大富豪 シメオンは、メモを貼った。 (a4) 2022/11/24(Thu) 7:21:22 |
【人】 大富豪 シメオン─ とある女の話 ─ [それはずいぶん昔の話。 ある女がいた。 ラ・コスタという街の、 そのなかでも一、二を争う大きな劇場の美しい花形女優。 美貌だけではなく、くるくるとよく変わる愛らしい表情、 特に少女のような微笑みや仕草は、見るもの全てを魅了した。 女に恋をした男は数多いたが、その中に二人の男がいた。 二人は、友であった。 確かに、友であった。 その二人は共にかつて『勇者』と呼ばれ、それぞれが『賢者』『剣王』と呼ばれた盟友であった。それはここラ・コスタに移り住んでからも変わらなかった。そのはずだった。] (8) 2022/11/24(Thu) 10:05:51 |
【人】 大富豪 シメオン[『賢者』は女に恋をしていた。 些細な切欠がやがて賢者と女を結びつけ、その恋が成就すると賢者は舞い上がり、のめり込み、二人は恋に溺れた。 『剣王』は女の『美』に恋をしていた。 友が女の心を射止めても男は気にも留めなかった。 むしろ、恋によって女がその『美』を更に輝かせたことを喜んでさえいた。 だが、それも長くは続かなかった。 恋に溺れた女は自分の『美』を磨くことを手放し始めた。 女としての幸せを求めるようになったのだ。 男はそれが許せなかった。 失われていく『美』を諦めることができなかった。 だから……壊した。] (9) 2022/11/24(Thu) 10:07:14 |
【人】 大富豪 シメオン[男は賢者のことを友と思っていた。 共に視線を潜り抜けた仲であり、共にこの街にやってきた。 賢者は男にないものを持っていた。 それは魔法であり叡智だった。 けれど、男は賢者の中に『美』を見出したことは一度もなかった。 だから男の選択は実に当然のことだった。 この街では、いやこの男にとって『美』よりも優先するものなどないのだと。 男はありとあらゆる手段を用いて二人の仲を破滅させた。 賢者は街を追われ、女は悲嘆に暮れながらもその悲しみが再び女の『美』を取り戻し、いやそれ以上の『美』となった。 男はその結果に満足していた。 その年の『フェス』で、女の『美』は抜きん出て並ぶものがなかった。] (10) 2022/11/24(Thu) 10:08:12 |
【人】 大富豪 シメオン[だが、間も無くして女も消えた。 男に囲われることになった女は見る間に堕落していった。 酒と薬に溺れ、男の屋敷に平然と男娼を連れ込み快楽に身を窶した。 男はそれを黙認したが、女から『美』が失われるにつれて、女は追いやられていき、その行き着く先は影街であったという。 そのとき、男はその『美』を惜しんだが、女自身には何の感情も湧いてはこなかった。 ただ一度だけ友の姿を思い出した。 それは激しい炎の様な深い絶望と裏切りへの怒りをその目に宿した、憎悪に身を包んだ姿。 そのとき、男は初めて友のことを美しいと思ったのだった。*] (11) 2022/11/24(Thu) 10:09:27 |
大富豪 シメオンは、メモを貼った。 (a8) 2022/11/24(Thu) 10:53:34 |
【人】 大富豪 シメオン─ 屋敷 ─ [ジョスイのお屋敷は居住区でも一等地にあった。 広大な敷地に建つそれは様々な施設、たとえば工房やアトリエ、研究室や訓練所まで備えていた。 また、男が秘蔵するコレクションを展示するミュージアムもあり、交友のある愛好家たちに公開もしていた。 女>>7がそこを訪ねたなら、従者の一人が丁寧に応対しただろう。 従者は他の荷物たとえばフードなどを預かろうとはしたが、決して女が手にするリュートを預かろうとはしなかった。 従者の案内で女は男の元へと連れていかれる。 絢爛豪華な屋敷の中は数々の名画や美しい装飾に彩られていた。 女が通されたのはそんな煌びやかな場所とは打って変わって、やけに静かで侘しくもある区画だった。] (12) 2022/11/24(Thu) 10:53:57 |
【人】 大富豪 シメオン[男はそこで剣を振るっていた。 それは剣術における基礎中の基礎である形。 それを愚直なまでに、もう何千何万と繰り返した形をなぞる。 やがてそれは激しさを増す。 そこに存在しないはずの敵。 だが、男の振るう剣は確かに敵を捉えていた。 それは女の目に見えるほどにハッキリとそこに在った。 更に、男の姿は老齢に差し掛かったものではなく、昨夜よりもずっと若く、美しい姿がその目に映し出されただろう。 そして、女だけに理解ることが一つ。 彼の演舞は昨夜の女の演奏に乗せていたのだ。女の奏でた旋律の音の一つ一つを誤らずに、まるでその音と斬り結ぶように。] (13) 2022/11/24(Thu) 10:55:55 |
【人】 大富豪 シメオン[キンと甲高い音が小さく鳴る。 カタナをしまったと同時、見えていたはずの幻影は全て掻き消え、男の姿もまた昨夜と変わらぬものへとなった。] ……そうか…… [静かに、だが凛とした声。 その眼光は獲物を狙う猛禽の類の様に女を射抜く。] (14) 2022/11/24(Thu) 10:56:18 |
大富豪 シメオンは、メモを貼った。 (a10) 2022/11/24(Thu) 12:19:18 |
【人】 大富豪 シメオン─ 屋敷 ─ [女が重ねた男の手は熱を帯びていた。 剣を振るってきたためか、皮膚が固くそれでいてあまり年齢を感じさせないそれは、汗ばむこともなく乾いていたが、ただ熱かった。 それは確かにこの男の手であった。 男は女の手を握るでもなく、重ねたまま屋敷の中を導いていく。 何処へ行くとも告げず、そして女がそれを尋ねないことを、拒まないことを知っていたから。 何処をどう歩いて、そこに何があったかなど今の二人にとっては瑣末なことだ。] (25) 2022/11/24(Thu) 13:48:07 |
大富豪 シメオンは、メモを貼った。 (a13) 2022/11/24(Thu) 13:59:15 |
シメオンは、ファントム (a14) 2022/11/24(Thu) 14:02:55 |
大富豪 シメオンは、メモを貼った。 (a15) 2022/11/24(Thu) 14:03:28 |
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