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【人】 惜別ハツナ[ 君の記憶を取り戻すには どうすればいいんだろうって 色々考えて、不安になることが多くて。 事故のあの日から、 私はひとりで何度も歌おうとした。 でも、歌えないままなんだ。 身を削るように頑張ってるのに 頑張ってるから 君にだけ聞かせていた歌が歌えない。 ] (25) 2022/10/30(Sun) 23:41:31 |
【人】 惜別ハツナ[ いつしか学校は息苦しい場所へと変わってた。 物がなくなる。 ノートとか、体操服は破かれて。 私は大切なものを学校に持って行くのをやめた。 どうせなくなるか壊されるかの二択だから。 君に渡すプリントやノートはいつも持ち歩いて。 嫌がらせはいつだって私がいない時に 私が見ていない時にされていたから、 そうしていれば、守ることが出来たんだ。 私は私のしたいことをしてるだけなのに。 それでも、逃げなかったのは…… 負けたくなかったからなんだろうね。 ] (28) 2022/10/31(Mon) 0:29:15 |
【人】 惜別ハツナ[ 傍観者からのアドバイスは無視した。 余計なお世話だよ。 だって、間違ってるのは向こうなのに それを止めてもくれない人の助言なんて 聞いてあげる価値、微塵もないでしょ? ] (30) 2022/10/31(Mon) 0:30:47 |
【人】 惜別ハツナ[ 負けない、 負けてたまるか。 みんなの悪意より 私が君を想う気持ちの方が何百倍も強いから。 絶対に、折れてなんてあげないんだから。 それでも、もし折れる時が来たら……。 ] (31) 2022/10/31(Mon) 0:31:18 |
【人】 惜別ハツナ[ 過呼吸を起こした私は、 それだけが理由で倒れたんじゃないんだと思う。 睡眠不足だってあったし、 食欲がなくなって、前より食べる量が減った。 精神的に追い詰められて。 もう、限界を通り越してたんだろうね。 普通に考えたらわかるのに。 千羽鶴に悪意がこもってないわけないって。 私の目の前で嫌がらせされたわけじゃないから 誰にされたか分からない。そんな状況で 私自身も弱ってる状態。 私が気づいてないだけで、 私は…普通の状態じゃなかった。 過労だ、って。 きっと私を診た先生は君に教えたんじゃないかな。 しっかり休ませないとダメだ、とも。 ] (35) 2022/10/31(Mon) 0:39:17 |
【人】 惜別ハツナ[ 見覚えあるような、ないような天井。 ぱっと体を起こして、 此処が病院だと、すぐに理解した私は、 君が、なぜか背を向けてることに気づいて。 君に、縋るんだ。 ] 待って……! (37) 2022/10/31(Mon) 0:44:14 |
【人】 惜別ハツナ[ 千羽鶴を君は見てしまったのかな。 わからない、わからないよ。 自分から言いだすことさえできない。 それでも、君を引き止めたのは―――――。 ] (38) 2022/10/31(Mon) 0:44:42 |
【人】 朝日元親[ 先生がボクを落ち着かせるように教えてくれた。 恐らく無理をしていたんだろうと。 大切な人が自分の記憶を無くしてるなんて 平静を保っていられるはずがないと。 ボクは思う。 ボクが彼女に甘えきっているだけ 彼女が心の傷を悪化させていく。 恋人とそっくりな皮を被った誰かが 恋人と同じ声で、表情で 他人の面をしていのだから当然だ。 (39) 2022/11/01(Tue) 14:26:07 |
【人】 朝日元親[ ボクなんていない方がいい。 そう思ってしまうしかないような状況。 ボクは思わず眉間を指先で押えてしまった。 「さっさと別れてよ。あの子の為に。」 聞き覚えのない声が、言葉が ボクの心を激しく締め付ける。 触れただけで分かるほど露骨な悪意が 今度はまるでボクの方へ矛先を向けたみたいに。] (40) 2022/11/01(Tue) 14:27:00 |
【人】 朝日元親[ そんなボクにトドメを刺すように。 眠る彼女の傍にあった鞄をみつけてしまう。 破かれた教科書が ハツナさんの人柄が結びつかない以上 導き出された可能性は一つだけだった。] (41) 2022/11/01(Tue) 14:27:35 |
【人】 朝日元親[ 思わず、振り向いてしまう。 まさか彼女が起きてしまっていたなんて。 ボクは動揺を悟られまいと小さく深呼吸をする。] ご、ごめん。起こしちゃったかな。 [ 見たくなかった、彼女の泣き顔なんて。 それでも引き出してしまったのはボク自信だから。 その事実からは目を逸らさぬように ボクは彼女の眠っていたベッドの傍に座る。] (42) 2022/11/01(Tue) 14:32:22 |
【人】 朝日元親[ 落ち着かせるために頭を撫でようと 伸ばした手は届く前に引っ込められる。 今のボクには何も出来ない無力さを呪い その手で握りこぶしをつくっていた。] ボクは、許せないんだ。 貴女にそんな顔をさせてしまうボクも 貴女を苦しめているやつらも、皆。 [ そう言うと、ボクは彼女から目を逸らす。 ここに一度座って心の内を明かしたのは ボクの気持ちも、望みも、怒りも。 彼女には知る権利があると思ったから。]* (43) 2022/11/01(Tue) 14:38:22 |
【人】 惜別ハツナ[ 見せたくなかった、泣き顔なんて。 我慢しなきゃ、いけなかったのにね。 でも、君が行ってしまわなくてよかったって。 ちょっと安心した私もいるんだ。 久々に見た君の夢。 あれはきっと君が隣にいてくれたからだね。 ] ううん、……君のせいじゃないよ。 [ そう、全部君のせいなんかじゃないんだ。 君のおかげだ、って言えることはあっても 君のせいで、って思ったことは一度だってない。] (44) 2022/11/01(Tue) 21:22:12 |
【人】 惜別ハツナ[ 届かない手が、今の二人の距離を 示しているみたいで。 何の躊躇いも遠慮もなく 手をのばしてもらえないことが さらに、私の心を抉っていく。 ひっこめられた手を目で追いかければ その手は強く握られていて。 どうして、だろう。 君には悪いことなんて何もないのに。 息を吸って、吐いて。 少しずつ、気持ちを落ち着けて 心の内を明かしていく。 ] (45) 2022/11/01(Tue) 21:26:27 |
【人】 惜別ハツナ[ 合わない視線が、寂しい。 寂しさは胸に秘めたまま、私はうつむいた。 ] 頑張らなきゃ、って。 ずっと、ずっとおもってたから。 きっと、疲れちゃったんだね、私。 [ どことなく他人事なのは、 まだ、まだ駄目、頑張らなきゃ。 太陽でいなきゃいけないんだって そう思い続ける私がいるからで。 でも、もう一人の私が悲鳴をあげてる。 もう無理だ、太陽でいるのなんて無理だって。 ] (47) 2022/11/01(Tue) 21:27:55 |
【人】 惜別ハツナ 最近学校で色々、嫌がらせとか、あって。 嫌がらせに負けたら…… 私が君のことを諦めちゃうみたいになりそうで 私ね、それだけは、嫌なんだ。 (49) 2022/11/01(Tue) 21:29:26 |
【人】 朝日元親ボクが言っても説得力、ないか…。 ごめんね。こんなことしかいえなくて。 [ 言い終えると今度こそ立ち上がる。 時折頭に起こる強い痛みが気になって 立ちくらみさえしてしまうけど きっとこれは身体的なものとは違う。 言い出したのに気まずくなったボクはというと。] そうだ。ボク、退院する日が決まったよ。 ハツナさんが傍に居てくれたおかけで 今もあまり不安にはなっていないんだ。 ………ありがとう。 [ 記憶にないような気恥ずかしさを感じて。 言い逃げしてその場を後にしようとした。]* (54) 2022/11/02(Wed) 22:10:40 |