人狼物語 三日月国


188 【身内P村】箱庭世界とリバースデイ【R18RP村】

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視点:人


【人】 XIX『太陽』 ヒナギク


[荷物はやっぱりちょっぴり、重かったから、
 階段を登っていく足が少しよろめいたりもしたけれど。
 心配するチェレスタをよそに、ふんっ!と、
 力を振り絞ってゆっくりと登っていく。

 こうして荷物を持つ度に、彼女の『大丈夫』も、
 少しずつ減っていけばいいのにな。
 
 それは、単なるお節介かもしれないけれど。
 私が叶えたいことの一つでもある。

 彼女の口から聞く世界の話は好きだ。>>472
 だから私も世界をどんどん好きになっていく。

 広告塔の仕事をするようになったことも、
 思えば、まだその時は洋館に住んでいなかった彼女が、
 洋館に遊びに来る度に、外での話をしてくれたから。]


  ……うんっ!


[だから、いつも私は彼女の声に耳を傾ける。
 彼女の声が、音が、私と世界を結びつけるのだ。*]
(630) 2022/12/13(Tue) 22:05:39

【人】 XIX『太陽』 ヒナギク


―― 邂逅 ――

[観光客で賑わう南東の地域の外れ町に、
 政府の人間が現れたことで、辺りは少し騒がしかった。

 老夫婦と引き取られた証持ちが、
 町の外れで暮らしているということは、
 その頃には町では有名な話になっていて。
 
 政府が現れたと聞けば、証持ちの一件のことだろうと、
 すぐに巷でまことしやかに囁かれていた。

 数人の政府の使いである洋館の人間を連れて、
 『塔』が老夫婦の家に訪れたのは、
 南東らしい穏やかな気候で晴れ渡る空が、
 太陽によって鮮やかな赤に染まり、
 海に半身を沈めていく頃だった。]

 
(670) 2022/12/13(Tue) 23:48:56

【人】 XIX『太陽』 ヒナギク

 
[老夫婦の家に客人が複数人で訪れることは殆どなく、
 政府の使いとその大人を引き連れた青年が訪れたとき。

 少女は沈みゆく太陽を窓辺で黙って眺めていた。
 燃えるような赤い陽が海に溶けていく。

 まるで、世界の終わりを告げるように。

 不意に耳に届いた物音。足音。
 振り返って見れば、
 太陽にも負けない
皇帝の赤
が其処に在った。>>469

 目が合ったのは一瞬か、数秒か。

 たったそれだけでも分かる。
 この人が『特別』であるということ。

 そうして、ぐい、と腕を引かれた。]

 
(671) 2022/12/13(Tue) 23:49:37

【人】 XIX『太陽』 ヒナギク

 
[老夫婦と政府の人間の間を、
 ぐいぐいと腕を引かれるまま引っ張られていく。]


  ……? ……、……?


[どこへ連れて行かれるのだろう。
 この人は何なのだろう。
 出逢ったことはないはず。
 でも、どこか知っているかのような、不思議な感覚。

 傍らでは青年と共に訪れた人が、老夫婦と話していた。]


  『証持ちを見つけた場合は政府が保護を……』

  『中央の近くに洋館があり、そこでは……』

  『あなた方も我々に協力を……』


[何か私について話していることは伝わるけれど
 内容までは入ってこない。
 証持ちが他に居るということだけは、耳端に伝わった。
 だから、青年に問いかけた。>>190
 
(672) 2022/12/13(Tue) 23:50:40

【人】 XIX『太陽』 ヒナギク

 
[いきなり止まった彼の動きに勢い余って、
 どん、と彼の腕に身体がぶつかる。

 見下ろす瞳とまた視線がぶつかる。
 答えが返ってくるのを期待して、じっと待った。

 待って、待って。
 やっぱり、ないのだろうか。
 と、おもった時にようやく彼の唇が開いた。

 水分を長らく取っていなかったかのような掠れた声。
 だけど、確かに耳に響く。
 燃えるような色の瞳とは裏腹の静かな音。
 
 彼から返ってきたものは、
 どちらともつかぬものだった。>>470
 どっちがいいって、選べるものでもないだろうに。

 返事を求めた私よりも、青年と一緒に訪れた
 政府の人間たちのほうがそれは大層驚いていた。]

 
(673) 2022/12/13(Tue) 23:51:36

【人】 XIX『太陽』 ヒナギク

 
[少し逡巡して、視線を落とした。

 老夫婦のところで暮らす生活は、
 時折、町の人間に石を投げつけられることはあっても、
 両親と一緒に居た頃よりは格段にいい生活だったから。

 見知らぬ場所に行くのは少し怖かった。
 また、あの頃と同じような暮らしをすることになれば、
 夕焼けを見ることすら叶わなくなる。

 でも、このまま私が此処に居れば、
 今は良くしてくれる老夫婦もいつか。
 両親と同じようになってしまうのではないか?

 そんな不安も少し、あった。

 それは、私を庇護することで疲れ果ててしまう姿を、
 彼らと暮らす間、ずっと目にしてきたから――。]

 
(674) 2022/12/13(Tue) 23:51:59

【人】 XIX『太陽』 ヒナギク

  
[実際に、彼に引きずられていく私を
 彼らは引き止めることはなかった。


 ――だから。


 一度、離された彼の手を
 今度は私からきゅ、と握った。]




  
『いっしょにいく』




[赤の瞳を見上げて、彼の共に居ることを望んだ。]

 
(675) 2022/12/13(Tue) 23:53:23

【人】 XIX『太陽』 ヒナギク

―― 現在・中庭 ――


[彼はよく中庭に居る姿を目撃される。
 だから、彼を探す時は大体中庭から探すのが恒例だ。

 チェレスタたちとお茶会をした後、
 お茶会で用意されたメルロンを大事に残しておいて、
 中庭に向かえば、いつものように
 ぼんやりと空を見上げている塔の姿があった。>>309


  プロセラー!
  やっぱりここに居たんだね。

  私も一緒していい?


[駆け寄り、彼の返事が返ってくるよりも先に、
 隣の席をキープしてちょこんと座る。]
(676) 2022/12/13(Tue) 23:53:39

【人】 XIX『太陽』 ヒナギク

 

  さっきね、チェレスタが帰ってきたんだよ。
  旅行の話いっぱい話してくれてね。

  それでね、アリアとシトラとお茶会をして……、
  フォルスのところで売ってるメルロンを
  買ってきてくれててー……、


[と、プロセラが相槌を打つ隙間も与えず、
 つらつらと話しかけていく。

 彼が物静かであることは出逢った頃より変わらない。
 もしかしたら騒がしいのも苦手なのかもしれない。

 でも、私は一方的に彼に話しかけている。
 たまに相槌を返してくれることもあるから。
 彼は話を聞いていないわけじゃないのだ。]
(677) 2022/12/13(Tue) 23:53:53

【人】 XIX『太陽』 ヒナギク

[初めて彼の名前を問うたときも、
 初めて彼に問いかけた時のように、
 返事を待つまでそれはそれは時間がかかった。


 
『プロセラ』



 あまり馴染みのない言葉の意味は知らない。
 でも、彼にとっても似合っていると思う。]
(678) 2022/12/13(Tue) 23:54:25

【人】 XIX『太陽』 ヒナギク

 
[私が彼に洋館に連れてこられた後も、
 手を引かれた影響で、彼の傍にいることが多かった。

 自発的に話すことはない彼。

 洋館に来たばかりの私も、
 笑いも泣きもしない子供だったから。

 中庭にずっと佇むだけの彼と、
 その傍らで同じように言葉を発さないで
 共にいる少女は不思議な光景だっただろう。

 それでも私は彼と過ごすそんな時間が嫌いじゃなかった。]

 
(679) 2022/12/13(Tue) 23:55:05

【人】 XIX『太陽』 ヒナギク


[そんな私たちの姿を見かけた世話役のひとりが、
 私に教えてくれたことがある。

 『太陽』の子を迎えに行こうと何度も、
 洋館を出ていっていたこと。
 彼が自主的に行動することで少し騒ぎが起きたこと。
 
 繰り返し繰り返し行われた行為が、
 彼を少しだけ知った今なら想像ができる。]

 
(681) 2022/12/13(Tue) 23:55:26

【人】 XIX『太陽』 ヒナギク

 
[どうして彼が私をそこまでして
 迎えに来ようとしてくれたのかは分からない。

 もしかしたら、教典に書かれていたように
 『塔』として『太陽』のことが気になったのかもしれない。

 でも、それはあくまで教典での話だし、
 私と彼とではまた違うだろう。

 それでも。

 出逢ったこともない人間に、
 そこまで気にかけてもらえたことが、
         
          
――私の心を少しだけ温かくした。

 
(685) 2022/12/13(Tue) 23:56:09

【人】 XIX『太陽』 ヒナギク

 
 
  はい、これプロセラの分のメルロン。


[だから、洋館に訪れてからずっと。
 彼とのこの中庭での時間を大事にしている。

 彼の手を取って、その掌にふわふわの雲を乗せて。]


  ねえ、アリスの誕生日には歌を歌うんだよ。
  プロセラも歌ってくれる?


[たとえ返事が返ってこなくとも、
 話しかけることは尽きなかった。**]
(687) 2022/12/13(Tue) 23:56:43