69 【R18RP】乾いた風の向こうへ
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| 明日の早い時間にでかけてみよう [ >>187宿につき、ヴィが窓辺から宮殿を眺めて近くで見てみたいというから同意を返した。 ヴィが眠そうにしている事に少し驚いたあと、日中の出来事を思えば当然だなと思い至る。それから自分の目の前で、寝巻きに着替えようとするから少し慌ててしまった。 自分の動揺を見てヴィも察したのか浴室へと向かう。それから戻ってきたときには片方の肩がはだけそうなくらい大きめの寝巻きを着ていて、人の気も知らないでと、今回何度考えた事だろう。**] (203) 2021/04/20(Tue) 0:21:05 |
そうなんだけど、いつもどおりに連れ回してしまったから。無理してなかった?
まあ、今更なんだけど、寝る準備をしてきて、早く休もう。
[ 身体の変化が疲れる事に理解が及んでいたならもう少し労われたかもしれない。今更と言葉どおり反省しても無駄な問答になるからベッドに早くと招くような事をして。
自分は普通に眠る時間で、酒も入っていたから待ちながらも少しうつらうつらとしていただろうか。]
猫みたいだね
[ ベッドの端に微かに振動がして、その後自分のそばにヴィが移動してくるのがわかった。掛け物を浮かしてヴィが入りやすい様にしていたなら腕の中に寄りそう位置まで来てくれて胸が詰まりそうな思いがする。
そばで眠ってくれる?と自分が言った通りにしてくれたのだろう。]
[ 灯りを落とした室内は、窓から差し込む月明かりで青白く見える。自分のすぐそばに最愛の人が子猫みたいにそばにいて、腕に伝わる重みをもう一方の腕で閉じ込めてしまいたくなる。]
あの日のことがまだ、夢みたいに思えていて
[ 先送りにしていた言葉を考え考え口にするから酷くゆっくりになる。あの日と言うだけでヴィに伝わるかどうかもわからないのに。]
あれは、本当のことだったって
君にまた
[ これきりなんて嫌だと、あの時も懇願したのだったか。何度も何度も確認してしまうのは、ヴィに責任を預けるような卑怯さのような気もしてくる。]
だめだな
僕は君が好きなんだ
[ 触れても良いかと許可を取ろうとして、結局出てきたのはそんな言葉だった。]
君に触れたいっていつも思ってる
君は?
僕を好きだと思ってくれる?
[ 掠め取るようにして、以前のような幸運が舞い降りてきて、施しでも貰えれば良いなんてずるいことばかり考えていた。
ヴィの気持ちを何も確認しないままだった。怖くて。
そっと寄り添ってくれて、手を伸ばせばそれを取ってくれる。ヴィのその気持ちを自分は何と思って受け取っていたのか。
好意だと思っては図々しいような気がしていた。あまりに勿体無いことだと。だけど、逆ではないか?
これが特別なものでなくて何なのだろう。
自分だけが受け取れる貴重なものではないか?
そうだったら良い。確認させてほしい。
寄り添っている分きっと自分の鼓動はヴィに筒抜けだろう。ただでさえ五感が優れている彼なのだから。。**]
[どうしてやろうかと考えるのが
酷く楽しくて仕方が無い。
無数のチェス盤が
定跡ばかりで置かれていて、
決めた手を返すだけで欲しい物が
簡単に手に入る状態なのだから、と。]
昼間少し寝たから。
[ 日中活動できない訳ではないが、直接陽の当たるのはどうしても不得手で、朝方の早い時刻、もしくは夕方からの活動になりがちだ。
旅行先なら一番活動しやすいだろう時間に、同行者の動きを制限してしまう事に申し訳なさがある。
だからこそ彼も最初の旅行は、陽の短い季節に雪国へ行こうと誘ってくれたのだろう。旅の最中に、何がきっかけだったか海の話になった。北方の鈍色の海。物語にあるような青い海を見たことがないと言えば、次はそれを見に行こうと彼は言った。]
明け方起きられたら、お城に行って、それから何処かの店で朝食にしよう。
それから、もし僕が眠るようなら、ダンテは何処か見て回って貰ってもいいし……。
[ 寝台に膝で乗り上げると深く沈み、ほんの微かにだけ撥条が軋む音がした。ダンテが掛け布を開いて自分を招く素振りだが、既に眠そうで聴こえているかわからない。
今日一日の様子では、外を出歩くに危険がある程の殺伐とした世情でないようではあるが、引き続いて明日もそうであるかはわからない。彼を一人にすること、語尾は言い淀む。
寝台の軋みは体重を乗せた最初のひとつきり、後は音もなくシーツを渡って寄り添い腕に収まると、猫みたいだね、と彼が言った。起きている。
月明かりが思いがけぬほど冴え冴えと、部屋の中の陰を明瞭にする。
規則正しい筈の心音が時折跳ねるように響き、浅い長い呼吸の音が、隣の人が、横たわって暫くの後もまだ眠らずにいることを伝える。]
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