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【人】 田臥 志麻[少し二人の時間があった後、 何種類か広げられたコルセットもガーターベルトも、 正直、「可愛い」と思わず声に出そうになるほど 興味を惹かれてしまった。 やはり威優は自身好みを知り尽くしている。 これが似合う、と提案されたものは どれも頷いてしまうもので 正直に言って、早く着てみたくてそわそわした。 シューズも、小物から一つずつ決まっていく。 自分たちで選んだものが細部まで拘られて。 ヴェールに選ばれるチュールも 派手過ぎず上品な光沢に近く、好ましい。] うん、良いと思う。 オレもそっちの方が好き。 [オーダーメイドに関しては格段に詳しい威優に まるで光源氏に育てられていく若紫のように、 彼の好みに育てられている感じがする。] (55) 2023/08/31(Thu) 2:38:56 |
【人】 田臥 志麻[シルクサテンのリボンと同じタイ。 シンプルな肩口に「可愛い」と「好き」が増えて、 威優とお揃いになる。 ポケットチーフとヴェールも重ねれば、 お揃いがもう一つ。 彼が出したアイデアに、 みるみると瞳を大きくして輝かせ。] それがいい。 どっちもしたいっ。 ははっ、最高。絶対可愛くなる! [借りてきた猫だった表情が破顔する。 こくこくと頷いて賛同を示し 浮わついた心を抑えきれずに手を取ってはしゃぐ。 重ねた手に嵌っている「お揃い」のリング。 大好きな瞳と同じ色をした石がきらりと煌めいた。] (56) 2023/08/31(Thu) 2:39:24 |
【人】 田臥 志麻[ブーケは花の種類が分からないから 色を決めてから、選ぶことになった。 白いウェディングドレスに映えるように、 「可愛い」の代表のピンクの花がいいと告げて、 可愛らしくなり過ぎないように ピンク合わせる色にはクールな青系統を選ぶ。 白いチャペルに白いウェディングとタキシード。 ブーケは夜に輝く差し色になるだろう。] 南十字星、初めて見るな。 夜の海ってちょっと怖いイメージあるけど、 灯りがない分、空見上げたら星がたくさん見られそう。 [威優と出会ったのは夏の頃。 オーストラリアに行く時期にはちょうど、 あちらが夏と同じ暑さぐらいの季節。 きっと、出会った頃を思い出すだろう。**] (57) 2023/08/31(Thu) 2:39:48 |
【人】 大守 威優[スタッフは男性である志麻用のドレスの注文にも 怪訝な顔をせず、女性の花嫁に対するのと変わらない態度で 接している。 それでもドレス着用に前向きなことを外に知られることに 気が引けるのか、志麻の口からはデザインや色味に関して 「可愛い」という言葉は控えられていた。 スタッフに出して貰った見本、ウェディング用のコルセットは 白の下に着用することを踏まえて色味は抑えてあるが、 形状はリボンで編み上げるタイプからホックで止めるもの、 ファスナーを使ったものなど様々あった。 勿論コルセットもガーターも、見本は女性用ではあるが、 男性――志麻の身体に合わせて作るのだから、 「試着で入るものを」なんて制限はない。 志麻の好みに合わせてそれを用意するだけだ。] (58) 2023/08/31(Thu) 19:59:48 |
【人】 大守 威優[お揃いがほしい、なんて可愛いお願いに提案したら、 それは彼の気に入るところとなったようで。 思った以上の反応が引き出せて満足の笑みを浮かべた。 やっと心から「可愛い」に対する好意を出してくれた。] じゃあどっちもお揃いにしよう。 リボンは縫い付けるんじゃなくて外せるようにして、 日本に帰ってから披露宴でアスコットタイとして 使えるようにして貰えば 披露宴でも「お揃い」ができるよ。 [リボンとして肩を彩る際は子どもっぽくならないように 幅を狭く折って、アスコットタイにする時には広げれば良い。 折角のお揃いだ、見せびらかしたい。] (59) 2023/08/31(Thu) 20:00:33 |
【人】 大守 威優[お揃いが決定した頃から、志麻の緊張もだいぶ解れ、 希望が口に出やすくなった気がする。 ブーケはピンク主体、己の好みで薔薇を入れて貰う。 一口にピンクと言っても色んな薔薇があって目移りしそうだ。 脇に添えるブルーの花は薔薇を邪魔しないように小ぶりの ブルースターを。 様々なことが決まる度に結婚式が楽しみになる。] うん、周りに商業施設の光源もないし、 きっと綺麗に見えると思うよ。 [朝になったら海で泳ごう、とは言えなかった。 男性物の水着で隠れるところだけに 己の独占欲が収まるとは到底思えなかったので。*] (60) 2023/08/31(Thu) 20:00:48 |
【人】 田臥 志麻[仕事として接してくれている女性スタッフたちは 例え可笑しいと思っていても プロだから態度に出すことはないだろう。 Ω性の男性であっても大半は揃えてタキシードを着る。 披露宴の時に自身も対外的に着るみたいに。 LGBTやトランスジェンダーの問題は今や、 公言しても蔑まれることは少なくなってきているが、 志麻が消極的なのはそういった根本的な問題以前に、 骨格が細いとはいえ女性的な丸みのない成人男性である 自身が可愛いものを着ても似合わないのでは、 と、誰よりも自分自身が思ってしまうからだった。] (61) 2023/08/31(Thu) 21:28:04 |
【人】 田臥 志麻[威優の可愛いを切っ掛けに視線が上向けば、 接してくれる女性スタッフたちの表情も良く見えた。 話を親身に聞いてくれる様子は決して嘲笑うものではない。 そう気づいたら、随分と気持ちが楽になった。 最初から拘っていたのは自身だけだったかも知れない。 そう思えば、少しずつ相談に前向きになれた。 二人で一から作っていくウェディング。 ドレスから小物、式場、時期まで。 たった二人だけで挙げるために。 話が進んでいくにつれて一生に一度のものが、 最高になると確信していく。 リボンのアプローチも一度じゃなくて、 正式な発表の場でも「お揃い」に拘れるように。] そうしたい。 挙式の気持ちを持って披露宴に挑めるなら、 緊張しないで済みそう。 [もう一つの予定が組み込まれるからには、 素材選びはまた慎重になりハードルが上がりそうだ。] (62) 2023/08/31(Thu) 21:29:57 |
【人】 田臥 志麻[「愛情」が意味として含まれる花々達の中に 「かわいらしさ」と「信じ合う心」が含まれる。 自身が選んだピンクに、彼の好みを足せば 「恋の誓い」が生まれた。 互いに初めての恋を知った二人によく似合う。] 知ってる? 星座の中で一番輝く星って"α星"って言うんだって。 南十字星には二つもあるらしいよ。 [十字架の前で愛を誓った後、見られるであろう 夜空の十字に思いを馳せる。 その中には、威優と同じ意味を持つ星がある。 自身の中でもたった一つだけ、 誰よりも輝く一番星が────すぐ傍に。*] (63) 2023/08/31(Thu) 21:30:31 |
【人】 大守 威優[志麻の緊張が解れてからはスタッフの方も より熱心に志麻の方に提案をするようになった。 それまでは二人に対して提案し、 己が出しゃばるという形だったので、 志麻の方に近づけにくかったのかもしれない。 こういう場ではスタッフは「ご新婦様」と呼ぶのが 普通だろうが、「婦」という漢字を気にしてか、 「志麻さま」と名前で呼んだ。 スタッフの配慮が伺える。] 見る度に挙式のことを思い出せるから 披露宴で思い出し笑いをしないように 気を付けないとな。 [まだ式を挙げてもないのに、もう思い出し笑いをするような 出来事があると確信している。 その態度も披露宴で思い出して緊張をほぐす一助となれれば良い。] (64) 2023/08/31(Thu) 22:45:34 |
【人】 大守 威優[帰りは夜になった。 商業施設や住居の灯りが邪魔で、 ここでは南半球でしか見られない南十字星はおろか、 他の星座も目を凝らさないと見えない程だけど] へぇ、Ω星は? [なんて言いながら、繋いだ手に力を込めた。 星のない夜でもどこにいるかわかる、 彼にとってのたった一つの一番星になりたい。] (65) 2023/08/31(Thu) 22:45:50 |
【人】 大守 威優――挙式当日―― [前日から泊って時差ボケを直した後、 万全の体調で式に臨む。 花嫁である志麻は己よりも準備にかける時間が長いから、 己は自分の着替えを終えた後、そわそわしながら待つ時間が長い。 ドアがノックされた。] ――はい。 ありがとうございます、お義父さん。 [二人だけの挙式をしよう、と言っていたが。 たった一回の挙式、バージンロードを一人で歩くのは やはり寂しいと思い、志麻の家族を呼んでいた。 両親は志麻が幼い頃女の子の服を着ていたことを 知っている。 知られたくない訳ではないと思うが、 一応サプライズ登場はチャペルの前ではなく 準備中にしてほしいと頼んだのだった。] (66) 2023/08/31(Thu) 22:46:17 |
【人】 大守 威優[程なく志麻の支度部屋の扉がノックされる。 まずは、父親だけが。 許されるなら母と弟も。 内緒で呼んでいるので、志麻の心の整理がつかなければ 予定通り二人だけになる。*] (67) 2023/08/31(Thu) 22:46:31 |
【人】 田臥 志麻[威優が居なければ相談もまともにできないまま、 既製品でいいと言っていたかもしれない。 「志麻さま」と呼ばれ続ける中で、 たった一度だけ「ご新婦様」と言いかけた スタッフが恐縮して名前に呼び替えた。 「大丈夫です、呼びやすい方で。」 と、照れくさいながらもそう答えられるくらいには 余裕も生まれて、打ち解けていく。] 無理。 リボン見たら絶対ニヤけちゃうもん。 その時は一緒に笑って。 [どんな思い出になっても 威優となら良い思い出になることは間違いないから。 挙式も、披露宴も、笑顔で迎えられたら良い。] (68) 2023/09/01(Fri) 1:46:26 |
【人】 田臥 志麻[街灯が綺麗に並ぶ中を手を繋いで歩く帰り道。 海の近くのように星は見えないけれど、 その代わりに冬のライトアップが美しい。] Ω星はないんだ。 オメガ星雲ってΩの形をしたやつならあるけど。 星雲は星じゃなくて、塵やガスの集まり。 ああ、でも恒星の光を反射するんだよ。 [冬の空気に冷えていた手が彼の手で暖かくなる。 自身の星はなくとも、一番星の。 彼の光を受けて、光ることなら出来るだろうか。] (69) 2023/09/01(Fri) 1:46:35 |
【人】 田臥 志麻── 来たる挙式当日 ── [初めての海外に戸惑いながらも、 現地の天気は心を映し出すように晴れやかで。 一人前の食事の量の多さに感動しながら、眠った翌日。 最終調節のためになんどか試着を重ねた 完成されたドレスをお披露目するときがきた。 ウェディングドレスを着るのなら、 素っぴんとは行かない。 ドレスに見合うようにメイクを施されて。 ベイスメイクはもちろんのこと、 薄いのチークにマスカラ、色づいたピンクのリップ。 鏡の中の白いドレスにメイクをした人物は まるで自分じゃない、ドラマの中の人みたいだ。 憧れていた『お嫁さん』の形になっている。 想像していたよりも遥かに美しく、 立派なドレスを纏っていた。 メイクを施された後も、 鏡の前から離れられずに入れば、ノックが響く。] (70) 2023/09/01(Fri) 1:47:00 |
【人】 田臥 志麻どうぞ。 [威優かと思い、促して扉の先を見てみれば。 威優と共に、父の姿がそこにあった。 みるみる志麻の目が見開かれていく。] ……と、うさん……、? え、なんで。 ……えっ、…… [二人だけと聞いていたからその姿を見たときは、 本当に驚いて、咄嗟に声も出なくて。 説明を求めるために父と現れた威優を見つめる。] (71) 2023/09/01(Fri) 1:47:17 |
【人】 田臥 志麻[彼の前では穏やかな父がにこやかに笑顔を浮かべて、 綺麗だね、と感極まったように呟くから。] そ、それは威優の言うやつだろ……!? [嬉しいけど、…… 嬉しいけど! 混乱と照れ臭さと嬉しさでつい親子の素が出てしまう。 だって二人きりだって!言ったから! その台詞は威優から先に聞きたかった。 その父から母と弟も一緒に来ていることを伝えられ、 更に困惑を広げながらも、 最終的には威優の方へと眉尻を下げて。] こ、こんなの……聞いてない……、 [と、気恥ずかしさを浮かべながらも。 複雑な表情を浮かべて、花嫁とは思えぬ動揺を見せた。**] (72) 2023/09/01(Fri) 1:48:17 |
【人】 大守 威優[現地は快晴だった。 式の当日とはいえ、招待客がいる訳でもなし (この時点ではサプライズのことはおくびにも出していない) エステやマッサージを受けてのんびりしていた。 そして準備の為にそれぞれ別の部屋に入る。 窓の外、夜の帳が降りていく。 日が完全に落ちれば、結婚準備の帰り道に志麻から聞いた 「α星」や「オメガ星雲」も観測できるようになるだろう。 式の後、ゆっくり星空を見る余裕が出来るのは 何日か後かもしれないが。] (73) 2023/09/01(Fri) 20:51:41 |
【人】 大守 威優[義父と一緒に志麻の部屋へと向かった。 義母と義弟には部屋で待機をしてもらっている。 道中、緊張しているのか無言だった義父は、 志麻の姿を見るなり「綺麗だね」と呟いた。 志麻がドレスを着ることは、義家族には伝えていなかった。 それでも開口一番その言葉が出るということは、 息子の晴れ姿に対する含みはないということだ。] 似合ってる。 俺の奥さんが世界で一番綺麗だ。 [どうやら義父の言葉は己の口から聞きたかったようで。 順番は譲ったが、特大で特別な賛辞を贈った。] (74) 2023/09/01(Fri) 20:52:04 |
【人】 大守 威優[困惑の強い志麻に、呼んだ理由を説明する。] 式をするにあたって、調べたんだ。 バージンロード――英語ではウェディングアイルって言うんだけど、 花嫁のこれまでの人生を表すんだそうだ。 教会の扉が開いて、俺が待つ祭壇まで。 小さい頃から今までの人生を振り返りながら歩いてくる時に、 志麻の隣にはお義父さんがいてほしいと思ったんだよ。 愛されて育ってきた。 愛をきちんと受け止めて歩んできた人生で、 俺と出逢ってくれたんだ。 [義父は、突然のことで驚かせてしまったことへの謝罪と、 どうか参列させてほしいという懇願を口にする。 加えて、もし志麻が望まなければ、 このまま部屋に戻って式が終わるまで見ない、と。 部屋でずっと幸せを願っている、と。] (75) 2023/09/01(Fri) 20:52:33 |
【人】 大守 威優どうかな、志麻。 [外はゆっくり暗くなっていく。 チャペルの外のガーデンに灯りが灯り、 国花であるミモザが明るく浮かび上がった。*] (76) 2023/09/01(Fri) 20:53:02 |
【人】 田臥 志麻[エステもマッサージも綺麗になる為の準備。 一人で受けるのではなく、二人で施術を受けたから、 気分も楽ですっかり気持ちも解れていた。 その時も威優は全くいつも通りに話していたのに 裏でこんな下準備をしていたとは驚かされた。 「連れてきてくれてありがとう、威優くん」 なんて、嬉しそうに感謝を伝える父。 父の傍らに立った威優が、 期待していた言葉を口にする。 (しかもさらっと奥さんって言った!)] …………〜〜〜〜〜ッ、 あー、もうっ……! 二人共ありがとっ! [ヴェールを下ろした後では 乱雑に髪を掻き乱すこともできない。 頬に触れるのもメイクを崩してしまいそうで。 二人の視線から逸らすみたいに顎を逸らして 上を向く天に投げかけるみたいにお礼を告げた。 そうしないと瞳がまた潤んでしまいそうだったから。] (77) 2023/09/01(Fri) 21:35:51 |
【人】 田臥 志麻[バージンロードの意味は威優の口から語られるまで 調べたことはなくて、初耳だった。 ドラマや映画ではそのシーンを何度も見てきたけど。 父親役の人と腕を組んで、 新婦が新郎の元まで送り届けられる意味。 それは、家族のバトンを受け渡す意味があるのだろう。 ────家族から新しい家族へ。 そのバトンをちゃんと受け取りたいと 考えてくれた威優と、役目を担ってくれる父に。 堪えていた涙腺がまた瓦解しそうになってしまって。 唇を噛み締めて二人の話を聞き、 彼らの言葉が途切れた後、 自身の返事を待つように少し沈黙が、落ちた。] (78) 2023/09/01(Fri) 21:36:35 |
【人】 田臥 志麻[今日は笑っていたいから。 深く、息を吐きだして感情が落ち着くのを待つ。 それから、二人を見て。] ……威優のところまで、 父さんが、エスコートしてくれる? [頷く代わりに目尻に皺を作ってみせれば、 やっぱり、少しだけメイクが崩れてしまった。] (79) 2023/09/01(Fri) 21:36:51 |
【人】 田臥 志麻母さんも、莉久も呼んで。 ……うちの家族が来るなら、 威優のお義母さんも呼べばよかったな。 [最後は威優にそう言って笑った。 赤く燃えていた空が夜空に変わっていく。 青と緑に囲まれた中で白いチャペルが一層映える。 立ち上がると威優と拘った トレーンの刺繍が綺麗に床に広がった。*] (80) 2023/09/01(Fri) 21:37:23 |
【人】 大守 威優[ありがとう、と聞くまでは 義父も己もどこか胸に不安を抱えていたと思う。 先に打診したらどうかと義父には言われたが、 その場合受けるも断るも、志麻の心に影響が出そうで 己の我儘で隠し通させてもらったのだ。 「自分がΩだから苦労をかけた」と思っている志麻は、 家族の為にと度々実家で家事を担っていた。 家族が来ると知ったら「自分だけの為」ではなく、 家族がどう思うかを思考の基本に置いてしまうのではないか、 それを懸念していた。 逆に二人だけだからと断れば、 見たいと願った家族の想いを無碍にしたと 罪悪感を抱いてしまうだろう。 その点、この土壇場で断るなら 己が黙っていたことの所為にできる。 ――と。] (81) 2023/09/01(Fri) 22:21:29 |
【人】 大守 威優[涙を堪えるように天を仰いだ礼の後、 沈黙が漂った。 その間、花嫁の支度を担ってくれたスタッフも 空気を呼んで部屋の隅でじっと大人しくしていた。 退室はしないだろう。 どんなに堪えても、堪えた分だけお直しの必要がある。 己が話すバージンロードの意味を聞く間、 噛み締めていた唇に引かれた「可愛い」リップや、 父親に向けた瞳の端でよれた発色の良いファンデなど、 整えて貰ってから手を取りたいし、手を取ってほしいだろうから。] (82) 2023/09/01(Fri) 22:21:47 |
【人】 大守 威優うちの母には良かったら写真を送らせて。 忙しくしてないと死ぬ病なんだあの人。 [志麻が了承してくれるなら、 世界一美しい花嫁を自慢したい。 この姿を見たらきっと母は今度は孫が見たくなる。 そうして生きてほしいのだ。 どんなに野心に溢れ親族との間に溝があった男だったとしても 愛していた、たった一人の番がいないこの世界で。] (83) 2023/09/01(Fri) 22:22:58 |
【人】 大守 威優じゃあ、祭壇で待ってる。 メイクを直して貰ってからおいで。 一度ベールを上げてもらうから、 下ろすのはお義母さんに。 ベールダウンは「子育てを終える」って意味で 母親にしてもらう習わしがあるそうだよ。 [そう言えば、またメイクを直す場所が増えるだろうか。 義弟にはフラワーボーイを頼んである。 花嫁が悪魔に攫われないように道を「護る」役を、 もう「護られる」だけの存在ではないのだと 兄に安心してもらえる姿を見せられるように。] (84) 2023/09/01(Fri) 22:23:16 |
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