人狼物語 三日月国


74 五月うさぎのカーテンコール

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[笑みと共に落とされた言葉が
じんわりと胸に沁み入っていく。
身体に浸透していくように、ゆっくりとゆっくりと。

舌先に痕の残った指を柔く絡めて、
落とされるキスを受けて、眸を見合わせたなら]


 うん、私も、
 ………
大好き。



[これ以上無いくらいに、蕩けきった微笑みを向けた。*] 



  う。


[絶対わかってるくせに。
そんな顔で微笑まれたら、何も言えなくなって。]


  ……っあ、

[ずらされたレース地から零れ出た胸を隠す間もなく
先端に吸い付かれて、声が上擦った。
もう片方も包まれて、掌に吸い付くように形を変えながら
次第に弄られ続ける先端がツンと尖って
強めの刺激を与えられる度に腰が微かに揺れてしまう。]

  ふ………、ンぅ…きもち、ぃ

[片手で口元を覆っても、零れる声は止められなくて。
だんだんと脚に力が入らなくなってくる。]

  
も、蓮司さ…… いじわる、


[気持ちいいのに、足りない。
どこが、まで言わないと触ってもらえないんだろうか。*]

[幾度となく達して身体はぐったりしているだろうに、卯田の手遊びに反応してくれる。
此方を向いた彼女の顔は本当に幸せそうで、泣きそうになってしまった。

手をぎゅっと握って零れそうになるのを堪え、それでも少し滲んだ顔を晒すのが恥ずかしくて。
目元を見られないように汗ばんだ額にキスをすることで誤魔化した。]


 ……次は、紫亜の実家、な?


[この「予約」を早く本当にしたいけれど、彼女の兄であり自分の友人である男の結婚式が間近に迫っている。
親戚等、招待客のことや何より彼女の両親の心労を思えば、そう急いてはいけないと二人ともわかっている筈だけれど。

――先に籍を入れてしまいたい。

そんな気持ちが日々高まっている。

今度こそ、プロポーズを「完了」させないと。]


 あ〜〜〜このまま寝たいけど、夕飯の準備があるよな……。
 紫亜はまだ動けないか?
 俺だけちゃちゃっと入って、ここの襖閉めてればもう少し休めると思うけど。


[名残惜しいが時間は迫る。
起き上がって、首回りに紅が散る彼女はもう浴衣を着られないかな、と今更反省した。**]

─ 一部再放送 ─

[水
   音。]


っぁ


[関節が軋むほどの、冷たさに溺れるのに。体の芯が熱い。]


                 くそ、  だめ


[バスルーム
触れられ、撫でられた手のひらの感触が鮮やかに、何度でも、肌の上に甦る。

たくさん、いっぱい撫でてもらった。
優しく抱き寄せられて。
あれは友愛、親愛、それか甘やかす形での慰め
今 答えを返すことは出来ない、と、正直に答えてくれた手のひらが

今は意味を変えてしか再生されない。]

  ふ、うう


[水音。荒いばかりの呼吸。
髪の先端から滴る水が、みぞれのようだった。シャワーヘッドを握る指は悴んで痛いくらい。

床に座り込んでいるのは立っているのが辛くなって。
冷たく濡れた壁に凭れて、脚をみっともなく開き。
自己嫌悪に細い嗚咽が漏れる。

熱を持った箇所を冷やそうと、水をかけてしまって。そのシャワーの水圧に、決定的に押し上げられた。
もう収めることも出来ず、手で触れて逃す勇気もなく。

彼の声を思い出す。
頭を、肩を、背中を撫でる感触を。腕の中に抱き寄せられる感触を。]


   んぅ……
       ふ、ぐ、


[微かに微かに声を殺す。
形を変えて張り詰めたそこへシャワーの水を当てる、細やかに遠回しな自慰。

蹲る背中を更に丸め、膝を震わせ。
冷えた体から凍る吐息と罪悪感を吐き出した**]

[甘えるように胸に吸い付いて。
漏れ聞こえる甘い声が、自身を育てる。
いじわると、呼ぶ声は先程までとは少し異なって。
顔を上げて、胸を触る手を下に降ろして。
ロイヤルブルーの下着をそっとなぞる。
微かに湿り気を帯びた下着をカリッとひっかいて。
横にずらすと指を差し入れた。]


濡れてる。嵐。可愛い。


[今朝も繋がったそこを、指で解して。
水音が部屋に響いた。]

[サイドテーブルに手を伸ばして、ゴムを取る。
少しだけ腰を浮かせてズボンと下着をずらす。
嵐を見詰めてキスしながらゴムを着けて……]


自分で入れて見る?


[おいでおいでと嵐を膝立ちにさせて。]


腰。落として。


[甘えたように囁くけど。
彼女はいったいどうしただろうね。*]

[彼の表情の僅かな変化に気づいたのはずっと見つめていたから。
声を掛けるよりも早く、額にキスが落とされてそれは見えなくなってしまったけれど。
盗み見た耳朶が赤く染まっていたから、愛おしさに眼が細まる。

静けさの中に、落ちた言葉には。
口にしたその気配から真摯さが伝わって。

実家に彼を紹介する「意味」を深く感じ取ってしまう。
気恥ずかしいけれど、嬉しくて。
指先を揺らしながら、はにかんで。はい、と頷きを返す。]


 基依さんを連れて行ったら、
 お母さんたち、驚かせちゃうかも。


[彼の学生時代を知っている両親のことを思えば、
今の彼の姿は目覚ましく成長した大人の男性であり。
娘が一緒に連れてくるとなれば、その意味も察してしまうだろうから。]

[シーツに横たわりながら話をしていれば、先程から頭を撫でる仕草や慈しむような手付きに微睡みを誘われて、とろんと瞼が落ちそうになる。]


 ん、もうちょっとだけ、ゆっくり……


[身体を離した今も、下腹部にはまだ彼の感覚があって。
そっと下腹部を撫でながら、視線を落とした。]
 
 
 まだ、
ここに基依さんが居るみたい……



[そう呟く合間も、うとうと襲い来る眠気に襲われて。**]

――仕切り直しての見直し――

おかぁえりィ。

[ふふふ。戻るまでの時間の何かを勘ぐってかアルコールのせいか、表情は完全に笑みの形。
 戻るまでの間に、普段は一度に入れない酒量を入れたので、視線はややあやういが。]

いーけどぉ、っ、

[ちょっと冷たかった。びくんと手が跳ねたけれど、重なりを解くには至らないまま。]

別に、なるななんて言わないよ? 男同士、生理現象なのは知ってるしねェ。
謝ったのは、俺が軽率だった、って思ったの。
俺はァ、麦がね? 俺を好きってのは聞いたから、麦ならべたべた構ってもいいかなァ、とかさ?
好きなら、我慢させたくないな、とか。そーゆーんで、絡みすぎたって思って。

そんなん、しんどいじゃん。

[例えば俺に、もう若さの昂りを受け止めてしまうだけの割り切りか好意があれば、いっそ良かったのかもしれない。
 隠された張り詰めを、この肚の中に叩き込んでもいいと言える度量があれば。
 けれど息を呑んでしまった。欲情の気配に緊張を覚えた。
 そんな相手に、自分なら手を出せない。――きっと、麦も。
 ならば耐えるしかないのに、相手が煽り続けるなら、地獄。]

俺、どーしたらいー、かな。

[水のグラスで乾杯。自分も今、随分と酩酊している自覚がある。
 少しは覚まさないと、まともに話もできなくなりそうだ。]

触んのは、イヤじゃない。麦がいーなら、触ってるよ。
そんで、俺も答えてやりたいなーと思ってるのも、ほんとなんだけど。

[だからキスは重ねたい。そこに嫌悪感がない時点で、そばにいる対象として彼を選ぶことに、抵抗はないと思うのに。
 そんな弱音を吐いたら、『それ以上はしません』になるだけなんだろうか*]


  ……ひ、 ッあ!

[不意に、濡れた場所を布越しになぞられて
ガクッと腰が砕けたように彼の上に落ちてしまう。
倒れそうな体を、咄嗟に後ろへ手をついて支えれば
湿った布地の色がそこだけ変わってるのが見え。
爪先でひっかかれるだけで、走る甘い痺れに息が乱れた。]

  ん……ゃ、 だって……
  ……蓮司さんが、さわるから ぁ

[今朝をまだ覚えている秘所は、
入ってきた指へ物欲しそうに吸い付いてしまい
恥ずかしさで埋まりたくなるのに。]

  ……あ、 ふぅ……ンッ

[動かされる度に水音がたつほど溢れ、
指を濡らしていく体を止めることなんてできなくて。
気持ちいい場所を押し付けるように、腰が揺れてしまう。]

[焦らされたせいで昇り詰めていくまで早く。
もうちょっと、という所で抜けていく数本の指に、
ひくりと喉が鳴った。

下着から飛び出した屹立が、薄い膜で覆われていくのを
潤んだ目でぼんやりと見つめながら。
目が合えば近付いてくる彼と、甘いキスをして。]

  じぶんで……って、

[微笑む蓮司さんと、勃ち上がった熱とを交互に見て
ちょっとだけ怖気づく。
でも寸止めされて疼き続ける熱には抗えず
手招きに彼の肩を掴み直し、おそるおそる膝立ちになって。
さっきまで指が埋まっていた秘所へ、彼を宛がった。]

[囁きに従って、ゆっくりと腰を落としてみるけど、
ずらしただけのショーツが邪魔をして
擦りつけるように滑って失敗。
片手で横にずらした布地を押さえながら、もう一度。]

  ぁ……ぅ、 はいった……?

[慎重に、少しずつ。
もっと奥まで彼を受け入れたくて逸る気持ちとは裏腹に、
いつもと違う体勢に余計な力が入ってるのか、
半ばで腰が止まり、蓮司さんの甘える囁きがあっても
首を横に振って。]

  ……ぅ、 
れんじさんん……


[俯き、泣きそうな声で助けを求めた。*]

しんどいですけど……構って欲しいです。
好きですから。

我慢できます。それでは駄目ですか?


[俺がもっとずっと子供だったら、こんなに困らせなかっただろうか。]

俺がいつか貴方に慣れて、ああいう…風にならなくなるか
貴方が俺にいつか慣れて、答えてくれるっていう気持ちに体が追いついたら。
何か変わるかもしれないですけど。

段階を踏もうって言ってくれたじゃないですか?


[水のグラスを口に当てる。
もうやめようって結論にだけはどうしてもしたくない]

そばに居させてくれます。
触ってもいいし撫でてくれます。
キスも──してくれますね。俺も、普通のなら平気です。
嬉しい。


[そっと頬に触れた。指1本。それを滑らせて耳へ]


えーと…そしたら境界線を見つけましょうか。
これ以上はやめとこうってとこがお互いに見つかれば、もっと振る舞いやすくなりませんか?

俺の方からされるキスは、どうですか?


[片手で耳朶に触れながら、さっき一度したように、顔を寄せて。
唇の手前2cm、一度止まらずに通り過ぎて、重ね合わせた。*]

――そして恋バナ――

はは。
ごめんね?

[ずっと片想いで青春を奪ってしまった。しかもこんな年上の男が。
 それに答えられればいいんだろうが、なんとそれもあやういときたものだ。]

まー、年上っていったら年上かな。
学校の先輩だったからね。

[暴露話の代金として語られる、過去の遍歴
 幼稚園の先生は女性だろう。次は5つ上のダニエル。
 憧れの感情とはまた可愛らしい話じゃないか。チェイサーを飲むのにもいい肴。]

けっこー年上が好きなんだね、麦は。
俺もタイプだったりしたらいいんだけど。

[一目惚れっていうのは、タイプとかを飛び越えるから。
 どうだったのかと思うのは興味本位。]

[軽口に乗せるなら、俺とはしたいの、と聞いてしまいたくなるけれど。
 さっきの生理現象がすべてを語ってくれている。]

ん。じゃー、俺も喋んなきゃだなあ。
長くなるからテキトーに聞いてて。寝てもいーよ。

[人生の黒歴史を晒すのだ、もうチェイサーではやっていられない。
 またタリスカーをワンフィンガー。勢いで呷ってしまってもいいように、水割りにして一口。]

俺はね、正直、分類的にはどっちかわかんない。
聞いといてなんだけどさ。

最初の恋は多分、涼だろうな。近所によく遊ぶ女子がいてさ。
小学校も同じで、中学まで腐れ縁。
けど、中学ともなるとマセてくるやつがいて、付き合ってんだろなんて噂されんの。
お互いそんな訳ないって否定するけど、言われると意識するってやつ?
否定する材料を探そうとして、涼のことを目で追って――

まあ、でも、自然消滅ってやつだ。高校違ったしね。

[さて、それから問題の話。
 高校の先輩に、一目惚れした話だ。]

そんな事があったから、高校では彼女欲しいとかそういう話に、あんま積極的になれなくてさ。
まあ、ただ、聞いて。たまに中学の話を盛って話して。
別にいつか勝手に好きな人ができるまで、それ以上はしなくていいかなって思って。
けど、来たんだな、その時が。

[はー、と深めに息を吐く。
 自分からはじめた話のくせ、いざ話すとなったら思い返すだけでもだいぶ恥ずかしい。
 助けてくれタリスカー。水割りをごくりと、大きめの一口。
 喉が熱くて、頭の芯が痺れだす。]

……制服着た先輩が近所で発声練習してんの見かけてさ。
セリフっぽいことやってたから、演劇部だろーなって思って。
学祭近かったから自主練だったんだろうけど、正直演劇部ってのが学祭のそういう時期以外何やってるかも知らなかったから、年イチしか出番ないのに必死になってよくやるなー、って思ってたんだけど。

なんか目離せなくて、ずっと見てたんだよ、その練習。
それから何日か、その練習見ててさ。いざ本番見に行ったら、これがまたそんなにうまくねーの。
やる気が空回りってか、悪目立ち? 浮いてる? 発声やってたから声はデカいんだけど、他のメンバーとテンションが合ってない、みたいな。

[喋りはじめれば、昨日のことのように語れる。
 昔の恋の話は、麦の耳にはどう届くだろう。]

だけどさ、なのに、もっと見ていたくなったんだよな。
カリスマ、とかそーゆーんじゃなくて。
全然かっこよくないけど、かっこよかったんだよ。スベってるのに光って見えた。
多分俺はあんなに全力で何かに打ち込んだことねーな、みたいな。

それからずっと、部活の練習とか影で見てたり、発声練習見に行ったり。
その時くらいにやっと、最初に見たときから俺惚れてたんだなって気づいたかな。
会えるだけで嬉しくてまともに話したことすらないのに、劇の相手役になった想像でヌいたりしてさ。

[興味のつもりが恋愛だったと気づいた瞬間、高校生の熱というのは簡単に燃え上がる。
 たいして顔もいいわけじゃなかった。喋ったこともなかった。同じ部活に入って、同じ舞台に立つ勇気すらなかった。
 けれど隣で応援しているだけで、恋心というのは育つ。まるで少女漫画だ。]

けど、先輩だから卒業すんだろ、先に。
そんで卒業式の日にさ、なるべく女子っぽい文字練習して、超丁寧に『大好きでした』って手紙書いて下駄箱に突っ込んで、それで終わり。

――終わりに、した。

[あの手紙は何らかの物議を醸したのか。その顛末すら知らない。
 或いは自分の存在がとっくに気づかれていて、嫌悪のままに破り捨てられたかもしれない。
 想像はできるが、それだけだ。]