……あれ…ドアの枠で……懸垂してた…元気なお兄さん……ですか…?
お久しぶりです……
[ぎらぎらと照りつける太陽、砂埃の舞った地、
この国の様式とは違うような発展性の低い古びた住居の前に、
10代前半の表情の乏しい子供が立っている。
そちらに気付いたら、目に警戒の色を僅かに滲ませながら、
ぺこりと頭を下げて。
──日差しがあっても暑さを感じる事はなく、
空気は清浄そのもので、息苦しさを感じる事もない。
違和感を覚えるのは容易だろうか。
顔を上げて、一つゆっくりと瞬きすれば、
作った警戒の色は消え。]
……ごめんなさい…冗談です。
ここは月の届かない奥底。
貴方にとってはただの夢なのかもしれません。
何か、俺について知りたい事はありますか?
[あの時出会ったものとも、
それ以上に本来のものとも違うように、
怯えもない少年は話しかける。]