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【人】 受験生 雨宮 健斗……っ…! [はっ、はっ、と酸素を求めて短い呼吸を繰り返す。 飲み込みきれなかった唾液が、唇の端を伝って、 ぜいぜいと動く喉を撫でた。 開いたままだった瞳で見た矢川の顔は、 なかなか見事に歪んでいて、 吐き出すように溢れる言葉を聞いていた。 ] …なんで、お前が そんな顔してんだよ。 [ぽつりと告げて、同じように歪んだ口元は、 なんとか笑みの形に変えられただろうか。 ]** (83) 2020/11/30(Mon) 0:49:51 |
【見】 3-A 矢川 誠壱[ 事情をきちんと聞こうともせず。 そんな行動に走っていたその詳しい理由も 心境も、悩みも、聞こうともせず。 「俺でもいいなら話聞くから」とか 言えたらよかったんだと思う。穏やかに。 ───だけどそれが、できなかった。 苛立ちに身を任せて捲し立てた。 腹がたった。 その場所に己がいないことに。 立つことができないことに。 特別だと思っていたのが自分だけかも しれないとよぎったことの悔しさに。 響いた声。 木々がざわめく。鳥が鳴いた。 低く続いた拒絶に、ずき、と痛んで、 体が、勝手に動く。] (@34) 2020/11/30(Mon) 1:22:36 |
【見】 3-A 矢川 誠壱[ 肩をホールドした腕は逃げられないよう 力をこめて、頬に添えた手は、 頸動脈を抑えるように掴んだまま、 無理やりにでも上を向かせた。 開いたままの唇で、彼の唇を覆い、吸う。 舌先を差し込んで歯列を割り、 口蓋を通って舌を絡める。 角度を変えて、何度も、何度も 呼吸を奪えば、微かな痛みが走った。 ちり、としたそれのあと、ゆっくり 力をゆるめる。口の端に溜まった 唾液をぐい、と親指で拭った。 謝らなければ、と頭の中で理解はしているのに 口をついて出るのは悪態で、嫌になる。 微かに鼻を抜けていく鉄の匂い。 歪んだ顔で、それでも笑う雨宮に眉が寄った。] (@35) 2020/11/30(Mon) 1:24:17 |
【見】 3-A 矢川 誠壱[ な んで、笑うんだよ。] わかんねえ、俺、…… ごめん、 [ 小さく頭を下げる。 どうしたらいいのだろう、と頭を ぐるぐる巡らせるのに、あとには戻れない。 ここからはもう、肩を貸すことも躊躇われ。 黙って、ゆっくりとついて宿へ向かおうか。 口の中に広がる血液を無理やり飲み込んで。]* (@36) 2020/11/30(Mon) 1:25:39 |
【人】 受験生 雨宮 健斗[特別だっつっても友人で、もちろん男で、 がっちりホールドされて、 うっかり頸動脈キメられて、 殴られるどころかキスされて。 いくらあいつがデカくても、 多少己の血の気が引いていても、 抵抗することなんていくらでも出来たはずなのに。 何すんだ、って怒鳴るとこだろう。 …何やってんのお前。 なんで、こんなこと、すんの。 (84) 2020/11/30(Mon) 8:16:12 |
【人】 受験生 雨宮 健斗[もう体重を預けられる肩はそこには無くて。 置いてきゃいいのにそれでも己を気遣ってか、 ゆっくり歩く矢川を、己の意思に反して 閉じようとする瞼を懸命に上げて目で追った。] [呼びかけた声は、割に落ち着いていて。 振り向いてくれなくてもいい。 目の前が、急に色を失って。 座り込むように、倒れる直前。 ] (87) 2020/11/30(Mon) 8:23:02 |
【見】 次期生徒会長候補 赤羽 神一 ―― キャンプファイヤー ―― [ キャンプ場なので灯りは勿論あるものの 僕達を取り囲むのは深く暗い森林と夜空。 僕らの中心には炎があって たくさんの生徒が様々な表情をして それはひどくざわめいていた。 僕は実行委員の手伝いで音楽を流す。 ある音楽を流した時に、誰かが誰かに 手を差し伸べることもあっただろうか。>>2:246 そんな光景が目に入れば、 自分の冷たくなった指先を見つめる。 思い出すのは少しだけ触れた あたたかな温もり。>>1:180>>1:@65 ] (@37) 2020/11/30(Mon) 8:40:52 |
【見】 次期生徒会長候補 赤羽 神一[ いつからこうなったのだろう。 小さい頃に大好きだったピアノも絵も、 父親に全部くだらないと取り上げられて、 父親がなれなかった総理大臣になる道を 強制された。>>1:@69>>1:@70 それから、がむしゃらに勉強して 目的のためには手段も選ばなかった。 僕は、ただ自由になりたかった。 僕の国を作れば自由になれるんだと。 だけど最近、僕はおかしい。 ] (@38) 2020/11/30(Mon) 8:50:30 |
【見】 次期生徒会長候補 赤羽 神一ごめん、ちょっと外す。 [ 息を切らし探し回る。 ちっこい彼女をすぐに見つけられるように 林間学校の前に渡した 目立つうさぎのぬいぐるみも キャンプファイヤーだと持っていないか。 ] お、ちあ。>>45 [ ベンチに座るちあを見つければ 息を整えて、何気なく声をかければ隣に座り おつかれさまと言った。 ]* (@39) 2020/11/30(Mon) 8:53:44 |
【見】 文化部 佐藤 しおりー 林間学校から帰宅した少し先の話 ー ただいまっ! [ 鍵を勢いよく開けたしおりはそう言ってリビングに駆け込んだ。 ] と、扉勢いよく開けたのはちゃんと 反省してます! けど、聞いて欲しいの! 林間学校でね?… [ しおりは、そう言うと 誰も居ない リビングの椅子に座り、台所に向けて話始めた。]それでね?お母さんのおにぎり 見よう見まねでやってみたんだけど… あははっ、お父さん そんなこと言ったって班には男の子も いるからそれは、食べてもらうよ? [そう言いながら、テーブルをはさんだ 斜め前に向けて言った。] (@40) 2020/11/30(Mon) 9:27:27 |
【見】 文化部 佐藤 しおり佐藤しおりに家族はいない。 いや、正確には 【父親は生きてはいる】 しおりが中学生になり、小柄な体型で いじめを受けた時と重なるタイミング。 母親は自殺した。 理由は何かしおりには、理解することは最後まで出来なかった。 それから、父親は海外出張から帰ってくることは無い。 誰も居ない家でしおりは、さも中の良い家族がいるかのように演じている。 いや、演じているのではない。 イマジナリーフレンド フレンドがファミリーに変わっただけ。 しおりには、母が生きていた時の楽しい家族が居るのだ。そう、見えているだけだが。 精神的ショックが大きかったため しおりは、2つの暗示を自分に無意識にかけた。 1つは、イマジナリーファミリー 1つは、色盲 赤い色 を見ると、血の色 を思い出してしまい、イマジナリーファミリーが消えてしまうかもしれないから。]* (@41) 2020/11/30(Mon) 9:28:36 |
【人】 テニス部 ちあー離れのベンチー [直後に聞こえた声>>@39は、紛れも無く本人で。 先ほどの挙動>>45を見られていなかったか、ちあは少々慌てる。] あ、あ、赤羽先輩!? [少し声が裏返ってしまった。 変に思われていないだろうか。 赤羽が隣に座るので、座りやすいようにズレる。] 改めて実行委員のお仕事お疲れ様でした。 うさぎちゃんとちょっと休憩してました。 [ふふふ、と笑う。] 赤羽先輩は、この二日間どうでした? わたしは新しい友達も出来て楽しかったです。 それに、赤羽先輩と来れて嬉しかった。 [赤羽と手を繋いだことを思い出し>>1:@65、ほんのりと頬に朱がさす。] * (90) 2020/11/30(Mon) 12:25:41 |
【見】 3-A 矢川 誠壱[ なにやってんだろ、ほんと。 歪んでるなと自分でも思う。 止められなかった。 こんな感情が己の中に流れていると 今初めて知った。 サイアクだ、という言葉がひどく>>86 頭の中に反響して、ぐらぐらした。 今、数分前に戻れるのなら、と 考えてしまうけれど、そんなことできない。 今更謝ったって、だめだとわかるのに 自分が楽になりたいだけだとわかるのに 謝罪が口をついて出た。 ああ、ほんと最悪。最低だ。 何やってんだろ、雨宮のこと何にも言えない。 むしろ咎めるような言葉を吐きながら あんなことをした己の方が、 よほど最低だと思う。 触れられるのも嫌だろうと思った。 あんな口づけをして、勝手なことばかり 捲し立てた己の肩など借りたくないだろうと。 それでも、ゆっくり歩いていく。 置いていくことなどできるわけがない。] (@42) 2020/11/30(Mon) 12:40:29 |
【見】 3-A 矢川 誠壱[ ただのわがままだった。 自分の中における彼の位置に、 彼の中で自分が立ちたかった。 特別な人の、特別になりたかった。 わかってる。人肌が恋しい日があったとして そこを埋めることなんて、 自分ではできなくて。 その場所は、自分じゃないって。 わかってる、わかってるのに。 後ろから呼ばれた名前に足を止める。 先ほどまでの掠れた声じゃなくて、 なんだか、落ち着いた声。 泣きそうに、なってしまう。 あのさ、と続けられた言葉に ゆっくりと振り返る。瞬間、] (@43) 2020/11/30(Mon) 12:40:52 |
【見】 3-A 矢川 誠壱 雨宮!!!!! [ 血の気が引いた。 ぐらりと傾いた体がスローモーションに見えて。 それなのに、手を伸ばしても、届かなくて。 彼の体が落ちていく。 落ち葉が受け止めた。 俺の手じゃ、なくて、 ああ、───ほんと、もう。] ごめ、 …っごめん、 [ 何か言いかけたのはわかった。 だけど、それを聞くことよりも 手を伸ばすことを優先してしまったから。] (@44) 2020/11/30(Mon) 12:41:50 |
【見】 3-A 矢川 誠壱[ そっと、地面に落ちた体を起こす。 息はあったから、少し胸を撫で下ろした。 そのままゆっくりとその体を 覆うように抱きしめる。] ごめん、 [ ほんと俺、なにやってんだろ。]* (@45) 2020/11/30(Mon) 12:42:17 |
【見】 3-A 矢川 誠壱[ 雨宮を抱えて、宿に戻った。 倒れたというと、先生の血の気も引いていて。 そのまま、一室へと運ばれた。 そばについていることは躊躇われた。 なにを言おうとしたのか、 それを聞くのが怖かったからかもしれない。 先生に任せて部屋をあとにする。 その後のことはあまり覚えてない。] (@46) 2020/11/30(Mon) 12:42:34 |
【見】 3-A 矢川 誠壱[ ───夜。 自販機の隣のベンチには誰もいなかった。 そもそも、多分ほとんどの人が外にいる。 「早く行かないと肉なくなる!」なんて ぱたぱた走りながら会話を交わし、 目の前を通過していく人もいた。 少し前まで。 缶のプルタブをかつん、こつん、と また鳴らす。息を吐いた。 見上げてもあるのはぼんやり灯った 宿の電灯だけ。 昼間のことを思い出して、 プルタブから手を離し、唇に触れる。 指先は、唇と同じくらいかさついていた。] (@47) 2020/11/30(Mon) 12:42:57 |
【見】 3-A 矢川 誠壱[ なにしてんだよ、の答えを探していた。 モヤがかかっていて、はっきりしないけど わかっているような気がしていた。 ただ、己の想像と違いすぎるだけだ。 こんなに苦いと思っていなかったんだ。] はーー…… [ 雨宮が言いかけたことはなんだったんだろう? だけど、どうしたって「俺、」と 途切れた後を思い出せることはなかった。] (@48) 2020/11/30(Mon) 12:43:14 |
【見】 3-A 矢川 誠壱[ 逃げたって夜には同じ部屋なのに。 ───いや、あんなことをした後だ。 もう、帰ってこないかもな、と 自嘲するように笑った。 様子を見にいくべきだと思う。 純粋に心配だし、己のせいでもある。 めちゃくちゃをした自覚はある。 だけど、動けなかった。 自分勝手だな、また。 「サイアクだ」という言葉だけが また頭の中に響いた。 唇に置いていた手をすとん、と落とす。 深く息を吐いて、またプルタブを かつん、かつん、と引っ掛けた。 外に出る気には到底なれなくて。 誰か、あるいは先生に見つかって、 参加を促されるまでは、そこで ぼんやりしていたかった。]* (@49) 2020/11/30(Mon) 12:43:32 |
【人】 受験生 雨宮 健斗[ ぼんやり開けた視線の先には天井と、 電気が見えた。 体の下は落ち葉じゃなくて肌触りのいいリネン。 自分の置かれた状況はなんとなくすぐに理解して。 さっきまでのキリンの夢に思わず 小さな苦笑いが溢れて、 見える世界が滲むのが分かった。 ] (92) 2020/11/30(Mon) 14:07:30 |
【人】 受験生 雨宮 健斗[養護教諭の先生の声が聞こえて、 右腕で顔を覆おうとしたら、 点滴の管が引っかかってアラームが鳴る。 今朝、部屋で何度も鳴らしたアラームと 似たような音だな、なんて思いながら やがてやってきた医者の話を黙って聞いた。 睡眠不足、と、貧血。 医学部には圧倒的に足りない偏差値の己でも 付けられる診断をして、人の良さそうな その若い医者が笑う。 いくら林間学校が楽しいからって、 と。 ]ちゃんと食べて寝なさい、 (93) 2020/11/30(Mon) 14:10:26 |
【人】 受験生 雨宮 健斗[点滴を外してもらって、立ち上がる。 まだ寝ていたら、と言う声に首を振った。 肉、食ってこないと。なんて笑ったら、 無理しないようにと釘を刺されて 退室は許可されて。 確かに与えられた休息と睡眠のおかげで、 随分楽になっていた。 服装をちょっとだけ整えて、頭を下げた。 部屋を出る際、ここまで運んでくれた友達に ちゃんとお礼を言うように、と言う 先生の声が背中に届く。 …はい、と小さく返事をした。 ] (94) 2020/11/30(Mon) 14:12:08 |
【人】 受験生 雨宮 健斗[先生にはああ言ったものの、 流石にBBQに参加する気分でもなくて、 ぼんやりと部屋に向かって歩いていた。 部屋に戻っていいものか、と目を伏せる。 けれど行くところも他にない。 室内には誰も居なくて、足音が重く汚く響く。 賑やかな声が漏れ聞こえていて、 ふいと窓に目を向ける。 月が、綺麗だな、と思った。 文豪が意訳したその綺麗な文章を、 知らない訳でもなかった。 昨日の風呂を思い出す。 (95) 2020/11/30(Mon) 14:14:54 |
【人】 オリガミ部2年 近藤 絵理香──さて。── [それはどのタイミングだったのだろう。 バーベキューの後か。 キャンプファイヤーの後か。 それともキャンプファイヤーの後に入ったお風呂の後だったのか。 それとも翌朝だったのかもしれないけれど。] 雨宮先輩。 [を、発見したので声をかけた。 こちらはいつもと変わらない笑顔だが、ほんの少しだけ彼のことを心配はしている。 何せ、昼の森ではグラグラ揺れていたから。] どうですか体調。万全ですか? あ、そう言えば先輩にこれ渡そうと思ったんですよー。 [ガサガサと取り出したのは小さな紙袋。 中に入っているのは無香料のリップクリームだ。] 昨日色々お世話になったので、お礼です。 [どうぞ、と相手に差し出した。]** (96) 2020/11/30(Mon) 14:47:03 |
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