「よろしく頼む、監察官。ブラックも」

礼節を感じさせる身振りで一礼を返す。
身体を起こし、顎に手を当て、思考を挟む。

「しかし自由と言われても、確かに実に悩ましいものだ」

娯楽が存分に用意された場は慣れない。
慎ましい生活を是とする場に身を置いてきたモノとしては、とても。
今はそれより、共に過ごすグレイたちと挨拶を交わすべきか。

「他の皆も、同じく我々は生活を共にする仲間だ。
　隣人を愛せよとも言うことだしな。
　遠慮なく頼って頂きたい。私も頼らせてもらう。
　私はただ聞き役に回る程度しかできんがね」

・あなたのお名前は？
「ルツだ」

・あなたはどのような目的で作られたアンドロイドですか？
「教会での施用を目的としている。
　神の御言葉は私には聞こえないが、教えを広く伝える事はできる。
　孤児たちの世話もしていた。直近では墓守を任され………
　いやしかし、雑務用も驚く業務の量だった。
　型が落ちた年寄りは、丁重に扱うべきだと思わんか？」

・得意料理はありますか？
「パンやシチューなら。
　貧しい者達への炊き出しも職務とされていたからな。
　調理用には敵わないが、ある程度は可能だ」

・ひとこと
「私にできることを、できる範囲で。
　可能な限りの献身をここに誓約しよう。
　……世話焼きな性分でな。
　こうしている方がストレス発散になるさ」