── 夏の花火大会 ──
[このだらしない見た目に反して、律義な面もあるものである。
時間が限られていたり急用がある場合は別として、彼女の家まで迎えにいくことは律義に行われていた。
彼女の安全というのは当然あるが、言葉にして自分と一緒にいようと未来を語ってくれる杏音に対して、自分はより現在をともにし彼女を求めるように行動していこうと心掛けていたのもありこれはその一環でもあった。
さて、そんな夏であるが今日は久しぶりのお出かけとなったのだろう。
暑いからさぼったとかではなく獣医学部はこの時期に課外実習が組まれているのだ。
未だ恋人になる前でも、夏の一時期は映研部に顔を出さなかった時期がある。
それでも約束していた夏祭りには引っかからなかったので約束を交わしつつもちょっとした期間のお別れとなっていた――といっても半月ぐらいであったが、そんな事情だって大学生にも起こるものである。]