【人】 兄 エーリク─不穏な風 闇は馬車を追う─ 満月、か。 [時刻はとうに深夜といってもいい頃合い。 紫の本を手に訪れたのは屋敷からほど近い森の開けた土地。 カミラの言葉を検証するため、両親に許可を得て。] (闇の魔術は誤解と偏見ばかりだからな) [本来であれば属性の一つに過ぎないのだが 強大な術式が多いことと、扱える人物が少ないが故 危険な魔術と見做されることも少なくない。 最も、母上が父上を贄にされかけブチ切れた事件も その誤解を助長させてはいるのだが。] (192) 2020/05/19(Tue) 21:56:23 |
【人】 兄 エーリク ん? [ガラガラと何かが近くを通る音……馬車だ。 獣道の方へ向かう馬車にしては何だか豪華だな? 紋章や商会証は無いけど、いかにも訳ありという風貌だ。] (あれは…………!?) [後方から走ってきた別の馬車。 まるで、前の馬車を追いかけるかのような。 しかも……馭者はリヤル商会のアルフォンスさんじゃ無いか!] (193) 2020/05/19(Tue) 21:56:46 |
【人】 兄 エーリク アルフォンスさん! [魔術により咄嗟に身体強化を施した僕は ただならぬ様子のアルフォンスさんに気付き 馬車と並走して声を掛ける。 他に馬車を護衛する顔見知りの人達が 皆一様に驚くような視線には気付かない。 端から見れば馬車と全速力で平行する人間が 如何に不自然かなどこの時は皆目見当つかぬもまま。] 何ですって!? [だがアルフォンスさんが教えてくれたのは予想外のことだった。 夜分に何者かが侵入し、セレン嬢を誘拐したのだと!] (194) 2020/05/19(Tue) 21:57:06 |
【人】 兄 エーリク じゃあ、あの馬車にはセレン嬢が……? [縁談の話は聞いていた。中には不穏な話もあった。 だが──こうも強行な手に取られたことは初めてらしい。 ふと、前の馬車とこの馬車の距離を見やる。 まずい、このままじゃ逃げ切られる。] ──────ッ! [より馬車が距離を離したことに気付き 先に気配遮断を掛け、次に身体強化強化を最大限に上げて ・・・ 一気に馬車2台分の間合いを跳んだ。] (195) 2020/05/19(Tue) 21:57:21 |
【人】 兄 エーリク (────よし……。) [少々荒技過ぎて不安だったが、 前の馬車の天井に無事飛び移れたようだ。 透視で馬車を覗けば暗殺者らしき男が一人と 手足を縛られ、口を塞がれぐったりするセレン嬢の姿が見える。] (196) 2020/05/19(Tue) 21:57:38 |
【人】 兄 エーリク[何故 誰が 一体 何の目的で それ以前に沸き起こったのは、怒りだった。 ────嗚呼、愛した者に危害を加えた者を 決して許さない母上の血を…… 確かに僕は、引いてたようだ!] (197) 2020/05/19(Tue) 21:58:11 |
【人】 兄 エーリク[セレン嬢を馬車から一刻も早く救い出したい。 けれど、後ろのアルフォンスさん達と僕だけでは 救出に些か不安がある。] (……嫌な予感しかしないけど) [あの家族が騒動に絡んだらどうなるか、 その大変さと混沌は18年の人生で身を以て知っている。 けれど、今は他に頼れる人が一人もいないから。] (198) 2020/05/19(Tue) 21:58:28 |
【人】 兄 エーリク[揺れる馬車の上で何とか体制を取りながら 紫の本を天井に置き、ページを広げた。 転写の術式を施せば脳内に思い描いたことが 紙面に一字一句そのまま転写される。 普段であれば、遠くにいてもテレパシーのような手段で 人に聞かれず会話出来る『念話』があるけれど カミラへ頼み事を伝えるには、念話だけじゃ不十分だ。] 『ジョバンニ、遅くにごめん。緊急事態だ。』 [家にいるジョバンニに念話で呼びかけ、 事情を説明し彼の元へ本を転送させて貰った。 彼なら確実にカミラを起こして本を届けてくれるだろう。 両親への根回しも察してくれた辺り、本当に優秀で助かる。] (199) 2020/05/19(Tue) 21:58:47 |
【人】 ミア[ だから、多分、 広いソファに寝転がって、其処に居る。 執事に真新しい水を手渡されたときに、 自分の 在り場所 と、言うのか、 そういうものを ぼんやりと思えど、─── ] (202) 2020/05/19(Tue) 22:40:54 |
【人】 ミア[ 今までが今まで、だったからか。 言っておいて"好待遇"の想像もいまひとつ浮ばず。 ドレス なんて言葉に 露骨に嫌そうな顔をするあたり、 多分、遠い遠い話だろう。 ……走れも登れも出来やしない服なんてなんの為に。 薔薇の中を静かに、 ───物理的な意味では無く、歩めとか、 そう言われても困る。一種の拷問とすら 思う。 ] (203) 2020/05/19(Tue) 22:41:15 |
【人】 ミア─── 百合の匂いは 好きじゃ無い。 [ 其れだけ。 何時か盗みに入った 此処では無い 名も知らない貴族様の家を想いつ。 湖面を 見詰めて。 乗せられた花弁をひとつ、食んだ。 ] (204) 2020/05/19(Tue) 22:42:26 |
【人】 ミア[ 拍子。 硝子からくちびるが離れるから、 そのまま 机に置いてしまって。 ……銀色の無い手はあまりに暇すぎる。 一瞬 宙で迷った。泳ぐよに、 ] (205) 2020/05/19(Tue) 22:44:02 |
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