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【人】 子爵令嬢 エルメス― 回想:出会いの日の花冠 ―[わたくしにも同性の友達はおりますけれど、 貴族の娘たちとの付き合いは、 概ね何かしらの競い合いが多いものですから、 正直息が詰まることが多いのです。 だからわたくしは、時折近くの森へ出かけて、 花を摘んだり歌を歌ったり、 町娘のように過ごすことが儘ありました。 あの日もそんな風に一人歌を口遊みながら、 薔薇で花冠を編んでいたのでした。] (18) 2023/01/12(Thu) 19:57:51 |
【人】 子爵令嬢 エルメス[貴族らしく、狩りでも嗜んでいらっしゃったのでしょうか、 わたくしに声をかけて下さったのは フィリップ様ではありません。] 「この様な所に人がいらっしゃるとは、 どちらの歌姫であらせられますか?」 [陽光を紡いだような金の御髪に、空を映したような青い瞳。 ここで人に会うのは初めてでしたので、 わたくしも大層驚きました。] ……名乗る程の者では御座いませんわ。 邪魔をしてしまいましたかしら?失礼。 [知らぬ者に声を掛けられて、一切不審を抱かない程 危機感が薄くはありませんの。 あくまで控えめに、出来るだけ早々にその場を辞せるよう、 最低限の言葉だけで切り抜けようと 思っていたのですが……。] (19) 2023/01/12(Thu) 19:58:37 |
【人】 子爵令嬢 エルメス[そそくさと荷物を片付けようとしていたら、 慌てて薔薇の棘で指を切ってしまいました。] 「これは大変だ。すぐに手当てを」 [親切な方は手早く消毒をし、 ガーゼとハンカチを巻いてくださいました。 距離感のある言動のわたくしに、 優しく対応してくださいましたの。] お手を煩わせて申し訳ありません。 [謝罪するわたくしに、 彼は「気にしないでください」と言って、 その場にあった薔薇の花冠をわたくしの頭に乗せました。 「薔薇の歌姫にはよくお似合いですよ」なんて言われれば、 悪い気はしないのは言うまでもありません。 フィリップ様がこの場に現れたのは、そのすぐ後のこと。] (20) 2023/01/12(Thu) 19:59:39 |
【人】 子爵令嬢 エルメス「私を差し置き下民にかかずり合うとは何事か」 [白馬に跨るそのお姿は、美しいとは思いましたけれど、 とても冷たくて視線はまるで射殺さんばかり。 わたくしも同じ貴族ではありますけれど、 圧倒的な格差を感じずにはいられませんでした。] 「始終張り付かれては鬱陶しいと仰ったのは、 リュカ様でしょう?」 [苦笑いをして答えたその方は、 きっとフィリップ様の従者であったのでしょう。] (21) 2023/01/12(Thu) 20:00:46 |
【人】 子爵令嬢 エルメス「あちらは フィリップ・リュカ =セドリック・ファビアン・ヴァロア様。 侯爵家の嫡男となると、 ある程度尊大に振舞う必要があるのです。 どうかお気を悪くなさいませんよう」 [そう言って、お二人はこの場を後にされました。 ……よくよく思い返してみますと、 わたくしとフィリップ様は言葉を交わしてはいませんね。 ] (22) 2023/01/12(Thu) 20:01:45 |
【人】 子爵令嬢 エルメス[まぁ、兎に角そのような経緯を経て、 何故かわたくしが琴線に触れたらしく、 数日後にはフィリップ様との 縁談の申し出の書状が届きました。 あの時、従者の方が巻いて下さったハンカチは、 今も大事にとってあります。 目を落とすと、綺麗に刺繍された"Louis"の文字。 わたくしに火を灯したのは、ルイ様という従者と思しき方。 フィリップ様の留学も、 もしかしたらご一緒しているのかもしれませんね。 フィリップ様と結婚した後も、 彼が従者であるかもしれないと思うと、 ……複雑な思いにならざるを得ません。 子供じみているのは承知しております。 この家に生まれ、物心ついた時には 覚悟を決めていたつもりでしたが、 いざこのような場面に直面すれば、 簡単に心は揺らぎました。] (23) 2023/01/12(Thu) 20:03:39 |
【人】 子爵令嬢 エルメスこんなことではいけませんわね。 すべて忘れて、現実に身を任せなければ。 [100日後には、はっきりと確定するわたくしの現実。 ゆらゆらと夢想を漂うこの数年間と残り100日が、 却って辛い物のようにも思えてきます。 もう名前しか知らぬ彼の人を想うのは最後にしようと、 わたくしは心を決めて家を出ました。 日が暮れるまでには戻りますと言伝て、 彼と出会ったあの場所へ。**] (24) 2023/01/12(Thu) 20:05:07 |
【人】 謎の青年 − 少し回想:庭 − [パチリ、パチリと花の手入れをする。 魔法に頼れるから手作業をする必要はない。 だからこれはただの趣味だね。 バラの棘を丁寧に取り除く。 最初はよく枯らしたものだった。 やっとでそこそこ見栄えがする花が咲いてくれた。 綺麗な桃色を見て 自然と顔は緩んだんだ。] (25) 2023/01/12(Thu) 20:28:56 |
【人】 館の意思 ネリリあ、また花見てるんだ。 ねえねえ、準備しようと思うんだけどさ ご馳走用意する方がいいよね? やっぱお菓子の家とかどーんっ! って用意したほうが喜んでもらえるかな? (26) 2023/01/12(Thu) 20:29:26 |
【人】 謎の青年……はあ。 [人の心はままならない。 僕はやっぱり、ここに誰かが来るのを止められない。 そして心がままならないのは きっと、僕もだ。]** (29) 2023/01/12(Thu) 20:30:06 |
【人】 子爵令嬢 エルメス[誰もいない静かな森の中。 鳥の囀りや、葉の擦れる音、いつもここでは一人だった。 運命を分ける出会いがあった場所であったことが、 俄かには信じられないくらい。] 白の薔薇、あの時と同じね。>>18 [手を伸ばし、そっと手折る。 花束はあるけれど、また花冠を編んでみようか。 あの方から戴いた"本物"のティアラは、 生花で手ずから作ったあの花冠なのだから。] もうわたくしの頭にはそれを戴く資格はない……。 [白薔薇が咲く中で、一輪だけ青い薔薇を見つけた。 奇跡を象徴する 青 に手を伸ばす。けれど容易には届かずに、 更に手を伸ばすも棘が肌を刺し、白い指には 血 が滴る。] (30) 2023/01/12(Thu) 21:55:24 |
【人】 子爵令嬢 エルメス[一体自分は何をしているのだろう。 日が暮れるまでには帰ると言ったのだし、 家では誕生祝いの準備をしている筈。 主役のわたくしが不在など、あってはならない。 ぼんやりと頭はまだうだうだと物憂いまま、 慣れた道を進んでいく。] あら……? [考え事をしていた所為か、いつもなら家につくはずなのに、 自宅所か町さえ見えない。 寧ろ、森は更に鬱蒼とした雰囲気を増している。 こういう時は、 下手に動き回らない方が良いというのが定石ですが、 通い慣れた道であることに油断して、 わたくしは只管、森の中を歩き続けました。] (31) 2023/01/12(Thu) 21:56:01 |
【人】 子爵令嬢 エルメス[歩けど、歩けど、何処にも辿り着けず、 日はとうに暮れて、梟の鳴き声まで聞こえるような時間。 貴族の娘の軟弱な足は棒のようになっており、 心細さから涙が滲みました。 わたくしが罰当たりなことなど考えていたから、 この様な酷い目に遭うのでしょうか。 現実逃避の行き着く果てにしては、似合いかもしれません。] (32) 2023/01/12(Thu) 21:56:48 |
【人】 子爵令嬢 エルメス[そんな中、何処かから花の香りでも、木の香りでもない、 いい香りがしてきました。>>n1 疲れ果てた末の幻覚かもしれないなどと思う事もなく、 疲れた足に鞭を打って前に進みます。 桃色の薔薇の花>>25、しっかりと整えられた庭、 大きなお屋敷は、貴族の住むそれと思われました。 こんな所に住んでいる方がいるなんて…… きっと平時なら不審に思ったでしょうが、 そんなことすら、頭に浮かべる余裕はありませんでした。] ごめん下さい。 森で道に迷いまして、 どうか帰り道を教えて頂けませんかしら? もしご迷惑でなければ、 少し休ませて頂けると……。 [ノックをしてからそっと扉を開け中を伺えば、 女性の声で歓迎されたので>>1、安堵して中へ。] (33) 2023/01/12(Thu) 21:57:36 |
【人】 子爵令嬢 エルメス[近くにソファを見つければ、行儀が悪いと思いつつも、 ぐったりと体を預けます。 疲れて多少上の空な頭の中に、 続く女性の言葉が流れ込み、>>2 親切にわたくしを迎えて入れてくれたことを 有り難く感じ取りました。] 本当に、有難う御座います。 少しだけ休ませて頂けたら、十分ですので……。 [このような状態ですので、細かな内容は耳を通り抜け、 ここでは魔法使いが存在する、或いは魔道具があり、 魔法で何かを叶えてくれること、 帰り道については何も言及しないことは、 特に引っ掛かりを感じることなく滑り落ちていきました。**] (34) 2023/01/12(Thu) 21:58:26 |
【人】 館の意思 ネリリそっか、疲れちゃったんだね。 ん〜……あ、そーうだっ ええーと、疲れを癒す……お水がいいかな? 喉が渇くときはまずは水だって聞いたし それに疲れてるなら甘いものかなぁ? (37) 2023/01/13(Fri) 7:52:02 |
【人】 館の意思 ネリリ[少女の声がそう響けば 貴方の目の前に綺麗なレースのかかったサイドテーブル その上にワイングラスに入った水が出てくる。 貴方がもし、それを口にするなら 飲めば疲れが癒されるだろう。 それに添えられているのは小さなチョコレート。 なめらかな口当たりで甘く、美味しい味である。 何もないところから物が出てきた。 それは魔法が実際使われた事を示す。] (38) 2023/01/13(Fri) 7:54:21 |
【人】 子爵令嬢 エルメス[姿は見えませんが、わたくしを迎えてくれる 若い女性の声が温かくて、>>35 心細い気持ちが一気に解けました。] ご親切に、有難う御座います。 [漸く誰がしか顔を見せるかと思いましたけれど、 現れたのはサイドテーブルと水の入ったグラス、 そして添えられたチョコレートのみ。>>38 疲れている所為かと思い目をしばたたかせるも、 サイドテーブル等を持ってきた人物の姿は映りません。] これは……、もしや魔道具でしょうか。 [「いただきます」と言って水を一口、深呼吸。 長時間飲まず食わずで歩いた身に沁みます。 チョコレートも有り難く頂きました。 糖分が更に、安堵感を与えてくれました。 お腹も空いていたので、ゆっくりと味わいます。] (40) 2023/01/13(Fri) 18:31:28 |
【人】 子爵令嬢 エルメス[この世界において、魔法使いはかなり希少な存在であり、 国によって厳重に保護されている。 こんな所でばったり顔を合わせるとは思えません。 であれば、これは魔道具によるものと思われますが……。 魔道具だってとても貴重なもの。 個人宅で所有しているのだとすれば、 ここは相当の名家なのではないでしょうか。 名前を聞けば、心当たりがあるかもしれません。] ご挨拶が遅れまして、申し訳ございません。 わたくしはエルメス=ニア・エピロンスと申します。 貴方様のお名前を伺っても? [一度席を立って、 何処に居るとも知れぬ声の主を意識し一礼を。] (41) 2023/01/13(Fri) 18:33:38 |
【人】 子爵令嬢 エルメス[話が怪我の治療に及べば、>>39 そういえばと改めて傷の具合を見ました。 もう出血は止まっていますが、 消毒くらいはして貰った方が良さそう。 何から何までお世話になって気が引けますが、 傷口から菌が入ったりして大事に至る可能性もあります。] お気遣い、有難う御座います。 治療道具さえお貸し頂けましたら、自分で出来ますので。 [今はとりあえずどこの部屋に入ることもなく、 目についたソファに腰掛けていますが、何処か所在なさげ。 朧げに思い出すと、食事も部屋も、衣服も気前よく 用意してくださるようなことを言っていましたが、>>2 本気で"自分の家だと思って"過ごすなんて>>3 流石にそこまで図々しくはないので、 「入ってもよろしいお部屋はありますか?」 と尋ねました。**] (42) 2023/01/13(Fri) 18:34:25 |
【人】 館の意思 ネリリ[少女らしさを感じさせる幼い言葉が響く。 その声は喜んでもらえた事を本当に 嬉しそうにしているよう、はずんでいる。 相変わらず近くに人の姿は見えない。] (44) 2023/01/13(Fri) 19:01:53 |
【人】 館の意思 ネリリへぇ。エルメスお姉ちゃんか。 可愛いお名前だね。よろしくねっ! ぼくの名前? えーとね。ぼくは“ネリリ”っていうんだ。 いい名前でしょ! (46) 2023/01/13(Fri) 19:02:59 |
【人】 館の意思 ネリリ[えへん、と聞こえてきそうな明るさで名乗る。 少女は家名を名乗る事はなかった。 もし突っ込まれるのなら、 知らない と返答が来る事になる。] (47) 2023/01/13(Fri) 19:03:35 |
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