【墓】 骨頭 クローディオガンガンと音のような鈍痛を伴って揺れる頭に、もう一発。 避けることなんてできない、視界が悪いから。 なんで俺がやったと思うんだ、決めつけるんだ、って、弁明する時間すらない。 理由が知りたかった。多分もう知ることもないんだろう。 その場に膝をついて崩れ落ちる。 ぼろぼろと赤い結晶を落としながら。 落ちる結晶は止まらない。次第に、粒も大きくなっていく。 何も言わなかった。 どうせ信じてくれないだろ、この様子じゃ。 (+1) 2022/07/20(Wed) 23:23:41 |
【墓】 骨頭 クローディオーーー頭殴っておいて何か言えとか、無茶振りにも程があるよ。 言ったって、今火に油じゃん。 何言ったって、じゃあ、この傷は治るのか?こんな森の中、こんな体質持ちで、医者だっていないのに? もう戻らないよ。何を言ったって。 三発目は別の方向、別の角度、別の高さから。 バコ、と大きな音が鳴って被っていた骨が割れきった。そのまま、膝ですら立っていられなくて、横に床に倒れた。 誰にも見せたことのなかった骨の下。 右目がなくて、血色の結晶が眼孔から突き出るように生えていた。 今まさに殴られていた箇所からも同じ結晶が育っていて、血飛沫の代わりにバラバラと飛び散った。 初めて見せる表情は、うっすらとした笑みだった。 苦しげに眉を寄せ、脂汗を掻き、自分を害する二人を見上げて。 疑われるような自分に対する自嘲と、寂しさを浮かべて笑っていた。 (+2) 2022/07/21(Thu) 0:56:34 |
【墓】 骨頭 クローディオーーーなんでそんな顔してるんだろなぁ。 俺だって思って、凶器を振るったんだろうに。 嫌いな、憎い、許せない俺がいなくなるんだから、喜べばいいじゃん。 思うんだ。思うけど、他人事みたいに声が出ない。 いくつか何か聞こえてきてたけど、見上げた先の二人が気になる、今は。 花瓶を振り上げた姿が、辛うじて見えた。 「ひ、とごろ、 しっ、 」たった一言。全て通して、たった一言。 その一言を言うだけのために、喋る気力をとっておいたんじゃないかと思えるくらい。 でも、その声には誰を責める言葉も含まれちゃいなかった。 なんなら、やっぱり少し笑っていた。 きっといつも、悪戯されたりつまみ食いされたり、何か頼み事されたり、そんなときの「あー、もー」くらいの。 だって、だって、君たちはこの先も生きていかなきゃならないから、こんなことは許されたと思って、さっさと切り替えて忘れて 俺なんて捨て置いて。 そして。 ぐしゃ、と頭蓋が鳴いた。クローディオ本人の骨の音。 たくさんの真っ赤な結晶を撒き散らして、ーークローディオは動かなくなった。 (+3) 2022/07/21(Thu) 2:39:27 |
【墓】 骨頭 クローディオーーー気が付いたら、庭にいた。 いつもいた、畑の前にいた。 ……サクッとあっさり逝けないくらい未練があったのか。笑えてしまう。 割れてしまったはずの骨の頭も戻っているから、表情なんて見えやしないけど。 どうせ誰も見ないだろうけど。 そんなに未練があったのに、抵抗もせず一言以外何も言わなかったのは。無意味としたのもあったけど。 「……アイツら、気に病んでないかなぁ……」 加害者二人が、先に害意を示してしまったから。 クローディオを殴ってしまったから。 何か言って、彼らがその場で間違いに気付いたら? 殴った事実も狂気も、消えやしないのに? だから最後に間違いを指摘して咎めて、その中に俺は許すよって気持ちだけ込めて。 それだけが精一杯だった。 (+4) 2022/07/21(Thu) 19:53:28 |
【墓】 骨頭 クローディオ青々と、野菜が育っている。 葉が、茎が、風にそよいでいる。 でもそれに触れることもできない。 「なんにもなくなっちゃったな」 (+5) 2022/07/21(Thu) 19:54:36 |
【墓】 骨頭 クローディオ畑のそばにずっといた。だから、庭から音がするのはすぐにわかった。 歩くのが少し難しい。ふわふわと浮いてしまいそうで。 そして向かった先、自分の死体と二人の姿を見る。 あぁ、そのスコップ、リディには大きいって。 指、痛めちゃうよ。折角綺麗な手なのに。 ユングだって、いいのに、俺重いだろ。 あぁでも、邪魔になるか、そんな身体でもきっと皮膚と肉は腐るものなぁ。 届かないと思っている。だから、思うだけ。離れた位置から二人を見て。 「……別に、いーのに」 君の発した謝罪の言葉に、思わずぽつりと声が出た。 (+7) 2022/07/22(Fri) 0:23:23 |
【墓】 骨頭 クローディオ自分のそれを見る前か後か。 分からないけど、随分呑気な声が聞こえて、勢いよくそっちを向いた。 「フィラー!?」 なんで。 ……なんでって、そりゃ、答えは一つしかないんだろうが。 (+9) 2022/07/22(Fri) 1:06:44 |
【墓】 骨頭 クローディオ>>+16 ユングフラウ リーディエには聞こえないらしい。きっとそれが当たり前だ。 けれど、リーディエにだけは聞こえない方がいいだろう。きっともう一度辛い思いをさせる。 「そうだな」 一言。君の溢れる思いに、まず返したのはたった一言。 「死んだ人のために出来ることなんて何もないよ。 だから俺も、生きてるみんなのために動いたつもりだったよ」 少し長めに喋って、休む。長く沢山話すのは苦手だから。 「まぁ、そう。ユングのことはずるいなぁって思ったけど。 嘘はつくなよ、誰のためにもならないから。ワルゴがすごく怒ってたから、ちゃんと説明しろよ、手遅れになる前に」 君のためにも、家族のためにも。 生きていても死んでいても、あんまり変わらないかもしれない。だってほとんど動きも表情も分かりにくいクローディオだから。 「生きてる人のために、死んだ人ができることも、ないよ」 「でも、生きて。生きろ、ちゃんと前見て生きろ、俺が違うよってことだけユングには教えてあげるから」 はー、と息を吐く。こんなに喋ることなんてなかった。 死んでからの方が喋ることが多いとか、笑い話にもならない。そこでちょっと黙った。 (+17) 2022/07/22(Fri) 2:08:54 |
【墓】 骨頭 クローディオ>>+22 フィラメント 「……それはそうなんだろうなぁ。だからこのザマだよ」 死んだって性質は変わりっこないみたいだ。お互い。 「夢なんてみても楽にはならないからね」 恐らく家族の中で最も現実的で夢がなくて、浪漫もないクローディオだ。 期待してないってことでもある。 「みんなそう思っただろうな。でも、殴りかかってくるくらいにはみんな夢見てられなかったんだ」 クローディオは、ずーっと、 「みんなこれからちゃんと生きられると思う? 解決して、ちゃんと寝て飯も食ってさ。ちゃんとおっきくなれるかな」 先の現実ばかりを見ている。 もう自分のこの先はなくとも。 (+23) 2022/07/22(Fri) 3:03:15 |
【墓】 骨頭 クローディオ>>+24 ユングフラウ 「うん」 そうします、って素直に言うならそれ以上は言うことはない。 自分が死んだ引き金になったとか、そういうことを責めるつもりも咎めるつもりもなかった。 「さぁね。わかんない」 いるつもりだ。でも、ずっとかは分からない。 変な期待を持たせるわけにもいかない。だから先にすっぱりと。 「でも見届けるつもり」 そんなふうに付け足して。 あぁ、やっぱり重いよな、とか思いながら。 でも、しようと思ってここまで運んでくれたものを、やんなくていいよとはどうしても言えなくて。 ただ見送る。見送った。 離れた場所から、見ているだろう。 (+26) 2022/07/22(Fri) 16:33:10 |
【墓】 骨頭 クローディオ多分、フィラメントとの会話が一区切りついてから、のこと。 ふと、屋敷の窓を見上げた。そして、自分の部屋を見た。 「ちょっと、行ってくる」 この状態で、用事があることなんて滅多にないとは思うが。 言い残して自室へ向かう一幕があっただろう。 ドアに触れないもんだから、外から飛んで窓をすり抜けるしかなかっただろうが。 (+38) 2022/07/23(Sat) 2:22:57 |
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