人狼物語 三日月国


41 【身内】幽霊さんとお嬢さんと【R18】

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視点:


【人】 六鹿 稀

 [ 彼の呟いた一言は、
   とてつもないものだった。

   それはプロポーズととっても、
   過言ではない。
   流石に、彼女も口をパクパクと
   動かして、彼が何を言ったのか、
   頭の中で理解するまでに
   時間が少しかかった。
   故に、彼の頬をむにむにとしてしまった。

   彼が、老舗旅館の跡取りだということを
   話してくれたことで、
   彼の言っていたことがよくわかった ]

 そ、そうよね。……
 びっくり、した…………

 [ プロポーズな訳がなかった。
   彼女は少し彼の腕の中で眉尻を下げて
   あからさまにしょげていることがわかる。

   プロポーズされるに値しないと、
   心のどこかで思っていたからだろう。
   ぎゅうっと、彼に体を任せて抱きしめさせる。
   彼が欲しいとき、こうするようになった、 ]*
(1) 2020/09/02(Wed) 0:02:37

【人】 六鹿 稀

 [ 稀の特殊性癖といえば、ひとつ。

   他人の行為を見たり、
   自分の行為を見られたりすると、
   この上なく興奮する。

   もちろん、
   自分の好きなプレイではないものには、
   一切興味を示さないが、
   好きなプレイであれば、
   最初から最後まで、見たいと思っている  ]

 ふふ、賢斗さんが…私のため、だなんて。
 ……激しく弾け合う肌の音。
 それを聴きながら、男女の……
 いえ、人同士の営みを見られるなんて、
 素敵だわ…………

 [ 頬を少し赤らめながら、
   彼女は更に呟くのだった。
   そして、彼女は思い出す。

   今日、彼女の夫は街の方に
   出向く用事があることを。  ]

  お出かけ前に、謝っておかなきゃ。

 [ ゆっくりを腰をあげて、
   彼女は彼がいるであろう室内へ
   歩みをすすめることにした。  ]*
(3) 2020/09/02(Wed) 0:45:57

【人】 六鹿 稀

 
  賢斗さん、さっきは声を荒げて……

  ごめんなさい。ダメよね、こんな若女将。

 [ 事務室でひとり作業をしていた夫に
   近づいて頭を下げた。

   彼はいつも、謝ることじゃないと言って
   すぐに許してくれる。
   今回も、相違はなかった。

   優しい瞳が彼女に向けられれば、
   出かける前の彼に、
   虫除けをつけたくなってしまう。
   椅子に座っている背広姿の彼の
   背後に回れば、そっと抱きついて、
   首元に強めの口づけを、落とすだろう。

   私のもの、と言わんばかりの赤い花を
   彼に添えてしまった。  ]*
(4) 2020/09/02(Wed) 0:50:16

【人】 六鹿 稀

 [ 彼との結婚生活を考えたことがなかったわけじゃない。
   でも、彼はどことなく住む世界が違う人だと、
   彼女は常日頃思っていた。

   和装で会っても嫌味のひとつも言わないし、
   歩幅が狭い彼女に合わせるようにあるいてくれる。
   それはつまり、身近にそういう人物がいるということ。
   だから、なんとなく諦めていた。

   しかし、彼が老舗旅館の跡取りであることが分かれば、
   彼の母親が和装だったのだろうと、
   容易に想像が出来た。心のどこかでホッとした。

   そして、彼は今、結婚しようか、と
   彼女に問いかけた。彼女は顔を上げて、
   彼の顔をまじまじと見つめる。

   プロポーズだ。

   本当に、プロポーズされるとは思っていなかった。
   だから、嬉しくて、
   でもどこかまだ頭の中は混乱して。    ]
(7) 2020/09/02(Wed) 10:06:02

【人】 六鹿 稀


 賢斗さんに、悪い虫がつくのはダメだから。
 ……いい子にしています。

 だから、……


 [ 簡単に強請れるものならば、強請っている。
   でも、ねだり過ぎては彼の負担にもなり得る。
   だから、痕をつけることで
   彼女はおねだりを示す。

   早めに、帰ってきてほしい。

   しかし、今日は帰ってこないだろう。
   街の方でお酒を飲むことになっているから。 ]


 帰ってきたら、沢山可愛がって……?

 [ そう言った後、彼女ははっとして、
   ごめんなさい、と呟いた。
   彼のネクタイを締め直して、
   彼女はそのままその場を去ろうとする。

   彼のビジネスバッグを持ってくるために ]*
(8) 2020/09/02(Wed) 10:15:07

【人】 六鹿 稀

 [ 彼を見送る少し前、
   彼女のうなじに赤い花が咲いた。
   ひとつではなく、ふたつ。

   彼女は蕩けそうな気持ちを律して、
   仲居たちと共に彼を見送った。
   御贔屓をはじめとする今夜の客が
   チェックインを済ませるのを
   見届ければ、彼女の仕事は
   次の朝までない。       ]

 賢斗さんがいない夜は、…寂しい……

 [ 彼女は小さく呟きながら、
   誰もいない露天風呂で空を眺める。

   前に一度だけ、誰もいないことをいいことに、
   彼と2人で露天風呂に入った。
   その時も、激しく、優しく、
   彼の人間味溢れる愛情に、
   彼女は溺れていた。

   それから、混浴を作りたいと
   彼の口から聞いた時、
   彼女は小さな声ではあるが、
   すぐに同意をした。     ]

 混浴の露天風呂……
 水着を着用の上とは言っても、
 とてもハレンチね…………ふふっ。
(13) 2020/09/02(Wed) 13:38:08

【人】 六鹿 稀

  −過去の話−

 [ 六鹿 稀。

   旧姓は唐草。
   実家は都内23区内にある老舗呉服店。
   彼女の父親で10代目くらいだっただろうか。

   周りには、同じく老舗の和菓子店などの
   跡継ぎが多くいた。

   しかし彼女は、その跡継ぎの1人ではなかった。
   ふたつ下の弟が、家業を継ぐことになっていたから。

   彼女は嫁ぐ側の人間として、
   両親の選ぶ人に添い遂げなければいけない。
   そう思って弟が生まれたあとの
   1日1日を過ごしていた。

   彼女の人生に自由などないようなもの。

   だから、大学だけはせめて
   1人で暮らしてみたいとお願いをして、
   彼女は熱海へと越してきた。      ]
(19) 2020/09/03(Thu) 23:13:55

【人】 六鹿 稀


 [ そこでの彼との出会いは、
   諦めと共に生きていた彼女を奮いおこした。
   初めて、稀を求めた男性。
   
   六鹿 賢斗。

   彼との時間は、甘く、とても儚かった。
   彼が、大学2年の終わりのあの日、
   彼の家の話をした時、

   『あぁ、この人の家柄ならば、
    両親も心変わりをするかも知れない』

   そう思っていたことは、
   結婚した後に、話をした。

   彼も、それを聞いたときは驚いたけれど、
   その時だけは出生に感謝していた。    ]
(20) 2020/09/03(Thu) 23:14:44

【人】 六鹿 稀

 [ 彼と2人で、春休みを使って
   都内の実家に挨拶に行った時のこと。

   両親は洋装をしていた彼を品定めした。
   彼女は、血の繋がった両親ながら、
   古すぎると心の中で思っていた。

   しかし、彼の家柄を聞けば、
   その態度は徐々に変わっていったのを
   彼女はいまだに覚えている。      ]


「それで、君のご両親は何のお仕事を?」

『熱海で旅館経営をしています』

「あら……どれくらいの歴史が?」

『300年ほどですね。
なので、行く行くは稀さんにうちの旅館で女将に
なっていただきたいんです。』

け、賢斗さん……!
(21) 2020/09/03(Thu) 23:24:54

【人】 六鹿 稀

 [ 改めてそう言われると、彼女は恥ずかしくなった。
   嬉しいけれど、まだ彼の両親が認めたわけではない。

   しかし、彼の清潔感だったり、
   家柄だったり、人柄だったりで、
   彼女の両親は、
   彼女の嫁ぎ先
新たな繋がり
として
   彼を認めた。
   
   また、彼のご両親と対面して、
   結婚の許しが出たら、
   顔合わせの機会を作ることまでを
   彼女は両親と話して、
   居心地の悪さから実家を後にした。

   その日、彼女はいつも以上に彼を求めた。
   実家の近くの五つ星ホテルの1室で、
   彼に赤い花を求めてしまっていた。   ]
  
(22) 2020/09/03(Thu) 23:28:55

【人】 六鹿 稀

 [  彼女は、唯一の心残りとして
   弟に会えなかったことがあった。

   弟は、彼女にいつも

 『お願いだから、幸せになって』

   と、物心ついた時から言ってくれていたから。


  挨拶に行った時には、会うことができなかった。
  連絡をとっていたけれど、
  どこで会うのかまでは、話がつかなかった。

  数日後、個人的に彼を連れて弟と会うことが
  出来て、とっても良かった。
  彼と弟は同じ跡取り息子として、
  共有できるものがあったらしく、
  すぐに仲良くなってくれたから。      ]*
(23) 2020/09/03(Thu) 23:33:52