75 【身内】星仰ぎのギムナジウム【R18G】
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視点:人 狼 墓 恋 少 霊 九 全 管
| (a90) 2021/05/30(Sun) 15:02:51 |
夕方の屋上 レヴァティ
「あら……ごめんなさい、レヴァティ。
無理に起こしてしまったかしら。うなされていたものだから」
未だ微睡みの中にはあるけれど、
確かに自身の声を認識していた彼に、声の主は僅かに瞠目した。
いつかの朝食の席では、『見えないもの』を
『見えないもの』として、扱っていたように見えたから。
「それからもうひとつ、ごめんなさいね。用はないの
ただ……こんなところで寝ていたら、
風邪をひいてしまうと思って。」
既に、陽はとっぷりと暮れている。
まだ冬は遠いけれど、秋風はやっぱり冷たくて。
或いは既に手遅れなのだろうが。
夕方の屋上 レヴァティ
「そう。
なら、よかったわ。嫌な夢、忘れたいなら聞くけれど…
…うぅん、でも、そうね。おだいじにね」
イクリールは、向けられた背を覗き込む事は無い。
話したくない事を無理に暴き立てようとはしない。
本当に話したくないのなら。
「……そうね。夜になる前には戻らないと
『みんな』に…『せんせい』に心配をかけてしまうもの。」
それでもまだ、暫くは その場に留まっている。
何をするでもなく。
暫くその場にいる皆の様子を眺めてから、中庭を離れていく。
夕方の屋上 レヴァティ
「とさつごっこ?」
ただ何となくそこに居て、
ただ何となく、夕暮れの空を眺めていたイクリールは
唐突なレヴァティの言葉をなぞり、首を傾げた。
「………うぅん…むずかしい話はあまり、得意ではないけれど…
殺してしまった子は…悪気はなかったのかもしれないわ。
殺してしまったのは、どうしてかしら。
ただ間違えてしまっただけではないのかしら。
それとも、その子のことを嫌いだったの?
嫌いなら、どうして嫌いだと思ったのかしら」
イクリールにしては珍しく、うんと悩み
少しずつ、訥々と言葉を返していった。
「それもわからないのに、許すとか、許さないとか
そんなことを決めてはいけないわ。
他のみんなは違うかもしれないけれど、
わたしはそう思うのよ。」
悩み考えるイクリールは、レヴァティの様子には気付かない。
夕方の屋上 レヴァティ
「……そうかしら。
ううん、レヴァティがそういうなら、きっとそうなのね。」
その声色は、自分に言い聞かせるようなものではなく
ただ純粋に、そう納得しただけのようで。
それから、慌てた様子のレヴァティに目を瞬かせた。
「…ねえ、レヴァティ。
たとえ悪気がなくとも、よくないことはよくないことよ。
殺してしまったことも、『なかったこと』にはできないわ。
それはきっと、たしかなことよ。
それでも、それがよくないことだと、正しいやりかたを
知らなかったことが悪いことなんて」
そんなの、あんまりよ。
きっと、誰も教えてくれなかっただけなのに。
「一度許されないことをしてしまったひとは、
いつまでもずっと、
許されないままでなければならないのかしら」
昏くなりつつある空は遠く、暮れる夕陽を眺めてぽつりと零す。
その手帳はきっと、レヴァティにとって大切なものなのだろう。
ただそれだけの事だ。イクリールはそう結論付けた。
カストルとポルクスの好きなように、自分の髪を触らせた。
| (a101) 2021/05/30(Sun) 19:10:40 |
| (a102) 2021/05/30(Sun) 19:12:49 |
夕方の屋上 レヴァティ
「……そう。レヴァティがそう言うなら、そうするわ。
ごきげんよう、レヴァティ。どうか元気でね。」
立ち去る背中を追う事は無い。
寂しくなった屋上に、びゅうと一つ、冷たい風が吹いた。
「…わたしにだって、ゆるせないことはきっとあるわ。
まだ知らないか、それがとっても少ないだけで。
だれにだって、ゆるせないこと、ゆるしたいことがあって
きっと、それだけでいいのにね。」
一人ぼっちのイクリールは、寂しげに微笑んだ。
この世界は、どうにも上手く行かない事ばかりだ。
きっと、誰が悪いわけでもないのに。
彼らから貰った花束を、さっき掘ったばかりの穴に放り込む。
「カストル」
スピカは、
カストル
に見えるもの
を
探して歩き回っている。
様子がおかしいのはもともとだが、
これは話が違う。
自分の手に負えないものだろうと、
見て見ぬふりはできないと思っていた。
だって、全てを受け止めるって決意をしたから。
一筋の光明を見つけ出すのは、そう難しくないことを。
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