人狼物語 三日月国


73 【誰歓突発RP】私設圖書館 うつぎ 其漆【R18】

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【人】 西園寺 飛鳥


[骨董品のことは詳しくないけれど、
 亡くなった曽祖父がそういったものがすきだったと
 いうことは知っている。
 蔵には商人から大量に買い込んだ古い物の数々が
 納められていた。中には不気味な絵や彫刻も
 あったし、古い人形もあったから、わたしは
 幼い頃からあの場所が苦手だったのだ。

 曽祖母は、あんなに不要なものをたくさん…と
 辟易していたそうだけれど、曽祖父に生き生きと
 いかにすごいものかを語られていた祖母からすれば
 あそこは素晴らしい宝の山だったのだろう。

 とはいえ、残念ながら曽祖父は残念ながら
 本物を見極める目というものは持ち合わせて
 いなかったようで。素人目に見ても、明らかに
 価値のなさそうなものはたくさんあった。
 
 ───父に、あの蔵を整理してはどうかと
 言われた祖母は、おそらく遠回しに
 「捨てるように」という意味だと悟ったのだろう。
 だからこそ、わざわざ鑑定士を呼んで、
 あれらを鑑定させたのだ。
 たぶん、信じたかったのも大きかった。
 ───本当は、祖母も気付いていただろうに。

 
(45) 2021/05/18(Tue) 21:41:37

【人】 西園寺 飛鳥


[1人目の鑑定士は、言いにくそうに、
 これらは偽物だといった。

 2人目の鑑定士は、困ったように笑って
 ある意味マニアには受けるかもといった。

 3人目にきたのが彼だった。
 3人目だったから余計にきっと、彼に対する
 あたりは強かったんだと思う。

 祖母の前にいたその人を遠目で見て、
 またか、と思った。
 自分の部屋に行くにはその隣を行かなければ
 いけないから仕方なく、こっそり
 通ったのに、目があった瞬間、全てが吹っ飛んで
 電流が走って、あ、これが恋だと思った。

 だって、間違いなく、落ちたんだもの。

「挨拶なさい」という祖母の声に、>>13
 はっとして、一度唇を結んで、ペコリと頭を
 軽く下げたら、彼の耳馴染みの良い声が
 すう、と通っていく。
 少し歪んだ笑みも、どこか愛おしくて、
 とくん、とくんと柄にもなく心臓が
 跳ねるのがわかった。
 顔には出さないようにして、「失礼します」と
 一言告げてからそこを後にした。
 その足取りは少し先ほどよりも早まっていたかも。]
(46) 2021/05/18(Tue) 21:42:02

【人】 西園寺 飛鳥


[───そんな彼だったから、まさかもう一度
 巡り会うことができるだなんて思っていなくて。
 わたしは、居ても立っても居られなくて
 事あるごとに理由もなくその店を訪ねるのだ。]



   冷やかし客だなんて、ひどい。

   目的はきちんとあるもの。
   あなたに会いに来てるのよ、江戸川さん。


[そうにっこり微笑んで、彼の方へ。
 再会したあの日と同じ、出してくれるお茶に
 今日はジンジャークッキーまでついてるから]
 
(47) 2021/05/18(Tue) 21:42:18

【人】 西園寺 飛鳥



   私のために用意してくれたの?


[と目を細めて見つめてみる。
 貰い物だと言われたって、構わない。
 食べないで置いてくれてたんだから、
 つまりは私のためよね、と微笑んで、
 一つつまんで口に放り込んだ。

 さくさくした食感。
 バターの芳醇な香りと、紅茶に、生姜。
 甘さ控えめの大人の味に、口元を綻ばせ]


   次のときは紅茶でも持ってこようかな


[あ、でも江戸川さんはコーヒー派だったから
 なら、コーヒーのほうがいいよね、と
 顔を上げて、お茶をすする。]
 
(48) 2021/05/18(Tue) 21:42:32

【人】 西園寺 飛鳥




   ───で、そろそろ考えてくれた?

   私とお付き合いしてくださいって話。


[さらにクッキーを2、3枚放り込んだ後、
 私は先日訪れた際に振った話を掘り返す。
 あれは、先週のこと。
 いつも通りこの店をおとずれて、
 彼との会話に花を咲かせて、帰る間際。
 『じゃあまたくるね』と告げたあと。
 向けてくれた視線に、表情に、声に、
 どうしたって彼のことが好きだなあとおもったから
 忘れ物をしたように、あ、と前置きをして
 『江戸川さん、私とお付き合いしてくれない?』
 ときちんと申し込んで置いた。
 なお、彼のリアクションを見てから、
 うんうん頷いて。二つ返事でオーケーが
 もらえるとははじめからおもっていなかったから

 『お返事はまた今度聞くね』と笑んで去ったのだ。]
 
(49) 2021/05/18(Tue) 21:42:47

【人】 西園寺 飛鳥



  1週間じゃ無理なら、また来週も聞くだけだけど


[とりあえず今の意見を聞いてみよう、と。]*
 
(50) 2021/05/18(Tue) 21:43:01
到着:絵描き ルナリア

【人】 絵描き ルナリア



  セルベッサ王国。
  一風変わったものなどない、
  けれど美味しいビールを生産する国。

  その片隅で、私はひとり、絵を描いている。

  白いキャンバスを彩る青はまっさらに。
  宙を浮くように描く桃色は夢を感じさせて。
  世界の中には動物が一匹。
  
  私が描く、私だけの世界。
 
(51) 2021/05/18(Tue) 22:12:45

【人】 絵描き ルナリア



    「 ……あれ、今日も来たの? 」


  こつりと鳴る足音に、私は
  ライムグリーンの髪を揺らして振り返る。
  見えた姿になにも思うことはなく、
  ただ感想を呟くように、そう零した。
 
(52) 2021/05/18(Tue) 22:13:13

【人】 絵描き ルナリア



  一風変わったもののないセルベッサ王国の
  一風変わった絵描きをしている私と
  そこに訪れる、一風変わった趣味をした彼の。

  これはありふれた、どこにでもあるような。
  つまらない話だ。**
 
(53) 2021/05/18(Tue) 22:13:44
絵描き ルナリアは、メモを貼った。
(a4) 2021/05/18(Tue) 22:15:25

【人】 『伽藍堂』 江戸川 颯介



  そういうのを、冷やかしってェんだよッ。


[にっこり笑う彼女につい、
 つられて笑いながら突っ込みをいれる。
 赤い花、と形容したお嬢さんは
 思ってたよりエキセントリックな人で、
 初めて会った時の人見知りみたいな
 印象は何処へやら。]


  俺ァ甘ェのは食わねンだ。


[そう応えて粗茶を啜る茶器の向こう、
 お嬢さんはそれでもニッコリ笑って
 クッキーをぱくり。
 その上品な所作は、どれだけはすっぱにしても
 消しようのない令嬢の証だと思う。]
(54) 2021/05/18(Tue) 22:27:16

【人】 『伽藍堂』 江戸川 颯介

[で、と話を切り替えられて
 俺はそっと目線をそばの掛軸へ逸らせた。
 掛軸の中、恵比寿天が呑気に笑っている。]


  いつ来ても、返事は同じだよ。
  「俺じゃねェ方がいい」って。


[この店に彼女が来た時の、
 青天の霹靂たる一言のせいで
 噴き出した茶の飛沫が
 恵比寿天の余白にシミを残している。
 視線をお嬢さんに戻したら、ため息ひとつ。]


  来週来ても、再来週来ても同じだッつの。


[赤いリップの似合う彼女には
 もっと歳の近しい、育ちのいいやつがいい。
 こんな古びた道具に囲まれてるやつよりは、絶対。

 ふつりと切り揃えられた前髪をくしあげ、
 そのおでこにぺしん、としっぺをひとつ。]
(55) 2021/05/18(Tue) 22:28:09

【人】 『伽藍堂』 江戸川 颯介



  いいかァ。よく聞けェ、あのな……


[難しい顔を作って、キッ、と睨んでみたものの
 あどけない顔に言葉が見つからなくて
 俺はそっと目線をそばの古い花瓶に落とす。]


  ほら、ひび、入ってるだろ、ここ。


[白磁の肌を切り裂くように入ったクラック。
 前の持ち主が何とかしようとしてつけた
 接着剤が黄ばみを残して
 膿の出た傷跡のようにも見えた。]


  傷がつけば、跡が残る。
  生き物も、花瓶も、人生も。
  ……こんなオッサンにかまけてるのが
  アンタの人生ニャ傷になっちまうよ。


[もっとキラキラした恋愛を経験してもいい。
 それとも、たったひとつ、本当に好きな人間と
 好きあって、結ばれて、幸せになっても。

 でもそれは、きっと俺とじゃない。]
(56) 2021/05/18(Tue) 22:37:42

【人】 『伽藍堂』 江戸川 颯介



  分かったら、ホイ、デートでも行きな。
  それかガラクタのひとつでも買ってってくんなァ。


[そう言って、しっしっ、と手を振るが
 それ以上の言葉や態度で
 彼女を諌めることもせず。

 結局、こうして会いに来てくれる彼女を
 嬉しく思ってしまう俺自身
 大人にとして割りきれていないのだ。]*
(57) 2021/05/18(Tue) 22:46:04

【人】 『伽藍堂』 江戸川 颯介

  ー 腐れ縁の紅茶屋店主 ー

[コーヒーを飲みに訪れた店で
 からん、とドアベルを鳴らした時に
 「おや?」と思った。

 別に閑古鳥が鳴いているような店でもないのに
 店主が目をキラキラさせながら此方を向いて
 目が合った瞬間、その輝きは
 掌に載った雪粒みたいに消え失せる。

 女の子と見りゃすぐ相貌崩すような
 軟派なやつではない。
 一度酷い女に騙され、しょぼくれていた親友殿にも
 そろそろ春の訪れだろうか。
 (時期はもう栗のうまい季節だというのに)

 言わずとも俺の考えが透けていたのか
 俺を見る店主の瞼は、
 眼鏡の奥で、すぅ、と細まった。]
(58) 2021/05/18(Tue) 22:47:28

【人】 『伽藍堂』 江戸川 颯介



  なァに?気になる女の子でもできたんか。


[そう問えば「なんでもないったら」と言う。
 一歩踏み込めば後ずさる。
 俺はつい楽しくなって、ずいずい店の中へ
 入っていくとカウンターに腰を下ろして
 目的のコーヒーを注文してやるのだ。
 逃げ場のない親友殿は、もう厨房くらいしか
 行く場所もなく、しぶしぶケトルを火にかける。]


  「別に、そんなんじゃないよ。
   名前も知らないしね」


[ビンテージのティーカップを磨きながら
 店主は口を尖らせた。
 ということは、客か、俺の同業か。
 何となく、客にベットしておこう。

 アンティークの食器の並ぶ店内には
 焼き菓子と紅茶の匂いが満ちていて
 中庭を臨む窓からは、冬の気配の近付く
 色彩を抑えたハーブガーデンが覗いている。]
(59) 2021/05/18(Tue) 22:48:19

【人】 『伽藍堂』 江戸川 颯介

[今度は、今度こそは、
 この朴訥な親友殿と結ばれる女性は
 こんな店が似合うような、いい人であって欲しい。
 かつての出来事を知る俺は
 そう願わずにいられないのだった。]


  また、変なの掴むなよ。


[コーヒー入りのマグを出された時に
 そうひとこと釘を刺すと
 「本当に、そんなんじゃないから」と
 店主は口をへの字に曲げてしまう。]
 じゃあ今お前は誰を待っていたんだよ。
 悪い奴で自分からそう名乗るやつはいないぞ。

 心の中で付け加えると、店主は
 まるで心の中を読んだかのように
 まだ幼さの残る頬をぷっと膨らませて]


  「江戸川は、ちょっとお節介なんだよね。
   時々母さんみたいって思う」


[と減らず口を叩く。

 俺はくすくす笑いながら
 「腹を痛めて産んでやったのによォ」と
 わざとらしく泣き真似なんぞをしてやって。]
(60) 2021/05/18(Tue) 22:50:17

【人】 『伽藍堂』 江戸川 颯介

[─────お節介。
 何度かこの親友殿から
 そう評価されることはあった。

 でも、ほっとけないじゃねェの。
 せいぜい両手を拡げたくらいの範囲の人間しか
 手を差し伸べてやることは出来ないんだ。


 掌からこぼれ落ちた砂粒は
 もう二度と掌には返らないんだ。

 黙って気にされててくれよ。
 頼むからさ。]*
(61) 2021/05/18(Tue) 22:50:48
村の設定が変更されました。

【人】 西園寺 飛鳥




   ふーん?W冷やかしWとは目的もなく
   店を訪れる人のことじゃなかった?


[目的があるのだから、やっぱり冷やかし
 なんかじゃないな、と微笑みかけて、譲らない。
 まさか彼から奇矯だと思われているなどつゆ知らず
 私は当然のようにここに座ってお茶を飲んで
 それから、彼に問うのだ。
 先日の提案に対する答えを。

 ───まあ、その言葉はあのときと
 まったくおなじ、つれないものだったのだけど。
 私はわかっていたかのように眉頭を少し上げて、
 それから下げて、またひと口お茶を啜る。]

 
(62) 2021/05/19(Wed) 0:41:36

【人】 西園寺 飛鳥




   ふふ、どうして言い切れるの?
   明日には考えが変わってるかもしれないのに。


[いつきても同じだという彼に、余裕の笑みを
 向けたのに、その手がこちらに伸びるから。
 すこしどきりと心臓が跳ねて、身構える。
 頬に手が添えられる?
 それとも頭を撫でられる?
 なんて期待して目を閉じたのも束の間、べし、と
 額に走った衝撃にびくん、と肩を跳ねさせてから
 抗議するような視線をそちらに向ける。
 じぃん、と痛みの余韻が残る額を覆いながら
 唇を少し尖らせた。

 キッと睨む視線にこちらからも睨み返して
 じぃ、とその目を見つめていたら
 先に折れたのは彼の方だった。]
 
(63) 2021/05/19(Wed) 0:41:53

【人】 西園寺 飛鳥


[ふふん、と少々の優越感を感じながら、
 視線をそちらに落とせば、そこには古びた花瓶。
 修繕の跡だろうか。ぴしりと入ったヒビに
 残った黄色いシミに、目を落として、
 無機物なのに「痛そう」だと思った。

 彼の言葉を黙って聞いて、区切られれば、
 視線を上げてまた真っ直ぐ見つめる。]


   傷になるかどうかは私が決めるし
   傷になりそうだと思ったら近づかない。

   私が好きなものは私が決める。


[そうしてきた。おばあさまのいうことを聞くのを
 やめて、自分で好きなものを選ぶようになった
 わたしだから、恋だって選ぶ。]
 
(64) 2021/05/19(Wed) 0:42:10

【人】 西園寺 飛鳥




   私は江戸川さんが好き。
   恋人になってほしいって思ってる。

   ───だから、来週までの間、
   今度は江戸川さん自身の気持ちを考えて。


[そうじゃなかったら強硬手段に出るから、と
 にっこり笑いかけて、席を立つ。]


   デートはないけどクラブにいってくる
   今日友達が回すから。


[そう言って。]

 
(65) 2021/05/19(Wed) 0:42:24

【人】 西園寺 飛鳥




   今度江戸川さんも一緒にいこーよ


[と、にひひ、と笑った。]


   次来る時は、コーヒー、もってくるね


[じゃあ、ごちそうさまでした、と告げて
 くるりと踵を返せば、扉の方へと向かう。]
 
(66) 2021/05/19(Wed) 0:42:40

【人】 西園寺 飛鳥


[しつこい女はきっと嫌いなタイプ。
 でも押していかなきゃ、彼の方からは
 絶対にこっちに歩み寄ってくれないタイプ。
 運命を感じたひとだから、わたしは、
 ぜったい彼のことを諦めるつもりはない。

 彼に恋人がいるだとか、好きな人がいるだとか、
 実は結婚しているだとか!そういうわたしには
 どうしようもない、人と人との繋がりが
 そこにない限り、進まなければ絶対に
 あとで後悔するってわかってるから。]


    またね、江戸川さん♡


[ひらひら手を振ってウインクをひとつ。
 扉が閉まってからも、店の前を過ぎるまでは
 そちらに目線を遣りながら、駅の方へと向かった。]*
 
(67) 2021/05/19(Wed) 0:42:58

【人】 ぷにぷに グレザン

― 街へ ―


 はぁぁああ……


[ てってけとことこぴょんこぴょんこと、森を行き川を越え、とうとう辿り着いた街。ふぉおおおと声を上げる友人>>42ときっと同じ気持ちで、せわしなく見回した。]


 教えられたはずなのに、
 こうして自分の目で見ると、ぜんぜんちがうな……


[ きょろきょろする友人に落ち着けなんて言えない。
 目に飛び込んでくるすべてが新鮮だ。お店の看板はカラフルで、ぴかぴか光るものまである。入り口でいらっしゃいと呼び込んでいるすがたも見えた。]
(68) 2021/05/19(Wed) 4:59:19

【人】 ぷにぷに グレザン


 ほぉう。からだをぷるつやにしてくれる。
 すごい店だ。


[ 知らないしごともたくさんで、近くのはり紙を読みに行くと、からだをぷるぷるつやつやにしてくれるお店があった。なにかすごいおくすりでももらえるのかもしれない。“エステ”、なぞのお店だ。

 なんて言葉は友人に届いていたのだったか。
 既にその場から消えて、道ばたのなにか>>43に吸い寄せられていたのかもしれない。
 ひとりは困る。迷子はいけない。いっしょに見に行かなかったときは急いで友人のもとへと向かう。]
(69) 2021/05/19(Wed) 4:59:35

【人】 ぷにぷに グレザン


 これは、おしゃれアイテムだな。
 あいつらが喜びそうだ。


[ となりに並んでおしゃれな品々をながめた。
 ほわほわ思い浮かべたのは森の友人たちだ。赤や黄の友人はよく、ぴかぴかの石やいい匂いの花を集めて身に付けている。
 きっとこれを見たらほしがるに違いない。帰ったら教えてやろうと、メモを取り出して絵を描いた。半分は友人にもまかせる。協力すれば時間は半分だ。

 その作業中、お店の人に何を探しているのか聞かれたので、自由研究のために街で売っているものを調べていると伝えたら、それはえらいとほめられた。思わず友人の顔を見合わせてから、ちょっとほこらしげに胸をはる。友人みたいに。やはり、これはいい自由研究になりそうだ。]
(70) 2021/05/19(Wed) 4:59:45

【人】 ぷにぷに グレザン

[ そして、次々にお店を見て回る。
 中でも、甘い匂いにはふらふらと引き寄せられてしまった。ふわんと香ばしいそれは、毎日森で食べているものとは違う。お店の前でにょんと背伸びして、作っているところを見つめた。]


 こ、これは……


[ 真ん丸のあつあつ鉄板の上に、クリーム色の液体をおたまでとろりと流し落とす。じゅうじゅうという音と一緒に白いけむりを上げている液体は、変な形の木の棒でみるみる平べったく大きな円にされてしまった。真ん中がふつふつ膨らんだかと思えばくるっとひっくり返されて、きれいな焼き色になっている。

 焼けたばかりの薄いぺらぺらに、今度は盛り付けていくようだが、その中身に思わず体をさらに伸ばした。]
(71) 2021/05/19(Wed) 5:00:02

【人】 ぷにぷに グレザン


 あれは、めったに食べられない生クリーム!
 それを、あんなにたっぷり……!

 あれはいちご?
 ……まだのせるのか?
 黒いとろとろ? あれがなにか分かるか?


[ たっぷりの生クリームに、きらきらのいちごがいくつも。その上に黒いソースがたくさんかかって、さらに細かいチップのようなものが振りかけられる。食い入るように見つめたまま、隣の友人に何か分かるか聞いてみる。
 はたして友人は知っていたのか。それとも、夢中になって見ていた自分たちに、お店の人が教えてくれたのが先か。どうやらあれは“チョコ”というらしい。なるほど、わからない。

 完成したものをお客さんが受け取って、そばのベンチでもぐもぐと食べている。なんとも美味しそうに、楽しそうにぱくぱくしている様子を見ていると、そわそわしてしまう。やはりあれは、街でしか食べられない、とてもとても美味しいものではないのだろうか。]
(72) 2021/05/19(Wed) 5:00:25