81 【身内】三途病院連続殺人事件【R18G】
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| (a2) 2021/07/02(Fri) 1:23:58 |
| 空のタライを持って二階をふらつく。 雨戸を叩く音混じり、滴る雫の音がチラホラと聞こえる。 大凡覚えてしまった間取りと容器の配置を頭の中で描き、 次に満杯になるのは何処だったか……と考えた。
(この作業も、あのガキどもには堪えるかねェ)
ここで言葉を交わした子どもは三人。 細っこい女子、熱のある患者、腕に包帯を巻いた怪我人。 誰もかも肉体労働には向かなそうだった。
……引き換え大人は割りかし元気なものだが。 そんな、益体のあって無い様なことをツラツラ考える。
(駐在サンやら男の方の医者は言やァやってくれるか? 女の医者と看護師はそれどころじゃねェかもなァ。 商人の兄サンはどうだろ。 はたらくのもシッカリ売りモンかねェ)
出会った者たちを順に思い浮かべる。その中には、 暫く姿を目にしていない、女の医者の姿もあった。
(――どこにいンだか。聞きてェことがあったんだがなァ) (20) 2021/07/02(Fri) 13:24:50 |
| >>25 アユミ 「お医者サン、ちっと――と、」 慌ただしく走る医者を呼び止め、不意に言葉を切り。 少しばかり思案したのちに尋ねかける。▼ (26) 2021/07/02(Fri) 19:39:08 |
| >>25 >>26 アユミ 「――そんなに急いでどうしたってんだい」 男は医師の姿が見えなかった理由を知らず、 足音の無いことにも気がつかぬ儘。 これまでと何一つ違わぬ調子で軽快に笑うのだった。 (28) 2021/07/02(Fri) 19:42:29 |
| (a8) 2021/07/02(Fri) 19:58:22 |
| >>31 アユミ 「そンだけ急いといてかァ……?」 半信半疑、呆れ混じりに。深くは問わない。 (――マ、余所者には言えねェこともあらァな) 「あァ、お医者サンに聞きてェことがあったんだが。 どれから聞いたモンかなァ……」 尋ね事は幾つかあるが、長く引き留める訳にもいくまい。 チラリと周りを見、声を潜めて。 「薬だのは足りてンのかい。 ……ホラ、ニエカワクンだっけか、熱のある子もいたろ」 (37) 2021/07/03(Sat) 12:01:30 |
| >>メイジ 「坊チャン、具合はどうだい」
腕に包帯を巻いた少年を見かければ、 ニカリと笑って歩み寄り。 自分の腕をトントンと指で示して、そう話し掛ける。 (38) 2021/07/03(Sat) 12:07:59 |
| >>フジノ 「お嬢サン、オハヨウ」
時計の針が何時を指していようとも。 男は細っこい少女を見かければ、そう挨拶をするだろう。 (39) 2021/07/03(Sat) 12:08:36 |
| >>40 メイジ 「はいよ、ロクサンだなァ。 おぼえが良くてありがてェかぎり」 ヒラリと手を振って。 それからあしらう様に受け答える。 「そうだなァ、そいつが痛まなくなるまではねェなァ。 ――マ、おとなしく治すこった」 話乍ら伸ばしかけた手を、自分の耳元に持っていく。 その動作はギリギリ不自然に見えるかどうか。 大方、頭に置こうとでもしたのだろう。 (47) 2021/07/03(Sat) 17:03:25 |
| >>42 フジノ 「だなァ、いつになったら機嫌がなおンだか」 井戸端じみた調子で返す。 この男、取り立てて用があるという訳でもなく。 見かけたので話でもするかなァ、と。その程度だ。 「雨の音もソロソロききなれちまうなァ。 雨が好きなお嬢サン。この音はどうだろ」 (48) 2021/07/03(Sat) 18:16:58 |
| >>46 アユミ 「そうかい。そンなら散歩くれェさせてやんな。 監禁だのとふて腐れてたからなァ、ニエカワクン」 人知れず取捨選択を終えた男は、変わらず笑う。 それから医師の言葉に首を傾げた。 「食いモンが? そいつがホントウなら吉報だけども。 そンじゃお前サン、そいつを探して走り回ってンのか」 (49) 2021/07/03(Sat) 18:22:22 |
| >>50 メイジ 「そンでガキは遊ぶモンだなァ」 そう付け加え乍ら椅子を引き、斜め向かいに腰掛け。 頬杖を付いて、ヘたれたワンコと化した少年を ぼけーっと眺めている。 「……そういやお前サン、いくつだっけか」 (55) 2021/07/03(Sat) 22:15:32 |
| >>52 フジノ 細い腕と、隠された腹をジッと見て。 「……おれァ、この音はちっとばかしこええェかなァ」 半ば独り言のようにそんなことを口にしてから、 話す少女の視線を追って、それから戻って顔を見て。 「おっと、そいつは心配だなァ。 何事もなきゃァいいが。 ――そういやお前サン、ひとりでここに来たンだろ。 家のひととははぐれちまったのかい」 (56) 2021/07/03(Sat) 22:17:42 |
| (a12) 2021/07/03(Sat) 23:45:19 |
| (a13) 2021/07/03(Sat) 23:46:34 |
| (a14) 2021/07/03(Sat) 23:49:54 |
| >>57 メイジ 「……十七かァ」 しみじみとそう言ったのち、クツクツと笑って。 「そンでもおれよりゃガキだなァ。 ガキじゃねェってのはおれのトシ超してから言いな」 そんな、無茶振りと言っていい発言。 この男は割かし大人げが無い。 (60) 2021/07/04(Sun) 0:01:03 |
| >>58 >>59 アユミ 「……? お前サン、具合でも――」 ブツブツと呟き乍ら考え込む女の顔を窺う。 医者の不養生、なんて悪ふざけみたいな言葉が過る。 その時――不意に。 医者は顔を上げてたった一音を漏らした。 「……どうしたってんだい、お医者サン」 その一音がどうしてか、 えらく不吉に響いた気がしてならなかった。 (61) 2021/07/04(Sun) 0:21:34 |
| >>62 アユミ 「――、……はいよ、なんだろ。 叶えられるかは内容によるだろうがなァ」 様子のおかしい女の口にする『大丈夫』を、 そう簡単に鵜吞みには出来ないが。 一先ずは“お願い”とやらに耳を貸すことにする。 (65) 2021/07/04(Sun) 1:43:16 |
| >>63 フジノ 「…………。親父サンとふたり暮らしかねェ」 思案する間ののち。 のんびりとした口調で返しながら、 下がった前髪を払ってやる為に手を伸ばす。 「起こしてやってンのに こわい顔されちゃァたまらねェよなァ。 マ、大人は自分でどうにかするさ」 (78) 2021/07/04(Sun) 14:33:27 |
| >>66 メイジ パチ、と驚いた様に大きく瞬きをする。 それから、ヘラリと笑い返して。 「ハハ、お前サンもホントのトシ、 教えてくれねえってンならお相子だなァ。 ――そンなら二十と四つ。 そういうことにしようかねェ」 ひぃふぅみぃと指折り数えてそう答える。 真剣に知る気も答える気も無さそうな、軽薄な調子で。 (80) 2021/07/04(Sun) 15:01:19 |
| >>73 >>74 アユミ 「状況ってのはまァ、そうなんだろうなァ」 男は笑い顔でそう答える。 「折よくおれァ覚えンのは苦手じゃねェし、 マ、覚えてはおくが。――、……――」 何事かを言いかけ、それをやめて。 独り言のような、問い掛けのような言葉を零す。 「……これからなにが起こるってンだろ」 (86) 2021/07/04(Sun) 17:28:35 |
| >>83 メイジ 「おっと、こいつは一本とられた」 予定調和の様にそう言って。 どうだろなァ、とこれまた適当な相槌を打つ。 「酒が飲めるっつーと、ハタチかァ。 ……。……マ、正直モンなのはいいこった」 頬杖をついた儘ゆるりと目を閉じる。 これ以上、話を振るつもりは無いらしかった。 (89) 2021/07/04(Sun) 18:34:53 |
| >>88 フジノ 「そうだなァ。謝りゃァそれでいいだろうよ」 軽い調子で同意を返す。 軽やかな手つきで前髪を払って、直ぐに手を離す。 露わになった瞳に笑いかける。常より少し、柔らに。 「取って食いやしねェよ、お嬢サン。 なにをそんなに怖がってンだい」 (96) 2021/07/04(Sun) 19:36:08 |
| >>94 アユミ 「お前サンは――」 もう選んでいるのか、と。 尋ねようとして、過ぎ去った女の方を振り返る。 そこには、誰の姿も無かった。 「…………。まァた、例のヤツかァ……? おもったより参っちまってンのかねェ……」 ――それにしては、耳障りのいいことのひとつも 聞かせねェで消えちまったモンだ。 ぼやき乍らそんなことを思って。 フラリと、女の消えたのとは反対方向へ歩いて行った。 (99) 2021/07/04(Sun) 20:18:40 |
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