人狼物語 三日月国


43 【完全RP】音の鳴る瞬間の相手は【R15】

情報 プロローグ 1日目 2日目 エピローグ 終了 / 最新

視点:人


【人】 鋼鉄の六弦奏者 エリクソン

―コンペ会場・舞台―

  
―演奏を終えて―



[ 演奏を終え。>>2:235
  シャンデリアの明かりが付き。
  
  自分達の作った舞台空間は、
  現実世界の手に引き渡される。
  

  呆然とした聴衆達の表情が、
  舞台のこちら側からでも分かった。

   
――そうか。まぁ予想通りの反応だ。
    俺らの音楽は万人に受け入れ
    られるものではないからな。


  しかし、次の瞬間湧き起こったのは
  拍手と熱狂だった。>>2:256
  むろん、中には予想通りの反応を
  する者達もいたが。>>2:256


   『ひとまず、"観客"の心は掴んだようだな。』


  全員、緊張が緩んだようにほっと息を吐き。
  そして観客達に向かって手を振り、
  拍手に応じた。 ]
(0) 2020/09/27(Sun) 3:37:46

【人】 鋼鉄の六弦奏者 エリクソン

[ 熱狂する観衆の中に 
  一人、見覚えのある背格好。

  スーツで正装していても>>2:227
  すらりとした長身と、少年のような短い髪
  を、忘れるはずもなく。

  工房で出会った彼女は、
  見に来てくれていたようだった。>>2:172


  拳を振り上げ快哉を叫ぶ若者達に混じり>>2:256
  ぽつりと佇む、その姿は

  なんとなしか、震えているようだ。>>2:268
(1) 2020/09/27(Sun) 3:41:33

【人】 鋼鉄の六弦奏者 エリクソン

[ 彼女は泣いていた。
  

  目指したいものを諦めざるを得なかったと
  彼女は話していた。
  決められた道を歩き…しかし、その先で
  自由を知れたと言っていた。>>2:85

    
  国も、事情も、違えど。
  親の敷いたレールを不本意に歩かされた
  という境遇は同じ。


  その彼女に、俺らが表現した"解放の物語"は、
  きちんと届いただろうか?>>2:235

  音への感性が研ぎ澄まされた彼女の、
  琴線に触れてくれたのだろうか?


   ――昨夜の別れ際に、
   自分が心に抱いた意思は>>2:196
   達せられただろうか? ]
(2) 2020/09/27(Sun) 3:42:06

【人】 鋼鉄の六弦奏者 エリクソン

[ 状況が許せばすぐにでも
  彼女の元に行って話をしたい。

  後になってしまえば彼女は涙を拭いて、
  いつもの外連味のない口調で
  素知らぬふりをしてくるだろうから。


    (しかし、今は――。 )


  止むことのない観衆達の歓声に呑まれ。
  遠く離れたステージの上から、
  涙を流す彼女を見つめるしかなかった。]*
(3) 2020/09/27(Sun) 3:42:32
鋼鉄の六弦奏者 エリクソンは、メモを貼った。
(a0) 2020/09/27(Sun) 3:47:38

【人】 鋼鉄の六弦奏者 エリクソン

―コンペ会場・舞台―



[ 紫のドレスを纏う審査員から、
  届けられた言葉。

  それは、その人物にとって、
  最上級の、賛辞の言葉だったそうだ。>>2:259


  …たった40分の舞台だったはずだ。
  それなのに彼女の指摘は、
  自分達の武器を、メッセージを、
  正確に捉え、言葉にして投げかけてくる。

  
  『計算ずくなのね?』と指摘された
  不協和音の件も、完全に見抜かれており。>>2:258


  日程変更の連絡が入った時点で
  会場の見取り図を手に入れ、
  ホール内の反響もすべて計測した結果、
  音響設備の配置を検討していたという、>>2:210

  そんな内なる努力も、
  観客達のひしめく中で
  あっという間につまびらかにされてゆく。]
(4) 2020/09/27(Sun) 4:48:28

【人】 鋼鉄の六弦奏者 エリクソン

[ 中でも、
  最後に演奏した4曲目を一聴して、
  『荒削りで即興性』と評価したのには>>2:260
  メンバー全員、"ぞくり"とした。


    そう、この最後の曲は一夜で仕上げた、
    いわば未完成品だ。>>2:234


  そして、彼女が続けて言い放った言葉――


   『……この曲は、大事にしておきなさい。
    それだけじゃなく
    
あなた達を構成した

    
音楽、経験、感情──その他全て。
>>2:260 


  
――!!


 
(5) 2020/09/27(Sun) 4:53:01

【人】 鋼鉄の六弦奏者 エリクソン

[ 惜しみなく降り注ぐ賛辞の言葉に、
  ――この国の審査員に認められた事実に、
  声にならない、溢れる思いを抱きながらも。


   
――何故分かった?



  この疑問が、溢れて決壊しそうになる心に
  一筋の風を吹かすように、
  冷静な思考を保ち続けさせる。


   最後の4曲目に、エリクソン自身の
   経験が、感情が。
   全てが。込められていることを。
   彼女はさも当然のように、
   看破していたのだ。   ]
(6) 2020/09/27(Sun) 4:54:23

【人】 鋼鉄の六弦奏者 エリクソン

[ 彼女にとってこの類の楽曲が、
  馴染みのあるものだったとは思えない。
 

    (もしや…あいつが?)


  一つの可能性に思い当たり、
  自分の周りをかぎ回っていたらしい
  第三王子のほうを見る。

  彼は苦虫を噛み潰したような顔をして
  リジィ第二王子と6人組を睨めつけていたが
  エリクソンの視線に気づくと
  ぷいとそっぽを向いて、
  ホールを出て行った。


  それに…本番前に見た彼女の、
  全てのものを公正に評価するような
  堂々たる目つき。>>2:207
  あのこすい王子と結託してる筈もあるまい。
 

  そして…確信する。 ]
(7) 2020/09/27(Sun) 4:55:19

【人】 鋼鉄の六弦奏者 エリクソン


   ――彼女は、楽曲を一度聴くだけで、
    作曲者や奏者の心境を読むことが出来るのか?


  『あなたたちは一体何者なの?』
  と妖艶に口角を上げる、>>2:257
  この人物こそ。


   
只者じゃないのは…
あんた
の方だ。

(8) 2020/09/27(Sun) 4:56:02

【人】 鋼鉄の六弦奏者 エリクソン

[ 自分らは、すでに、最大級の賛辞を得た。
  一応、受賞者発表もあるが
  それはそれとして。


  他の審査員の仰け反るような反応から、
  彼女がここまでの賛辞を与えることが
  極めて希少なのだろうということを
  物語っている。


  しかし…その喜びと同じくらい、
  メイレン・シュレグマーというその人物が
  持つ、もはや
『透視能力』
とも言えるほどの
  音楽に対する造詣の深遠さを見て、
  世界のあまりの広さに打ち震えた。


   
この人物の演奏を、聴いてみたい――。

]*
(9) 2020/09/27(Sun) 4:57:39
鋼鉄の六弦奏者 エリクソンは、メモを貼った。
(a1) 2020/09/27(Sun) 4:59:58

【人】 鋼鉄の六弦奏者 エリクソン

[ ひとつの大舞台を終え。
  新たに目前に現れた、その人に向かって
  彼はマイクを拾い上げ、語りかける。]


   メイレン・シュレグマー。
   あんたの名前は覚えた。


[ 会場内がどよめく。
  仮にも爵位を持つ者への不敬とでも言う気か?
  そんなもの、関係ない。]


   俺らが裏で、
   ホールの反響を事前に計算しているのを、
   見破ったのはあんたが初めてだ。


   今度、あんたの演奏も
   俺らに聴かせてくれ。


[ そう、言い放った。

  自国に帰る船は、2日後に迫っている。
  それ迄にこの人物の"正体"を暴きたい
   ―自分らが彼女にそうされたように―
  との思いで、そう言い放った。]*
(10) 2020/09/27(Sun) 5:24:02
鋼鉄の六弦奏者 エリクソンは、メモを貼った。
(a2) 2020/09/27(Sun) 5:27:16

【人】 鋼鉄の六弦奏者 エリクソン

―コンペ会場・舞台―


[ 自分達の、内なる戦略を。
  楽曲に込めた、秘めたる感情の機微を。
  
  ものの見事に看破した、一人の女。


  新たに出現した強者に、
  「あんたのことも見抜いてやるぞ」と
  叩きつけた、挑発。>>10

  その挑発に、


   ――『へぇ、光栄ね。』


  妖艶な笑みを一片たりとも崩さず
  応じる彼女。>>30

    服装からして階級はそれなりの人間だろう。
    本来呼び捨てなどもってのほか、
    まして扇動まがいのことを言うなど
    相手によってはその場で切り捨てられる
    こともあろう。 ]
(61) 2020/09/28(Mon) 1:19:20

【人】 鋼鉄の六弦奏者 エリクソン

[ しかし、彼は直感していた。
  彼女は
才能
で人を見ていると。 


  地位も、権力も関心は二の次だろうと。

  ただただ音楽を、その才を持つ者を
  公正な目で以て評価し、そして、
  

   ───投げつけた挑戦に、
       正面から、受けて立ってくれるだろうと。]
(62) 2020/09/28(Mon) 1:20:16

【人】 鋼鉄の六弦奏者 エリクソン

[ 事実、彼女はその通りの考えを
  持っていたようだ。

  宮廷楽士として経歴を重ねていく中で、
  憧憬され・頭を垂れられることはあれど
  対等な態度で臨まれることが
  無くなって久しい彼女には、

  実情はどうあれ、態度の上では
  いっぱしの口を聞いた彼に
  むしろ悦びを抱いていたようだ。>>32>>33 ]

  

[ …だが、彼はその内心など知るよしもない。

  彼女の飄々とした態度を見て、
  余計に闘志は燃えさかり、
  武者震いのような興奮を覚えたのだから。]
  
(63) 2020/09/28(Mon) 1:21:43

【人】 鋼鉄の六弦奏者 エリクソン

[ そして……。

  自身も同様、
  ホールの反響を事前に計算しているのだと
  彼女は打ち明けた。>>31


  彼女の楽器が平台、ということはまだ知らない。
  しかし推察するに、
  電子ではない、"生の"楽器。


  電子楽器ならば、
  数百のツマミと、装置の向きなどで
  物理的な調整が可能だ。
  しかし……


    
会場に合わせて
生楽器
の演奏を調整するなど
   並の所業ではないのではないか?

 
(64) 2020/09/28(Mon) 1:22:57

【人】 鋼鉄の六弦奏者 エリクソン

[ 彼女の演奏は、
  明日の午前、西の王立劇場ロビー内。>>34
  そして明後日の午後、舞台庭園。>>35


  ご丁寧にも二つの出演予定を、教えてくれた。

  つまりは……。]
 
(65) 2020/09/28(Mon) 1:27:30

【人】 鋼鉄の六弦奏者 エリクソン

   (───自分の
”計算”
を、
     会場を変えて比べてみろ、ということか。)



[ ようやく知った平台奏者という事実。
  披露するのは新曲だという事実。
  

  言葉の裏に込められた、『お前達の挑戦に乗った』
  というメッセージを噛みしめながら、]


    あぁ、必ず、『どちらの会場も』見に行こう。



[ 遠く離れた彼女を真っ直ぐに射貫くように、
  そう告げた。

  その背後で審査員達の苦笑する声が
  聞こえた気がしたが、>>36
  もう彼の耳には届かなかった。]*
(66) 2020/09/28(Mon) 1:28:34

【人】 鋼鉄の六弦奏者 エリクソン

[ 審査員長の宣言が会場内に響き渡り、
  2日間にわたるコンペは、
  終わりを迎える。


  審査員達からの裏方増員の申し出を
  ありがたく受け取りながら、>>37
  出番を終えた6人組も撤収作業に取りかかった。


  これから審査員同士で合議が行われ
  結果が発表されるようだ。


  メイレン・シュレグマーとの一件で
  すっかり忘れていたが、
  場内アナウンスを聞いてようやく
  この旅の目的が音楽祭受賞だったことを
  思い出す。>>37   ]
(67) 2020/09/28(Mon) 2:15:29

【人】 鋼鉄の六弦奏者 エリクソン

[ 浮き立つような熱が冷めぬまま、
  足下に広げた踏み板・位相変換器の類いを
  がさがさと片付けていると、 ]


    『ちょっと、お前さ…』


[ やや強めに肩を小突かれる。 
  洋琴担当のノードだ。]


   『俺らの船、明後日の夜出発だろ?
    午後には港で荷物積んでなきゃならんのだが。

    それなのにお前、あんな大勢の前で
    メイレン・シュレグマーの演奏聞きにいくとか
    宣言しやがって。
    どうしてくれるんだよ。』
(68) 2020/09/28(Mon) 2:16:09

【人】 鋼鉄の六弦奏者 エリクソン

    あっ……。


[  帰国の予定など、
   彼女の、挑戦的な誘いを聞いてから>>34
   忘却の彼方に消えていた。

   自分の愚かさを隠すように、
   そっぽを向いて答える。 ]


   別にいいだろ。遅い時間の便に変えるか、
   出航自体を遅らせるか、
   幾らでも方法あるじゃねーか。*

   
(69) 2020/09/28(Mon) 2:18:37
鋼鉄の六弦奏者 エリクソンは、メモを貼った。
(a5) 2020/09/28(Mon) 2:45:11

【人】 鋼鉄の六弦奏者 エリクソン

―回想・コンペ会場―

  
―終演後―



[ 彼のメイレン・シュレグマーに対する
  評価は、真実の一片を突いていたようだ。
  >>71>>72


  しかし…。
  彼女の演奏会への誘いについては、
  やや勇み足の解釈をしていたらしく。
  >>73>>74>>75           ]

   
(114) 2020/09/28(Mon) 23:32:07

【人】 鋼鉄の六弦奏者 エリクソン

[ そして、もし、そのすれ違いに彼女が
  気づこうものなら、
  彼女自身にには全く非がないのにも関わらず
  「全ての責任は自分にある」として、
  自費で損失補填を名乗り出るところだった 
  ようだ。>>76

  
  一方、かくいうエリクソン自身は、
  新たな強者、メイレン・シュレグマーから
  
言外に挑戦の引き受けを言い渡されたのだ

  と信じて疑わず、

  若さゆえなのかただの阿呆なのか、
  興奮もしばらく冷めることのない様子。


  どうやらこのすれ違いは
  解消されることもないまま、
  明日の演奏会を迎えることになりそうである。]* 

   
(115) 2020/09/28(Mon) 23:32:58

【人】 鋼鉄の六弦奏者 エリクソン

―表彰式・宮廷 舞踏用大ホール―




[ コンペ2日目が終了した、その次の日。
  2日目と同じ会場、舞踏用大ホールを使って
  表彰式が行われた。

  場内は、前2日のコンペ本番にも劣らぬ
  盛況振り。

  さらにこの国の貴族達や、
  審査員以外の宮廷楽士の顔ぶれもあり、>>78
  この発表が、この国にきわめて
  大きな影響を与えるのだということを
  一目で窺い知れるほどだった。    ]
(116) 2020/09/29(Tue) 0:55:01

【人】 鋼鉄の六弦奏者 エリクソン

[ 6人組はじめ、コンペ参加者は、
  審査員たちと向き合う形で、
  区画された空間内に、
  わらわらと集まっている。


  遠目には、
  コンペ前日に橋の上で出会い
  そしてコンペ本番では
  奇跡のような歌声を披露し>>1:253
  観客たちを熱狂の渦に巻き込んだ
  あの、教会の娘の姿もあっただろうか。

  
  声をかけようか───
  と一歩踏み出そうとしたものの、
  ちょうどその時、
  宮廷楽長による表彰式開始の宣言
  が場内に響き渡る。>>79
  あわてて足を引っ込め
  舞台のほうに向きなおった。  ]

  
(117) 2020/09/29(Tue) 0:55:20

【人】 鋼鉄の六弦奏者 エリクソン

[ 審査員の合議による
  5位から1位までの発表。>>79
  その中に……。       ]


    『4位は────』



     ………。


[ 静かに目を閉じて、
  告げられた結果を聞く。  ]
  
(118) 2020/09/29(Tue) 0:55:53

【人】 鋼鉄の六弦奏者 エリクソン



     ……………。

   
(119) 2020/09/29(Tue) 0:57:16

【人】 鋼鉄の六弦奏者 エリクソン

[ ……もう既に、
  5位から1位までの全ての受賞者が
  発表されたのだろうか。


  参列者達が一斉に
  手を叩いているのが見える。
  彼らの一部は、
  どうやら自分たちの方を向いて
  拍手を送っている気がする。


  うずくまる者の姿や>>83
  肩を落とし去って行く者の姿も
  その視界は捉え。  ]
  
(120) 2020/09/29(Tue) 1:01:22

【人】 鋼鉄の六弦奏者 エリクソン

[ そして、視線の先には。

  会場前方に呼ばれ、
  嬉しそうに手を振る者の姿。>>2:101>>81
  ──筋骨隆々の男。直垂を着た3人衆。


  あの教会の娘も
  そこに居た────。  ]

  
(121) 2020/09/29(Tue) 1:03:01

【人】 鋼鉄の六弦奏者 エリクソン

  
───4位。


     
───4位、だった…。



[ もとより宮廷楽士の肩書きが
  欲しかったわけじゃなかった。
  それでも。


  手応えは、あった。
  演奏も。観る者の反応も。
  

  かの平台奏者との掛け合いで、
  自分が戦う場所はもうこのコンペじゃない、
  メイレン・シュレグマーはじめ
  その道のプロ達と渡り合っていくのだと
  そう、確信していた。    ]

  
(122) 2020/09/29(Tue) 1:03:44

【人】 鋼鉄の六弦奏者 エリクソン

[ 突きつけられた4位という現実に。

  さながら、丁寧に積み上げたモニュメントが
  一閃の雷で破壊されたように…

  昨夜から、まるで夢見のように
  抱いていた未来の展望が、
  がらがらと音を立てて崩れ落ちていく。]
(123) 2020/09/29(Tue) 1:05:09

【人】 鋼鉄の六弦奏者 エリクソン

[ …それは自身だけじゃなく、
  仲間達もそうだったようだ。
  全員、その場に立ち尽くしていた。


  急かすように手招きする裏方スタッフの姿が
  視界に入る。
  「はやく前に来い」ということらしい。


  重い足を無理やり動かしてそちらへ行き、
  宮廷楽長から
  賞状と景品を受け取った。 >>83>>84 ]
(124) 2020/09/29(Tue) 1:05:30
鋼鉄の六弦奏者 エリクソンは、メモを貼った。
(a7) 2020/09/29(Tue) 1:12:13

鋼鉄の六弦奏者 エリクソンは、メモを貼った。
(a8) 2020/09/29(Tue) 1:30:33

【人】 鋼鉄の六弦奏者 エリクソン

─回想・表彰前 王立劇場ロビー内─



[ 表彰式が行われる、2時間ほど前のこと。>>106
  
  昨夜、交わした公約通り。
  メイレン・シュレグマーの演奏を
  見に行くことになった。
    

  6人揃って、王立劇場のロビーに入る。
  本日も変わらず装いは黒一色で、
  そこそこ目立つ格好だったが、
  ロビー内は様々な人間がおり
  さほど浮くこともなかった。


  場内に入れば、ちょうど
  かの奏者が客席に向かって
  カーテシ―を披露している所だった。>>96

  顔を上げた彼女も此方に気づく。
  そして…
  ふ、と不敵な微笑を浮かべた…ように見えた。 ]
(163) 2020/09/29(Tue) 15:43:06

【人】 鋼鉄の六弦奏者 エリクソン

[ すぅ…っと染みこむような滑らかさで
  演奏は始まった。>>97

  小鳥の囀りのような、
  それでいて広大な河をたゆたう船のような、
  ピアニッシモの、高音部の応酬が
  繰り広げられる。

  
    今はまだ日が昇ったばかりの時間帯。
    初っ端からテンポの速い演奏を
    持ってくるよりも、
    こちらの方が、観客の心と
    歩調を合わせられるだろう。


  導入としてこれ以上ない選曲だ。
  そして…。


    
──のちに自分の世界に引き摺りこむ伏線か?



  なぜだか、そんな予感がした。 ]
(164) 2020/09/29(Tue) 15:44:47

【人】 鋼鉄の六弦奏者 エリクソン

[ 一曲目が終わる。


  次に来るのは…先ほどと変わらぬ曲調?>>98

  しかし…穏やかに始まった演奏は
  加速度的にクレッシェンドし、
  低音部も加わり一気に厚みを見せ。

  ───そして。



  
唐突に鋭い低音のスタッカートが始まった。


]  
(165) 2020/09/29(Tue) 15:44:55

【人】 鋼鉄の六弦奏者 エリクソン

[ 観客みな息を呑む。

  それもそのはず。
  その音像は、さきほど優雅にカーテシーを
  していた時のシュレグマーとも、
  一曲目を弾いていた時のシュレグマーとも
  別人のような音。


  …挑発的で、蠱惑的な光が踊る音。



    ───だが、俺はシュレグマーの
     こんな一面を知っている。
     忘れもしない、昨夜のあの瞬間。 


   あの時浮かべた彼女の表情が>>30
   ありありと心に思い浮かんだ。   ]

   
(166) 2020/09/29(Tue) 15:46:14

【人】 鋼鉄の六弦奏者 エリクソン

[ 最初は呆気にとられていた観客達だったが、
  段々と、彼女の演奏に場が温められ
  いつしか手拍子を打ち、
  楽しげに体を揺らしはじめた。


  演奏は最後まで勢いが衰えることなく、
  最高潮の盛り上がりとともに、
  曲が終わった。        ]


   
(167) 2020/09/29(Tue) 15:46:27

【人】 鋼鉄の六弦奏者 エリクソン

[ そして、勢いは消えぬまま、
  そのまま三曲目に引き継がれる。>>99

  一波乱を予期させるようなグルーヴ感。
  ときに不穏さを感じさせるフレーズ。
  段々と刺激を増していくメロディ。

  
    ───二曲目、三曲目の流れで
      気づいたことがある。

      もしかしてこれは
      昨日の俺らの曲展開を意識して──?

]  
(168) 2020/09/29(Tue) 15:47:14

【人】 鋼鉄の六弦奏者 エリクソン

[ 三曲目が終わり、次は一転、
  しんみりとした静かな曲。

  左右の手で別々に奏でられるメロディが、
  電子六弦の掛け合いを想起させた。


  観客達もリズムを取るのをやめ、
  すっかり彼女の音に聴き入っている。


  もはや観客達は、シュレグマーの掌の上。
  彼女が紡ぐ音に合わせて
  彼らは高揚し、
  そうかと思えばしみじみとした気分に変わる。 ]

   
(169) 2020/09/29(Tue) 15:47:25

【人】 鋼鉄の六弦奏者 エリクソン


[ まるで演奏会の最後を飾るように、
  余韻を残した音で、曲が終わる。
  観客達も拍手一つせず、その余韻を味わう。

  場内に満ちかけた、静寂。>>101>>102
  しかし。


    ───これで終わるとは思えない。


  ロビー中央に置かれた平台。>>93
  まばらな席。開けた空間。 

  …ひと思いに楽器をかき鳴らすのに絶好の環境。


    ───シュレグマーが仕掛けてくるのは
だ。

]  
(170) 2020/09/29(Tue) 15:48:35

【人】 鋼鉄の六弦奏者 エリクソン


      [ 次の瞬間。]
   

 
(171) 2020/09/29(Tue) 15:49:09

【人】 鋼鉄の六弦奏者 エリクソン

   

[ 
彼女の指から放たれた
稲妻
が、会場を直撃した。

   
(172) 2020/09/29(Tue) 15:49:18

【人】 鋼鉄の六弦奏者 エリクソン

[ 嵐の前兆を感じさせる、
  さざ波のような導入部。
  それが消えた刹那、"それ"は始まる。


  鍵盤を駆け巡る怒濤の速弾き。
  その下に重なる、重層的な和音。

  一部の観客が驚いた表情をするのをよそに>>103
  彼女の音は平台を揺らし、
  会場を揺らし、
  聴く者の心を…エリクソンの心を揺さぶった。 ]
   

 
(173) 2020/09/29(Tue) 15:49:36

【人】 鋼鉄の六弦奏者 エリクソン


[  しかし気づけなかった。
   まさかこれが、『即興』だったとは。 >>105


   即興だからといって
   ミスもなければ粗もない。


     
     ───当然のことだ。
     6人組が生まれるよりも前から彼女は
     平台奏者として生きている。
     彼女がエリクソンの即興を見破ることはあれど、
     その逆はまだ、難しかった。



   この曲は、すでに熟練された
   技を持つ者の手によって
   昇華された、一つの完成品のようだった。 ]
   
(174) 2020/09/29(Tue) 15:50:23

【人】 鋼鉄の六弦奏者 エリクソン

[  しかし一つ、分かったことがある。


   これは彼女が自分達に向けた"メッセージ"。
   自分らの昨夜の曲展開を踏襲したものだと。


   シュレグマーは、
   彼が一方的に叩きつけた挑戦状に
   ただ悠長に構えていたワケじゃない。

 
   選んだ手段は違えど、
   同じ音楽の求道者として自分らに
   驚き、楽しみ、そして刺激をもらったと、
   彼女の紡ぐ音は物語っていた。>>104    ]

  
   

 
(175) 2020/09/29(Tue) 15:50:59

【人】 鋼鉄の六弦奏者 エリクソン

[  演奏を終えた彼女はカーテシーののち、
   こちらをちらりと一瞥し、そして。

   昨日と同じように、微笑んだ。


   観客の一部のみから沸き起こる拍手。>>106
   彼女らしからぬ楽曲も多かったのだろうか
   一部の人々はあっけにとられたような、
   不思議そうな様子で彼女を眺めていた。 

  
   ───まるでどこかで見た光景じゃないか。
   >>2:256


   ふと笑いが漏れ、
   そして6人全員
   メイレン・シュレグマーに盛大な拍手を送った。
]*  
(176) 2020/09/29(Tue) 15:51:26

【人】 鋼鉄の六弦奏者 エリクソン

―表彰式・宮廷 舞踏用大ホール―



[ 4位という結果に茫然となりながらも
  鉛のような体を無理やり動かし、
  機械仕掛けのように賞状を受け取った。>>124


  メイレン・シュレグマーの顔を直視できず、>>146
  審査員席から目をそらしてしまう。
  順位決定までの紆余曲折や、彼女の抱えたジレンマを
  知る由もなく。>>146>>147>>148



  ……午前中の王立劇場ロビーの演奏会で感じた、
  
『これは彼女が俺達に向けた演奏だ』

  という確信は?>>185


  ……終演後のカーテシーの後、くすりと笑った彼女の
  『昨日のあなた達とおんなじね』>>186
  とでも言いたげな目は? ]


    ……すべては俺の妄想だったのだろうか?    

  
(222) 2020/09/29(Tue) 22:21:57

【人】 鋼鉄の六弦奏者 エリクソン

[ 受賞者発表はまだ続く。
  賞状を持って元いた場所に戻り、>>149
  とりあえず最後までは帰らずにいようかと
  うわの空で司会のアナウンスを聞いていた。


  言葉を失う司会者にも、ざわつく会場にも
  もはや関心がなく。>>150
  床の一点を見つめながら
  一人、敗北を噛み締めていた。


  ───その時。 ]
  
(223) 2020/09/29(Tue) 22:22:39

【人】 鋼鉄の六弦奏者 エリクソン


[ 名を、呼ばれた。 ]

  
(224) 2020/09/29(Tue) 22:22:53

【人】 鋼鉄の六弦奏者 エリクソン

[  ───審査員特別賞。

  そんなものがあるなど、知らなかった。
  審査員全員の総意でなくとも、一人のプロを
  惹きつけられた事実に、
  わずかばかりの救いを感じていると、 ]


    『続きまして、平台奏者であり
     メニュレー男爵令嬢
     メイレン・シュレグマー様の
     審査員特別賞は────』


    
(─────えっ!?)




[ ふたたび告げられるのは、
  自分らのグループ名。>>152>>153
  
(225) 2020/09/29(Tue) 22:23:44

【人】 鋼鉄の六弦奏者 エリクソン

[ その後、自分らのグループはさらに2度呼ばれ、
  計4つの審査員特別賞に選出された。>>154
  中には宮廷楽長の賞も含まれており。>>155

  コンペ開始以来初めての前代未聞の事態だそうだ。


     
そこで初めて、総合順位選出に何らかの
     紆余曲折があったのではと想像が飛ぶ。
     が、自身は3位のテノール歌手も
     2位の雅楽奏者も、自分の目で実力の程を
     知る機会はない。
     真相を推し量ることもできないと、
     その想像を胸の内にしまった。



  いまだ状況が呑み込めないままに、
  再度、前方に移動する。
  自分たちに向けられた拍手は
  動揺に満ちていて、しかし何やら
  恍惚とした音に聞こえた。    ]
  
(226) 2020/09/29(Tue) 22:25:45

【人】 鋼鉄の六弦奏者 エリクソン

[ 会場前方にて、各審査員による
  褒賞の説明を受けたのち。>>156


  メイレン・シュレグマーと初めて面と向き合い、
  授与を受けながら、
  直接掛けられる言葉に。>>157


  本番の興奮と、彼女とのやり取りが思い出され
  先程とは全く逆の理由で >>222
  目の前の顔を直視できない。


  目を数度しばたいて、つと顔を上げ。
  満面の笑みのメイレン・シュレグマーから
  賞状を拝受した。   ]
  
(227) 2020/09/29(Tue) 22:34:27

【人】 鋼鉄の六弦奏者 エリクソン



[  受け取った賞状は、他のどれよりも
   熱をもって、手の中で震える。         


   昨夜の気概はどこへやら、
   不覚にも揺れ霞む瞳に
   彼女は、気づいただろうか。  ]*
  
(228) 2020/09/29(Tue) 22:35:33

【人】 鋼鉄の六弦奏者 エリクソン

─表彰式後・夜 宿最上階─



[ 長い一日が終わり、
  宿に戻ってようやく一息つく。


  4つの審査員賞に加え、技術賞も受賞した彼らは
  合計6賞を総舐めにしたとして
  今日一日で人々の話題に上ったようだった。
  むろん賛否は多く、結果を良しとしない者たちも
  少なからずいたようだが。
  

  受け取った賞状・ピンバッジの類を整理し、
  各審査員からの褒賞を確認すべく
  メイレン・シュレグマーからの封書を開封する。]
  
(233) 2020/09/30(Wed) 0:13:22

【人】 鋼鉄の六弦奏者 エリクソン

[ ───そこには、手紙が同封されていた。>>-205


  聞くに、審査員特別賞の規定では
  各審査員が用意した3つの褒賞から、
  1つを選んで受け取ることができる
  というものがある。>>156


  手紙にはその詳細についてと、
  ……そして、メイレン・シュレグマー本人からの
  6人組への賛辞の言葉が並べられていた。 ]
  
(234) 2020/09/30(Wed) 0:15:20

【人】 鋼鉄の六弦奏者 エリクソン

[ 彼女は3つの褒賞において
  俺らの音楽が広く普及するための道を
  模索してくれているようだった。>>-207

  また手紙の中には、
  俺らの音楽が一部の者から反感を買っていること、
  それでも彼女は俺たちを応援しているということ
  そして良き好敵手として認めている、という
  ことも記されていた。>>-206


  
   
好敵手など。とんでもない。

    ロビーの演奏が終わった後、観客の噂で聞いた。
    彼女の即興が、あの中に2曲あったと。
    >>98>>105

    彼女は俺の即興を見破ったが、
    俺は全く分からなかったのだから。>>174

    俺はまだ彼女に到底至らぬ存在。
    それは、彼女の演奏を目の当たりにした
    時から感じていた事だった。]
  
  
(235) 2020/09/30(Wed) 0:17:44

【人】 鋼鉄の六弦奏者 エリクソン

[ 最後は、彼女が音楽界に寄せる思いの丈を
  窺わせる言葉で、
  手紙は締めくくられていた。>>-208
      

  そのあとに、とても彼女らしい一言を……
 
『次は直接仕合いたい』
という言葉
  を添えて。>>-209    ]
  
(236) 2020/09/30(Wed) 0:18:05

【人】 鋼鉄の六弦奏者 エリクソン

―回想―

 
―表彰式・宮廷 舞踏用大ホール―



   『……あら、どうしたの。
    あなた達でも緊張することあるのね?』


[  周囲に聞こえない位の小声で、そう囁かれる。
   精一杯押さえ込んだ感情は、
   彼女の前では無意味だったようだ。>>253


   そして、また一つ、掛けられる言葉。
   4つの審査員特別賞。
   これは彼女たち審査員の、
   自分らの演奏に対する答えだと。>>254   ]
(262) 2020/09/30(Wed) 11:36:25

【人】 鋼鉄の六弦奏者 エリクソン


    ───また明日、演奏会で会いましょう。



[ そう告げられ、>>255
  『勝負』はまだ終わってないことを思い出した。


  水膜で滲む視界を
  再度目瞬いて振り払う。


  そして、
  「もとよりそのつもりだ」とでも言うように
  今度は正面からメイレン・シュレグマーの顔を捉え
  口角を結んで微笑ってみせた。  ]*
  
(263) 2020/09/30(Wed) 11:44:06

【人】 鋼鉄の六弦奏者 エリクソン

―表彰式翌日―

  
―コンセールカリヨン滞在最終日―



[ 手紙はすぐにメイレン・シュレグマーの元に
  届けられたようだった。


  ただの褒賞に関する報告と、感謝の言葉を述べた
  だけの手紙に、彼女はいつもの彼女らしく
  驚き、そして愉快そうに、
  手紙を読んでくれたようだった。>>271  ]
(310) 2020/09/30(Wed) 19:02:18

【人】 鋼鉄の六弦奏者 エリクソン

[ リジィ第三王子の一件については>>273
  あまりピンと来なかったらしく。


  リジィがシュレグマーの研究室から音盤を
  借りた(返してないようだが)ことは、
  リジィにとっては忘れもしない出来事だったが、
  彼女にとってはささやかな日常のワンシーン
  だったのかも知れない。


  しかしそんな些細な日常風景が、数奇にも
  今回の一連の出会いに繋がったと思うと
  なかなかに感慨深いものがあった。 



   しかしまさか、彼女が彼の名を見て、
   彼自身が初めて彼女の名を聞いたときと
   全く同じ言葉を漏らすとは。>>276>>10

   ここまで偶然が重なると恐ろしいものだ。
   彼が手紙で触れた"運命"も過言ではないのか。
   >>-262                
]
(311) 2020/09/30(Wed) 19:06:36

【人】 鋼鉄の六弦奏者 エリクソン

[ ……そして、その日の午後には、
  シュレグマーからの返信が届いていた。>>-281


  泊まっていた部屋を…スタッフ含め総勢56人分全て
  …を引き払い、今にも出発するという時に
  宿の者に運良く呼び止められ、渡されたのだ。


  読む時間はないので
  一旦それを内ポケットに仕舞った。]
(312) 2020/09/30(Wed) 19:07:02

【人】 鋼鉄の六弦奏者 エリクソン

[ 本日はこの後
  コンペ1日目に使われた会場で、>>35
  メイレン・シュレグマーの演奏が披露される。
  

  
コンペの日、彼の勇み足により
  シュレグマーの今日の演奏を聴くと宣言して
  その後仲間に「積荷の時間がなくなる」と
  怒られた件については、>>68>>69
  結局、帰国船への積荷を全てスタッフ達にお任せ
  するという事で解決した。
  …ノードとディミトリエは平謝りだったが。

  

  昨日、彼女は"普段の彼女らしからぬ"
  挑発的で情熱に満ちた演奏を披露した。>>98>>104
  会場の違う今日、彼女はどのような"計算"をし
  どのように観客を虜にしてみせるのか。  ]
(313) 2020/09/30(Wed) 19:09:33

【人】 鋼鉄の六弦奏者 エリクソン


[ メイレン・シュレグマーとの
  二つ目の約束を果たすために。>>35>>66
  6人が次に向かうは宮廷・屋外庭園。


  彼女の演奏を聴くのは、この滞在中
  これが最後になるだろうか。     ]*
  
(314) 2020/09/30(Wed) 19:10:10

【人】 鋼鉄の六弦奏者 エリクソン

―回想・表彰式―




[ 表彰式の序盤、
  まだ審査員特別賞が発表される前のこと。


  総合4位という結果を知らされ、
  打ちひしがれているその横で。>>118


  コンペ前日に出会った教会の娘は
  彼とはまた逆の意味で言葉を失っていた
  ようだった。>>143>>144


  あの日、『音楽祭で会おう』と
  やっとの思いで言葉をかけた彼女。>>0:93


  負けた、とは思わなかった。
  彼女を音楽会にと声を掛けたことも、
  後悔はしなかった。


  元々埋もれていた天性がこの世に存在した。
  自分がそれを偶然見つけ、
  音楽祭がそれを正当に評価した。
  それだけのこと。  ]
(339) 2020/09/30(Wed) 20:05:01

【人】 鋼鉄の六弦奏者 エリクソン

[ 表彰を受け、最優秀者の証である
  ティアラを頭に戴いた彼女は、
  ある人間の寛恕を請う。>>291>>292


  それは知らないことだった。
  しかし、彼女にとってどんな立場の人間の事を
  言っているのかは、
  何となく"分かった"。>>0:92>>1:165


  続いて口ずさまれる賛美歌は
  同じ入賞者として前方で並んでいた
  彼の耳にも聞こえただろうか。   ]
   
(340) 2020/09/30(Wed) 20:05:15

【人】 鋼鉄の六弦奏者 エリクソン

[ あの時、娘を呼び止めた理由。>>0:93
  そのなかには、自身が勝手に過去の自分と
  娘を重ね合わせていた、ということも
  多分にあったが。


  教会から逃げ、謗り、代わりに音楽を拠り所と
  しつつも、その影から逃れられず>>2:152
  過去を色濃く残した楽曲を作り続けている自分より


  彼女自身が最も光り輝ける場で、あえて
  自分に傷を付けた人間の許しを請う娘は
  ずっとずっと強く。


  自身がずっと手に入れられなかった
  過去を打ち破る術を、
  彼女は既に持っているように思えた。 ]
  
(341) 2020/09/30(Wed) 20:06:24

【人】 鋼鉄の六弦奏者 エリクソン

[ きっと彼女は、自分が声を掛けずとも
  遅かれ速かれ誰かにその才を認められ、
  このような場に立っていたのだろう。
  そう確信して、


  宮廷楽士になって国中を、海外を
  渡り歩いている彼女の姿を思い描き。


  さながら眩しい存在を見るかのように
  つと目を細めるのだった。]*
  
(342) 2020/09/30(Wed) 20:06:55

【人】 鋼鉄の六弦奏者 エリクソン

―船着き場―

  
―コンセールカリヨン滞在最終日―




[ 潮風に目を細め、
  既に離れ小さくなった宮廷を仰ぐ。


  音楽祭にて史上初の6冠を達成した
  6人組は、5日間の旅を終え
  自国に帰る船に乗り込んでいた。


  といっても、
  このコンセールカリヨンと今生の別れをする
  訳ではない。


  メイレン・シュレグマーら審査員から
  受けた4つの褒賞を叶えるべく
  近々この国に戻ってくる予定だった。 ]
(348) 2020/09/30(Wed) 21:51:51

【人】 鋼鉄の六弦奏者 エリクソン

[ むしろこの帰国は、
  この先しばらくは目白押しのスケジュールに
  対応するために必要なものを、
  一旦あっちで準備するための
  一時帰国という意味合いが強い。


  まずは、地方中心の国内巡回公演。
  そして、音盤流通のための各種打ち合わせ。
  まだ選べていないい褒賞も残っている。


  メイレン・シュレグマーと手紙で交わした
  あの約束も果たさねばなるまい。    ]
(349) 2020/09/30(Wed) 21:52:02

【人】 鋼鉄の六弦奏者 エリクソン


 
 『やはり直接仕合う方が
    楽しくありませんこと?』
 >>-209


  彼女の手紙に書かれた台詞は、
  そのまま彼女の声となって再生されるかの
  ようにリアルだ。
  ついでにニヤリと微笑む彼女の様子も
  容易に思い描けそうだ。  

 
  彼女は、これからも
  宮廷楽士で…革新的な審査員の一人でいて
  くれるだろうか。


  シュレグマーへの手紙で、
  リジィを手助けしてくれと頼んだ。
  そこでレイズという曲者との対立はあるかも知れず
  もしかすると既に目を付けられていたかもしれない

  それでも、彼女は
  『私はやってみせるわ!』などと言って>>275
  そして完璧にリジィを、音楽界を、
  導いて行くのではないか。>>331>>335

  理由はないが、そんな気がした。 ]
  
(350) 2020/09/30(Wed) 21:53:02

【人】 鋼鉄の六弦奏者 エリクソン

[ 今日届けられたほうの手紙は>>312
  まだポケットの中に入ったままだ。
  出航したら開封しよう。


  
 …その中に綴られてるのは、彼女も彼同様
  田舎出身であるという事実。>>-283

  互いを知れば知るほど増えていく共通点は
  数奇を超えて、もはや似たもの同士であるが故の
  自然の摂理、という気もしてくるが、
  これはまだ彼の知らない話。 ]
   
(351) 2020/09/30(Wed) 21:53:59

【人】 鋼鉄の六弦奏者 エリクソン

[ 唯一気がかりだったのは、
  コンペの夜以降、ついに会うことの叶わなかった
  リペアマンの彼女のこと。>>1>>2>>3
  
  
  あの日彼女が涙を流した理由を
  今やもう想像することしか出来ず、
  そして考えても、結論は出なかった。


  この国に戻ったら、まず楽器工房を訪ねよう。
  もしかすると電子六弦の部品をもっと沢山
  仕入れているかも知れない。
  ……というのは奢りだろうか?   ]

(352) 2020/09/30(Wed) 21:54:17

【人】 鋼鉄の六弦奏者 エリクソン


[ 後方で汽笛が鳴る。

  沈みかけていた夕日は、
  いまや西の方に少しばかりの残滓を残し
  迫りくる夜闇に覆われようとしていた。
  

  日が暮れるのが早くなったな、と独り言ち
  黒いアシンメトリーの襟をかき合わせる。

  この国に来たときは暑かったこの格好も
  そろそろ過ごしやすくなる季節だ。>>0:26]
  
(353) 2020/09/30(Wed) 21:54:42

【人】 鋼鉄の六弦奏者 エリクソン

[ 天空を覆う夜闇はやがて
  遠くの宮廷を、街を、
  そしてコンセールカリヨン全土を包む。]


 
────『辺りが闇に沈む頃。』  



    それは、俺達にとっての
"夜明け"。

    >>2:213


[ 汽笛がもう一度鳴り、
  もう揺れることのない決意を固めた男と、
  仲間達を乗せ────  ]


────船は今、出航する。  




fin**
(354) 2020/09/30(Wed) 21:59:57
鋼鉄の六弦奏者 エリクソンは、メモを貼った。
(a10) 2020/09/30(Wed) 22:26:35