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【人】 三ノ宮 緋雁──それから [浮草生命研究所からは、見た目上友好関係のまま去ることになった。 利用価値があるなら旧人類でも生かしておこうっていう《sintoisMécanique》の考えは一貫しているし、オレも同意する。新人類の未来のために役立つなら何だって利用すべきだ。 オレの中にウキクサへの殺意はあるけど、本部や直ちゃんの判断に逆らう気は無い。 自分の意志を通すために組織に逆らうなんて、まさに“人類の愚行”でしょ? 罪をわざわざなぞる気はないからね。 そうしてオレたちは日常へ戻った] (154) 2023/11/30(Thu) 22:02:50 |
【人】 三ノ宮 緋雁[今日は群鷺と2人。相手はそこそこ戦闘慣れした小集団。 制圧地点を指示されただけだったから、何か名前のあるコミュニティなのかどうかは忘れてしまった。 殲滅対象の数が少ないから、オレは槍だけ持ってきた。 桜花ちゃんがついてきてるなら、オレの真後ろ、群鷺と同じぐらいの距離にいてもらうだろう。そこなら誰の邪魔にもならない上にそこそこ安全のはず。 相手は飛び道具の手持ちが少ないのか、使ってこない。 それならオレたちのほうが圧倒的に有利だけど。相手は応戦する気を失くしていない] どこまでついてこれるか見ててあげる! [相手がオレの突きを上手く受け流すさまを見て、オレは少しずつ速度を速め始めた。鍛えた旧人類はどのぐらいの速度まで対応できるんだろうか? 仮に速度に対応されたとして、手が尽きるわけじゃないけどね] (156) 2023/11/30(Thu) 22:03:10 |
【人】 三ノ宮 緋雁[オレはすぐに相手が受け流せなくなる速度を把握した。 必要以上に速く動くと負荷が高くなるから、少し上回るぐらいで抑えて] ほら、置いてっちゃうよ? [速いだけで軽い突きや払いを繰り返しながら、隙を窺う。 狙うは三段。 一段目で装甲を割り、二段目で骨を砕き、三段目で心臓を貫くつもりで。 その隙を見つけるやいなや、オレは即座に一段目を放って、すぐに二段目を叩き込んだ。そして最後に本命の一撃。どこまで貫けるかを見届けようと、じっと目を凝らしながら突き入れる。 もし貫き切れなかったそのときは、群鷺が撃ち抜いてくれるでしょ。 その群鷺が何してたのかと思って周りの様子を窺ったら、増援に駆けつけようとしてる後方の敵を撃ち抜いていたようだった。 これがオレたちの日常] (157) 2023/11/30(Thu) 22:03:24 |
【人】 三ノ宮 緋雁[“旧人類の殲滅”、それがオレの存在理由で存在意義。 オレはこのために造り出された。 新人類たちの──雷恩と桜花ちゃんの未来のためになると信じて、今日もオレは使命を果たす]** (158) 2023/11/30(Thu) 22:03:33 |
【人】 巫凪 桜花ああ、それで思い出した。 っていうのも、酷い話なんだけど。 緋雁が戦ってるところ、格好良くて好きだよ。 ――いつも、見てる。 だから、長生きしてよね? [繋いだ手に、痛むほど強く、力を籠めた*] (160) 2023/11/30(Thu) 22:09:42 |
【人】 三ノ宮 緋雁─ 回想:植物園(桜花) ─ [桜花ちゃんはまた無茶を言う。>>159 見送られるのが嫌なオレへ。 素直に喜べはしないけれど、でも、不思議だよね。 そんな風に見届けたいと思ってくれるひとがいるのが、嬉しいことのような気がしてくるんだ。 そして、桜花ちゃんがくれたもうひとつの言葉たちは、オレにとっては意外極まりないものだった。 オレは人類同士なら『綺麗』を理解し合えるのかと思っていたんだ。 でも、桜花ちゃんはそんなことないだろうと言う。 AIだからわからないってわけじゃないんだとしたら、それも少し、嬉しいな。 ちゃんと“隣に立てた”みたいで] (161) 2023/11/30(Thu) 22:28:22 |
【人】 巫凪 桜花 ― いつかの何処か ― [草花が咲き誇る、緑の大地。 かつてそこには、桜色の護り人がいた。 無垢に白い外衣の下、袖口に一輪の朱を擁した護り人が。 今はそこに、万朶の桜が立っている。 桜の下には、いくつもの生命が眠っている。 花を散らす。 もう居ないひとの哀しみに。 花を咲かせる。 産まれ出づる喜びの言寿ぎに。 やがて訪う眠りが安らかなものであるよう、 揺籠の上に葉を揺らしながら。 巡り、還り、いつまでも。 未来の貴方に、届くまで*] (163) 2023/11/30(Thu) 22:47:47 |
【人】 苗床環者 メディウム ー どこかの地 ー [……あの日から、色々あって。僕らは雷恩のいる組織への同行を許可された。痛み止めは雷恩がいればどうにかなるし、ある程度の調剤も用意できるとの事だったから、少し戸惑いながらもそちらへ行くことにした。研究所のみんなはお祝いしてくれたし、外の貴重なデータを送るための機材も用意してもらった。 初めて見た、外の景色は『楽園』とは程遠い様相だったけれども。興味深いものがたくさんあって、退屈はしなかった。 不安だった共同生活も、なんだかんだで受け入れてくれるAIたちがいて。血と硝煙に塗れた彼らの生き様を直接見ることはほとんどなかったけれど、それでも僕らなりに馴染めていたと、思う。 …………外の空気は、澱んでいて、あちこちに危険な機械が跋扈していて。『旧人類』の犯した罪とは、ここまでのものだったのだろうか。考えても分かりそうにはない。ただ、僕は、僕らは。 新しくできた居場所で、あの人の隣で咲く。それだけだから。] (164) 2023/11/30(Thu) 23:58:02 |
【人】 苗床環者 メディウム[差し込んできた日光を浴びて、光合成をする。無機炭素がいくつか酸素になって空気に溶けていく。 僕ら1人ではこの世界を変えるなんて事は出来ないし、そもそも僕らがどうにかできるとも思っていない。『楽園』で真似事の失楽園を演じてみたりもしたけど、新たな礎なんてものになれる様な器でも、きっと無い。 ただただ、僕らは愛した人のために息をする。] …………さよなら。 [なんとなく口を吐いて出た言葉が、誰かに伝わるでもなく消えてゆく。いったい誰に別れを告げたんだろうか。かつて生きてきた『旧人類』へなのか、それとも僕らが僕らへと成る前の存在にだったのか。 ……僕らの雷恩が僕らを呼ぶ声がしたから、応えるようにそちらへと向かった。 彼らが失った楽園を、再び取り戻す日まで。その日まではさよなら。 ]** (165) 2023/12/01(Fri) 0:11:11 |
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