人狼物語 三日月国


188 【身内P村】箱庭世界とリバースデイ【R18RP村】

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「なあ仕方がなかったんだよ。
 だって楽しそうだったんだ。

 見ろよ、もう『愚者』は動かない。
 安らかな顔だよ、羨ましいな。

 なあ、ほら、 すごいと思わないか?!
 『俺たち』って、
死ねる・・・んだ!



「『お前ら』も、
 『誰か』を殺すことができるんだよ!」
 


[『神様』の事も、『箱庭』の事も、
 嫌いじゃなかったし、好きだった。

 あの楽しい日々が、大好きだった。


 大好きだった、だけど、]
 


[大好きで、大好きで、大好きで、
        …きっと、大嫌いだった。]
 


[俺の行動が切欠で、箱庭が壊れていく。
 それが楽しくて仕方がなくて、
 誰の死だって面白がった。
 『恋人』の死に方は確かに
 ちょっと残念だったけど、それだけ。

 なあ神様!面白いだろう?
 "俺の事を嫌いになった?"


 何をしても揺らがないその様子が
 何をしても愛しいというその瞳が

 俺は、俺は、俺は……]
 


[それはきっと、自分がやった事を
 親に褒めてほしい気持ちや、
 親に叱ってほしい気持ちに似ていて、

 俺が思う楽しい事への共感が欲しくて、
 もし違うならばそれを教えてほしくて、

 だったら"要らない"って言ってほしかった。

 けれど神は制止する事はあったのに
 崩壊していく様子を悲しんでいたのに
 俺を咎める事はせず、戒めることもせず

 そのまま。]
 

 
 
  私の力は、平穏に導くための道程を用意するもの。

  仰々しいですが、実際は破壊のための力です。
  命だって刈り取ることが出来る。

  ……まるで、私の方が『死神』のようではありませんか。



  時に思うのです。
  『教皇』である私と 『死神』である貴方。

  私達は本来持つべき力を
  神が取り違えられたのでは、と。

  私こそが、本来の貴方であったのでは無いか、と。


[ タンザナイトが埋め込まれた聖杖を
 『死神』の首元にぴたりと当て、口元を歪ませ嗤う。

  ・
  
 
 ・

 ぼろり
  ・


 
聖者の仮面の欠片が、音も立てずに堕ちていく。
]

 


 
  私は、貴方のことが羨ましかった。
  私より余程清らかで、慈悲深く、汚れ無き存在の貴方が。


  ……いつの頃からか
  
妬ましく思えていました。

   

  今この瞬間の、言葉だってそうですよ。
  己の身が危険な状況であれど
  案じているのは、貴方の命ではなく
  …………私の事なのですから。

  貴方の云う通り、私はこの程度の者でしかないのですよ。

 

 
[ 神が私に与えた “贈り物” は
   間違っていなかったのでしょう。



           
 間違えたのは道を踏み外した、私の方。
 ]

 

 
[ かつて死神が師のように慕った“慈愛の聖者”の仮面は
 狂気を孕んだ声と共に崩れ落ちました。
 死神はどのような表情をしていたでしょうか。
 どのような表情でも、態度が変わる訳ではありませんが。 

 やがて『死神』の首筋に向けたままの杖先から
 顔色一つ変えず、爆発を発生させました。

 しかし、僅か数秒後に知ってしまいます。
 この爆発だけでは、終わりが訪れないことを。


 『死神』の再生の力の賜物でしょうか。
 それとも、肉体のみならず
 魂まで消滅させたかったのでしょうか。

 『教皇』はそれはもう念入りに
 ぴくりとも動かなくなるまで
 幾度となく攻撃を続け、殺害しました。

 その時の形相といえば
 悪鬼羅刹の類のそれと言えたでしょう。

 後世、なかなか『死神』の証を持つ者が
 生まれ落ちなかったのは、通説の
「22人揃わないようにと考えた人に殺された」他に
 この悲しい出来事の影響もあるのでは、と
 唱える説もあります。*]

 


[ 『節制』は、箱庭を愛していました。
 世界を生み出した神様を愛していました。
 自分と同じように箱庭に生み出された子らを、
 それぞれに大切に想っていました。

 相反する性質を持つ者たちの集う箱庭では
 諍いが度々起こりました。
 彼らが諍いで互いを傷付けすぎてしまうことのないよう、
 一たび争いごとが起きたなら駆け付け
 仲介役を進んで買っていました。

 神様が『節制』へ贈った贈り物は「架け橋
 相反する二つの性質の間に立ち、
 それらを結び付けることの出来る贈り物でした。
 
 特別安らげるのは、親友である『隠者』の傍。
 『隠者』は思慮深く、慎重で、思い遣りに満ち
 誰よりも『節制』の性質を理解してくれます。
 『節制』もまた『隠者』を誰よりも大切に想っていました。

 晴れた空の下、よく二人だけのお茶会を開きました。
 湖畔で涼やかな水音を聴きながら
 アイリスの花を眺めるのがいっとう好きでした。]

 


[『節制』は規律を重んじ、節度を弁え
 慈愛を尽くすためならば自己犠牲をも厭いません。
 東に呼ぶ声あれば飛び、西に呼ぶ声あれば駆け
 求められれば求められるがままに献身し、
 皆の幸せを心から願っていました。
 
 最初はきっと興味本位で始められたのでしょう
 『運命の輪』の手による幸運と不運の流転。
 やがてどちらをも楽しむようになってしまった
 『運命の輪』のことを、その勝気な奔放さを
 『節制』はどうしても理解できません。
 
 初めこそ純粋に心配をしていましたが、
 徐々に苛立ちを覚えるようになってしまいました。

 『節制』が戒律し、己を戒めていましめて
 とても出来ずにいるようなことをも
 無邪気に成し遂げてしまうから。
 羨望の色を孕んだ、醜く身勝手な苛立ちでした。

 『節制』は自分が『運命の輪』を嗜められる気がしません。
 『正義』に任せて、距離を置くことにしました。]

 


[ わたしは神様を愛しているのに
 神様の創りたもうた子に苛立つなんて!

 『節制』は自分の中に生まれた矛盾に苦しみました。
 こんな自分は『隠者』にだけは知られたくない。
 ひとり苦しむうちに、ぽきり、と何かが折れました。

 どんなに仲介役を続けても
 ただその場では丸く収まるというだけ。
 争いの火種がそれぞれの個性に在る限り
 諍いが完全に絶えることはありません。

 ……つかれたな。
 ふとそう思いました。

 仲人役を務めることが虚しくなってきましたし
 自分の存在は箱庭に必要がないような気もしてきました。]

 


[ やがて思いました。

 わたしが間に立とうと、立つまいと
 さして結果は変わらないのではないか?
 
 愛する神様からの贈り物を使いこなせない己に
 『節制』は、失望しました。
 必要がないのなら、わたしが生み出された理由は何だ。

 「わたしは、神様から愛されていないのではないか?」

 奇しくも『運命の輪』と真逆の発想に至りました。]

 


[ 神様を、箱庭を愛するがゆえに積み重ねてきた
 丁寧な暮らしが荒れるようになりました。
 箱庭の何処かで諍いが起こっても
 知らぬ存ぜぬを貫きました。

 昼夜は逆転し、好きなだけ酒を煽り、殻に閉じこもり
 美しかった紅い翼はぼさぼさになってしまいました。

 そんな情けない自分を誰にも見られたくなくて
 『隠者』には特別見られたくなくて
 もしも『隠者』が自分の元を訪ねてきてくれても
 ひとりにしてほしい、と拒んでしまいました。

 そんなある日のことでした。
 『悪魔』が、『愚者』を殺しました。

 どんなに諍いが続いても殺し合いに発展することはないと
 『節制』は心の何処かで油断していました。
 だからこそ見て見ぬふりをしていました。

 ──取り返しのつかないことが起きてしまった。

 わたしが間に入ったとて
 止められはしなかったかもしれない。

 だが、『愚者』の死は防げたのではないか? ]

 




  [  わたしの、せいだ  ]



 


[ 自責の念に駆られた『節制』は我に返りました。
 神様が愛した、穏やかな箱庭を取り戻すために。

 混乱に陥った箱庭を鎮めようと
 『節制』は、再び諍いを仲介し始めました。
 そのうちに誰かが刃を持ち出しました。]


   ──いけません

   わたしたちがわたしたち同士で
   傷付け合ってはなりません……!!


[『節制』は仲立ちを試みながら
 どうにかして刃を奪い取ろうとしました。

 力任せに奪い取ろうとしたその弾みで
 『節制』の身体は場外へと投げ出され、



             掌の中の刃は──── ]**
 
 



  行かないで――……

  

 
[               ひとりきりの恋人たちアダムとイブ
             胸の証はとある楽園の模倣。
   蛇の奸計で林檎を口にし追放された者たちの烙印。
          その意に破綻をも内包するそれは、
          夢を見なければ狂わなければ生きられない程に、
            最初から完璧ではなかった証。 ]
 

 
[  知っていた。識っていた。
  完璧な両性具有に完璧な二人でひとつ
  それでも足りないのです。
  足りないと思ってしまうのです。

  或る日神に問いました。
  「どうしてわたしたちを完璧に作ってくれなかったの」

  造物主我らが父は答えます。
       「そのままの完璧でないおまえを愛している」と ]
  

 
[  『恋人』が何をしたとて何を思うとて、
  永遠の不完全に絶望し身を投げたとて、
  正気の果てに箱庭の全てと心中したとて、
  何をしても愛しいのだとその瞳は告げるのでしょう。 ]
 

 

  ──── ああ、反吐が出る。
  自分で作った可哀想な人形を愛でるその目が煩わしい。
  わたしたちが欲しいはそれじゃない。
 
 

 
[  『悪魔』の愛は禁断の果実でした。
  そこにあり、魅力的で、どうしても欲しいと思うのに、
  手を伸ばせばその愛は終わってしまうのです。

  わたしたち、ふたりでひとつの完璧な存在。
  だのにこの身の外に抱いた愛に気付いた時、
  『恋人』の『完璧』は永遠に失われてしまう。

  だから見ないようにしました。
  『完璧』であるならば、『悪魔』は愛してくれる。
  
何故、と思えば問うたことはありませんでした。
  向かい合うことを避けていたようにも思います。

  心で想うことだけは、この心だけは自由だ、などと、
  そんな都合のよい夢を揺蕩っていたかったのです。  ]
 

 
[  だから、箱庭の黄昏を招いたのが『悪魔かれ』だとしても
  それは構いませんでした。

  愛とは許しで、愛とは受容で、
  愛とは存在ありのままを肯定するものだと信じていたからです。

  彼がどれだけ血に染まろうと罪に塗れようと、
  望むものを得る道なら何がどうなろうと構わない。
  わたしたちの終わりですら──
  きっと完璧なまま終わらせてくれると信じたから、
  どうでもいいと思えたのです。

  彼が真に求めるものが何であったかさえ、
  知ろうとしないままに。   ]
 

 
[  けれど、狂気のままの精神は擦り切れる寸前でした。
  生まれた時から『完璧』ではないと知りながら、
  それでも『完璧』を偽り生き続けるのは地獄でした。

  だから、それ『隠者』の薬は確かに救いだったのです  ]
 

 

[  そして、              
]
 
 



   ── ねえ、『悪魔』いとしいひと
   こんな最期を少しくらいは惜しんでくれるかな?
   
   わたしたちも少し残念だ。
   最期だなんて言わず、
   最初に殺してもらえばよかったかな、なんて。

   ああ、でも。
   きみに浮かぶ失望の色を見ることがなくてよかった。
   きみの愛を失う前に、死ねてよかった。
 
 

 
[  そうして瞼を下ろします。
  そこには音もなくただ優しく広がる夜がありました。

  『恋人』はその不本意な死にも関わらず、
  眠るように穏やかな顔をしていました。  ]
 

 

[  そうして『完璧』を守り通して死んだのです
  それこそが『悪魔』への、彼/彼女『恋人』の愛の体現なのでした  ]

 

 
 
   
きみのことを『愛して』いたよ

 
 

 




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