:56

【秘】 口に金貨を ルチアーノ → リヴィオ



もう一度、貴方の指先が床を掻いた時。
触れた熱は少し暖かく、柔らかい物であった。

その夢に入り込むのは――眠る猫の姿。
誰にも触れられずただ無防備に、静かに眠っている。


「――呼んだか? リヴィオ」


貴方がその重たい瞼を開ければ、横になっている一人の男が世界に映りこむ。
男は幾回にも渡り残された赤い線も気にせず横たわり、眠そうな顔で似通った海の色を見つめていた。
血のにじむ手の下にも違う形の片手が滑り込まされていて、再度の床への傷は掠れるものとなっただろうか。

「お前まで子守唄が必要かね。
 ……俺もシエスタは好きだがなあ、そろそろ帰る時間だぞ」
(-76) toumi_ 2023/09/28(Thu) 9:41:54

【秘】 口に金貨を ルチアーノ → 花浅葱 エルヴィーノ

>>-58
「……ほお。お前が、頼んだ。
 そんな噛み方をして、答えた奴が」

「…………イレネオだあ?? あのガキ」

「心配しただけでこんな噛み痕もキスマークつけてるなら
 随分この町はもっと性犯罪が頻発しているだろうなあ!
 お前、そいつを庇ってるんじゃねえぞ! 少しは文句を言え!
 首まで隠す羽目になるのは仕事の支障にしかならないだろ。
 それと、善意で強姦して許されるなら警察はいらねえ!
 お前らは何処で働いてる、鏡見てから仕事するんだな」

結局怒った。

「さっさと出ていけ、馬鹿野郎。……ああ最後に」
二度と黒眼鏡に会うんじゃねえぞ!


先程流そうとした思考が戻ってくる。
誰しも自分の信じる姿でいることなどない。
疑って過ごすべきだ、だから一番に気にかけるべきだった。
この幼馴染はちっとも信頼できない不用心な人間で。
マフィアなんかと関わるべきじゃない大事にしなければいけない存在だったと。

男のくせに、とため息を吐いて牢の出入り口に向かって追い払うように手を振った。
此処から出てからも話すことが多すぎる、そう考えながら。
(-77) toumi_ 2023/09/28(Thu) 10:06:14

【秘】 口に金貨を ルチアーノ → favorire アリーチェ

「俺はルチアーノだ。
 はじめましてだなあ……友人の妹分だと聞いている。
 様子を見てやりたかったんだが、結局こんなところで話すことになるとは夢にも思わなかったね」

どうして男と二人きりで危機感が緩むのやら。
随分と気を許されているようだが今は気にかけることをやめた。
大事なのは無事に貴方がこの牢獄の迷宮から抜けることが出来るかだ。

「あの二人は大したこと……ないだろうー。
 これは一種の信頼でなあ?
 ここを出たら一緒に酒を飲みにでもいくさ。
 それで――」

「誰を探したいんだ? 俺が手伝ってやろう。
 丁度外に出る準備は整っているんだ、その連れも一緒に出ればいい」

さて、目の前の彼女は何処と繋がっているのやら。
やり残した冤罪の証明を自分自身でしなければいけない。
(-79) toumi_ 2023/09/28(Thu) 10:30:43

【人】 口に金貨を ルチアーノ

>>49 ニーノ

「ヴィトー、……そうか。あいつが」

本当に、嫌な予感が当たってしまった。
だけど今ここに死体はない、周りが騒いでいる様子もない。
つまり彼はまだ生きていて、彼女は殺し損ねたか何かを仕込んだか。

少なくとも――その引き金を引いたのは確かなのだろう。

「……すまんなあ、ニーノ。止められんかった」

また男はあなたに謝った。
悪くもないのに、ただ謝った方が楽になれる気がして。
それは起こるのがわかっていたかのような表情で、諦めたような、それでも物悲しそうなものであった。

「旦那のことは諦めるんだなあ。
 あの音で撃たれて騒ぎがないってことは
 もう何処かに逃げてるか、誰かに匿われてる。
 行き場所は分からんが、……俺たちが探すから心配するなあ。
 無事なら病院に直ぐ運ばれるだろうよ」

「それよりもなあ、ニーノ。今お前は誰に何を言ってやりたい。
 ちゃんと決めんとならんだろ、俺はそれの手助けをしてやる」

「また一人で泣いてお家に引きこもるつもりか?」

#BlackAndWhiteMovie
(52) toumi_ 2023/09/28(Thu) 11:06:12

【秘】 月桂樹の花 ニコロ → 口に金貨を ルチアーノ

猛威と理不尽を振るった法が失効して
多くの囚人が日の下へと送られる中。

ニコロ・カナールは未だに牢の中に居た。
というのも、拷問で負った怪我のせいで、動けないのだった。

右腕、右足の骨折に肋骨も何本か。
顔や身体には打撲痕もある。
そして何より、拷問時に薬を2種類同時服用したことで
体が怠さと熱っぽさの不調を訴えているのだった。

それでも、意識だけはきちんとあるのだけれど。

薬そのものの効果がきちんと調整されていて
且つ量も大して飲まされることが無かったのは幸いだった。
もし調整されていないものであれば
意識すらも危うかっただろうから。

そんな訳で。
どうしたものかなぁ、なんて考えながら
動く気にもなれず、ぼんやりと時を過ごしているのだった。
(-86) ぴんじぃ 2023/09/28(Thu) 13:22:38

【秘】 口に金貨を ルチアーノ → 月桂樹の花 ニコロ

>>-87
「Ciao,ニコロ」

快活な声色だが気だるげな態度で声をかけるのは首までしっかり着込んだ貴方の友人色男だ。

「……はあ。
 なんでこうなってるんだ?
 説明はするな、どうでもいい。大変だったなあ」

鍵が開けられた牢の中に入れば貴方の目の前に行ってしゃがみ込む。
目の前の男の傷は見ているだけで痛々しい、その上何か飲まされているらしく扱いが厄介だ。
俺が背負っていかなくちゃならんのかもしれない。それは怠い。

「――問いに答えてくれえ。
 手は、貸してほしいか」
(-89) toumi_ 2023/09/28(Thu) 14:02:28

【秘】 花浅葱 エルヴィーノ → 口に金貨を ルチアーノ

「え、ちょ、な……っ」

なんでキミがそんなに怒るんだよと、喉まででかかった言葉は出ぬまま、牢屋を追い出されてしまった。
この仕事をしていればマフィアに会わぬことなどできないというのに、無茶苦茶なことをいうと、ぶつぶつ何かを言っている。
あなたに大事にされていることくらい、周りから見ればすぐわかることだろうに、当の本人はそれに気づかない。

ただ、それでも。
たまにしでかす物事が、危なっかしいと心配をさせてしまっているのは確かな話。
これから行う仕事も、あなたには絶対にいえない話ではあったが、言えばきっと怒られてしまっていたのだろう。

事実、マフィアにただ会うよりも危険なことをして、
大きな負傷をもって病院に運ばれてしまったのだ。

あなたと次に会うのは病院か、それとも外になるか。
何にせよ怒られる案件をひとつ、増やしてしまったのは確かな話だった。
(-93) eve_1224 2023/09/28(Thu) 14:33:05

【秘】 リヴィオ → 口に金貨を ルチアーノ



普段なら、男はただその夢を眺めているだけで。
繰り返し唱えられる呪詛を身に受け、縛られていく。
もう何年も、逃れることの出来ない悪夢だった。

今度はもう、戻れないのかもしれない。
このまま暗く深いどこかへ、
落ちていくんだと思った──その時。

静かに眠る、無防備な猫の姿が見えた。
別に、猫が好きな訳じゃない。…………けど。
何となく、ただ、何となく、己の指先を
恐る恐る
伸ばす。

触れたその熱は、暖かくてとても──安心したんだ。

(-105) sinorit 2023/09/28(Thu) 20:13:13

【秘】 リヴィオ → 口に金貨を ルチアーノ



重い瞼を何度か緩慢な動作で繰り返し瞬かせ、
霞む視界の中徐々にピントを合わせていけば、
眠たげな、大きな猫友人の姿が視界いっぱいに映される。
何を言おうか。男の口が幾度か動かされて。

「…………ル、チ……ルチ、アーノ…………………?
 …目を覚まして直ぐに、色男の顔が……見れる、なんて。
 俺は……、しあわせものってやつ……、かな」

名前を呼び、"いつものような"軽口を紡ぐ。
しかし、ただそれだけという訳ではなくて、
己に触れる熱を求めるように、
痛みを感じながらも
指先を動かし軽く、その手を掴んだ。

「……あー………すまない…、迷惑心配、かけたね。
 子守唄は、そうだな……もう一度眠って、いいのなら」

君の子守唄を聞けばよく眠れるかな?
浮かぶ台詞の代わり、小さな笑い声を零して、
幼子のようにへにゃりと笑った。

それは今まで生きてきて、誰にも見せなかった弱さだ。
見せたくなかった弱さだ。……けど。
異様に熱い体が、響くような頭の痛みが、
折れた左腕が、血のにじむ右手が──全てが限界で、

誰かに手を伸ばすことに臆病な男が、
弱さを見せるきっかけとなってしまった。
(-106) sinorit 2023/09/28(Thu) 20:14:41

【秘】 月桂樹の花 ニコロ → 口に金貨を ルチアーノ

ゆる、と貴方の方を見た男は
笑みを浮かべて、無事な方の手を挙げて見せた。

「Ciao,ルチアーノ。
このくらい、なんて事ねえよ。
そっちも随分苦労したんじゃないか?」

なんて、軽口を叩く余裕はまだある。
ただ、気怠いし、動けないのは事実。

「ああ、貸してくれ。
どうやって此処から出るか、考えてたところだったんだ。
お前が来るとは、思ってなかったけどな。」

アリーチェやテオドロでなくて良かった、などと。
零しながらも貴方の問いに答えただろう。
(-114) ぴんじぃ 2023/09/28(Thu) 20:58:01

【人】 口に金貨を ルチアーノ


日常と言うにはまだ遠いが、それでも多少の落ち着きを取り戻してきた頃。
その日はなんてないただの雨予報の日だった。
灰色の空は水気を含んだ空気を纏って重く沈んだ色をしている。

こつん、わざとらしく靴先で石を蹴った音。
忘れるわけもない。気付いてしまった自分に嫌気がさした。



「Bonsoir.愛しの猫ちゃんルーカス。今日も可愛らしいね」



その声の正体が確信へと変わった瞬間、彼の体はただただ固まって、その顔を見る事しかできなくなっていた。


「なんだ、ご機嫌斜めだね。
 色男になったのでも言われたかったかい?」



散歩でもするように歩いてきた者の名はファヴィオ・ビアンコ。
十年前にルチアーノの上司となり、五年前に行方不明になった男であった。

#ReFantasma
(57) toumi_ 2023/09/28(Thu) 21:55:13

【人】 口に金貨を ルチアーノ

「見違えたね、随分大きくなって」

「……だんまりか、本当に拗ねているのかい。
 甘えたがりのルーカスは何処に行ってしまったのかな」

「うるさい」

聞きたくない、嫌でもあの日を思い出させるから。
目の前の男に触れられ、愛されて満たされていた日々が蘇ってくる。
失いたくなど無かった、ずっと居なくなって欲しくなかったものだ。


「どうして今更此処にいるんだ」
焦がれて、愛して、忘れられるはずなんてなかった存在が目の前にいる。


男から彼に施していたのは五年間の"教育"だ。
彼が決して逆らわないように、男の前では従順で素直で、常に周りを疑い警戒をし、それこそ男が居なくなれば何もできなくなるような人間になるように。
彼に自覚させることもなく、それが正しいことなのだと教え込ませ続けていた。
それは確かにうまくいっていて、今でさえその事実を彼は自覚することはない。

しかしそれは――未完成に終わっている。


#ReFantasma
(58) toumi_ 2023/09/28(Thu) 21:58:17

【人】 口に金貨を ルチアーノ


「仕事だよ、言わなかったかな?
 『行ってきます』って。期間を言い忘れていたかもね」

「なんだ寂しかったのか、それなら君が怒るのも仕方ない。
 私が居なくなってから昇進もしたようだし、
 それはうんと働いて一生懸命に頑張ってきたんだろう」


五年前ファヴィオはオルランドに海外のマフィアへ諜報員として潜入する命を受けた。
極秘任務の為に完全に身分を隠さねばならず、同意の下行方不明扱いにされることになる。

そうして雨が降りしきるその日、何も言わずに男は彼の前から姿を消したのだ。



「それでも、漸くひと段落付いた。
 時間はかかったけどボスにも許可は貰っていてね。
 やっと君を連れて行けるようになったんだ」


ああ本当に自分勝手だな、年寄り共は。
俺のことを一体何だと思っているんだ。

初めからそうだった。
死体の前に血塗れで座る子供の俺を連れて行った今のボスも。
そんなガキを兄弟みたいに連れまわして面倒を見た黒眼鏡も。
十年前がらりと変わったファミリーで孤独を埋めてきた男も。

本当に、俺を何だと思って。

#ReFantasma
(59) toumi_ 2023/09/28(Thu) 21:59:29

【人】 口に金貨を ルチアーノ

「おいで。また昔みたいにしてあげよう」


男は動きがない彼の目の前まで歩んでいけば、流れるような仕草で頭の上に手を置いて髪を梳く。
腰を抱き寄せつつ首元に見えた赤い痕におや、と呟けばくすくすと楽し気に笑って愛で続けた。

「何も考えなくてよくなるよ。沢山頑張って疲れただろう?」

「ファヴィオ、」

反射で男の名前を呼んでしまえばもう止まらない。

「俺は……」

揺れた声は艶を帯びていて、緩やかにそのシャツに手が伸びて。
縋るように服に皴を作れば、甘く誘うように口端が上げられる。

やっと、見つけた。


#ReFantasma
(60) toumi_ 2023/09/28(Thu) 22:00:59

【魂】 口に金貨を ルチアーノ



「      」
パン。曇天の下、乾いた銃声と金属音が鳴り響いた。

ルチアーノはこの五年間、ずっとファヴィオを殺す為に探してきた。


#ReFantasma
(_3) toumi_ 2023/09/28(Thu) 22:03:23

【独】 口に金貨を ルチアーノ

分厚いランダムに組まれた繊維が男を貫こうとする弾の威力を分散させた。
鈍い音がする。あばら骨の一本二本は折れただろうか。


「おお痛い痛い、飼い猫に手を引っ掻かれた気分だ。
 やれ、随分とやんちゃになって…昔とまた違う魅力を感じてしまうなぁ。
 ふふ、これ以上君のことを好きにさせて、一体どうしてくれるんだい?
 なんてね。私も命は惜しい、と言うより死んではいけない」

「舌噛んで死ぬぞお。もう一発受けるか」

「世界の宝を壊す権利を愛しの君に渡したいのは山々だが、
 愛より優先しなければならない使命が私にはあってね」

「いやぁ、すまないな、私が色男なばっかりに
 君を首ったけにさせてしまって」

「どっちが。あんたが俺を欲しがってるんだろう。
 甘えんな、俺に甘えていいのは犬と猫だけだ」

ルチアーノ・ガッティ・マンチーニは謔笑を送り。
ファヴィオ・ビアンコは巧みに咲い返した。


「私が必要なくなったら、いつでも捨ててしまいなさい。
 とは言えいつかに私が愛を最も優先してよくなった時、
 君がどこぞに落ちていたなら拾ってやるさ。
 安心して捨ててくれていい」


「そんなところかな。それではね、A bientôt〜!」


#ReFantasma
(-119) toumi_ 2023/09/28(Thu) 22:04:06

【独】 口に金貨を ルチアーノ

立ち去る男の背を彼はもう追うことはしなかった。

「……」
「結局、置いていくんだよなあんたも」

俺のことを信じているくせに。
俺が信じているのを知っているくせに。

「……動けんー……」

しゃがみ込んで、新しい酸素を吸う。
誰かが銃声に気づいて来てしまうだろうか。
それでも暫くは足は動いてくれないから。



『すまんな、こんな時間に。
 今から言う住所のところに車乗ってきてくれえ。
 今日は部下連れてこれなかったんだ』


いつも通りの声で、何を返す間もなく。
最後に場所を告げれば、ぷつり、電話を切った。
#ReFantasma
(-120) toumi_ 2023/09/28(Thu) 22:06:35

【秘】 花浅葱 エルヴィーノ → 口に金貨を ルチアーノ

入院して1周間くらい経った頃だろうか。
流石に寝るのにも飽きた男は、こっそり点滴を抜いて外に出た。
片腕が全く動かない上、肩から胴までギブスでガチガチに固められた状態では、着替えるのがほぼほぼ不可能なため、入院着にカーディガンを羽織っただけだ。
担当のナースに見つかれば間違いなく、青い顔をされた上で怒られるに違いない。

夢の中で名前を呼ばれた気がずっとしていたし、
悪夢を見続けるのにも飽きてしまって、外の空気に触れたいと……そう、思ったから。
病院の庭を散歩するくらいは許されたい。

「いたた……でも流石に早かったかな……」

点滴には痛み止めも含まれてるのだから、抜けば痛みが戻ってくるのは当然の話しだろう。
(-124) eve_1224 2023/09/28(Thu) 22:38:37

【秘】 favorire アリーチェ → 口に金貨を ルチアーノ

「え」

ぱちぱち、大袈裟に瞬きをして、

「貴方が噂のルーカスさん!……あ。
 ……って、友人が言ってて……し、失礼しました……ルチアーノさん……」


初対面の人にいきなりあだ名呼びとは、
うっかりとは言えあまりの失礼さに目を思い切り逸らし。

「ニコとテオの妹分?……ふふ、そうなるのかな。
 私としては幼馴染は幼馴染ってジャンルなんですけど……

 ニコに言われたの。情報で困った時はルチアーノって
 男を頼れって。だから余程凄腕の諜報員なのねって。
 ずっとお会いしたかったけれど、私もこんな所で
 会う事になる事になるとは思わなかったわ」

この女は幼馴染二人に絶対の信頼を置いている。
それだけにそこの共通の友人なら、警戒をすることもないだろうとむしろ憧憬の眼差しで見つめている。

はずなのだが、その上でなお、一瞬話していいのかと悩む素振りを見せて、暫し悩んだ末にその名前を答える。

「……ん、いえ、私一人でも……
 ……でも、そう、ね。
……ヴィットーレを、探してて


「私が会いに行った数日前で既に拷問を受けてたの。
 今はもっと酷い事になってるかもしれなくて、だから
 ……手助けをお願い、出来ますか」
(-130) poru 2023/09/28(Thu) 23:06:22

【秘】 corposant ロメオ → 口に金貨を ルチアーノ

>>-120

ブレーキランプがまだ乾いている地面を照らす。
まだ新しい黒の車を指定された場所の付近に止めた後、
やや急ぎ気味に降り貴方の姿を探すために周囲を見た。
ちゃり、と鍵に付いた鈴の音。

「ルチアーノさん?」

自分を呼びつけた依頼主の名前を呼ぶ。
貴方は声の届く所にいるだろうか。

#ReFantasma
(-137) susuya 2023/09/28(Thu) 23:29:04

【秘】 口に金貨を ルチアーノ → corposant ロメオ

>>-137

野次馬が集まり始めたその通りは賑わっていて。
どうやら発砲事件があったらしい。
しかしそこには怪我人も銃を持った人間もいなかったのだとか。

何処かで見たような事件の話、明日の記事に小さく乗って忘れられるような物だ。

「――ロメオ」

そんな路地の裏から話しかけてきたのは貴方を呼び出した男だ。
声色はいつも通りに思われたが、腹部および右手に赤い血痕がべったりと付着しており何事かしか起こっていない。

追加で滴っている様子がないことから観察していれば返り血であるのがわかるだろうか。

「……あー。アジト以外ならどこでもいい」

そう、ただ此処でもいいわけでもない、と。
今回の貴方への要望は何処かに連れて行って欲しいらしい。

#ReFantasma
(-139) toumi_ 2023/09/28(Thu) 23:58:09

【秘】 corposant ロメオ → 口に金貨を ルチアーノ

>>-139

剣呑な賑わいを見せる通りを横目に通り抜けて、
貴方の所へ来ただろうか。
いつもの声が聞こえたのはそちらの方ではなく、
少し外れた路地裏の方で。

「あ」「あ?」
「いや」「………………」

顔を見て安心し、視線を下にずらしてすぐに驚愕したような様子になり。そのままゆっくりと目を細めて怪訝な顔をして、もう一度視線が貴方の顔に戻る頃には片眉を上げつつ苦虫を嚙み潰したような表情だった。器用な表情筋をしている。

「あんたねえ。いや…………」
「乗ってくださーい……」

「あんたの怪我が無いんならまあひとまずはいいです……」

車の方向を指し案内する。その途中にそう零して、
車まで辿り着けば「邪魔なものはないと思うんで好きなとこ乗ってください」と運転席へ乗り込んだ。

車内には物が少なく、精々後部座席の白いクッション程度だ。
カバーのかかっていない座席はそれでも清潔に使われていて物をこぼした形跡もない。足元のフロアマットにも砂や泥は少なく、こまめに掃除はされているのだろう。
シガーソケットにセットされたディフューザーからは、ウッディーノートの香りが仄かにした。
貴方が座れば濡れタオルをぽい、と投げよこす。

「これで手拭いて。服それどうすんすか、それも拭きます?
 行き先どこでもいいなら気晴らしになるとこでも行きますか。海に嫌な思い出は? ある? ない?」

#ReFantasma
(-145) susuya 2023/09/29(Fri) 0:49:33

【人】 口に金貨を ルチアーノ

>>54 ニーノ

「お節介なところが誰かに似た。
 なんだ甘えたいのか、どうした?」

視線を一瞬だけ他所にやって、また顔を見返した。
やはり大人だといっても心配されるような家に居るのだろう。
羨ましいような、そんな自分も想像もつかないというべきか。

「なんだそんなことか。
 お安い御用だ、その言葉のチョイスの是非は置いといてな。
 いったい誰に貰った教わったのやら」

「重要なのは言葉の意味じゃない、おまじないであることだ」

そう言いながら、貴方の頬に手を当て、こつんと額を合わせる。


「ニーノ、お前は"大丈夫だ"」


余計なことは添えずに男の目は正面から貴方を見つめている。
根拠もない言葉がどんな意味を持って貴方の中に生きるのか。
きっと多くに生かせる人間であると男は信じていた。
それだけに頼り切らないで歩いてくれると祈っていた。
だから、これだけでいい。

#BlackAndWhiteMovie
(61) toumi_ 2023/09/29(Fri) 1:23:25

【秘】 口に金貨を ルチアーノ → favorire アリーチェ

「噂のルーカスさん、ははっおもしれえ言われようだな。
 好きに呼んでいい、歳もそこまで変わらん、テオドロの一つ上でリヴィオと一緒だ」

さらりと貴方の同僚達と仲がいい旨も告げる、年齢はわざわざ聞いたものではなく調べたものだが。
それぐらいは気にするような者達ではないだろうし、歳を知っているという情報も巧妙に隠しているつもりだ。

「ヴィットーレが拷問?
 あいつ、自分の店が燃えて警察に捕まったと思ったらそんなことになってたのか。
 仕方ないな……あー、……ん−?」
「……、
すまんヴィットーレやらかした


どうやら名を挙げた彼とも知り合いではあるらしく、同時に何かを謝罪した。疚しいことでもあったのだろうか。

「よし、今から何でもしてやる。奴には特上の個室を寄越そう。
 お嬢さんも付き添いだけじゃあなくて一緒に診察は受けてくれ。
 こんな悪環境で何か病気を貰っていてもおかしくない、
 同じ病院でかかれるように手配してやる」

「そんなところか、運ぶのは今すぐしよう」

電話を手にして部下に車を手配させた。
そうして踵を返せば、彼の牢屋までの長くない道のり、貴方を連れてその道を行く。

「あんたはヴィットーレがなんの罪で捕まったか知ってるかあ?
 俺はな、少しだけ。それが悪い事かどうかは知らんが。
 お嬢さんはどう思う、取締法で捕まったやつらのことや
 ――罪もないのに捕まえられたこと。
 こんな可憐なお嬢さんが冤罪以外で連れてこられることなんてないだろう?」
(-155) toumi_ 2023/09/29(Fri) 2:03:24

【秘】 口に金貨を ルチアーノ → corposant ロメオ

>>-145
「そうだな、俺は正直者なんで怪我をしていたら言う」

流石にその表情と言葉に申し訳なさを感じたのか、
しっかりと自分に被害があるわけではないことを告げた。多分。
少なくとも物理的被害はその血の汚れだけだ。

「なんだ、俺が悪いのか? ちゃんと仕留めようとしたんだ」
「これでも頑……」

言葉を止めたのは決して褒めて欲しいわけでもなんでもなく、
今思えば完全に自分の事情でファミリーを撃ったことであり、
むしろあまり良くないことであるとわかりつつ、
怪我の理由も痴情のもつれにジャンル分けされるのかと思うと一瞬で気分が悪くなったからだ。
自分から見ても他人から見てもそうかもしれない。

最近猫と自分が入り込んだその座席にもぐりこむ。
出来る限り汚さぬように気を使いながら、投げられた濡れタオルで手を清め一息ついた。
服の問題がある、日が暮れゆく世界の中であれば目立たないがそのままもよくはない。
だがそれ以上に、もう動きたくもなかった。

「……服は、外で脱ぐ羽目にならなければどうでもいい」
「海に嫌な思い出は、ない」
「多分、泳ぎは微妙」「見るのが好きだ」

#ReFantasma
(-158) toumi_ 2023/09/29(Fri) 2:08:00

【秘】 口に金貨を ルチアーノ → リヴィオ

>>-106

「おう、改めておはようさん幸せ者」

「悪いがゆっくりは寝れんのだ。
 目は瞑っていいが寝るな、しばらくしたら俺が運んでやる。
 ……それとリヴィオ、お前医者嫌いだろー、顔に描いてある」

どうするんだその怪我と、ため息を吐いて医者に出張してきてもらおうかだとかぶつぶつ聞こえてくる。
金の力でどうにかする算段を独り言で呟いていれば漸く貴方の方に意識を向けて。

「なあリヴィオ。今どんな夢見てたか覚えているか。
 ……話せるんなら話せ、体より口が今一番動かせるだろう」

改めて訪ねるということを、教えてくれと頼むことは自分にとっても久しぶりであった。
幼馴染にも、友人にも、上司にも。知りたいと言って調べることはしてきた。
だが、その場で教わりたいとちゃんと言うのはそれはそれで勇気もいる者で。
決して自分勝手に関わりたいわけじゃあない、貴方のその口から聞いてみたいことだってあるのだ。
(-159) toumi_ 2023/09/29(Fri) 2:15:59

【秘】 リヴィオ → 口に金貨を ルチアーノ



「…そうかい、それは残念だ。
 もう少し、いい夢を見続けていたかったものだが……」

医者嫌いと言われれば、
否定しない代わりに小さく笑みを零す音。
概ね正解だが、"医者"自体は『きらい』じゃない。

何やら聞こえる呟きに耳を傾けながら、
掴んだ君の手を軽くふにふにと摘んでみたり。
しかし、夢の話を問われればその動きを止め、
悩むように少しの間を置いた後。

「………ひとつだけ、聞かせてくれ。
 俺の可愛い後輩達は、無事、外に出られた……かな」

それは、今一番確かめるべき事柄で。
それを聞かねば自分のことを考えられそうにもなかった。
助けを求めたのは、確かな事実なのだけども。
ロクに回らない頭でも、考えずにはいられなかった。

そうして答えがどうあれ、一度頷いてから。

「…何、大したことじゃない。いつもの夢だ。
 ……『要らない』『死んでしまえ』と
 存在を否定されるだけの、くだらない、夢だ」

そんな夢に、もう何十年も囚われ続けている。
だから男は、要らない者、だった。
(-167) sinorit 2023/09/29(Fri) 4:42:54

【秘】 口に金貨を ルチアーノ → 花浅葱 エルヴィーノ

>>-124

貴方が病院の中庭に辿り着いた頃、ベンチに見慣れた男のシルエットがあった。
その男は誰かの見舞いであろう病院の前にはない店の紙袋を下げながら暖かな日差しの下で眠っている。
他人の視線や居場所を関係なく眠っている。
時々身じろぎしては丸まって器用に長い脚を収めている。

貴方は彼を放置することも出来るし、声をかけて起こすことも出来るだろう。
(-173) toumi_ 2023/09/29(Fri) 7:54:05

【秘】 花浅葱 エルヴィーノ → 口に金貨を ルチアーノ

>>-173

流石に歩くのがつらくなってきた散歩の最中。
中庭のベンチにでも座ろうかと視線を投げれば、何故か見知った男がベンチに寝ている。

「……いや、なんで?」

浮かんだ疑問は言葉になって呟かれ、きょとん、と小首を傾げた。
あの日のようなあどけなさのある寝顔は、何も警戒してないようにも見える。
部屋やホテルとは違うのに、なんとも無用心だ。

「誰かの見舞いにでも来たのかな……」

あの強制的な逮捕の裏で拷問などもあったらしいから、怪我人もきっと多いだろう。
部下を沢山もつマフィアは大変だな、なんて思いながら、連なる隣のベンチに腰を下ろした。
そろりと、動く方の左手を伸ばして。
柔らかな髪に触れてみる。

いつも気持ちよさそうに眠るから、起きないだろうなんて思いながら、その頭をゆっくり撫でて表情を緩めた。
暫く休憩したら、そっと立ち去ろうと思いながら。
(-174) eve_1224 2023/09/29(Fri) 8:38:24

【秘】 口に金貨を ルチアーノ → 花浅葱 エルヴィーノ

>>-174

「ん」

ぱちくり、と、少しだけ時間をかけて瞼を開くと視線だけ隣のベンチに座る貴方へと向ける。
そのまま戻して、つまり結局微動だにせず口を開いた。

「なんで撃たれてるんだお前」

調べたらすぐに分からなくもなかったことを敢えて見ずにやってきた。
貴方が今何処にいてどうなっているかだけを男は知ってきたのだから。
(-176) toumi_ 2023/09/29(Fri) 8:46:08

【秘】 花浅葱 エルヴィーノ → 口に金貨を ルチアーノ

>>-176

「うわ、起きた」

少し驚いたものだから、呻くような言葉が、思わず口をついてでてしまった。

「ごめん、気持ちよさそうに眠ってたからつい……」
「あー……えっと……」

あの騒動を引き起こしたのは、何もあなたのためだけではなかった。
まさかギリギリになってあなたまで捕まると思っていなかったし、自分に出来ることを友との約束を果たすためにやったことで。
彼らを釈放させるためにやったことで。
でも……、あなたが捕まったことでその必死さに拍車がかかったことまた、事実で。

騒動のことくらい情報通のあなたなら知ってそうなことなのにと、言い倦ねて、それからぽつり。

「…………代理逮捕の時の騒動の首謀者だったから…………かな……」

事実、あの時僕が死ねば、証拠を持つ問題で自体はややこしくなってたはずだ。
とはいえ、まさかあんな所にノッテのボスが潜んでいて援護射撃をしてくれるなどとは思ってもなかったのだが。

ともあれ、あなたとの約束を破って危険な行動にでたことは確かなので、申し訳無さそうに眉を下げた。
(-177) eve_1224 2023/09/29(Fri) 8:57:19

【秘】 corposant ロメオ → 口に金貨を ルチアーノ

>>-158
あんたが正直者で助かりましたよ、と苦笑した。
無事ならば何でもいい、……なんて思考は、少々雑だろうか。

「やっぱあの騒ぎはあんたか。
 ……その言い方だと逃げられました?」

後でやり返しに来やしないだろうか、なんて思うのは
その相手を知らないからだろう。
──事実、知ったところでその相手についての事はあまりよく知らないのだが。
貴方の気分が悪くなっている理由も知らずに、別ベクトルの心配が始まっている。

「座席の下の引き出しになんか入ってなかったけ……
 パーカー畳んで入れてたはずなんで使っていいですよ。
 サイズも合うでしょ、きっと」

どこへ行くにもその格好じゃまずいだろうと考えて、そう言えば非常用に一つ上着を用意していたことを思い出す。
汚れたタオルはそこら辺に放っておいてもいい事を伝えながら、エンジンボタンを押してシートベルトを締めた。

「じゃあ見に行きましょう。泳ぎやしませんよ、寒い」
「人も建物も視界に入らない方が思考もスッキリするんじゃないですかね〜。多分ですけど」

自分も海を見たい気分だったし丁度いい。
ハンドルを切り、車を発進させる。
あんまり揺らしちゃ気の毒だとスピードはいつもより少しだけ抑えられていた。

#ReFantasma
(-183) susuya 2023/09/29(Fri) 11:31:43

【秘】 口に金貨を ルチアーノ → corposant ロメオ

>>-183

「逃げられたんじゃねえ、逃がしてやったんだよ。
 またいつか来るからその時は殺してやる」

まるでその日を楽しみにするような態とらしく穏やかな声で殺意を述べる。
ここまで誰かに執着しているのも少ない、他には黒眼鏡ぐらいだったろうか。
別れの日が来てほしいなど思っていない、それでも嫌いなのだ。

「そうか、それは助かる。借りるぞ。
 いや、……
脱げばお前も驚くだろうからな……


男は何故か普段着ないタートルネックを着ている。
上着の血飛沫が付いた部分を内側に畳み込みタオルも添えて座席に放れば引き出しをあさりにかかる。
少し大きめか丁度いいそれを手に取れば自分のシャツの血が固まるのを待つことにした。べた、あと少し。

「カナヅチじゃないが俺が夏の浜辺に行くとモテてしまうからなあ、海に泳ぎにいかんのだ」
「んー……そう、だな……?
 別にその辺の空き地に放っておいてくれても良かったがな」

その様子だと付き合ってくれるんだな、となんともなしに。
時間があったから来てくれたのだろうが。自分は貴方に頼み事をするのが苦手であるので少し助かった。
こんな時ぐらい少しぐらい素直になれたら良かったが、電話をするので精一杯だった。

#ReFantasma
(-184) toumi_ 2023/09/29(Fri) 12:00:06

【秘】 口に金貨を ルチアーノ → リヴィオ



手を弄られている様子を見て小さく笑い声を零す。
自分が訪れた時には既に目の前の貴方は魘されていて地面には既に血が滲んでいた。
さて無理やり起こしてもよかったが、体力が弱ってる友人を眠らせてやりたかったこともあり怪我を減らす方向に動いたのだ。
結果は、まあ今このようになっているのだが。

「ん? 後輩たち……あー。どれぐらいの数かね。
 それぞれ連れが居たから見送ったり、案内したり。
 俺が話聞いて病院に投げ込んだり、……ほぼ全員無事だ」

少し思い出すように目を伏せてからいくつか名前を告げてやる、男の名前は忘れがちだった。
そして大体が出ていったから貴方を迎えに来たのだとも重ねて。
ほぼ、というのは確認できていない人間もいるということだがこの状況なら仕方ないだろう。

「いつもの夢っていうにしたらハードすぎるだろそれ。
 なんだ、こどもの頃の夢かあ? 随分嫌なことをいう親だな。
 今も言ってるなら侮辱罪か名誉棄損で訴えてやったらどうだ?
 町の宝がそんな謂れのない批判を受ける方がおかしいだろう」

「存在否定なんてもの、個人の私怨以外、なんも正当性はないんだからな」

お可哀想に、同情もしていないようなわざとらしい言い方をすれば貴方の頭を撫でまわしてくる。
嫌だったなー。と笑って髪を乱せば貴方が眠らないように時々こめかみの近くを押してやったりなどした。
(-185) toumi_ 2023/09/29(Fri) 12:20:48

【秘】 corposant ロメオ → 口に金貨を ルチアーノ

>>-184
「え。なんすかそれ。いいな」

へー、と面白い物を見せてもらった子供みたいに弾んだ声を出した。
そんな人が居るんだとも思ったし、
それってちょっといいなとも思った。
絶対殺したい人、オレにはいないしなあ。

『脱げば驚く』の言葉に見せられない何かがあるんだな、と雑な察し方をして「そか……」と口を少し曲げてこれまた雑な返事をした。

「あ。モテてる人の台詞だあ。色男は大変すね」
「……え? やですけど……オレそこまで薄情じゃないんで」

「愚痴でもなんでも付き合いますよ。
 どーせ今日は暇だったんす」

海が近くなれば運転席の窓を開ける。
こうやって潮風を浴びるのが好きだった。
青空の下であればどこまでも青い風景だったんだろうけど、
海は素直なものだから空の色をそのまま映している。

「あんたと話もしたかったし。何話すんだって感じですけど」

ハハ、といつもの調子で笑った。
あれからもロメオは変わっていなかった。
昔から起こった事を引きずらない方だった。
感情の振れ幅は一定で、今回もどうやらそうらしい。

#ReFantasma
(-186) susuya 2023/09/29(Fri) 12:21:34

【秘】 口に金貨を ルチアーノ → corposant ロメオ

「いいわけあるか。……あー。
 五年前俺が馬鹿みたいに落ち込んでた奴だよ!
 別れの言葉は、あびやんて……だったか?
 何語だ……何処にいた……また来なかったら許さん」

雑に叫んでやった、自分を置いていった上司ファヴィオが目の前にいたからぶっ殺してやろうと思ったと。
でも逃がしてやったと言うことはそれなりに情と殺意が入り混じっているということで。
ファミリーでは見かけたら殺していいとは言われているが故にこそこにきまりは悪く。
殺し切れた方が絶対良かったのだ。いつまでも自分は甘ったれである。

「あとは肌が焼けるのも嫌だ、結局疲れるから海水浴自体は好かん」
「……? 薄情も何も。何処かに運んで置いておくのは十分仕事してるだろ」

「愚痴なんてものもなあ……、愚痴なんて……。
 言語化するほどあいつらを殺したくてたまらなくなるからいいもんじゃない」
「殺したくないんじゃないぞ、あいつらがの逃げ足が早すぎるからチャンスが掴めんのだ」

雲が泣きそうな天気だった。
あれから数時間経った今、相変わらずの重たい灰色は緩やかに流れていく。

「俺と話したい? 本当になんでまた。
 お前はそんなやつじゃないだろう。
 ……この間の文句でも言いたいのかあ?」

文句の一つでもあったほうが救われたかもしれない。
そんな事は言ってやらないが、貴方が変わっていないことを確かめるためにあえて話題に出した。

#ReFantasma
(-191) toumi_ 2023/09/29(Fri) 14:26:07

【秘】 口に金貨を ルチアーノ → 花浅葱 エルヴィーノ

>>-177

「……なんだ、そのまま撫でて居ろ、聞いている」

どうしてそんなに言いよどむのだろうかと疑っていたが
貴方の思惑を聞き取れば、と納得するように相槌をうった。
やっぱりお前は馬鹿だと小さな声で呟いた。

「そうか」
「もうお前は信用しないと決めたから気にするな。
 ……勘違いするなよ、嫌いになったわけじゃない」

「お前は安心ができん。心配もかける常識も時々外れている。
 もうまともな人間だと思わないことにした。
 これまでは一人でやっていける立派な大人だと信じていたんだが、……思い違いだったなあ?」

何も気にしていなかったわけじゃあない。
何も思っていなかったわけじゃない。
いつだって頼られれば答えたし貴方の心配ばかりし続けていた、会うたびに面倒は見ていたつもりで。
それでも足りなかったんだなと改めて知る。何にも知ろうとしてこなかったのだと。

「……もう、一度お前のことは
洗いざらい調べようと思う

 だがその面倒くさい程開かん口はどうしようもならんから、
 何か疚しいと思っていることがあったらバレ早めに言えよ。
 言わなかった事一つある度に、お前の事嫌いになるから」

何とも子供らしい言い方で貴方をとがめた。
調べようと思う、という言い方に何処までの意味が含まれているか貴方にわかるとは思っていない。
(-193) toumi_ 2023/09/29(Fri) 16:49:19

【秘】 口に金貨を ルチアーノ → 月桂樹の花 ニコロ

「俺はほぼ無傷だなあ……。
 ……一番きつかったのは幼馴染からの言葉だった」

牢屋の生活はむしろ快適に過ごしていた、何処でも寝られる男はそういうが。
やはり時々出てくる幼馴染に世話を焼いているらしい。
そういいながら話す様子は穏やかで嫌がっている様子は見せていない。

「素直でよろしい、それじゃあ車に運んで適当な病院にぶち込んでやる。
 んあ? なんだ俺がくる理由なんて簡単だ。
 確認だよ、お前がどれぐらい無事かの。それですることを考えていたんだ」

「無理だと判断したからはっきり言ってやる。
 リヴィオが俺が持っていくからな。
 貰っていくじゃあない、この様子のお前じゃ連れていけないと判断した。
 あいつも怪我をしているらしいから医者に掛からせる、会うなら後にしろ。

 大分死にそうな感じがするのでな、少々世話を焼いてくる。
 これぐらいは許せよ、俺たちは友達なんでね」
(-194) toumi_ 2023/09/29(Fri) 17:04:44

【秘】 花浅葱 エルヴィーノ → 口に金貨を ルチアーノ

>>-193

「べ、つに。
 今はもう何も隠してないよ……入院したこと言わなかったのは悪いと思ってるけど……」

これは間違いなく、この人は自分に会いに来たのだと思った。
たまたまなんて反応ではなかったから、きっと、その情報網の広さでここに居ることを知ったのだろう。
でもそれなら、どうしてこんな所で寝ていたんだろう?
病室に来てくれたらいいのに、僕がここに散歩に来なければいつまでここに居たのかと、ちょっと心配になった。

そのままと言われたので左手でそのまま柔らかな髪を梳くように撫でながら、浮かべる表情は困惑した表情だ。

「代理を引きずり降ろそうとした結果、肩を撃たれましたとか、格好付かないし……」
「あ、洗いざらいって……あ、ねぇ……でもそれなら」
「キミになら何知られたって良いし聞かれたら答えるけど……それなら、僕にも教えてよ」
「キミのこと」

駄目かな? と、あなたの顔を覗き込んで問う。

僕は多分、知らないことがたくさんあるんだ。
今まで知ろうとしてこなかったマフィアの話とか。
幼い頃何を考えてたのかとか。
色々だ。
(-195) eve_1224 2023/09/29(Fri) 17:15:41

【秘】 口に金貨を ルチアーノ → 花浅葱 エルヴィーノ

>>-195
「……」

その心配そうな顔に答えを返してやる。
今となっては貴方の顔から疑問が読み取りやすい、本当疑う方が俺は性に合っている。

「……言わないってことがどういうことか教えてやろうと思ってなあ。
 ずっと連絡を取らず、偶然お前が散歩をしなかったら、
 俺は何日もここで昼寝して一生お前に会えず無駄な時間を過ごしていた。
 どうしてかって? わざわざ見舞いに来たのが恥ずかしかったから。等言ってやろう。
 そうして風邪を引いたとしても自業自得だな、馬鹿だろう? 馬鹿なんだよ」

お前がしたことを真似しただけだけどなあ。と鼻で笑った。

「俺が駄目だなんていったことがあるかよ」

あ。と言ってから気づく。
あの男と同じ台詞をいってしまってしかめ面をした。
本当に何もかも背中を追っていた弊害で、所作や口調が染みついてしまっていて嫌になる。

「気味が悪い……あいつなんで俺の人生に侵食してるんだ。
 はあ……なんでも聞けよ。なんでも答えてやるから」
(-197) toumi_ 2023/09/29(Fri) 17:29:21

【秘】 花浅葱 エルヴィーノ → 口に金貨を ルチアーノ

>>-197

「ほ、本気かい?」

本気でなかったらこんなところで寝ていない。
ここで見つけなかったら。
この後もずっと連絡をしなかったら。
……その先はちょっと想像したくない。

「はぁ……これからは後ろめたくてもちゃんと言う。
 だからこんな嫌がらせ無茶はやめてほしい」

重々しく息をついて、降参の白旗を上げた。
皮肉めいた言い方だが、流石にそれは後悔するどころではない。
あなたに風邪をひかせてまで守るプライドなんて、本当はないのだ。

「今、なに思い出したの?」
「そうだな……じゃあ、なんで子供の頃の夢はどうでもよくなったの。
 おじさんとおばさんを殺した犯人をもう追わないのはどうして?」

これを知らなきゃ、僕も調べる手が止められない。
男はまだ、あなたに幸を届ける方法がわからない。
(-199) eve_1224 2023/09/29(Fri) 17:45:37

【秘】 口に金貨を ルチアーノ → 路地の花 フィオレ

>>5:-581
「ああ、いつだって俺の子猫ちゃんのおねだりは歓迎だ」

何処かの噂で聞けば、この男は部下を持つのを嫌がっている。
本当に誰かを抱えるのは苦手で、責任を取るのも面倒くさくて仕方ない。

それでも貴方だけは簡単には手放してやらないと、貴方の意志を大事にしながら共に歩かせると決めたのだ。
誰かに言われたからでもなかった、後で――誰かさんに言われてしまうが、そんな背中を押す言葉なんていらなくて。

「頼むぞー。一番が自分だからな。
 俺はちゃんと、……お前が帰ってくる場所を守ってやるよ」

いつかその場所が自分自身にならなくなっても見守り続けよう。
この場所を離れたくないというのならずっと傍に置き続けよう。

貴方は自分の部下で、自分は貴方の上司だ。
血の掟などなくとも絶対の誓いをここに、そう信頼を込めて貴方の額に口づけを落とした。
(-200) toumi_ 2023/09/29(Fri) 17:47:22

【秘】 口に金貨を ルチアーノ → 花浅葱 エルヴィーノ

>>-199

「無茶だ? いくらでもできるぞ。何なら退院するまでやってやる。
 もっとも風邪なんて引かない上に途中からは仕事をしながらここで医者でも口説いてコネクションを増やしにいくさ」

無駄なことにはしたくないんでねと、肩をすくめながらよいしょと起き上がった。
この先は寝ながら話すことでもない、病院の中庭で話すことでもないが聞いている人間もいないのでいいだろう。

「今だあ? 馬鹿老害だよ、同じ事言ったんだ。
 あいつも俺に目立った隠し事なんてしてなかった、聞いてれば素直に答えたんだ。
 だけど……もういい。あいつはもういいお前も関わるな」

いつか黒眼鏡がこの世から居なくなった噂は広がってそして忘れられていくだろう。
実際貴方の頭にそんな記憶が残り続けるのも嫌なのだ、
本当に喪失感を味わう人間は一人でも減らした方がいい。

(-203) toumi_ 2023/09/29(Fri) 18:05:46

【秘】 口に金貨を ルチアーノ → 花浅葱 エルヴィーノ

>>-199 >>-203

「どうでもいいというか……そんな暇がないのが正しい。
 大学に行かなくとも俺は頭がいいからな。
 それよりもやりたいことがある上に、
 お前たちと遊ぶ時間が取れなくなる方が問題だった」

「あと犯人捜しだが――見つかってる。内容は言わん。
 マフィアと関係ない反社組織で、そいつらはもう死んでる。
 俺は両親が落ち込みも泣きもしなかったただの薄情者だ。
 ただ犯人が何のために殺したのか、理由だけが知りたかった。
 お前を止めなかったのは関わらせないためと、
 その……調べることに意味があるかと思って。
 ずっと頑張ってくれていたのに、知ってるからもういいなんて、嫌だろ……?」

「……お前が居るから別に家族が死んでも寂しくなかった。
 想像しているより俺は引きずってないんだよ、それよかアジトでの毎日が慌ただしくて
 辛いや悲しいなんて気分になることなんて一度もなかった。
 だから――悪いな、俺は今いる場所が、本当に大好きなんだ」

例えこれからどれ程辛いことがあっても、無茶をさせられても、
怪我をしても、犯罪にかかわることをし続けても、辞めたいと願うことはないのだろう。
はっきりと貴方に意志を伝えるのはあまりなかったように思える。

「それでも俺を抜けさせたいって言うなら――それを全部奪うつもりで来るんだな。
 俺の大切で守りたいものを全部奪ってまでやり通したいって言うなら受けて立つ」

全く嫌がっていない様子で、それでもそんな日が来ないで欲しいと願う気持ちで。
貴方に向けるのは、好いている人間には裏切られてもいいという絶対の信頼だ。
(-204) toumi_ 2023/09/29(Fri) 18:10:15

【秘】 favorire アリーチェ → 口に金貨を ルチアーノ

「まあ、リヴィオ先輩まで?
 警察に仲良しが随分多いんですね。なんだか私だけが
 お会いした事がないの、少し寂しくなってきたわ」

言いながらも拗ねた素振りもなく、笑顔な事から
どうやらこれは軽口の一環らしい。

「……ヴィットーレと親しい、ご友人かしら。
 い、色々ご迷惑をかけてすみません。でも私からもお願いします。病院の手配とか、一般の病棟しか連絡もできないから……」

随分と気の利く男の人だ。なるほど、友人の数にも納得だ、となりつつ、病院への手配が終わると口を引き結んで、まだ痣の残る腕をさすり上げる。

「……悔しいな。こういう時、いつも。警察じゃなければ何かできたんじゃないかと悔やみそうになるの」

「……聞いてないわ。ただ、ずっと私達家族の事を
 守ろうとしてくれてたのは、知ってる。
 ……だから人より拷問されることになったことも」

貴方の言い回しに違和感を感じたのか、尋ねられると困ったように顔を上げる。どう思うか、法案について述べろと人に言われた事は初めてなのもあって。

「……そも、この取締法自体に私は納得していなかったと言うの前提で話すけれど……冤罪が多すぎるのよ。一番最初に捕まった巡査を覚えている?同僚だけどとても投獄される子じゃなかった。

 ただ、私は……私が投獄された罪状は完全な冤罪、だけど。
 ……貴方がマフィアだから答えるけど、取締法の別の罪状に値はしていたと思う。──頑張って隠して来ていたけれど、やっぱり、いつもみたいに駄目だったなぁ」
(-205) poru 2023/09/29(Fri) 18:10:50

【秘】 口に金貨を ルチアーノ → favorire アリーチェ

「そうだなあ、……といっても男連中とばっかだぞ。
 女性とはもっと運命的なところで出会いたいたちなんでね」

女性警官に殴られたのも男にとっては予想外だ。
警官をやっていたというのならもう少し慎重に扱っていた、なんて。

「あいつの店は知ってるだろ? 常連なんだよ。
 いくらでも融通利かせてやる、あいつのラザニアは失っちゃあならん。
 そんなあんたは恋人でもなさそうだが、仲がいいようで」

からかうわけでもないが軽口を。
貴方が彼に大切にされているとわかってしまったから。

「おっと。……家族ねえ。
 ……違う家族を持ってる輩が多いなあ、あそこは」

「……マフィアってばれてるなら隠さなくていいかあ。
 血の掟は結んでいないがこれでも警戒はされたく無くてなあ?
 ああ常連は嘘じゃないぞ、本当に店にはよく通ってる。
 だけどお嬢さんの話は全く聞いたことがなかったんだ。
 よっぽど大事にされてたんだなあ」

「ニーノ・サヴィアのことかあ。
 あれはなあ……悪意はなかったとしか言えんなあ。
 それでも悪い事であったのは確かだからいい訳は出来ん。

 なんだ、お嬢さんも少しは過激なことをしてたのかい。
 いいじゃないか、だったらバレないうちに早く出てしまおう。
 俺とヴィットーレでその罪ぐらい隠してやる、大方俺たちの仲間も関わってるだろ?
 駄目かどうかをお嬢さんが決めつけてしまわんでいい、ちょっとぐらい隠し事があってやんちゃしてる方が魅力的さ」
(-209) toumi_ 2023/09/29(Fri) 18:25:48

【秘】 favorire アリーチェ → 口に金貨を ルチアーノ

「う、……恋人、じゃないわ。
家族……」


貴方が女の扱いに手慣れているなら、この反応だけで
何を心苦しく思い、何故切なげな顔をしているかも
容易に読み取れはできるだろう。

「血の掟、あまり詳しくはないのだけれど、
 敵対組織と仲よくしてはだめ、とかだっけ?
 ……ふふ、疑ってはいないわよ。贔屓にしてくれてありがとう」

大事にしてくれていたことについても、疑った事はない。
今までのうのうと警察を続けて来られたのだって、
全部彼が大事に守り通してくれたのだろうと信じている。

「……ルチアーノ、何でも知ってるのね。情報屋顔負けだわ。
 わたし、貴方に会えたら諜報の極意を教えてもらうか
 弟子にして貰いたいって思ってたの。……だめかしら」

だめかしら、ではない。あまりに唐突に、もしかしたら
チャンスがあるとばかりに尋ねてくる女、おかしい。

「……困ったわね。少しで済むかしら……
 ……ヴィットーレに関わる件でちょっと、調査をしていて。その過程で色々知ってしまっていて……。

 ルチアーノに会うのもこれが初めてではあるけど、
 "声"は私はお会いしたことがあったわ。私を投獄した日の指示を貴方がしていたのも、聞いている。
 ……これでも魅力的ってまだ言ってくれるかしら」

心配そうに目を逸らす。まさか、それを聞いたのが不思議空間であることまでは説明しなかったが、逆にそれで貴方の会話を盗聴していました宣言になってしまう。
(-210) poru 2023/09/29(Fri) 19:04:19

【秘】 corposant ロメオ → 口に金貨を ルチアーノ

「あ〜……あ!? いたんすかその人!?
 あんだけ姿見せないで今更ひょっこり?
 そら……そうもなるか? なってるか……」

その話を聞いて瞼を持ち上げて驚いた。
貴方の落ち込みようを見ていた事もあるし、生きていた事にも驚いた。下っ端の自分にはなんにも知らされないばっかりで、とっくに処分されたものだと思っていたし。
お疲れさまです、とどこに向けてかもわからない労りをした。

「日焼けはオレも嫌いです。泳がねえし……。
 浜辺散歩するだけで十分すよねえ」
「そんなカッコのそんな経緯の人を空き地に転がして帰るのは十分薄情でしょうが。いや……オレが心配性すぎるだけなのかもしれねえすけど?」

「怖……そんなんすっげえ恨みじゃないですか。余程すね。
 じゃあチャンスがあれば殺すんだ。オレ手伝います?」

そんな事をサラっと言って、それともそんな殺してえなら帰って一人の方がいいすか? とも。
海と雲の間の、白い空を横目で眺めながら「なんでまたって」と。

「いいでしょ、逮捕されたって聞いて寂しかったんだし。
 すぐに帰ってこられたからいいけどさ……」
「文句なんかないですよ。オレが心配で行ったんですから。
 無理やり文句言うなら買ったティラミスが少し溶けてた事くらいじゃないですかね〜……」

「……ま、あの時よりは元気すね」

適当なスペースを見つけて、緩やかに停車する。浜辺の近くまでやってきたから、ここから歩こうと。
サイドブレーキのレバーを引いて車から降りれば、
ここまで波の音が聞こえた。

#ReFantasma
(-211) susuya 2023/09/29(Fri) 19:18:28

【秘】 口に金貨を ルチアーノ → favorire アリーチェ

「おや? ……まー、今は忙しい事が多い。
 ちょっと込み入った関係になるんなら落ち着いた平和な時に口説いてやれえ」

「それとーそうだな、掟は警察とは仲良くしちゃならん。そんな感じのだ。
 だから俺たちも今はただ迷子を案内しているだけの仲だ」

今は誰にも聞かれてないとでもいうように、そういえば少し変わった道を歩いているかもしれない。
すれ違う看守いない、遠回りでもされていただろうか。

「アレは驚いたなあ。
 まさか俺に届いてると思わんかった、面白かったぞ?
 悪い事だと思わんくていいし気にしてもない。
 途中から聞かせてやる気だった上に、大事な部分は筆談でやっていたからな」

あっけらかんとした態度で貴方の罪は丸め込む。
そうして改めて足を止めればしっかりと向き合ってからその瞳を見つめた。

(-212) toumi_ 2023/09/29(Fri) 19:25:09

【秘】 口に金貨を ルチアーノ → favorire アリーチェ


「というわけで、今話したことはここだけの秘密にしよう。
 内緒にできるな? アリーチェ・チェステ。
 女の秘密は魅力を高める、これぐらいは守ってもらおうか。

 それにせっかくヴィットーレが守り切っていた宝なんだ。
 これ以上自分から顔を出して奪われちゃあいつが可哀想だ。

 それが守れるってんなら、弟子……弟子ぃ????
 まあ……ニコロにも言われたしな。
 少しぐらいは隠れ方や調べ方を教えてやっていい。
 危なっかしいんだ今のお嬢さんは。
 油断を減らす術を身に着けた方がいいな。迷子も直せえ。
 ……あー。それで、構わないかい?」

そうやってあまり師匠ぶるのは苦手なんだがと、貴方にその手を貸すことは構わないと穏やかに告げた。
それは誰かから託されたことや、宝物である事実もあるが。
何よりも少し悪い事をした気がしてる女性の頼み事は断れない、そんな色男のちょっとした罪滅ぼしだった。
(-213) toumi_ 2023/09/29(Fri) 19:25:25

【秘】 花浅葱 エルヴィーノ → 口に金貨を ルチアーノ

>>-203 >>-204

「……そっち行って良い?」

あなたが起き上がってしまうと、寝転がってた分の距離が開いた。
あなたはきっと断らないだろうから、せめて同じベンチに座ろうと隣にすとんと腰を下ろした。

「黒眼鏡と何があったのか知らないけど……その口ぶりだと彼も脱獄したんだね。
 明確に罪状がでてるあの二人黒眼鏡とヴィンセンツィオの釈放は認められないはずだったんだけど」

まぁ、どうせそうなるだろうとは思っていた。
あの二人がそう大人しく捕まったままでいるわけがない。
二人が消えたら喪失感を覚えるのかということならば、やはり、上司の死を聞かされる方が喪失感はあるだろう。
喪失感から歪んでいった事を考えると、あなたの判断は正しいものだ。

(-214) eve_1224 2023/09/29(Fri) 20:05:51

【秘】 花浅葱 エルヴィーノ → 口に金貨を ルチアーノ

>>-203 >>-204 >>-214

「えっと。つまり……」

話される言葉を噛み砕いて、理解する。
ずっと仲良しで優しい家族だったと思っていたあなたの家族は、実はそうではなかった。
そんな事すら知らなかった事が、少し恥ずかしい。
ただ、それよりも。
あなたの言葉を聞いていると、どうにもうずうずしてしまっていけない。
だって。

「……それって、全部……僕のため?」

だってそうだろう。
大学よりも、両親よりも、
自分を優先してくれてるように聞こえた。
なんなら、牢屋であんなに黒眼鏡や後輩との事に怒ったのも。
――全部。

あぁ、本当に僕は馬鹿で愚か者だったのだ、今まで、ずっと。

「…………。もう、そんな事望まない。
 キミがまた、依存してしまうようなら別だけど……大好きな場所から引き離すほど、聞き分けのない子供じゃないよ」

自分だって、今いる警察が
嫌いじゃない

嫌いな上司は沢山いるけれど、それ以上に大事な同僚たちがいるし、守りたいものを守る事くらいは出来るのだから。

「でも……やっぱりね。
 キミが誰かに捕まるくらいなら、僕が捕まえに行くつもり。
 マフィアのこともちゃんと知りたいし、好きな人が好いてる人の事くらいは知りたいから……会ってもいい人くらいは紹介してね」
(-215) eve_1224 2023/09/29(Fri) 20:08:15

【秘】 口に金貨を ルチアーノ → corposant ロメオ

「凄いぞあいつ、俺も死んだと思ってた。
 なんせ黒眼鏡すら見つけられなかったんだからな」

こんな風に笑い話のように話せている姿なぞ昔の自分では想像もできなくて。
細かく言えば今この瞬間まで口に出してここまでつっかえない物なのかと驚いている。
それは相手が貴方だからなのか、拳銃をぶちかました後だからかわからない。

「まあ俺は黒眼鏡もぶっ殺したいほど好きで嫌いだったが?
 チャンスがあれば……そうだな。
 もう一度失敗したし、次はお前にも手伝ってもらうか。
 俺じゃあ上手く殺せるかわからん、殺意が漏れてる人間ほどかわしやすい奴もおらんだろ」

自分でもそうかと腑に落ちるような答えだった。
執着していたのは確かだが、もう彼の意志を知った以上、その背を追うことはもうしない。
別に生死は関係なくて、はっきりと一人でどうこう思うだけの時間が終わったのだと実感した。


#ReFantasma
(-217) toumi_ 2023/09/29(Fri) 20:26:03

【秘】 口に金貨を ルチアーノ → corposant ロメオ

「んで。つまり。
 心配で寂しかったから今俺の愚痴を聞いてくれて
 その上で散歩に付き合ってくれてるってことか?
 ……成程お? あー」

「…………」

……ティラミスはすまん


思い出して、目元を抑えながら珍しく心の籠った謝罪をした。珍しいことだらけだ。

「そうだな、あの時より疲れてはない。
 疲れてはないが……一人が嫌だったんだよ」

「……靴の中酷くなるかー?」

車から降りてパーカーを羽織る、もう血濡れたシャツは乾いて黒ずんでいて。
まあ、こんな時ぐらいはいいかと砂浜に足を踏み入れ波の音へと近づいていった。

#ReFantasma
(-218) toumi_ 2023/09/29(Fri) 20:27:41

【秘】 月桂樹の花 ニコロ → 口に金貨を ルチアーノ

「ハハ、そりゃあご愁傷様だ。
傷が無いなら何よりだよ。」

ケラケラ笑いながら
体に伝わる振動でいてて、なんて言う。 

「そうだな。助かる。
俺もこんな無様な成りじゃ会えねえと思ってた。
アイツのことはお前に任せるよ。」

貴方が思うより素直に、男は頷くだろうか。
自分の体の状態が分かっていて
且つ、貴方になら任せられると思ったのか。

「死にそうってのはあれか。精神的な方か。」

それでも、心配そうにする。
(-219) ぴんじぃ 2023/09/29(Fri) 20:35:34

【秘】 favorire アリーチェ → 口に金貨を ルチアーノ

「驚かせられただけよかったと思うべきかなここは……
 こっちは毎回神経をすり減らして調査していたのに、
 実際されてる側にはそんなあっけらかんとされるなんて
 安堵はするけど複雑な気分ではあるわね……」

足を止めればこちらも止め、顔を上げて瞳を見つめ返す。

「──勿論よ、ルチアーノ。
 例えこれで魅力が下がろうとも、秘密は守るわ。
 貴方の言う通り、彼に余計な心配もかけたくないし、ね」

とりあえず諜報の件はひと段落付いたか、と。
安堵の溜息を思わずふぅ、と漏らす。秘密と言う形にする事でかえって肩の荷が下りたくらいだ。

「弟子」

弟子。

「先生と生徒でも全然構わないのだけれど、……
 ニコにまでよろしく頼まれてたの?…………もう」

隠せない笑顔が思わず零れてしまう。どうしてそこまでして、私の幼馴染たちは大切にしてくれるのだろうと。それに報いられる女になりたいなと改めて想い直して。

「……よく、言われるわ。危なっかしいって……そんなつもりは、無いんだけど……
 わ、わかったわ!油断は減らすし、迷子にはならない!
 次からはそうなるように最善を尽くすわ、だから……
 将来、恩返しできる人材にきっとなってみせるから
 ……改めて、よろしくお願いします」

深々と頭を下げてから、「やっぱり師匠と呼んだ方がいいかしら?」なんて本気の顔で貴方に質問もしてきた。
(-220) poru 2023/09/29(Fri) 20:45:50

【秘】 リヴィオ → 口に金貨を ルチアーノ



手を掴み、摘むのはその存在を確かめるため。
確かにここにいるのだと、
夢ではないのだと、感じたかったからだ。


「そうか。…うん、なら……良かった」

後輩の話を聞けば安堵の息を吐き出して、
まずはダニエラ、そしてニーノ。アリーチェと。
次から次に後輩の姿を思い浮かべ、そして、
名前のあがらなかった一人も、ほんの一瞬思い浮かべた。
恨むことはないだろう。ただ、思う所があるだけで。


しかし、それに浸るのはもう少し後。
君は先程ゆっくりは寝れないと言っていたから、
話が一段落つけば移動のため身を起こさなくてはならない。

「…いや、"赤子"の頃の記憶ってやつかな。
 俺は案外、記憶力が悪い方ではなくてね。
 まぁ、なんだ。……覚えているから、繰り返し見るんだ」

「あぁ、行方は知らないし訴えようとは思わない。
 街の宝ってやつはそれなりに寛大なんだ」

わざとらしい言い方は逆に男の心を落ち着ける。
髪を乱され、こめかみの近くを押されても苛立つ心はない。
ただ友人とじゃれ合い、笑っているだけだ。

夢の残像は消えないが、それでも、顔色はずっとマシで。
(-223) sinorit 2023/09/29(Fri) 21:02:57

【秘】 corposant ロメオ → 口に金貨を ルチアーノ

「行方不明の振りもココまで上手くやれるもんなんですね。
 そんでまた消えたと。ニンジャかなんかなんですか」

ちゃんとまた現れるといーですねえ、と呑気に一言。
聞いてるこちらも他愛ない話のような感覚で返事をしている。
内容はそんなものではないという事は知っているのだが。

「苛烈だなあ……いーですよぉ。なら手伝います。
 オレが手伝えばまたなんか違うでしょ。
 そーいうサポートは割と専門なんで」

片手でOKサインを作ってみせる。
ぶっ殺したいほど好きで嫌い、だなんて随分な感情だと思った。愛憎相半ばにするとはよく言ったものだ。
実際の感情の比率は、ロメオが存ずる所ではないのだが。
それにまた、少し羨ましさを覚えたのだった。


#ReFantasma
(-229) susuya 2023/09/29(Fri) 21:32:47

【秘】 corposant ロメオ → 口に金貨を ルチアーノ

「そーいう事です。win-winでしょ」

いつぞやみたいな都合の良い言葉。
一緒に居るのはこちらの勝手であることは知っている。
追い払われないから今は一緒に居ていいものだと思っている。
ロメオが「なんでもする」のはそれを許されるからだ。
許されなければ、なんにもしない。
貴方は許してくれる人だと思っている。

「いーですよ。溶けても美味かった」
「あんた、意外と寂しがりだったりします?」

それを揶揄するでも責めるでもない、ただの感想。
思った通りにここは人の気配が無くて、ここには二人しかいなかった。
彩度の低い風景だった。

「オレが言えたことじゃないか。お揃いすね」

そうしてまた、勝手にお揃いにしている。

#ReFantasma
(-230) susuya 2023/09/29(Fri) 21:33:44

【秘】 口に金貨を ルチアーノ → corposant ロメオ

「……win-winなのか」

こちらはこちらでその言葉に少し訝しげになる。
あのときは冷静でも何でもなかったが、今思えば相当お互いにおかしかったのだ。
それが、何故か。自分はともかく目の前の男までも。
今態度が変わらないことを含めても、やはり違和感を感じる。

無条件に人に尽くそうだなんて思わない。
たとえそれが娯楽として行われていたとしても理由があるはずなのだ。

「……ああ、寂しがりやだなあ」
「お前と揃いで嬉しいよ、ずっと似ていると思ってた」

だからここは素直に告げてやって。

「なあロメオ。
 お前は一体何がそんなに不安なんだ?」

「何が欲しい。
 言えんのだったら俺はあのときのことを聞き直してやる」

水気を帯びた砂を蹴って、貴方を振り返った。

#ReFantasma
(-234) toumi_ 2023/09/29(Fri) 22:18:59

【秘】 口に金貨を ルチアーノ → アリソンに捧ぐ鐘 黒眼鏡


「一人だけ……」

俺は浮気は嫌いだ、だが同時に甘ったれでさみしがり屋だった。
あんたと同じか違って、努力をすれば助けにはなれてしまうから
少しでも多くの者を救えるものだと勘違いばかりしてきた。

「難しいなあ」

それを貴方に向けられていたら、きっと未来は変わっていた。
そうできないと思うほど、全てを諦めきってしまったいたから。

「――でも、そうか。漸く分かった。
 俺のしたいことなんて、
知りたいこと以外何もない


半分だけ嘘をついた、それだけ聞けたら良かった。
この先の貴方のしている事など全て見通せもしないし、このときは何も分からなかったが。
手遅れでも真実が知れればそれでよかったのだ。

それは自分の親の死の真実を知ったときのような、
それでも、誰よりも大事に思った事のある恩人への、愛憎入り交じった感情に襲われるのだろう。

「言われなくとも、フィオレのことは大事にしてるよ。
 あんたに言われたからだと思うなよ」

それだけは選んだ、置いていって嘘をついている貴方とは違う。
自分はそうならないと、もう、この時点できっと気付いて居た。

貴方は自分達の前から目の前から居なくなる。
(1/2)
(-239) toumi_ 2023/09/29(Fri) 23:02:52

【秘】 口に金貨を ルチアーノ → アリソンに捧ぐ鐘 黒眼鏡


信じたかった。最後まで信じたかったのに、ここに来て嫌なほどわかってしまった。
泣きたくなりそうな程気持ちが高ぶって、それを隠そうとするように深く息を吐いた。


「アレッサンドロ、」
俺はあんたを殺したいほど好いていた。でも、もうやめだ。


「――勝てるといいなあ?」


このどら猫の祝福は可愛らしい祈りではない。
その口ぶりには『お前なんてやられてしまうさ』という本音の軽口も入っている。

だけど、それでも。
かつての貴方の下で働いていた時間が人生で一番楽しかった事は変わらない
そんな日は二度と戻らない、だから、俺はそんないつも通りの言葉で貴方を見送ることになるのだ。
(2/2)
(-240) toumi_ 2023/09/29(Fri) 23:07:54

【人】 口に金貨を ルチアーノ

背の低いしっかり者を見送ったあと、通知の鳴り止まない携帯を見る。
まだまだ自分は何処かで必要とされていて。
疲れても歩きを止めることすら許されないような気にさせられた。

「『ちゃんと答えを見つけて、言いたいことを言えるようになるから』……ねえ」

「俺もそれをしないとならんのだよな」

大きなため息をついて空を仰ぐ。
にぎやかなリボンを一つ空中でキャッチしてまた捨てた。

「それにしても今、あの旦那のことを頼まれたか……?
 どうせアレのところに行ったんだろ……人気者め……。
 ……はあ、……俺が吹っ掛けておいて邪魔できるか」

あと何時間だろうか、と凡そ場所ももうわかっている。
片方の事は良く知らずとも、片方のことはよくわかっている。
あいつがやると言ったらやるやつだ、一番とは言わずともそこそこ理解者でいるつもりなのだ。

「アジトの様子見に行くか……あーあと牢屋の中の怪我人……。
 忙しい、忙しいぞアレッサンドロ・ルカーニア!
 お前が放り投げた分全部俺が拾うことになってるの許さんからな!」

#BlackAndWhiteMovie
(83) toumi_ 2023/09/29(Fri) 23:14:10

【秘】 corposant ロメオ → 口に金貨を ルチアーノ

「不安?」

……足を止めた。
潮風で揺れる前髪が、深みのある翠の瞳を隠しては現す。

「オレは別に……」「いや」
「不安じゃないって言えば嘘ですけど。うん」

うろ、と視線が惑った。考えに迷っている時の癖だった。
自分の心について語るのは苦手だった。
誰にとってもどうでもいいもので在って欲しいから。
不安。欲しいもの。言ってどうなる。けれど問われている。

「……欲しいものなんかいっぱいありますよ。
 でもオレは弁えてるんだ。
 オレは聞き分けのいいゴミでいたい」

「そら使ってほしいのが一番だよ。
 オレを使ってくれる人はいっぱい居る。いいことだ。
 オレは便利な物か畜生扱いでいい。
 利用価値があったら捨てられないでしょ……」

とつとつと、ぼそぼそと、
それでも波音には掻き消されないくらいの声。
内容はいつか貴方に話した、在り方の続きだった。

#ReFantasma
(-242) susuya 2023/09/29(Fri) 23:30:54

【秘】 corposant ロメオ → 口に金貨を ルチアーノ

「けど……どうせだったらさ」

「やっぱり好きな人に使われたいですよ。役に立ちたい。
 オレを求めてくれる人が居たら嬉しい。
 オレだって大事なものを大事にさせて欲しい」

「オレはゴミだが悲しいことに心がある。嫌だね。
 
贔屓
が出来ちゃうから……情があんだよ」

「なくなったら嫌なものにしがみついちゃうんだよな」

みっともなくてすみませんね。
眉を下げて、へらりと笑った。
あんまり答えになっていなかった気もするが、
不安と欲求の種はこれなのだ。

「だからオレ、なんでもするんです」

人というには烏滸がましい。
でもゴミにも畜生にもなり切れない。
居場所にさせてくれる人が欲しくて、
型落ちの用済みになるのが不安だった。

#ReFantasma
(-243) susuya 2023/09/29(Fri) 23:33:42

【秘】 口に金貨を ルチアーノ → corposant ロメオ

「……そういうことかあ」

この化け物じみた努力ができる男がやっと人間らしく見えてきた。
自分から道具や畜生になろうとしたらこうもなるか。本当に涙ぐましい心意気と言えよう。

「俺もなあ、利用価値があれば捨てられんと思ってた。
 便利で都合の良い人間になることが自分の為にも周りのためになるとも思ってたんだ」

「……半分ぐらいそれで上手くいくんだがなあ?
 もう半分はどうしようもなくてな」

知ってしまったのだ、必要とされる喜びを。
本当に好いている人に求められる時間は有象無象の何かを超えた満足感が得られるということを。

「あと俺はわかりにくい嘘はつかない主義でなあ」

あの時の自分も、自分自身なのだ。
本心しか言わない、馬鹿ほど素直で、おかしくなった姿だ。

「……はー」

言ったことも本当にしたいことで嘘も一つもなくて。
ただ心配だったのはそこに貴方の心があったのかどうかだけ。
誰かに言われた一人だけという言葉が脳裏に浮かぶ。
確かに、こんな事を言う相手人生に二人もいてたまるかも思った。

#ReFantasma
(-246) toumi_ 2023/09/30(Sat) 0:01:17

【秘】 口に金貨を ルチアーノ → corposant ロメオ



「ロメオ、俺はお前が欲しい」
「なんでもしてくれ、代わりに俺も、なんでもしてやる」

そう、また誰にも見せたことがないような、小首をかしげる仕草に笑みを添えてやった。

#ReFantasma
(-247) toumi_ 2023/09/30(Sat) 0:02:26

【秘】 corposant ロメオ → 口に金貨を ルチアーノ

「え」

口からぽろっと零れたのは動揺の一音。

「……な」「なんで? 今なんて?」

それから疑問。
見た事無い仕草は、欲しかった言葉に添えられている。
理解が追い付いていない。確かに欲しいものを言った。
何故この場で、貴方からそれが与えられたのか。
これはめいっぱいに目を開いて驚いて、どっと汗をかいた。
嫌ではない。嬉しいはずだ。
与えられた言葉の一言一句は望んでいたものだ。
ただそれを、あまりにも簡単に貰ってしまったものだから。

「んで急に、 は? なんでもしてやるって言った?」
「オレに? いや、冗談なら……」「違、あ」「その」

「本気? マジで言ってる? オレだぞ? いや、あー」
「オレ別に見返りを求めてるわけじゃ……そうじゃない、
 分かってる。嬉しいんだけど、嬉しいんだけどさあ、
 使ってくれんの……? 欲しいの? オレを?」

誰にも見せた事無いくらい狼狽えた様子で、
それでも落ち着こうとしきりに後頭部をパシパシと叩いて。


#ReFantasma
(-250) susuya 2023/09/30(Sat) 1:02:31

【秘】 corposant ロメオ → 口に金貨を ルチアーノ

「……………………あの……」
「……クーリングオフ期間付けますけどお……」

「それ言われるとオレ本気にするんで……マズいから」

丁寧に飲み下して、本当に本気か、とそれでも問う。
言葉の杭が欲しいのは相変わらずだ。

#ReFantasma
(-251) susuya 2023/09/30(Sat) 1:03:25

【秘】 口に金貨を ルチアーノ → 花浅葱 エルヴィーノ

>>-214 >>-215

「あの二人は仲良くデートの約束だったんだろうよ。
 脱獄したのと、色々あってなあ。……まったく」

「なんだと……別にお前だけ、のためではないがあ……?
 まだ色々勘違いさせてるかもしれんな、ちゃんと話してやるからな」

わかりやすく嘘をついて照れ隠しをした。
隣に来ることを了承すればため息を付いて肩にもたれかかる。

「依存は、わからん。
 ……血の繋がりもないあいつらに、
 既に俺はしっかりと依存しているのかもしれんし」

「会っていいやつなんてそんなにいないが……?
 血の掟は聞いたこと無いのかお前、
 ……本当は警察と俺たちは会っちゃならん。
 関わることから禁じられてる、だから俺は……まあ」

(-257) toumi_ 2023/09/30(Sat) 2:18:43

【秘】 口に金貨を ルチアーノ → 花浅葱 エルヴィーノ

>>-214 >>-215 >>-257

「捕まるんならお前しかいないと思ってるさ。
 だけど簡単には捕まらない、
 それに大きな事をどうせなら起こすかもしれん」

この時点でもまた誰かをなぞっているだろうか。
それでも、何となく、いつかの終わりは来るような気がして。
永遠に平穏なんて続かないのを知っている。

「番狂わせを見せてくれるほど俺の幼馴染は面白いからな。
 その時は絶対逃げ切ってやる、覚悟してろよエル」

逃げ切るということは、俺はその手を拒む日が来るということだ。
生きることをやめようとするかもしれないし、すべてを投げ捨てているかもしれない。
いつかそんな日を迎えても、最後は貴方の顔を見たいと甘えている。
あの日からずっと、貴方は大切な唯一の幼馴染で、かけがえのない人なのだから。
(-258) toumi_ 2023/09/30(Sat) 2:20:09

【秘】 口に金貨を ルチアーノ → リヴィオ



「……本当に大事なんだな」

なんだか自分が警察にいたらそんな事を言っただろうか。
少しぐらい責任感がついて、後輩たちを思いやって、
格好つけて、無理をして、笑って、辛い姿なんて見せずに。

無茶をして、いつかその終わりを夢見て。
けれどそんな悪夢の中に貴方は囚われていて、助かり方が分からなくなっている。

「リヴィオ。
 俺は……お前が望まなくとも俺はお前の家族を調べようと思う。
 この間も言ったとおりな、だから。 
 今後、彼らについて知りたくなったら、
 見られるようになったら俺に声をかけろ。
 そして、一緒にぶっ飛ばしに行くぞ。
 お前が行かないなら一人でいってくる」

全く笑えない話を楽しげに話す。
もう死んでいるというのなら墓石でも蹴りに行ってやろうか、なんて。
(-260) toumi_ 2023/09/30(Sat) 2:48:42

【秘】 口に金貨を ルチアーノ → リヴィオ



「それまでは俺がたまに夢の番でもしてやる。子守唄を歌おう。
 声をかけてやる、お前は確かにその時は憎まれていたが……
 今はこんなに望まれて、愛されて、必要とされている」

「それを隣で教え続けてやる。友達として、ずっと変わらない」

俺はお前のことを本当に助けたいと思っている。
一人で助けきれない分は他の誰かの手をいくらでも使ってでも、
何人もの絆を用意してお前を勝手に何処かに行かせんと心に誓った。

「な、リヴィオ」

似た者同士なのだ、いつかの終わりを求めるものとして。
それを否定などしないが、せめて今はもう少し。
終わりの日が来るまで緩やかに、平和に過ごして、酒を一杯また飲もうじゃないか。
(-261) toumi_ 2023/09/30(Sat) 2:50:50

【秘】 リヴィオ → 口に金貨を ルチアーノ



ヒュッと、自分の喉から聞いたことのない音が出た。
翠眼は緩やかにさまよって、そうしてもう一度、君を見る。

「……止めても、無駄なんだろうね」

出来れば、知りたくない。そして、知られたくもない。
聞かれれば答える男ではあったが、
知らない答えまでは君に渡せないからこそ
そうするしかないのだと、理解はしているが。

声をかける日なんて、あるのだろうか。
知りたいと思える日なんて、来るのだろうか。

お互いにその領域を侵さなければ、まだ。
何も変わらず、今と同じ"平和"で居られるはずだって。
悪夢を見ることの何が平和か。
そうでないことくらい、もうとっくに知っている。

それでも別に、恨んでいる訳じゃない。
だって顔は知らない、声だけの存在だ。
亡霊を恨んだって何も変わることなんてない。

…だからこそ、


この苦しみを向ける場所はどこにもなかった。


(-278) sinorit 2023/09/30(Sat) 5:52:44

【秘】 リヴィオ → 口に金貨を ルチアーノ



望まれて生まれたかった。
愛されて生まれたかった。
必要とされて生まれたかった。

ずっと、ずっと──生きていくのが、苦しかった。

涙は出ない。泣き方の辞書なんてとっくの昔に置いてきた。
代わりに浮かぶのは、泣きそうなほど顔を歪めた笑顔だ。

俺は要らないものだった。もうずっと、昔から。
ようやく手に入れた居場所でも結局また、
必要とされない、価値のない存在だった。
それでも生きてきたのはきっと、
本当は誰かに、その言葉を否定して欲しかったのだろう。

夢は終わらない。
これからもまだ、変わらない時間が続いていく。
それでももう少し、生きようと思えたのは───。


「……本当に君は、俺のことが……好き、だね」

破滅この願望はきっと消えない。
いつかにきっとまた、終わりを求めてしまうのだろう。
それを否定されることは望めないし、変えられない。
それでもまだ少し、あと少しこれから先の未来を、
友人と、君達と、緩やかに、平和に過ごすとしようか。

「……ここを出たら、酒が飲みたい気分だ」
(-279) sinorit 2023/09/30(Sat) 5:55:54

【秘】 口に金貨を ルチアーノ → corposant ロメオ

「あの日にあれだけ言ったのに……。
 信じてくれてなかったのかあ?」

態とらしく落ち込んだ口調で呟けばふいっとそっぽを向いて口の端を機嫌よくあげた。
ああやっぱり少しはあるんだな、好感が見えるその姿で優越感に浸れてしまう。
この男がなにかに慌てふためくところなんて見たことがなかった。
もう滅多に見られないだろうがそれでも嬉しいものは嬉しい。
だから、誰かのものになってしまう前に欲しくなるのは仕方無いじゃないか。

「使ってもやるし、褒美もやる。
 出来るだけ寂しがらせんが、俺が寂しがったらなんとかしろ。
 お前が良いんだよ。傍に居るだけなら誰でも良いが
 それでも、俺の"相手"ができるのは、本当に都合がいいお前ぐらいしかおらんのだ」

たとえそこにどんな感情があるかわからなくとも、
確実に自分の役に利益になる物を手元に置きたがるのが俺だ。
大金よりもっと価値がある、そんな男が眼の前にいるのだから。
やはりこの口は口説かざるを得ない。そういうことにした。
そういうことにしておかないと、今まともに顔を合わせられない気がした。



#ReFantasma
(-280) toumi_ 2023/09/30(Sat) 6:56:19

【秘】 口に金貨を ルチアーノ → corposant ロメオ

「……それともお前は。
 この色男のことを遠慮すると?」

「そうというのなら、勝手に一人で歩いてくたばるかもなあ。
 俺はそのせいで何人もの人間が悲しもうと気にしないぞ。
 身勝手で自由気まま放蕩息子で銘打ってるんで」

きっとその時は、また誰かのように念入りに準備をして、何かをやらかそうとするのだけれど。
今はそんなことは関係なく。
ただ、裏切ることの許されない約束がそこにかわされるかだけ。

「なあ。俺を欲しがってくれよ、ロメオ」

#ReFantasma
(-281) toumi_ 2023/09/30(Sat) 6:59:33

【秘】 花浅葱 エルヴィーノ → 口に金貨を ルチアーノ

>>-257 >>-258

「違うの?
 それなら勘違いした僕が悪かったかな」

知らないことはたくさんあっても、その性格位はよく知っているつもりだった。
幼馴染が照れているのも、嘘をついているのもわかったけれど、その言葉を額面通りに受け取って、表情を緩めて笑う。
怪我のない左肩にあなたの頭が置かれれば、その頭を左手で柔らかく撫でた。

「……居ないの?
 血の掟は知ってるけど……あまり守られて無くない?」

これはあなたのことを言ってるわけではない。
事実、マフィアと関係を持っている知人が周りに多いのだが、男はその事をよく知らない。
あなたとの関係を外に漏らすことがなかったのは、掟に裁かれることがないようにと、勝手に配慮していたことだった。

(-282) eve_1224 2023/09/30(Sat) 7:37:13

【秘】 花浅葱 エルヴィーノ → 口に金貨を ルチアーノ

「…………逃げ切ってくれなきゃ、困るよ」


呟かれた言葉が、あなたの耳に入ったかはわからない。
男は本来、正義感なんていうものはあまり持ち合わせていない。
あなたを捕まえると豪語する理由は、たった一つだけ。

あなたを警察に渡す気はない。


ただ、それだけだった。

恋愛感情なんて、とうにない。
だけどその重い鎖が切れることも絶対にない。
すでにそんな感情は超越して、重く歪んでしまっている。

それでもはっきりと、僕はキミに愛していると告げることが出来る。
何だって出来る。
死ぬことだって別に怖くないのだ。
あなたに幸を与えられれば、それだけでいい。

これはだって、僕に出来る、最大の我儘なんだから。


花浅葱の瞳が、遠い異国で知られるダンダラのようだ。
そこに『忠愛の誠』が存在しているというのなら、
その相手は決して、警察へのものではなかった。
(-283) eve_1224 2023/09/30(Sat) 7:40:36

【人】 口に金貨を ルチアーノ

からん、と靴の先で何かを蹴った軽い音がする。
繊細なグラスに罅が入ったそれは、何の変哲もない眼鏡であった。
裏路地をただいつものように歩いていた男は首を傾げつつも、
それを上着のポケットに入れてそのまま先へと歩んでいった。

「……、何かいるなあ」

漂ってくるのは慣れない鉄の香りだった。
鼻が利く犬でなくとも想像できてしまう程の量が流れていることがわかる。
すえた匂いはしない、まだ時間があまり経っていないのだろうか。

さらに足を向ける。
ここは自分のシマの傍だから、治安は正しく守っていかねばならないと。

#AbbaiareAllaLuna
(92) toumi_ 2023/09/30(Sat) 7:53:53

【独】 口に金貨を ルチアーノ

「ああ」

目に入った赤。ついでに白と黒。最近よく縁がある配色だ。
この眼鏡もその男の持ち物であったな、と漸く思い当たった。
男の持ち物など覚えて居られなかったから、少しすっきりしたような気持ちになる。

「そうか、お前さんかあ。イレネオ・デ・マリア」

それは酷く冷静で、まるで笑みを携えるような穏やかな声で。
暫く他人事のようにその死体を見つめていれば片手で携帯を取り出し連絡をする。

『……ラウルだな? ゴミが落ちてるんで片づけに来てくれ。
 ああ、絶対誰にも見つからん場所に片づけろ』

その言葉に、同情も憐憫も慈しみの欠片もありはしない。
誰かの縁も絆も配慮する心も用意などはしていなかった。

#AbbaiareAllaLuna
(-284) toumi_ 2023/09/30(Sat) 7:55:40

【独】 口に金貨を ルチアーノ

「さて、……酷い有様だ、右手はぐっちゃぐちゃだな。
 誰がやったんだ? 直ぐには思いつかんな、恨みが多すぎる。
 大方上が殺し屋でも雇ったか。
 まあなんとも、絶対に死ぬようなことばかりしかされないで。
 顔見ておくか……あ、駄目だこりゃ」

黒いずた袋にその遺体を入れるまで、男はもうしばらく辺りを見回った。
見つけたのは比較的綺麗なままで切り落とされ転がされた、左の手首だ。
持っていけるのはそれぐらいであった、しかし、さて。

「……んー。これを土産に持っていくのは趣味が悪いか」

そうしてやってきた男の部下により遺体は瞬く間に片付けられ。
争いの形跡は最小限に隠滅させられ、残ったのは黒く染みついた血の跡だけ。
結局、小さなずた袋も一つ用意された。

#AbbaiareAllaLuna
(-285) toumi_ 2023/09/30(Sat) 7:59:45

【人】 口に金貨を ルチアーノ

路地裏の前に用意された二台の車のうち、大きな黒いずた袋を乗せた車が男を乗せずに何処かへと向かっていく。

「うちの犬も仕事が早くなったなあ。
 猫が関わらなければ本当にいい仕事をする。あ。
 ……今日は猫にすれ違わんかったな、エキスパート失格か?
 まあいい」

車が向かう目的地は知っている、だが自分がそこまでついて行ってやる気もなかった。
そこまで自分達は仲もよくなければ情もない。
俺の方で悪かったな、クソガキ。だが別れの挨拶ぐらいは送ってやろう。


Notte notte e sogni belliおやすみなさい、良い夢を,
 それでは御機嫌よう」

#AbbaiareAllaLuna
(93) toumi_ 2023/09/30(Sat) 8:05:00

【置】 口に金貨を ルチアーノ

路地裏を縄張りのように歩くどら猫は、常に不幸の傍に、何かを奪って去っていく。

どら猫は気にしない、悪意に手を染めることも。善が尊ばれないことも。
そこには常に理由があり、誰かの利益の為に何かが淘汰され続けている。
世界は独りに優しくなく、価値がわからぬものに救いなど手に入らない。

そんな現実をただ見て歩き、通り過ぎてゆくだけの人生。
仕組みさえわかってしまえばそこまで悪い物じゃあない。

今日も男はその道を歩く、止めてしまえばそれこそ生きることをやめてしまうのと同じだから。

#AbbaiareAllaLuna
(L2) toumi_ 2023/09/30(Sat) 8:06:24
公開: 2023/09/30(Sat) 8:10:00

【秘】 corposant ロメオ → 口に金貨を ルチアーノ

「や」「う……」「は? ズル……何?」

ぐう、と色々を噛み殺した声。
言葉の合間合間に挟まるのは返事にも満たない、
口の中だけで完結したもごもごとした言葉。

急にそんな事を言うのもずるいし、
あの日を引き合いに出すのもずるい。
あれはあの日の頼み事の通りにしただけで、
あの時だけだと自分に言い聞かせてきたのに。

恋でもない、愛でもない、けれどただ本当に好ましかった。
確かに期待をしたのだ。
所有してくれるかもしれないと思ったのだ。
尊敬していた。信頼があった。心を許していた。
この人の頼みなら本当に何でもできると思っていた。


だけど自分から手を伸ばせない。人畜生にその権利はない。
せめて道の行く末がどうか善きものになるようにと、
自分はずっとその手伝いをしていようと思っていたのに。

「……遠慮ぉ…………?」

喜んでいる筈なのに、
きっと自分は今随分苦しそうな顔をしているんだろう。


#ReFantasma
(-300) susuya 2023/09/30(Sat) 10:41:49

【秘】 L’ancora ロメオ → 口に金貨を ルチアーノ

「そんなの」「そんなの許されるんならしませんよ」
「そんな事もさせませんよ、
 あんたが居なくなんのが嫌でこっちは、」「……はあ」

噛みつくみたいにそう言って、深く息を吐く。
都合よく誰かの岸辺にある船のようなものでいたかった。
これからもきっとそう在る事は変わらない。
けれど、錨を降ろすのはここがいい。そうしていいのなら。

心の裏側を焦がされるような後ろめたさは今は無かった。
きっと自分がこのままでいいからだ。
これはあの時とはまた別の『許し』だった。

「……欲しがっていいなら」
「そうします。遠慮なく」

裏切るだなんて、可能性の欠片もこれには元より無い。
波の音がやけに遠く感じた。

#ReFantasma
(-301) susuya 2023/09/30(Sat) 10:45:33

【秘】 口に金貨を ルチアーノ → 月桂樹の花 ニコロ

「精神的な方だな、怪我もして余計に弱る。
 お前に会うときも格好つけたがる、
 それが上手くできないと落ち込む、完全に悪循環だ」

どうして自分たちの気にかける彼が落ち込むのか丁寧に説明をする。
理由なんて詳細にはしらないのだ、それでも表面で見えることだけでもある程度の推測はできて。

「破滅云々はしらんが、俺がそうだからよーくわかる。
 こういうときは一人がいい。
 だけど、……誰かに来てくれると救われる。
 そして少しでも自分の事を好きなやつの声が聞けるだけで前を向ける。
 お前が、絶対あいつを離さないってんなら。
 早く怪我を直して引っ張れるぐらいになってやれ。
 無理やりじゃないぞ、全部同意でな。
 ……お前は俺の幼馴染になんとなく似てるからアドバイスだがー」

「簡単に幸せや生きがいを与えられると思わんことだ。
 自分が幸せになって、迷わなくなってから、
 ようやく他人に幸せを与える余裕ができる。

 それができないなら背伸びせずに一緒に歩け、以上。行くぞ」

そういって貴方の痛むであろう体を無理やり持ち上げる。
薬のせいでおかしくなってるかはしらないが、運び出さなければ意味がない。
肩を貸すか、歩けもしないのなら背負って外に向かおうとするだろう。
(-303) toumi_ 2023/09/30(Sat) 11:48:34

【秘】 口に金貨を ルチアーノ → 花浅葱 エルヴィーノ

>>-282 >>-283

「悪くは、ない……いや……。
 今思えば本当にお前以外見てなかったのが恥ずかしいんだ。
 子供の頃は全部お前優先にしてたから……」

その頃から向けている感情は変わらない。
大事なひとつ下の幼馴染、歳の違いなんて気にしないで。
一緒にいられるために周りの媚を売れた、文句を言ってくるやつの排除もした。
その時から貴方に対する感情はとっくに歪んでいた。
愛でも恋でもなくて、きっと純粋な友情ではなくて、それでも失いたくないものだった。

「まあまあ……守られてるぞ。というか隠されとる。
 厳格に気にしてるのは俺より上の立場のやつだ。
 下の輩はすこーしだけ緩いんでね」

今の地位を保っていたのも、貴方との交流を咎められないためもあった。
血の掟を交わしてしまえば自分はきっとそれに従うようになる、
貴方に会うなと言われるのまでは良い、殺せと言われたらどうすれば良い?
そんな日が訪れてしまうぐらいなら、きっと自分は此度の騒動のような大事を起こさないと言い切れないのだ。
世界と貴方を天秤にかけて釣り合わせることが出来る。
今はそれが落ち着いているからこんなに穏やかでいられるけれど。

(-304) toumi_ 2023/09/30(Sat) 13:20:38

【秘】 口に金貨を ルチアーノ → 花浅葱 エルヴィーノ

「……
俺はマフィアだからなあ


愛してる、誰にも言えないと思っていた言葉。
あなたにかけられたとき、そのままそっくり返せると思った。
あの牢屋で揃いの首輪をつけられて、
確かにその言葉に懐かしさと切なさを抱いてしまったから。

何だってできる。
死ぬことだって別に怖くない。
貴方が幸せであれば、それだけでいい。

これは我儘なのか? 俺はいくらでもし続けていたいのに。
終りが来るその日まで、穏やかに笑っていたいだけだったのに。
(-305) toumi_ 2023/09/30(Sat) 13:21:48

【魂】 口に金貨を ルチアーノ

>>-304 >>-305
「……エル」

貴方を誰かに渡したくなどない。
とうに、恋愛感情など抱いていないが。

なんであんな奴に大切な幼馴染をやらなくちゃならんのだ。
それなのに、どうして、
これ
が大切だと思ってしまうのだろう。

この手を離されてしまう、きっと約束以外の心は遠ざかる。
真に俺の手から零れ落ちていくのだと思い知らされる。

「……」

好きだから、貴方が望むものがわかってしまう。

本当に、俺は、誰かの傍にいるだけで何かを奪ってしまう人生を送ってきた。
それでも歩いて進んで、知るものかと。自分の為に生きてきた。
罰をくらうというのなら、今日今この瞬間なのだと思っている。

身体を改めて離せば、
貴方へと紙袋に入っていた小さな包を一つ渡した。
そこには何の変哲もない片方のレンズが割れた眼鏡が入っている。

「見舞いだ、受け取れ」

その声は冷たく。
貴方が望むような幼馴染の声ではなかったかもしれない。
(_4) toumi_ 2023/09/30(Sat) 13:29:35

【秘】 花浅葱 エルヴィーノ → 口に金貨を ルチアーノ

>>-304 >>-305 >>_4

「……ちゃんと気づいていればよかったな」

そうしたらこんなすれ違いなんて、最初からなかったろうに。
あの頃は純粋に幼馴染を慕っていたのだと思うけれど、重い感情に不快感を示すことなどきっとなかっただろうと思うし。

今思えば、初恋はラーラではなかったのだ。
ラーラを好きになって、想いを告げた日。
「私はルチアーノが好き」だと言われ抱いたのは、ラーラに対する嫉妬心だった。
ラーラに振られることよりも、ルチアーノを取られる事が、嫌だった。
それは友情の域をゆうに超えていると指摘できるほどに。

「ふぅん。
 そういえばルチアはまだ血の掟は結んでないんだったね」

それをきちんと守って初めて上に上がれるというのなら、本当は自分たちは会わないほうが良いんだろう。
でもそんな事、出来ないよ。
もう疎遠だった頃みたいには戻れない。
あなたがずっと無事であるように手を回して、見守っていたいと思っている。
あなたの心が、悪いものに囚われてしまわないように。

(-310) eve_1224 2023/09/30(Sat) 15:52:35

【秘】 花浅葱 エルヴィーノ → 口に金貨を ルチアーノ

>>-304 >>-305 >>_4 >>-310

「なにそれ、わかってるよ」

あなたがマフィアであることは、ちゃんと。

でもこの時、まだわかってなかったんだ。
あなたの愛の重さもまた、とっくに歪んでしまっていたんだって。
すれ違った重すぎる心は時に、鋭い刃になって互いを傷つけ合う。

けれども。
その原因を作ってしまったのは、紛れもなく、何も知らなかった愚かな自分だ。

(-311) eve_1224 2023/09/30(Sat) 15:53:43

【秘】 口に金貨を ルチアーノ → Il Ritorno di Ulisse ペネロペ

>>5:-513

「知るか、お前には聞きたいことが沢山あったんだ。
 だけどなあ、聞くよりも調べてやった方が、
 "嫌な顔"が見れると思ったんでね」

楽しげな様子なのには少し首をかしげたが、
本当に嫌な様子は見えないので内心はほっとしていた。

「そうだな、覚えてる分を除けば今後も
お前の名前
だけは覚えておこう。
 そろそろ女の名前を覚えるだけで手一杯だったところだ」

全てが貴方自身なのだろう。
そして見えないそこにも貴方がいる。
それをしっかりと自覚できればもう不安なものはない。
いくらでも探してみせるし、いくらでも覚え続けてやる。
人は変わるものと変わらないものがある、
それがちょっとオカシイのが目の前の奴というだけだ。

「大盤振る舞いだな? どうした、今度槍でも振るのか。
 終わったらカンターミネとも食事をする出所パーティーでもする予定なんだ。
 さっさとこの優秀な情報通が解放されるのを待っていてくれよマイハニー」

貴方が自分に向ける感情も自分が貴方に向ける感情も、
何かと比べれば些細な者で、それでもかけがえのない唯一のもの。
逃がそうとしなければ、執着もそこそこに。
犬とはまた違う方法で、猫らしい男は貴方を見つけ続けるのだろう
(-313) toumi_ 2023/09/30(Sat) 16:26:06

【秘】 月桂樹の花 ニコロ → 口に金貨を ルチアーノ

「そっか。
ああいや、無理に会おうとは思ってねえよ。」

素直に貴方の言葉を聞いて。
頷いている。

「ハハ、手厳しいな。
無理矢理引っ張った覚えはないが、心に留めておくよ。
…幸せで満ち溢れた人間なんて居るのかね。」

自分の幸せなど長らく考えていなかったから
そんな風に零す。

無理矢理体を持ち上げられると
痛みに呻くだろう。

肋骨と足が特に痛むが
肩を借りれば何とか気合いで動くことは出来そうだ。
(-315) ぴんじぃ 2023/09/30(Sat) 17:01:28

【人】 口に金貨を ルチアーノ

薄く太陽に陰りをもたらす空の下。
ルチアーノは片手にブーゲンビリアの花束を持ち何度も足を運んだガレージの前に居た。
そこに同じく見飽きるほど身近に感じていた赤のフィアット500チンクェチェントが収まることは二度とない。

鍵のかかっていない扉を開ければ真っ直ぐいつもの場所へ。
ここは誰が入ってくるかもすぐわかる席で、カウンターに立つ長躯も良く見えた。


「あんたにじゃないぞ」


花束を置いてから店をじっくりと見渡して、一つ息を吐く。
もうこの空間が無くなるのは時間の問題だ、珈琲は飲めなくなるし、皆でたまに顔を合わせた時間もなくなる。
暫くしてからテーブルにうつ伏せ目を閉じた、ここでもやっぱり眠れそうだ、今はとても疲れていたし誰も来なければ許されるだろう。

何処か穏やかな気持ちで別れを受け入れることができている。
怒りや殺意がないとは言わないが、楽しそうであったのだ、
そんな男の姿が見れて自分が嬉しくないわけがない。

ただ今は静かに休んでいたい。
大好きだったこの場所で、彼の愛したものへの想いが籠もったこの場所で。

#Mazzetto
(94) toumi_ 2023/09/30(Sat) 18:15:27
ルチアーノは、「爆破でもしてやろうかと思ったんだがなあ」#Mazzetto
(a33) toumi_ 2023/09/30(Sat) 18:15:48

【秘】 口に金貨を ルチアーノ → L’ancora ロメオ

「ズルいってなんだ、変なやつだな」

この空いてる距離が少しもどかしいな、
普段なら丁度良いと思えるのだが。
貴方が手を差し伸べられないというのならまた一歩近づいてやろう。

もう、あなたの言葉からは問題ないと思ってはいるのだが。
触れ合ってやるのもいいかと思って。

「俺はこの間のことで引かれてないかと心配していてな。
 そんな様子もなかったんで、もう、いい。我慢をやめた」


#ReFantasma
(-332) toumi_ 2023/09/30(Sat) 19:21:43

【秘】 口に金貨を ルチアーノ → L’ancora ロメオ

「もう俺には遠慮はいらん」

同時に貴方にだけは遠慮をやめよう。
諸刃の剣かもしれないがなんとなくうまくいく気はしている。
現に、何も気にせず話せるような友人たちはできたのだ。
ほんの少し秘密や頼み事が多い縁であるだけ、
たまに、ティラミスを溶かしてしまうかもしれないほどの。

「俺はお前に……楽にして欲しい。
 それでいて、お前を大事にしてやりたいと思った。
 本物の役立たずゴミになるまでは俺の宝だぞ?
 そうならないようにするんだったら、」

「俺を離すな、幾らでも求めていい」



「そうしたいほどお前のことが好きだ」

顔を覗き込むように貴方を見上げ、変わらぬ笑みを携えて。
波の音に混ぜるように言葉が、どれほどシンプルでも通じるだろう。
自分はもうこれ以上ないほどに信頼してしまっているのだ。

#ReFantasma
(-334) toumi_ 2023/09/30(Sat) 19:23:16

【秘】 口に金貨を ルチアーノ → 月桂樹の花 ニコロ

「会うのは平気だ、どうせいつになっても変わらん。
 ただお前が励ましてやればいいんだよ」

ただ知ってると知らないでは気遣い方は変わるだろう、と。
貴方が貴方らしくいるのが誰かの救いになることは自分が良く知っている。
現にこうして自分達も仲良く話せているのだから。

「……無理やり引っ張ってない、ねえ?
 心中までしそうだったやつが言っても説得力はないな。
 俺にも警戒心を見せてきてた奴が何を言ってるんだか。

 相当な感じだったぞお前らは、今はぼこぼこにされて気が抜けてるのかもしれんが」

今は力が抜けたか? と笑いかけてやって。そのまま外に運び出す。
車に乗せれば病院に行くだけ。あとは自力でやれ俺は帰る、と言いながら。

「そんなの早々いるわけねえだろお。
 だからなー、高望みするなってことだ。簡単にできやしない。
 それでもいつかそんな日は来るって望むぐらいで丁度いい」

「お前も早くそうなって俺を安心させてくれえ」
(-340) toumi_ 2023/09/30(Sat) 19:59:27

【秘】 L’ancora ロメオ → 口に金貨を ルチアーノ

「……ズルいでしょ、だって」
「引いて無いよ……オレだって、嬉し、かったし」

いつか貴方に齎した甘言の分が返って来ているような心地。
本当に欲しい言葉を、貴方は全部くれていた。
一歩分の足音に、近付いた距離に、
いつの間にか足元をうろついていた視線を上げる。
その拍子にころりと一滴だけ、涙の粒が零れた。
泣いたのは久しぶりだった。何年泣いていなかったろうか。
涙の出し方を忘れていたようで、たった今思い出したようでもあった。


「……宝なんて」「初めて言われた」

ぱち。また目を閉じる。また零れる。
白い砂に吸い込まれて、涙の粒は消えていく。

「オレにね、そんな事言っちゃダメですよ。
 本当にそうなるんだからさ……」

ゆるりと貴方の右手を掴んだ。
両手で手のひらを持って、強く握るでも握手をするでもない。
緩く握って、指の形を確かめて、手の甲を撫でて。
手のひらを揉んで、それから包んだ。

それから恐る恐る貴方の顔を見て。
「あは、」と蕩けるみたいに笑った。
初めてこんな笑い方をした気がした。

#ReFantasma
(-346) susuya 2023/09/30(Sat) 20:36:43

【魂】 口に金貨を ルチアーノ

>>_5

「……」

若干驚いたように体を揺らしたが文句は言わなかった。
遠くから駆けつけようとする看護師に手を振って、
大丈夫だ、と口元に人差し指を当て笑ってみせる。

貴方の背中を撫でつつ、優しく軽く叩けば、
ゆっくりと息を吐くように促していく。
自分たちに向けられていた視線は段々と減っていき、
また此処は二人きりとなった。

「驚くじゃないか、……まあ。俺の用はこれでおりだ。
 ……まだ片付けないとならんことがある。」

目を伏せて。開けて。貴方を見つめる。

「お前は立てるか?」
(_6) toumi_ 2023/09/30(Sat) 21:05:01

【秘】 月桂樹の花 ニコロ → 口に金貨を ルチアーノ

お前がマフィアだってこの間まで知らなかったんだぞ。

警戒もするだろそりゃ。法律が施行されてる只中だったしさ。」

マフィアというものを身に染みて知っているから
例え友人だろうと警戒したのは許されたい。
それをリークしたのは彼のアリソン女史なのだが。

「心中って、そんなにか…?
今は、まあ、そうだな。
そこまで思い詰めたりはしてねえけど。
いってえ。ちょ、ヤバイ、いてぇ…!」

あちこち骨折しているせいで
ぎゃあぎゃあ喚きながらも車に押し込まれた。
全治するにはかなりの時間を要しそうだ。

「…頑張って探してみるさ。
アイツの手を引っ張ったんだからな。
そのくらいは、やらねえと。」

男としてダサいだろう、と思うし
引っ張った責任もある。
貴方の言葉に頷いて、最後に。

「今度カンターミネ…いや、先生と飯行くんだけどさ。
お前も来いよな。」

何処かの先生が巻き込んだお食事会。
貴方も来るだろう?と笑う。未来の約束だ。
(-358) ぴんじぃ 2023/09/30(Sat) 22:24:32

【魂】 口に金貨を ルチアーノ

「知るわけ無いだろう他人が死ぬ理由なんて」

貴方を突き放すような言い方であった。
過去の亡霊になど囚われてほしくない、されどこの胸のつっかかりが酷く痛みはじめている。

「……殺し屋のような連中に殺されていた。
 無事な部分なんて残ってなくてな。
 持ってこれるのがこれだけだった」

本当は手首もあったが、これはボスへの手土産だ。
わざわざ入れなくとも良いだろう情報以外素直に告げてやる。
値段はただで、入院中で幼馴染の貴方へのサービスだった。

その実、便利屋として確実性のある情報などどこにもなかった。
目の前の幼馴染は彼が殺された理由が知りたいのだ。
知るわけがない、過去に恨まれることがあったのか。
痴情のもつれか、私怨か、ファミリーからの刺客か。

何も理解なんてしてやらないしわかりたくもない。
(_8) toumi_ 2023/10/01(Sun) 0:22:56

【魂】 口に金貨を ルチアーノ

「エル」

だけど自分は貴方には優しく語りかけてやる。
もうきっとその心はボロボロで、自分が何もせずとも傷だらけ。

「この世に死んで良い人間なんて早々いない。
 奴のことは本当に
わからない
、だから。
 こうして彼のものが残ってたことも、運が良かったと思ってくれ」

いつか、彼の罪というものが誰かに提示されるのであれば。
俺だってそれを知りたいぐらいだ、この事件で本当に罪を犯していたものがどれぐらいいたのか。
彼は本当に私刑ではなかったのか、証明できたものはいたのか。

ただ唯一わかることは。

「ただ、そうだな。
 間違えたんじゃないか」

その方法を。信じるものを。取るべき行動を。
何かを間違えた、殺されてしまった理由なんてきっとそれだけ。


「…………。エルが無事で良かった! 心配したんだ。
 俺はお前まで居なくなっていたらどうしようかと」

あなたの背に手を回し抱きしめれば、穏やかにリズム良く宥めるように動かして。
そうして何度も何度でも、優しいあなたの幼馴染は嘯いた。
(_9) toumi_ 2023/10/01(Sun) 0:31:44

【神】 口に金貨を ルチアーノ

金の出費が激しいなあ、アレッサンドロ


赤字にならないスレスレを狙った被害。
既に片付けられつつも瓦礫が残る爆破された場所は風通しが良くなって外の爽やかな空気をアジトへと迎え入れる。

負傷による人員の損失だけが一番デカいと感じる、
労働的にも、精神面のフォローに関してもだ。

「無駄遣いのし過ぎなんだ、最後の祭りだからって。
 せめて旨いもんを部下全員に奢るぐらいしてからいけ」

#アジト
(G7) toumi_ 2023/10/01(Sun) 2:10:08

【神】 口に金貨を ルチアーノ

>>G8 ペネロペ

「忙しくなるなあ、ペネロペ。
 ……今回の件で俺の取引相手お友達も半壊なんだが?
 ヴィットーレの店も建て直さなきゃならんし」

同期の声に体ごと視線を向ける、ここ最近は長く見慣れたはずのその容姿がなんだか久し振りに見えた。
それ程までに駆け回っているし、話題の男の残した仕事の後始末が何処をとっても忙しいのだ。

「全く、散歩する隙も無くなりそうだ」
「そうだお前さんは何か報告はあるか?
 俺は言っておこうかと思うことが一応ある」
(G9) toumi_ 2023/10/01(Sun) 2:55:55

【神】 口に金貨を ルチアーノ

>>G10 ペネロペ

「当分それもお預けになるだろうな。
 どうしても耐えきれなかったら車出してくれ。
 お前も気晴らしに色男の子守唄が聞きたくなったらすぐに言え。
 今ほしいのは時間だね、なにもしなくても良い時間だ」

いつものように怠惰を望む。
ドライブもすぐには叶えられないことだとはわかって貴方には甘えている。
それでも随分前よりはあっさりとした声で、そこに執着の色はなかった。
  
「俺はなあ、ファヴィオを撃ってきた。
 あと幼馴染が年単位で病院の厄介になるほどの重症。
 それと……ああ、イレネオが死んでたから捨ててきた。
 牢屋で過剰な暴行騒ぎがあったの知っとるだろ、被害被ってるのはヴィットーレとカンターミネだけだが報告いると思うかあ?」
(G11) toumi_ 2023/10/01(Sun) 4:45:49

【神】 口に金貨を ルチアーノ

>>G12 ペネロペ

「酒の金は出してやる、お、ロメオか。いいんじゃないか。
 あいつもこれを機にちっとは昇格するかね……?
 俺が上がりすぎそうになったら推薦して仕事増やしてやる。
 同じぐらいに居て貰わんと困るんだ」

貴方に対しては煽りになるような昇格の軽口がロメオに対しては真面目に考えているような口調で振舞う。
此方の話題の彼は自分達とは違い昇進を望んでいるのかもしれないし、結局はこの男の都合かもしれない。

「さあなあ、イレネオという男は存外真面目だったぞ。
 俺は嫌いじゃない価値観をしていた。
 ただそれが大衆受けするようなもんじゃなかったのと、
 童貞らしすぎたのが問題かねえ!」

少々雑に評価しているのは私怨が混ざった結果。
真実なんて知りたいと思わなかったが、それでも、必要になったら思い出してやろうと思う。
そんな奴に幼馴染が心奪われてるなんて思いたくもなかったし言いふらす気にもなれなかったが。
(G13) toumi_ 2023/10/01(Sun) 5:52:19

【神】 口に金貨を ルチアーノ

>>G13

「あいつはなあ……一緒に来るかと言われて、断った。
 そして殺し損ねた、次はロメオと仕留めてくる。
 外国混じりの挨拶をしやがって……、また明後日なだとよ」

明後日、そんな日は来ない癖に。
自分たちにとって五年など一瞬だったことのように彼は語っていたような気もする。
嫌な話である、早く静かに墓の下に入っていて欲しいと願うその表情は何処となく穏やかだ。

「まあ確かに。
撃てると思った理由はまた別なんだが。

 お陰で頭もすっきりで変なもんは見えんくなった。
 やっぱり面倒事を断つにはぶっぱなすしかないのかね?」

恐ろしく冷静にそこに愛憎なくとも淡々と告げる姿は珍しいものかもしれない。
件のファヴィオに対しても、ついでに言えば黒眼鏡に対しても既に心から完全な死を願ってお悔やみ申し上げようとしている。

尤も端から失うことが苦手だっただけで、
死によって与えられるものがあると知ってしまえば
その価値観は上書きされるぐらいに素直な人間であったのだ。

誰かに似ているとはあまり自分からは考えたくなかったが。
結局は自分の手で始末がつけれてしまえばそれですっきりするような性格だったのかもしれない。
(G14) toumi_ 2023/10/01(Sun) 5:56:07

【秘】 口に金貨を ルチアーノ → L’ancora ロメオ

「今度からはいくらでも聞かせやれるぞ。
 俺は酔ったら口が滑る」

別件でもあまり見せてなかったか、と酒飲みをする知人達を思い出す。
確かに自分は年上とばかり飲んでいた気がするし、目の前の同僚には少し格好つけばかりしていた。
あまり隠しているつもりはなかったのだが。一応は。

一瞬だけ目を離しかけた時に貴方の瞳から零れる涙に視線が奪われてぎょっとする。
何度目だろう、このシチュエーションは。
ここ数日で何人の人間を泣かせてしまったのか片手ほど行きそうなことに、自分でも困惑してしまう。
そこまで女性を泣かせた記憶もないのだ、ましてや成人男性も。

「え。だ、大丈夫か……? だってお前が変なことを言うから。
 こんなに最高の男がゴミ畜生ならこの世界に居る人間の大半は一体何なんだ。
 チリかカスとでも名乗らせればいいのか、結構な言い分だぞ。
 自己評価を少しは改めろ、直ぐに変えろとは言わんがお前ならできるだろう?」

#ReFantasma
(-375) toumi_ 2023/10/01(Sun) 6:21:58

【秘】 口に金貨を ルチアーノ → L’ancora ロメオ


「たとえそこにあった人生が薄汚れたモンでも
 俺が磨いて誰にでも認められる存在にしてやる」

掴まれた右手が撫でられ、弄られ、包まれて、まるで大事なもののように扱われる。
なんだか不思議な既視感を感じるのだが、貴方のその表情で憂いはないし、余計なことは消え去った。

そのまま少しだけ体を傾けて、その指先に口づけを落としてやる。


「俺の隣に居るのならそれぐらい、な」


いかないで、傍にいて、置いていかないで。
あの日に言った弱音がまた頭に過って、今は格好つかないと飲み込んで笑い返す。
不安に思っていたことが同じだったとわかってしまえば、もう全て受け入れてしまえばいい。
そして、いつかのその日は――何処までも一緒に連れて行ってしまおうと一人で決めて。
答えは分かり切っているのに、断らないで欲しいと願うのだ。

きっと誰かには文句は言われるだろうが、仕方ない。
みんな俺に気に入られる程価値がある光っているのが悪いのだ。



#ReFantasma
(-376) toumi_ 2023/10/01(Sun) 6:22:28

【秘】 L’ancora ロメオ → 口に金貨を ルチアーノ

「へ。なんだそれ、酔ったあんたに褒めちぎられるって?
 それも面白いかもなぁ……」

今まで生きていた分よりお釣りが出るくらいに、
これからも貴方に言葉を貰うのだろうか。
それもそれでむず痒い話だった。
粒になって転がる涙はすぐに止まって、
自分でも不思議な気持ちになった。
目尻を手で拭って、スン、と鼻を鳴らす。

「や……これ嬉し泣きなんで。オレ泣けたんすね、初めて知った。
 俺がゴミなのは……多分元からだし……」
「直せって言われるなら直します。うん」

「あんたが磨いてくれるなら、もうゴミじゃないな」

指先に落ちる口付けを見て、口の端をきゅっと上げて笑む。
気持ちが落ち着けば言葉は素直に受け止められるようになっていた。それでもまだ、不思議な気持ちはあるけれど。

嬉しかった。なんだか自分の今までが、報われてしまった気分だ。
自分は人畜生だけれど、大事にリユースしてくれる人がいるらしい。
それなら一層報いたい。応えたい。

「……ね、ルチアーノさん」


#ReFantasma
(-383) susuya 2023/10/01(Sun) 11:44:56

【秘】 L’ancora ロメオ → 口に金貨を ルチアーノ

「こんな色男に拾われて幸せだよ、オレ」
「首輪でも付ける? アハハ……」

くい、と貴方の手を引いた。
もう少しこの海辺を歩いていたかった。
ロメオはどこか吹っ切れたような、晴れ晴れとした顔をしていた。
この空には不釣り合いに澄んだ気持ちだった。
波の音。遠くに響く鴻鵠の声。
二人分の足跡は、じきに波に攫われ消えるんだろう。

共に結んだ約束だけは、
ずっと消えないように掴んでいようと思った。
いずれ来る最期の日まで。

#ReFantasma
(-384) susuya 2023/10/01(Sun) 11:46:28

【秘】 口に金貨を ルチアーノ → 月桂樹の花 ニコロ

「カンターミネと食事か? 俺もする約束だ一緒に行ってやろう。
 なんだそんなところと仲いいのか意外だな」

彼女も中々先生業を豊かにやっていたらしい。
いつもは破天荒な姿も、なんだかんだで誰かを率いるカリスマがあるのを知っている。

「ああ。頼んだぞニコロ。
 ついでに……俺が間違ったときも止められるようになってくれ」

この騒動のように、脱獄した誰かのように。
自分はきっといつか貴方を脅かしてしまうだろうから。
その時は逃げるか戦って、また、心の内を話し合ってのみ会えたらと思っている。

まあ、負ける気はしないのだが。
精々幸せを掴んで何処かに行ってしまえ、どら猫に何かの盗まれてしまう前にな。
(-420) toumi_ 2023/10/01(Sun) 20:14:29

【秘】 月桂樹の花 ニコロ → 口に金貨を ルチアーノ

「まあ、見回りとかでちょこちょこ会う程度の仲だよ。
ガキ共の面倒見てくれてたしな。」

彼女の持つ一面しか、この男は知らないから。
真っ当な付き合いだったろう事だけは分かるだろう。

「不吉な事言うなよな…全く。
もしそうなったら、何が何でも止めてやるさ。
俺に言った事を後悔しても知らないからな。」

なんて笑うのは冗談交じりで
けれど、任された、と確かに頷いてみせた。

「ともあれ、助かったよ。歩き回るなら気を付けろよな。
また会おうぜ、ルチアーノ。」

次で会う時はきっと食事会で。
此処まで世話を焼いてくれた貴方に礼を述べながら
男は病院まで担ぎ込まれるのだろう。
(-426) ぴんじぃ 2023/10/01(Sun) 20:34:03

【秘】 口に金貨を ルチアーノ → きみのとなり リヴィオ



「ああ無駄だね、俺はしつこいんだ。
 ……心配するな。何があっても俺がついている」

貴方の事を望んでいる。
貴方の事を、まあ、愛している。
貴方の事を、守りたいと思っている。

その生が苦しい者でないように、楽に息が出来るように。
あなたがいつか安らぎの中で涙が流せるようになれば良い。

「何度言わせれば分かる、その顔が俺の願掛けだ。
 勿論、顔が潰れても、オーラはなくせんよ」

その終わりが見えている。
貴方に求められてはきっと叶えられてしまう。
望んでくれるというのなら、きっと悲しみながらも、
あなたに休んで欲しいとその穏やかな声は告げるのだ。
それはきっと一つの愛で、紛うことない情の形。

それでもまだ少し、あと少しこれから先の未来を、
平和を祈った語らいを思い出して、過ごしていこうじゃないか。

「勿論一緒に行くぞ、それまでに好きな店を探しとけ」
(-427) toumi_ 2023/10/01(Sun) 20:34:41

【神】 口に金貨を ルチアーノ

>>G15 ペネロペ

「……今の俺に言ったか?」

ルチアーノという男は常に誠実であろうとした。
誰かにとって必要とされることは、誰にとって平等で不平等か。
その価値を持って示し続け、道理を通してきた。

そんな人間は自分自身のことを融通が利かない真面目だとは思っていなかったのだが。
何かがかみ合ってしまえばそれは、きっと、誰も止められやしない石頭になるのだろう。

「練習しておこう、どうせ使わんと思ってサボり気味だった。
 散歩もしばらくしないしな、少々練習に時間を使うとするか」

「ああ、祝ってくれよ。忘れてても思い出させてやるからな」

互いにいつ居なくなるか、わからない。
それが些細なことで起きることを知っている。
少なくとも互いのことで取り乱すとしたら、
それは一体犯人は誰だったのかということだろう。

死に際は立つ鳥跡を濁さず、
そんなすっきりしたものになれば、
――俺達も今こんな風に困らなかっただろうにな。
(G16) toumi_ 2023/10/01(Sun) 20:47:49
ルチアーノは、「早起きが毎日出来るようになったらな」そう告げて、貴方と共に海辺を歩いた。 #ReFantasma
(a56) toumi_ 2023/10/01(Sun) 20:53:46

ルチアーノは、あの店にあったコーヒーミルを捨てた。 #Mazzetto
(a61) toumi_ 2023/10/01(Sun) 20:59:14

 


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