[ そうして駆け寄った先、片手を挙げる彼の姿。
夜の暗がりでも分かる緩み切った表情に滲む色。
直視すると照れてしまうと分かっているのに、
目を逸らすことは 出来なかった。
急かしてごめんと謝られれば、気にしないで、と笑いかけ
タンブラーを手渡して。
落ち着いていたはずの心がまた爆発した。 ]
か、かわい、ぃ ……です……?
……ぅ。
神田さんにかわいいって言ってもらえるの、嬉しい、けど
…………照れちゃう、ので……控えめで……。
[ 言わないで、とは言いたくないけど。
ああ今日もっと可愛い私服で来るんだった。そんな矛盾。
服の好みが知りたい。彼の好きなタイプのことも。
高野といつだったか交えていた気になる人談義、
こっそり、こっそり、大咲は聞いていたけれど
結局収穫は得られないままだったから。 ]