人狼物語 三日月国


153 『Override Syndrome』

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視点:


【人】 会社員 ツグアキ


[ ぞわり。
  背を蟲が這う。

  再生能力を持たない歯が
  奥のほうでみし、と軋む。
  奥歯の音に共鳴する。
  ぴしりと心にヒビが入るような。


  やめて、こわさないで
  おれがてにいれたものまでうばわないで。
  しあわせなひとのてでさわらないで。
  まやかしのらくえんエデン
 ]
 
(27) 2022/06/12(Sun) 6:00:14

【人】 会社員 ツグアキ


[ 総じて人の心などわかりようがないけれど
  もっと素直に、人生や人間に対して
  無防備に笑える生き方をしていれば
  少しは違ったと思う。

  少なくとも彼女が考えていることが
  妬みではなく単純な羨みであり
  僅かでもそこに敬意の類いが含まれていると
  好意的に受け止められたかも知れない。>>1

  人間らしい、という言葉から
  己は対極にいると思っていた。
  あなたが俺に対して思ってくれていた感情を>>4
  知る由も無く、知る術も無く、   ]
 
(28) 2022/06/12(Sun) 6:02:16

【人】 会社員 ツグアキ



   やめてください、
   信じませんよ、そんなこと。>>5


[ 耐えきれず、ぶは、と吹き出した。
  良いなぁ。
  自分の容姿や身上が平均値以上だと
  自覚しているから口に出来る台詞。 ]
 
(29) 2022/06/12(Sun) 6:04:07

【人】 会社員 ツグアキ



   あなたみたいに綺麗な方が
   俺みたいに勉強しか取り柄のない男と
   お近づきになるメリットなんて
   俺には思いもつかないですよ?


[ からからと爽やかに笑ってみせる。
  込み上げる笑みは、本物だった。
  だって、初恋が実った日の幸福体験を
  書き込んだどこかの誰かと
  こんなに似ているなんて。

  ───こんなに別次元のものなのに。
 ]
 
(30) 2022/06/12(Sun) 6:05:43

【人】 会社員 ツグアキ




  ああ、続きを早く
   早く、早く、聞かせて。

     早く、早く、早く。



 
(31) 2022/06/12(Sun) 6:06:35

【人】 会社員 ツグアキ


[ こんなに様々な面において文明は進化しているのに
  なんで未だに論文は紙で提出なんだろうな。
  馬鹿馬鹿しい、と思いつつ
  整える束が微かに震えているのを感じていた。

  堅苦しい文字が蚓のようにのたくっている
  紙の束の表面
  『腎臓内における神経の走行について』
  なんていう仰々しいタイトルは
  あなたの目に映ることがあったか。
  脳へ記憶されただろうか。 ]


   ……そうだな
   次は俺からナンパするよ。
 
(32) 2022/06/12(Sun) 6:08:05

【人】 会社員 ツグアキ


[ 一応ね、弁解しておくとその約束を
  きちんと守るつもりはあったんだ。

  命を削って書き上げた論文が
  理事長のご子息様の名で大々的に
  発表されるのはすぐのことで。

  そうだな、残念だったよ
  ……ナンパ出来なくなったこと。

  各方面からの良い評価を
  作者では無い"持ち得る者"である
  お坊ちゃんが得た事実は、
  あなたの耳にも届いただろうか。

  その時俺の姿はもう学校には
  なかったかも知れないけれど。 ]
 
(33) 2022/06/12(Sun) 6:10:52

【人】 会社員 ツグアキ

***

  『ストレスチェック……重大な症状が
   潜んでいる可能性があります。
   速やかに専門医の診断を受けましょう。』


[ 机の上で紙がかさりと音を立てる。
  職場の健康診断の結果をもらった時は驚いた。
  まじまじと穴が開くほど見つめ
  可笑しいな、ストレスなんて
  あるはずないのに、と笑った。

  きちんと緩やかな位置に固められた口角は
  そのままに、指定された病院の
  予約時間を確認して、笑ったままため息を吐く。 ]
 
(34) 2022/06/12(Sun) 6:15:34

【人】 会社員 ツグアキ


[ 気づけば外はいつのまにか日が傾いて
  電気もつけずに狭い部屋で一人
  イヤホンを耳に、借り物の幸福に揺蕩っていた。

  耳の上から宝物のように両手で大事に
  覆い包み込んで、目を閉じる。
  空腹感もあまり感じない。
  食事を摂ったのはいつだったっけ。

  立ち上がるのもめんどくさい。
  歩くことも面倒なのに、
  指示されたことに背くことも面倒で、
  ノロノロと病院へ向かう。

  病院なんて
  一番、行きたくないのにな。  ]
 
(35) 2022/06/12(Sun) 6:17:28

【人】 会社員 ツグアキ



[ 医者になりたいと願って
  掴みかけた幸福のこと、思い出してしまう。

  まさか、そこで
  ナンパの続きが、

  時を経て不意にやってくることになるなんて。
 ]**

 
(36) 2022/06/12(Sun) 6:19:40

【人】 会社員 ツグアキ



[ もう、今更どうでもいいのだけれど。

  どうせ研究するなら、対象を
  脳にすればよかったとだけはつくづく思う。

  忘れたいことを綺麗さっぱり消し去るような
  奇跡の仕組みがあれば

  脳に血糊の手型がべっとり張り付いて
  離れないこの靄に

  覆われることもなかっただろうに。  ]
 
 
(77) 2022/06/13(Mon) 13:46:12

【人】 会社員 ツグアキ


[ 結論から言えば俺の論文の出来は
  かなりよろしく、ぱっとしない後継の
  箔付にぴったりだと見染められたと
  いうだけの話。

  今思い出しても笑いが止まらない。

  それは取引、などという対等なものではなく
  強要、恫喝、脅迫を、
  礼儀正しい体裁と言葉で包みかくした
  結論ありきの交渉だった。

  なんのことはない。
  俺は多額の金と引き換えに
  未来とプライドを売り渡した、

  売り渡さざるを得なかった、だけの話。 ]
 
(78) 2022/06/13(Mon) 13:46:56

【人】 会社員 ツグアキ



[ 持ち得る者、の無敵感。チート。
  相手には有った居場所>>0:122
  俺にはなかった、だけの話。  ]


 「敷かれたレールを踏み外してはいけないよ。
   踏み外したら最後、
    二度と戻って来れないからね。」>>0:6
 
 
(79) 2022/06/13(Mon) 13:48:07

【人】 会社員 ツグアキ


─── 光の丘診療所

[ 病院の名前は知識としては知っている。
  Override Syndromeという病状も知ってはいる。

  だからこそ俺が今この病院の待合室に
  座っていることだけがひどい違和感。

  落ち着かない気持ちを無理矢理
  落ち着かせるように柔らかな椅子に背を預け
  持ってきた本を開く。

  変わらぬ穏やかな表情のまま
  口角の位置はゆるやかに弧を描いている。
  ただ、ページを捲る指先は小刻みに震える。 ]
 
(80) 2022/06/13(Mon) 13:51:45

【人】 会社員 ツグアキ




  蟾蜍。
それが、自分だ。
  世間がゆるすも、ゆるさぬもない。
  葬むるも、葬むらぬもない。
  自分は、犬よりも猫よりも劣等な動物なのだ。
  
  蟾蜍。
  のそのそ動いているだけだ。
**
 
 
(81) 2022/06/13(Mon) 13:52:38