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【人】 松場 雪奈[どこか上の空。 こえをかけられると、ぴくりと肩を跳ねさせ、手を引っ込める。] え…あ、大丈夫。大丈夫だよ。 [今日はずいぶんといつもと違う態度をとっていたと思う。 その事について指摘を受けた気分になり、慌てて弁明をするよう。] あ…そ、そうだね。忘れないようにちゃんと冷やすよ。 [が、実際は足の事だったと、言うだけ。 誤解した事を誤魔化すように自分の足を見下ろす。 と…そんなに離れていないから、すぐに到着。 代金は割り勘で…なんてすれば運転手にも迷惑になるだろうから、 タクシー代については後で払おう。] (1) 2024/01/03(Wed) 7:59:21 |
【人】 松場 雪奈ねぇ、柊……手を貸して……。 [タクシーを降りた後、いつものように茶化した風でなく、 真剣なような感じでお願いをする。 同じアパート。そして部屋は隣と言う偶然。 部屋まで送ってと言っても迷惑にならない距離は、こういう時、ありがたい。*] (2) 2024/01/03(Wed) 7:59:45 |
【人】 松場 雪奈[何か言おうとするが、結局は曖昧な笑みを浮かべるだけ。 差し出された手と、茶化した一言。 それが自分たちの関係。それは解っている。解っているが…。 手を重ねる。 大きな男の人の手を初めて…改めて……意識させるようにぎゅっと握る。] ありがとう…ね。 [部屋までの短い距離。 ゆっくりとした足取りで歩きながら、] (4) 2024/01/03(Wed) 9:25:37 |
【人】 松場 雪奈あのね……私……ずっと、ずっと……好きな人がいるんだ…。 [静かな口調で、なぜこのタイミングでと言う事を告白する。 繋いだ手をさらに力を込めて、] 私…ずっと……柊の事が、好きなんだよ。 [見上げて、泣きそうになりながらも微笑かける。 それぞれの部屋は、すぐそこ。 告白をしてしまったから、ここまでと言うように、手を離そうとする。*] (5) 2024/01/03(Wed) 9:26:17 |
【人】 松場 雪奈[隣から聞こえた小さな声。 同じ言葉を自分も口にした。 初めに出たのがそれと言う事は、全く気付いていなかったというわけではないんだと、初めて気づく。 なんとなく気づいていたからこそ、それとなく逸らしていたのかと。 言わなければ、気づかなければ、友達のままで居られると思っていたから。] ……ごめんね。 [学生時代とは違う。 学生時代なら、まだ周りのフォローがあったから、そうあれただけ。 そういうものもないから、傍に居るのはいけないと思ったからこそ、壊すしかなかった。] (7) 2024/01/03(Wed) 14:34:36 |
【人】 松場 雪奈知ってるし、解っているよ。 解っているのに、言ったんだから、柊が謝る事なんて、無いんだよ。 だいたい、あんなに熱く先輩が好きなんだって、 語っていたのを忘れると思う? [バカにしてるのと言うように笑いながらも、離れた手の温もりを逃さないように、拳を握る。 自分の部屋の前まで来ると、鞄から鍵を取り出すが、なかなかうまくいかず、時間をかけてやっと鍵を開ける。] あ、そうだ。 年末にはいろんなイベントがあるんだからさ、 先輩をデートにでも誘ってみたら? 柊の恋…応援してるよ。がんばってね。 それじゃ、おやすみ………バイバイ。 [告白なんてなかったように、笑いながらそんな風に告げるも、いつもと違う言葉を添える。 別れる時は、おやすみだけなのに…。 気づくだろうか…バイバイとか、今まで一度も使わなかった言葉を使った事を。 扉が閉まるまで、笑顔で、手を振って…。*] (8) 2024/01/03(Wed) 14:35:23 |
【人】 松場 雪奈[がんばった…が、部屋に入ったら耐えた分だけ涙があふれた。 声を上げたかったが、泣いている声が隣に聞こえたらと思うと、声を押し殺してしまう。 言ってしまった。壊してしまった。 友達で良いから、ずっと傍にいたかった。 でも、楽しく、熱く好きな人について語る柊を見たら、ダメだと思った。 上手くいった時、自分が傍に居たら害になると思ったから、友達と言う関係を壊した。 これで良い。これで良いはず…。 そう思いたいのに、傍に居られない事が、悲しくて、苦しい。] …ごめん。……ごめんね…… [誰にも届かない謝罪の言葉を繰り返してしまう。] (10) 2024/01/03(Wed) 20:39:41 |
【人】 松場 雪奈[それから、これも最後にしようと、のろのろと、部屋の中を歩き、柊の部屋の方の壁に身体を預ける。 壁隔てて隣の部屋は、彼の部屋。 初めは何の偶然かと笑ったし、その偶然が嬉しかった。 隣の部屋がたまたま好きになった人と言う事が。 壁越しに小さな声で] ──好き [初めは、好きの楽しさ、嬉しさ。 そんな呟いてしまう事が恥ずかしくも楽しかった。 でもいつからか、それは] ──好き [祈りの言葉になっていた。 友達のままで居たいけど、この気持ちに気づいてほしいからと。 そして今では] (11) 2024/01/03(Wed) 20:41:24 |
【人】 松場 雪奈──好き [どうにもならない胸の内を吐き出す言葉になってしまっていた。 でも、これももう最後…] ──好きよ [本当は、こんな気持ちを込めたくなどないけど、終わりにするために。] (12) 2024/01/03(Wed) 20:41:43 |
【人】 松場 雪奈[その後……。 連絡を取るのを止めた。 何を送ればいいのか解らないから。 出社時間をずらすようにした。 朝…ほんの少しでも顔を見たいと言う気持ちで、ずっと合わせていたから。 休日の日、たまに作りすぎたと言って、おすそ分けと言っていたのもやめるだろう。 それも会うための口実だったから。 そうやって、距離を置いてからは、仕事に没頭した。 率先して手伝いをもうしでて、残業もしてと。 何かをしてないとつい考えてしまうから。 告白した事も、バイバイと言った事もなかった事にして、連絡を取りたいと。 だから、その日も、帰りは遅くなるのであった。*] (13) 2024/01/03(Wed) 20:42:27 |
【人】 松場 雪奈[朝は、足早に出ていくのに、帰りはいつも、柊の部屋のドアを見つめてしまう。 もう帰ってきているのか。まだなのか……元気でいるのかどうか……。 部屋に戻って、リラックスした格好になって、落ち着くのは彼の部屋がある方の壁。 好きと言うのはやめたけど、代わりに寄り添うように背を預けるようになってしまった。 部屋にいたら、否応なしに考えてしまう。 柊を想ってきた年月に比べたら、たかだか数週間。 簡単に忘れるような時間ではない。 それどころか、会わないようにしているぶん、よけい考えてしまう。 だから、年末年始はいつもと違う行動をとった。 部屋にいたら、ずっと考えそうだから、長期的に実家に戻った。 それは一人暮らしを始めてから、初めての事。 実家にいる間は、考える事もなかったが、戻ってきたら今まで以上に考えてしまった。] (16) 2024/01/04(Thu) 11:24:23 |
【人】 松場 雪奈[──あなたはどうやって過ごしたの? とか、去年は、その前は…と、走馬灯のように。 思わず会いたいと漏れ出てしまうくらいに。 漏れ出た言葉にいけないと頭を振り、気持ちを切り替えよう。 そして仕事始めの日のお昼休み、合コンをよくやる先輩が、また合コンをするからと、メンバーを集めていた。 どおと声をかけられても、断っていたが、今回は、自分から参加したいと声をかける。 驚かれたけど、参加する事になった。 ──忘れる為の出会いを求めて。*] (17) 2024/01/04(Thu) 11:24:52 |
【人】 松場 雪奈[無理だった。 最後に会ったのが、代打で参加した合コンの後。 嫌な思いをしたと愚痴ったからかもしれない。 出会いを求めると思ったのに、その場で思い出すのは全部、柊の言葉。 振り張ろうと思うのに、どうしても言葉が、顔がちらついてしまう。 先輩には、謝って、先にお暇させてもらったが、このまま帰る気もしない。 帰ればよけい柊の事を想いそうだから。 どこかで時間を潰そうにも、浮かぶのはいつもの居酒屋くらい。] (19) 2024/01/04(Thu) 16:22:20 |
【人】 松場 雪奈[夜遅く、女一人で居酒屋と言うのもどうかと思うが、 行き慣れた場所だからこそ、出来る事。 でもそれが間違いだったと気づいたのは、店内に入ってから。 いつも二人で飲んでいたからか、今日もそうだと思われたのだろう。 通されたのは柊のところ。 まさかここで会うとは思わなかった。 驚きと、嬉しさと…でも申し訳なさがない交ぜになってしまうが、 どうも様子がおかしい。 何かあったんだろうと推測できるから、何もなかったように、] よぉ。お兄さん、元気ないね。どうしたの? [以前と変わらないような口調と表情で隣に座りながら、いつものお酒を頼むのであった。*] (20) 2024/01/04(Thu) 16:22:50 |
【人】 松場 雪奈[それ以外であってほしかった…。 でもやっぱり、それだったから、期待と落胆。 振られているのに、結局は繰り返してしまう。 そんな自分が嫌になりながらも、億尾も出さずに、] (22) 2024/01/04(Thu) 20:35:29 |
【人】 松場 雪奈そっか………。 がんばったんだね………。 辛いよね………でも、ちゃんと言ったのはかっこいいよ。 [振られる辛さは解っているから、良かったなんて思えない。 届いた梅酒でのどを潤した後、覗き込むように見つめ] どれだけ飲んでいるか、解らないけど、今日はぱっと飲む? それとも、カラオケとか行って大声でも出す? [元気出せなんて言えない。 それが無理な事は解っているから。 どれを選ぶかは解らないが、勝手に柊のレモンサワーのお代わりと早々だが梅酒のお代わりを頼んでいる。 飲みに付き合うと言うように。] (23) 2024/01/04(Thu) 20:36:02 |
【人】 松場 雪奈[考えるようにまたお酒でのどを潤した後、] ………どうして振られたか、聞いていい? やっぱり年下がとかだった? [好きの欲目か、柊はとてもいい男だと思っている。 振られる要素ってどこにあるんだろうかと思ってしまうのもあるが、それを聞いて良いのか。 それでも、聞かぬ事には、何もできない気がして、おずおずと聞くのであった。*] (24) 2024/01/04(Thu) 20:36:17 |
【人】 松場 雪奈[聞かない方が良かったのか問う解けるが、そうではないようである。 静かに語られる事。 茶化す事はしないで、ただ耳を傾ける。] そ、そうなんだ……。 [それしか言えなかった。 それ以上の言葉が出てこないのは、その表情を見たから。 静かに胸の内を聞きながら、グラスを傾ける。 他人事なのに、自分の事のように思えてしまう。 柊への気持ちに、似通ったところがあったのかもしれない。 でも、それ以上に、好きな人の辛そうなところが、辛い。] (27) 2024/01/04(Thu) 21:54:23 |
【人】 松場 雪奈は、初めにさ…その事を言って………くれていたら、良かったのにね。 そ、そうすれば…きつい、想い…しなくて、すんだ、はずだから…さ。 [声が震えてしまう。 自分が泣いてどうするとと思うのに、泣けてきて、それでも泣かないように頑張って、] で…でもさ、…がんばってきた事は…む、無駄じゃない、だろうし…。 あ、あれだ。出会いの…遅さを、後悔させてしまうくらい、になれば、良いんだよ。 [結局は我慢できずに、涙があふれてしまう。 自分事なら、最後まで我慢できるのに、柊の事だからだろうか。 でも自分が泣く事ではないからと、お絞りを目に当てて、涙をすべて吸い取ろうとする。*] (28) 2024/01/04(Thu) 21:54:55 |
【人】 松場 雪奈……柊が、つらい、から………… [振られた…それだけ聞けば同じだが、 自分の場合は、振られる事が初めから解っていた事。 でも、柊は違うから、辛さが自分の比ではないきがしてしまったから。] ……ごめん。 [それはなに対しての謝罪か自分でもよく解らない。 一度深呼吸をして、] (31) 2024/01/04(Thu) 23:22:20 |
【人】 松場 雪奈慰めてあげると言ったのに…うまくできなくってさ…… 柊が楽になるならさ、全部吐き出してしまいなよ。 聞くだけ……聞くだけは、するから……… [自分が出来るのはそれくらいな気がして、 でも、無理維持をするつもりは無いから、どうすると問うように見つめる。 そこに、勝手に頼んだお代わりが届くだろう。*] (32) 2024/01/04(Thu) 23:22:50 |
【人】 松場 雪奈[吐き出された言葉の後に続く言葉はきっと──。 どんなに好きか聞かされていた。 だけど、改めて、どんなに好きかと思い知らされるよう。 今すぐ抱きしめたい。だけど居酒屋だから、そんな事は出来ない。 抱きしめる代わりに、柊の手に手を重ねてぎゅっと握る。] ……好きなんだね……。 [隣にいるのに、何もできない。 何を言っても、届かない気がする。 いつもそう……何かしてあげたいのに、何もできない。 でもせめて………] (35) 2024/01/05(Fri) 12:17:37 |
【人】 松場 雪奈柊……好きだよ。 どんな柊も好き。 先輩の事が好きでしかたない柊でも…好き………。 [ずっと、近くて遠い位置で、その背中を求めていた。 言葉にしたのは一度だけ、だけど、何度も振られたような気持ちを味わい、 私では無理なんだと、自信を失い…。 でも、一緒にいる事で、また好きになってしまう。その繰り返し。] 好きだから、何かしてあげたい。 でも……私が何か出来るのかが解らない。 解らないけど……… (36) 2024/01/05(Fri) 12:18:32 |
【人】 松場 雪奈[いつものように、軽くかわされると思っていた。 そうしたら、冗談だったって事にしたのに、何も言われない。 …そんな事はない。 だけど、初めて見てもらったような気がしてしまう。 それが嬉しいと言う思いと、 つけ入っているようで、悲しいと言う思いが、交差する。 今なら、まだ引き返せるだろうが、どうしてもほっとけない。 一度視線を外して、一気に梅酒を飲み] (38) 2024/01/05(Fri) 16:31:32 |
【人】 松場 雪奈[何も言わないなら、押し切ってしまえばいい。 気が変わらないうちに、さっさとお会計をすませて、行こっと促す。 しっかりと、柊の手を握ったまま。 アパートまでは、歩いていける距離だけど、冬の夜の寒さで我に返るかもしれない。 だからあの日とは逆で、自分がタクシーをとめて、乗るように促す。 それでもアパートにつくまでに、我に返ったら、手を離すつもり。 何も言わなければ、そのまま自分の部屋へ連れて行こう。*] (39) 2024/01/05(Fri) 16:32:21 |
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