[友君の声も、顔も見えないのに、
気遣うような声が、表情を、感じる気がした。
嫌じゃなかった。
ただ、なんの感覚も無い愛撫が悲しかった。]
……ふ、
[影に口づけられると、じんと唇が痺れた。
無いはずの感触に戸惑って、
ほんの少しの期待を込めて友君を見上げる。
だけど、鼻先に指先をかざされると、
触れられなくても痒くなることを思い出して、
そうだよね、これ以上の奇跡は起きないよね……
なんて、すぐに落胆した。
友君はそうやって甘い痺れをもたらして、
私の緊張をほぐしていく。
だけどやっぱり足りない、
友君に触れたい。
友君に触れてほしい。]