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【人】 叶わぬ想い 日下部 汐里今までは炊飯器に頼っていたので 何とも言えませんが…… 大きく違うのは、水に漬ける時間なので。 流石矢川先輩です。私の目に狂いは無かった! 後は私の研ぎ方と、 水分量を見誤っていないかですね。 [ どうです?お米の声が聞こえてきました? そんな話が始まる前に、 林間学校へと話題を移せたのは 矢川先輩にとって僥倖だっただろう。 ] (64) 2020/11/29(Sun) 21:50:29 |
【人】 叶わぬ想い 日下部 汐里[ 炊き立ての匂いに、自然と頬を緩ませて。 ころん、ころん。俵型にまとめたお米を、 手の上で伸ばした小豆でくるんでいく。 最初は取り止めのない事を話しつつ 先輩の話も聞きながら、ふっと感じた違和に。 ついうっかり、自分のそれを混ぜ込めば。 ほら、できました! 満面な笑みで完成したおはぎを差し出したけど。 その頃には、もう互いに手遅れだった。 ] (65) 2020/11/29(Sun) 21:51:35 |
【人】 引率してます 柊 真理絵−学校に戻ってきた臨時講師 つ か れ た ! どういうことにぃに!!!! 「あ、おかえり真理絵。よく頑張ったね」 全ては、この学校でポートレートやるためなんだから!!!! 今度の土曜日お邪魔します!! [ 学校に帰ってきて、出迎えた音楽教師。 兄。兄である。 この目の前の金髪碧眼オールバック。 高身長高学歴ある種高収入。 昭和の3高を兼ね備えた最近では珍しい人種。 彼が、引率に行きたくないからと、 妹を差し出したというわけである。 私学だからだろうか、この音楽教師の人徳だろうか。 差し出された妹は即採用。 1週間分の給与と、休日で人が少ない日に、 学園でポートレートを撮れるようにすることを 対価として、彼女はOKを出した。 ] (66) 2020/11/29(Sun) 21:52:21 |
【人】 叶わぬ想い 日下部 汐里[ ほうじ茶を飲みながら、先輩の話に耳を傾けて。 日下部さんは───>>@16 向けられた言葉が、 最後まで語られる事はなかったけれど。 何となく、理解できて。 ] 私は ─── [ 口を開き、くしゃりと顔を歪ませた瞬間。 川を渡る電車が、ごおっと周囲に轟を響かせながら 頭上を通り過ぎて行く。 その際、私の声は、 轟音にかき消されてしまったかもしれない。 それでも、口の動きだけは、はっきりと。 先輩に向かって。 ] (67) 2020/11/29(Sun) 21:52:29 |
【人】 叶わぬ想い 日下部 汐里[ 先輩と共に、揺れる薪を見る。 これからどんなに辛い思いが待ち受けていようと。 私はもうこの気持ちを、炎にくべる事は しないだろう。 この一つ年上の先輩はどうするんだろう。 ちらと薪に向けていた視線を矢川先輩に移して。 ] ねえ、矢川先輩。 いつか縁側でほうじ茶を啜りながら おはぎを食べる時でもきたら。 よかったら、今日の事を思い出して下さいね。 ああ、おはぎ好きのおかしな後輩がいたなぁって。 [ そんな事を言って、くすりと笑う。 ] (68) 2020/11/29(Sun) 21:53:19 |
【人】 叶わぬ想い 日下部 汐里[ ─── 私達の恋は、他の人に比べて難しい。 だから、軽々しくは言えないけれど。 勿論、その隣には。 笑いながら、その話に首を縦に振る、 私の涙を受け止めてくれた あの優しい先輩がいる未来を。 私は心の底から、願ってやまなかった。 ]** (69) 2020/11/29(Sun) 21:53:56 |
【人】 学生 五反田 健吾泣き言、 [ なんて、人に吐いたのはいつのことか>>53。まだ昔、家族がみんな揃っていた時には、言っていた時もあったように思う。 子供の頃から、父と母の諍いは絶えなかった。そうして、気がついたら父はいなくなっていて。母と自分は、取り残されて。 父がいなくなったから、母は病んでしまったのだろう。父に似た顔の自分にきつく当たり、夜は電気も点けずにただ静かに椅子に座っている。そんな毎日を、見捨てることも出来ないまま送ってきた。 親なのだ。自分の。 子供の頃、一緒に遊んで笑いあったこともある。 だから守りたかった。どんなことがあっても。 守りたいと、確かに、思っていた。] (70) 2020/11/29(Sun) 21:54:59 |
【人】 学生 五反田 健吾[ 怒った顔の彼女に眉根を下げてしまう。そんなことを言われたって、弱音の吐き方なんてわからない。……ずっと、ずっと、昔の話だから。 どうしたらいいかわからず、無言のまま。自分の相談を聞いた彼女の答えを待っていれば。] ─── な に、 [ ふわり、と自分を包むものがあった。柔らかな体がこちらを抱きしめる。 こんなことは今までになかったから、驚いて、どうすればいいか混乱して。……目の前が歪む、視界が明瞭ではなくなる。 まるで眼鏡を外した時の片方の目の時のように、ぼやけて。けれど、眼鏡を外してはいないから。] (71) 2020/11/29(Sun) 21:55:18 |
【人】 学生 五反田 健吾[ まだ自分の頭を抱えてくれているのなら、甘えるように身体を傾けて彼女に体重を軽く預ける。 終わったこと。始まったこと。これから始まること。全部全部をぐっと噛み締めるように、深く息を吐いた。 そうしてやっと、とんとん、と彼女の手を叩いて合図をすれば手は離れるだろうか。 赤く腫れた眦、不格好な顔だけれど、彼女の瞳と自分の色を重ねて。] ああ、……ずっと、一緒だ。 [ 未来の保証なんてどこにもなくても。 心が、ずっと一緒だって保証する。*] (74) 2020/11/29(Sun) 21:56:50 |
【見】 文化部 佐藤 しおりー 回想:ある日の図書館 ー [ しおりは五反田の声が聞こえ拾おうとした手を 慌てて引っ込めた。と、同時に左手に 抱えていた本を落としてしまった。 ] バサッバサバサッ は、恥ずかしい… [ しおりは、彼が本を読んでいるのを 邪魔をしてしまったことへの罪悪感と 鈍臭く本を落としてしまった所を 見られてしまった羞恥心で顔が急激に 赤くなるのを自覚した。 自覚したからと言って、顔の赤みを 直す事などできない。 ] す、すみません… [ しおりは、急いで本を拾おうと屈んだ。 ]* (@23) 2020/11/29(Sun) 22:17:24 |
【見】 3-A 矢川 誠壱[ 嫌な言い方をしたな、と自覚していた。 だから、その低く響いた声に対して 苛立ちは浮かばない。己が悪い。 取り消したのに、続けられたその声は、 まるでおもちゃを取られた子供みたいに、 拗ねたような色をのせていて。 ぎゅ、と心臓が掴まれるような心地が したのはどうして、だろう。 その意味を深く聞くべきかどうか迷って、 結局、やめた。 それよりももやもやする気持ちの方が 大きくなってしまっていたから。 風に掻き消えて仕舞えばいいと思ったのに 届いてしまった、自分勝手な呟き。] (@24) 2020/11/29(Sun) 22:34:09 |
【見】 3-A 矢川 誠壱[ 詰まりながら言い返された事柄に、 ぐ、と腹奥から熱い何かが上がって、 喉が震える。肩を掴んだ手に力がこもる。 そのまま抱き寄せて、すぐそこの 木の幹に雨宮の背中を押しつけて、 閉じ込めてしまおうか、なんて。 「だからなんだよ」 「聞こえてたからって」 「俺と同じ気持ちにはなんないだろ」 そう乱暴に吐き出してしまえたら、なんて。 この感情に名前をつけることもできぬまま。 できるわけなくて、奥歯をぎ、と噛んで、 視線を投げるだけにとどめる。 落とした先にある唇から、逸らして。 深く息を吐いてから、問うた。 すこしだけ、足が速くなる。 食い気味に返ってきた答えに、 いつのまにか噛んでいた唇を解いた。 だがそれも、深いため息の後、 続いたことにもう一度結ばれる。] (@25) 2020/11/29(Sun) 22:34:51 |
【見】 3-A 矢川 誠壱───なにそれ。 [ 足が止まる。] …俺には言えないことなの。 [ 低く唸るような声だった。 眉が強く寄り、半ば睨むようにして 彼の方を見た。掴んだ手の力が 余計に強くなっていく。] (@26) 2020/11/29(Sun) 22:35:14 |
【見】 3-A 矢川 誠壱話してくれたっていいじゃん。 俺には話せなかった? ──女の子と遊ぶ方がいいんだ? で?彼女作るわけでもなく、 不特定多数引っ掛けて捨ててんの? ───なにやってんだよ。 [ 苛立ちが募った。 何に対してか、は、なんとなくわかる。] (@27) 2020/11/29(Sun) 22:35:46 |
【見】 3-A 矢川 誠壱[ 口にすることもできないまま、 小さく舌打ちをした。] それで、満足どころか、 なんにも思わなくなって? [ ぐ、と身を乗り出して手のひらを 雨宮の首元に添え、掬い取るように 顎にかけて掴み、上を向かせれば 乱暴に口付ける。 無理やり歯列を破り、舌を滑りこませ、 蹂躙するように、わざと呼吸すら奪うように。] っは、っ… [ 離した唇。眉を寄せる。 ああ、何やってんだ俺。 最低だな、わけわかんねえ。 体調悪い雨宮にこんな。 大事な、友達なのに。 ───友達。 あやまらなきゃ、] (@28) 2020/11/29(Sun) 22:38:50 |
【人】 学生 五反田 健吾─ 回想:ある日の図書館 ─ [ 声をかけたが間に合わなかったようだ。そこそこの音を立てて落ちていく本を、無感動に眺めていた。 椅子から立ち上がれば、彼女の近くにしゃがみこみ、本を手に取る。] 手伝うよ。 [ 真っ赤に染まった顔は気の毒とも思うけれど、言及するのも酷だろう。慰める言葉なんてものは持ち合わせていない。 本を手に取っては積み重ね、そうしていれば、ふ、と彼女の手と自分の手が触れ合うことがあった。] ああ、すまない。 [ 自分は気にした風もなくそう告げて、また本を積みあげた。] (75) 2020/11/29(Sun) 22:42:01 |
【人】 学生 五反田 健吾[ それにしても、女ひとりが持つには重そうなものだが、これを一人でやっていたのだろうか。 他の図書委員を探そうとしたが、生憎とここからは見えない場所にいるようで。] ……手伝うよ。 [ 今度の言葉は、本を拾うことに対してでは無く、本を整理することに対して。関わったのも縁というもの、たまには同級生の手伝いをするのも、悪くないかもしれない。**] (76) 2020/11/29(Sun) 22:42:20 |
【見】 文化部 佐藤 しおり回想:ロシアンルーレット [ しおりは、差し出されたジュースを勢い良く飲んだ ] あ、ありがとうございます [ 申し分けなさそうに謝るシオンを見てしおりは い、いえ…辛いものがあまり得意ではなく… お菓子の辛さだからと油断していました と、おかしそうに笑いながら言った。 シオンを見ていると、いつも反射的に謝ってしまう 自分に重なる。 ] 謝ることで、相手を逆に申し訳ない 気持ちにさせちゃうんだ… [ 今まで、彼女は反射的に謝っていた。 それは、本当に申し訳ないと思っていてだ。 それで相手を心配させたり、困らせたいわけじゃない だから… ] 次は絶対に甘いお菓子を当てます! [ しおりはそう笑って、あたらしいお菓子の袋を開けて 一つ口の中に入れた… ] か、辛い!* (@30) 2020/11/29(Sun) 23:47:23 |
【見】 3-A 矢川 誠壱 ───飯盒炊爨おはぎの会 [ 彼女の口が開かれた。 聞こえた声に、薪に落としていた視線を そっと上げて、見つめた。 燻る煙の向こう側。 電車の走る轟音が響き渡って、 音を伝える空気を全てかっさらう。 だけど、わかってしまった。 その唇の動きで。 少し影になったその、表情で。 だから、目が離せないまま。 まっすぐそちらをみて。 響いた音が静かな反響すらすべて 消え去ったあと。] ───そう。 [ ひとこと、頷いて、微笑んだ。] (@31) 2020/11/30(Mon) 0:23:29 |
【見】 3-A 矢川 誠壱[ 彼女の気持ちは彼女のものだ。 それをどうするか、なんて それは彼女しか決めることができない。 ねえ、とかけられた声に、瞬きを2度、 繰り返した後ゆっくりと上げた。] ───うん、思い出すよ。 日下部さんもさ、いつか 思い出してよ。 飯盒で炊いたもち米、 案外美味かったよなーって。 ───難儀な、恋をしてる 仲間がいたなあってさ。 [ きっと、これから先、何かあっても 彼女とこれ以上詳しいことを、 そしてその結果を、話すことはない。 互いの未来に見えるものはまだぼやけていて わからないことばかりだけれど、 交わらない道だということはわかる。 ただ、それが同じように難しいものだと いうことも、ふくめて。 だからこそ、なにもいわないだろう。 なにも、いえないのだ。] (@32) 2020/11/30(Mon) 0:24:09 |
【見】 3-A 矢川 誠壱[ ただ、彼女がすでに決めたその未来に どうか輝く光があるようにと願う。 続いていく茨の道の先が、 明るい場所であるようにと願う。 そしてなにより、 愛おしい人と共に歩む未来が訪れ、 温かな幸せが降り注ぐようにと願うだけ、だ。]* (@33) 2020/11/30(Mon) 0:24:52 |
【人】 受験生 雨宮 健斗[矢川の手が首元に触れる。 殴られる、と思った。 目は逸らさずに睨んだまま、ぎり、となる 奥歯の音を聞いていた。 痛くなかったかも知れない。 噛みつかれるように、唇が触れた。 だらんと落ちたままの左手が心底うざかった。 ぶん殴ってやることも出来ない。 がち、と歯が当たる音がした。 ] (81) 2020/11/30(Mon) 0:46:57 |
【人】 受験生 雨宮 健斗[無理矢理ねじ込む矢川の舌に傷がついたかも 知れないと思う。 さっきまで、己がしていたような。 今までなんの気無しに繰り返してきたような。 酸素を求めても許されない、 呼吸が相手の手の中で、 初めてぞくり、と身体が跳ねた。 それは、恐怖にも、快感にも似た (82) 2020/11/30(Mon) 0:48:15 |
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