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68 【身内】空想模倣機体は駒鳥達の夢を見るか?【R18G】
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サダル
「なんの話ですか?」と、首を傾げてあなたを見上げるのは
ただただ子どもの無垢な瞳だった。
気付いていないとも、そもそも知らないとも見える様子。
影はここでは生前の様子と何も変わらない。
「……真面目というよりは
今のぼくに他にできることがありません。
あなた以外誰にも認識されず、物にも触れられない。
死の先というのは意外とつまらないんですね
こんなところでも舞台に立つことはできるのか
特訓する意味はあるのか、わかりませんけど
まあ、何もしないよりは、いいです」
ただ、ひとりでなくてよかったと
あなたの心情など知らず、淡々と語る。
→
サダル
「……………」
そして、運動部のような
特訓メニューを聞いて一瞬固まった。
「それを全部やったら……覚醒
、できますか……?」
ギルドでもそこまでやったことない気がする。
そもそも才能があった故か
せずとも済んでいたのかもしれなかった。無情。
「星の練習は、したいですね。
ぼくがやるとなんか、黒い星ができるんですよ……
よし、じゃあ、これからがんばりますっ!
」
いつでもいい?今でしょ!と
言わんばかりに準備運動が始まったのだった。
| (a228) 2021/04/26(Mon) 20:29:40 |
ニア
少女の白い指先が首の傷を辿る。
自分のした行動をなぞるような仕草に首を傾げた。
ニアは、誰かと同じ行動を選ぶことは少ない。
「──ニア?」
“なにか”に霞む紫を見下ろして、青年は名を呼ぶ。
少女の首から指を離し、頬を辿る。
青年が、いつも──口付けの前にする動作。
少女の瞳が下りたなら、許される合図。
彼女はいつも、言葉で答えを与えてくれないから。
サダル
少女の小さな唇が、塞がれる。
「──馬鹿みたいだ」
→
サダル
「……馬鹿みたいだ。吾を幾つだと思っている?
こんな、年端も行かぬ少女みたいに、キスひとつで」
恨みごとを放つその間際。
少女の頬を、熱い、熱い涙がこぼれ落ちる。
大粒の涙がこぼれ落ちる。
「こんな、甘ったるいラヴストーリーみたいなキスひとつで!」
→
サダル
「……知ってるわ」
そっぽを向いて、つんと澄まして。
いつもの態度を装いながら、慣れないことを口にする。
――今なら、ちょっとだけ。素直になってあげてもいい。
「あんたがわたしの味方だってことくらい、とっくに。
……寂しがりなのは今、知ったけれど」
それに、あんたわたしに特別甘すぎると思うわ。
呆れたようにそう言って、寂しがりは自身の殻を少し破る。
腕を持ち上げ、タオルに手を伸ばした。
自分のとよく似た黒髪を拭いてやろうと思って。
(→)
サダル
逢瀬を交わして、手を繋いで。
そんな長ったらしい時間は必要ない。
少女の熱を呼び覚ますのも、
彼女を人間としての心の形に引き摺り落とすのも。
たった、キスひとつで十分なのだ。
「──あ、あ……!
なんでこんなに、切なくて胸が熱くなる?
吾はまたおかしくなってしまったのか?」
サダルの胸に顔を押し当てる。
「いや、違う──」
だって。だってあなたに恋をしていた。
例え造られたものでも、あの気持ちは嘘じゃない!
→
サダル
避けられなければ髪を拭いてやる。
きっとその動きは、拙い。
「わたし、優しくなんてないわ。
優しいっていうのは、あんたみたいなひとのことを言うのよ」
ひとり、ぽつんと座っている女の子を気にかけて。
会議の内容をまとめた資料を作ってやって。
抱えているものはないかと、話しやすいように呼び出して。
そういう優しさが大嫌いで、疎ましくて、
……けれどたしかに、嬉しかった。嬉しいから、遠ざけた。
「どんな場所でだって、求められるわ。
……だから、嫌いなのよ」
サダル
キファは、確かに一度死んだ。
この世界の真実が、どのように在ろうとも。
……彼女の死生観は、そう定義する。
あなたはもしかすると、
悲しみが連鎖する”あの場所ではないどこか”へ、
辿り着きたかったのかもしれない。
あなたはいつか二人でこうして真に出会うために、
一時恋心を売ってでも、逃避行をしたのかもしれない。
だがこれらは全て仮定であり、
それはあなたが語らぬ限り、キファは知る由も無いのだろう。
→
サダル
──二人は、最早舞台から降りた。
これは誰かを感動させる為の演劇じゃない。
ロミオとジュリエットでも、サロメでもない。
二人が紡ぐ、二人の為の、物語だ。
これにて、ヌンキの”はじめの祈り”は、
真に叶えられたのだろう。
紆余曲折こそありはしたけれど。
でも、序破急のない物語なんて退屈だろう?
神様が、笑った気がした。
唯、残されたヌンキは──
それはまた、別のお話。
→
| (a261) 2021/04/26(Mon) 21:53:13 |
サダル
サダルの胸から顔を離す。
涙を拭った。
「迫った体を拒否したな。
口づけをねだる吾を制しただろう。
調子が悪いことを理由に、
随分とほったらかしにしてくれたな」
「……許容するのは、今日までだ。
吾は男を尻に敷くのが趣味が故。
──覚悟せよ?」
くつり。
いたずらっぽく、笑って見せた。
| (a267) 2021/04/26(Mon) 21:58:24 |
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