人狼物語 三日月国


74 五月うさぎのカーテンコール

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[――という一連の様子を、ただ呆然と見下ろしている。
 頭の中身に全部布をかけて隠してしまったように、何も考えられず。虚ろに俯きながら、力が抜けてしまいそうな身体をソファに押し付けてどうにか座っている。
 残りのひと雫までとばかりに舐め取るのも、別次元のことのようだ。……現実だけれども。]

……ほんとに、のんだの。

[小さく笑いながら身体を起こす麦を見ながら、最初に出た言葉は無体への謝罪でなく驚きと呆れを混ぜた疑問だった。]

[シャワーを浴びたほうがいいんだろうなと頭のどこかでは思うのだけれども、身体が重い。
 吐精の疲労というのもあるが、それ以上に血流が巡り過ぎて、アルコールが一気に回った気がする。
 眠らない、眠るつもりはない、が。
 劣欲の熱が落ち着くほどに実感がやってきて、本能の呼び声のまま、のろのろと目を伏せた*]



んん、ンン!
……飲みました。


[声がうまく出なくて咳払いを何度か。
そして頷いた。]


……ジンさんの、あじ。


[シャツの裾を引っ張って口元を拭った。
俯いて、脱力してるように見える姿を見やって、キスしたいなと思った。
流石に差し障りがある。ふらふらと後ろを見て、そこにあったグラスの中身で漱ぐようにして飲み干した。]

だいじょうぶ?


[顔を覗き込む。
すこし虚ろにぼやけた目が、瞼の下に殆ど隠れてしまう。]


気持ち悪いですか?眠い?


[支えるように隣に這い上がって、体重をもたれさせる。
力が入らないのは自分も、だ。身を寄せて体温を触れ合わせ、力を抜く。
こんなに疲れる?
一番は顎と舌の裏が怠い。]

……。


[反応が乏しいけど、吐くとかではなさそう。
お水飲みますかと聞いたけど、立ち上がるのが難しい。]


……、


[今、満たされていて、動きたくない。ジンさんの隣も離れたくない。一分だって。

留め金を外して、身を捩ってパンツをずらした。
べたついた感触が気持ち悪い。
少しおさまってはいるけどまだ腫れて勃ち上がったままの。
フェラに感じてくれてるジンさんに、煽られて欲情した自分。

今ならたぶん、自己嫌悪で吐きそうになったりはしない。ぎゅ、と握って、まだ熱い息を吐いた。]


ジンさん、まだもうすこし。さわっていていいですか。
あとで、タオル……持ってくるから…


[肩に腕を回して、頭を自分の方へ引き寄せて肩口で支える。
撫でて、と要求するかわりに頭に頬を擦り付けた。**]

[その日は朝食の支度ぎりぎりまで抱き合って、朝食のとろろの所為にしてまた食後に布団に戻った。

首筋が心許ない彼女の為に、一人で一度外に出て、リネンのサマーストールを買って帰った。
彼女の洋服との相性は自信がないが、端のレースが上品で、色は合わせやすいクリームイエローのものを。

そうやって二人で出られるようにと配慮しながらも、二人きりが心地よくて、気づいたら触ってしまったり。
ごろごろしながらクラウドに保存してある料理写真を見て、彼女が食べたいものをピックアップしたり。

ゆっくりだらだらと過ごしていた筈なのに、気づけば最終日となっていた。]

[数日休んだ分、店に土産は買おうと思うが、何が良いのだろう。
ご当地の菓子を見ても、麦の方が上手に作ると思ってしまえばあまり気が乗らなくて、早々に菓子コーナーからは撤退してしまった。
初日の夕飯で出た地酒は夜の賄いで振舞おうかと1本購入して、個人的には。]

 ……うさぎだ。
 これどう思う?

[壁一面に並んだキーホルダーのうち、色んな色のTシャツを着た有名なうさぎのキャラクターの模造品と思われるものがあった。。
土地柄は全く感じない上に、公式ならばシンプルな顔がここまで崩れるか?という程度に絶妙にブサイクに仕上がっているが、これなら店員でお揃いを持てそうだ。
(実際に持ち歩いて貰えるかは考慮しない)。

青、ワインレッド、緑、灰色、麦の色は難しいから金色で、店長を白にして。
渡すことのない黒も買う。]

 紫もあるけど。

[彼女がこのブサイクなうさぎをつけたいかは別として。*]

そー……

[飲み下したそれを、おいしい?とは聞かないことにした。
 おいしいですよと返ってきたらそのまま味見することになりそうで。
 それはちょっと、行為の嫌悪感云々抜きにして、受け入れがたかった。

 口を漱ぐ様子も、ぼんやり見ていた。
 たしかに喉が渇いたな、と思うけれど、それを口にすることはないしグラスに手も伸ばさないので、そのままだ。]

うん。

[肯定と、]

いや……

[否定。だいじょうぶ?には首を縦に、気持ち悪いですかと眠いには横に。
 いや最後のひとつは否定要素はないのだけれど、この状態で眠るわけにはいかないと思っていた。
 反応は最低限。お水飲みますか、にはありがたく頷いたけれど、お互い動きが緩慢で、渇きは癒えなかった。]

いーよ。

[引き寄せられるなら、重い身体は液体のようにもたれかかる。
 重いだろうとかを気遣っている余力はあまりない。
 果てる前の熱を導く役を果たせるなら僥倖。]

なー……

   どうだっ た?

[試してみたほうが聞くのは立場が逆のような気もするが。
 もう俺は麦に咥えられて勃つどころか出せることも分かったので、みなまで言う必要はないだろう。
 気にかかるのは、麦の方だ。
 苦しくなかったか、ちゃんと興奮したか。
 ――オカズの映像は更新できたか、とか。

 クッションに縋っていたままの片腕も、麦の背に預ける。脱力した体勢が割と楽で、意識がふわりと、曖昧になっていく*]

[アラームが鳴っても暫くは離れがたいまま、時は過ぎていく。
襖の向こうで朝食の用意に来た仲居さんの声に応える彼にしがみついて、漏れそうになる声を必死に押し殺して背中に赤い筋を残した。

お風呂は部屋の露天風呂しか入れなくなってしまったけれど。
ゆっくりと二人でお湯に浸かるのも悪くはない。
「お背中流しましょうか?」なんて広い背中を泡だらけにして。
自分で付けてしまった彼の背中の痕に気づいて赤面したりもした。

ごろごろしながら見た料理写真の中には、今回出てきた旅館料理の他にも、彼の同僚たちが作った料理も沢山保存されていて、自然とSASANKAの話になる。
彼らの話をする基依さんを眺めながら、本当に好きなんだなぁと再認識して。
楽しそうに話す彼を見て表情が緩んだ。]

[あっという間に迎えた最終日には、彼が買ってくれたストールを首に巻いてお土産屋さんへと足を向ける。
会社へのお土産にと定番のクランチチョコや温泉まんじゅうを買っていたら、雑貨の前で立ち止まっている彼に気づいた。]

 うさぎ?

[ひょいと手元を覗き込む。
見覚えのある顔をしてるうさぎが此方を見ている。顔つきがちょっと違うから、おそらく公式のものではなさそうだ。
壁へと目を移せば、なるほど、Tシャツの色の種類が豊富だから目に止まったのだろうと頷ける。
同僚思いの彼に、くすくすと笑いながら、]

 いいんじゃないですか?
 みなさんとお揃い、仲が良さそうで。

[あまりに真剣な顔して尋ねるものだから、否定する考えもなく。うん、と頷く。
その中で紫を勧められたなら、小首を傾げた。]

 ……私も? いいんですか?

[スタッフ同士、揃いのものを持つのは仲睦まじくて微笑ましいけれど。
その輪の中に混ざってもいいのか、少し躊躇ってしまう。]

[でも、彼とお揃いのものが欲しくて。
輪の中に入ってみたくて、壁にかかった紫のうさぎを指先で揺らす。] 
 
 一緒に買っていいなら、ぜひ。

[紫のうさぎは、彼の家の鍵の番人になってくれるだろう。*]

[旅行自体を殆ど経験して来なかった身としては、自身で土産を選んだ経験にも乏しい。
貰う側になったことは何度かあるが、その時は消え物が多かった。

こうして形に残るものを贈ることが果たして同僚として適切な距離感なのかはわからないが、「残る」ことに拘りたかったのだ。
紫亜が否定しないでくれたから、それぞれのうさぎは卯田の掌に収まった。]

 ここに紫の仔がいるのに、俺が手を繋がない理由がない。
 だから、貰ってくれるなら、渡させて。

[彼女の趣味ではないダサいキーホルダーも、自分とつきあっている証に持っていて貰えるなら、明日からまた気軽に会えない日々が続いても、想像で慰められる気がするから。]

[離れがたくて荷物持ちと称して彼女の家までついて行った。
近所の人に噂されて彼女が暮らしにくくなってはいけないので、別れ際は玄関先で握手を長く。]

 また来れる日は連絡して。
 普通のしてても、連絡があったらうさぎのタイに替えるから。

[いつもそうしているのに改めて話す。
少しでも時間が欲しくて。]

 楽しかった。
 また行こうな。

[これももう何度目か。]

 ……おやすみ。

[漸く彼女を解放する4文字を言って、手を離す。
また握りたくなるのを堪えたものだから、振る手は拳の形をしていた。**]



うん……


[どうだったかと言うのなら。
苦しいし吐きそうだし疲れるし不味い、けど。
結論は一つに収束する。]


ジンさん、素敵です。
すごい……よかった。好きになってくれてありがとう。

[反応薄いジンさんは今、あまり聞いてないんじゃないかと勝手に思う。
ぐち、ぐちと酷い音を立てて手を動かした。
重さを預け合って抱き合っている人を想いながら。]


俺、ジンさんとセックスしたいです……


[今だって、力の入らない彼を身体の下に折り敷いて、暴いて思うままに揺さぶる想像は消えてない。

でもそれよりも、甘く爛れる声だとか。
少しずつ熱をもって充溢していく質量だとか。
優しいこの人が頭を押さえつけて、理性の外にある欲望を見せてくれたこととか。

オカズの映像はきっと大きく変わった。罪悪感と苦痛を取り払ってくれた。]

手作りスープもオムレツも美味しかったけど。
ジンさん自身を食べて俺の腹の中にいる感じ、すごい、幸せ。

俺も貴方の中に入って一部になってしまいたい。


[たぶんあんまり聴こえてないだろうって決めつけて。
余韻で緩くなってるくちから声をこぼしながら、手を乱暴に動かして息を乱した。
熱を吐き出す瞬間、抱きしめる腕にいっぱい力を入れて。]


……したい。

ジンさん、「次」は。
──俺を抱けるかどうか、試してくださいね。


[手で受け止めたけどティッシュ届かない。
Tシャツの腹で拭って、ついでにもぞもぞ脱いで、裏返ったそれを腰のあたりに被せておいた。
もたれ合っていれば寒くはない。飲み会の片付けは、すこし、眠ってからにしよう*]



 ……嬉しい。
 でも、一人だと寂しがっちゃいますから。
 私も、これ、買いますね。

[手に取ったのは、既に彼が手にしているものの中にもある灰色のうさぎ。部屋に飾ってあるぬいぐるみ達と同じように。ペアにするつもりで。

灰色のうさぎを揺らして、いつか彼がしたいみたいに唇を寄せる。
まだ支払いの前だから、触れる寸前で止めておいてリップ音を響かせた。

紫うさぎには、いつも灰色うさぎが必要なのだ。]

[長い休みを取った旅行は、瞬きするほどの時間で過ぎていって、気づいたら帰路になっていた。
繋いでいた手を離し難くて、部屋の前で足が止まる。
温かい手に手を包まれて、この体温が感じれなくなることを惜しみながら、別れ際の彼の言葉に、淡く笑む。]


 はい、また食べに行きますね。


[二人の合図はそろそろ周囲の人にも気づかれているかもしれない。うさぎが彼の首元で動く度に、好きな味が増えていく。]


 次は夏に。
 プールか、海……?
 楽しみにしてますね。


[それよりも早く、何度もお店や彼の部屋に通うことになりそうだけど。
こんなに長く一緒に居たのは初めてだったから、また次の遠出を仄めかす。

握手が解かれる間際、指先を絡めてきゅっと握りしめて手を解く。
おやすみなさい。と別れを告げる声は密やかに。
彼の手に温められた手を小さく揺らした。**]

【人】 オリト シア

―― SASANKAへ ――

[旅行から帰ってしばらくは仕事に追われた。
旅先で買ったお土産は、同僚たちにはまずまずの反応を貰って。
「旅行どうだった?」と尋ねられたら「
すっごく楽しかった!
」と間髪入れずに応えた。
留守の間に溜まった書類をこなしていく。

SASANKAへ行くようになってから外食費が嵩んでいるから、
残業は前よりも少し多くするようになった。

いくらかの軍資金を貯めて、書類の山となっていた束も崩せた頃。
今日は久々にSASANKAに顔を出せそうだという旨のメッセージを彼に送る。

SASANKAに行くのも、彼に会うのも旅行以来だから心が弾んだ。]
(76) 2021/05/26(Wed) 14:11:47

【人】 オリト シア

[残業もそこそこに切り上げて、私服に着替えてSASANKAへと向かう。
旅行中に付けられた首筋の痕は、大分目立たなくなった。
おそらく注意してみないと気づかない程度には。

夏が近づいているから、蒸れる首元を出したくて。
髪を纏め直して、サイドに束ねて蝶に巻きつける。
今日も紫の蝶が、髪に揺れている――。

SASANKAまでの道なりを、逸る気持ちを抑えて歩いて。
ようやく見えてきたうさぎのシルエットに「久しぶり。」と再会の挨拶を。
迎えてくれた感謝に指先でしっぽを撫でてから扉を潜った。*]
(77) 2021/05/26(Wed) 14:13:56
そか。

[聞いてないことはないが、返せる言葉は短い。
 どこか非現実的なもののように麦の声が頭の中をするする通り抜けていく。
 それを必死に捕まえて、返事をしていた。

 すてき。よかった。
 麦から聞くこの言葉たちを、きっとこれから少しは素直に受け止められ――いや、むしろ、色々と勘繰りすぎてしまいそうだ。]

[セックスしたいとまっすぐに欲を口にするのには、迷ったまま何も返せずにいたから、眠ってしまったと思われたかもしれない。
 正直なところ眠気はあるし、眠ってしまったほうが麦にはいいのかもしれない。
 自慰の声を聞かれ続けているというのは、想像するだに恥ずかしい。
 ……が、その声に興奮するのはこちらの本能なのか、眠気に身を任せるつもりがうまくいかない。
 麦が自身を追い立てる動きも相まって、半覚醒くらいの状態のまま声を、乱れる息遣いを、耳で受け止めていた。

 きつく抱きしめられて、吐精を知る。]

……そう、ね

[吐息に紛れた小さな音は、麦に届いたろうか。
 互いの劣欲が吐き出されてしまえば、いよいよ訪れる静けさ。
 誰が止めていたわけでもないが、意識はもう途切れていいと判断したようで、ふつりと切れた。
 シャツを脱ぐ動きも、それをかけられるのも気づかないまま、ソファに沈み込む。]

[――眠りが深くなる寸前、夢を見た、気がする。
 これが夢なのか、まだ意識したがる脳の妄想なのかは、定かでないが。]

……ふ、く、

[ゆっくり、力を抜いていてくださいと促され、マットレスに身体を預ける。
 女のように濡れない場所。ものが入るべきでない場所を指先でなぞられ、そのままぬぷりと侵入される。
 異物感に震えるも、それは想像していたよりは恐怖ではない。
 俺の覚悟が決まったのか、愛ゆえか、それとも相手が丁寧でうまいのか。
 あるいは、意識の深いところでは、求めているのか。
 そんなことを考える余裕はなく、膝を震わせて――]

[目が覚めるのは、太陽が空をあかあかとした紫に染める頃*]

【人】 オリト シア

[店内に入れば、すぐに彼が見つけてくれた。>>79
久しぶりに聞いた彼の声が相変わらず優しくて目尻が緩む。]

 こんばんは。

 え、そうですか?
 最近、ちゃんと食べてなかったからかな……。

[彼に言われて頬を抑える。
確かにここ数日、帰りが遅かったからスーパー残り物になったお惣菜や、チンするだけの冷凍パスタなんかで食事を済ませてしまっていた。
体重計にも毎日乗っていたけど、最近はサボっていたから体重の変動には気づけない。
見た目に出る程だったら困るな、と眉尻が下がる。]

 今日はいっぱい食べるので、大丈夫ですよ。
 ハンバーグ、大好きです。

[ぐっと両手を拳に作り変えて笑って見せながら、ブラックボードへと視線を移す。]
(80) 2021/05/26(Wed) 15:33:50

【人】 オリト シア

[ブラックボードに書かれた食材は今日も好きなものばかりが並ぶ。
中でも野菜は特に。トウモロコシもスナップエンドウも、人参も食べたい。]

 あ、あとトウモロコシで。
 一品お願いしてもいいですか?

[トウモロコシの黄色は、彼が選んでくれた淡い色のスカーフを思い出す。
スツールに腰を掛けて、そんなリクエストを一つ。]
(81) 2021/05/26(Wed) 15:35:19