人狼物語 三日月国


45 【R18】雲を泳ぐラッコ

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【人】 二年生 小林 友

[その日の逢瀬で、菜月と一体何が話せたろう。
 けれど、夕方の束の間の時間なんて
 俺達にはちっとも足りなくて、
 俺は家に本を持ち帰って、
 話し足りない続きを書こうとした。

 何でも菜月は打ち明けてくれて、
 柔らかくて繊細な心をひた隠しに
 仲間や家族に笑ってみせた、その裏まで。]
(20) 2020/10/06(Tue) 9:45:53

【人】 二年生 小林 友

[出来るだけ近くで彼女の気持ちを聞きたくて
 影に寄り添い、声に出す。

 ─────ああ、悔しい。悔しいなあ。
 もっと触れたい、近くにいたいのに。

 便箋を書いては消して、書いては消して。
 今までのやり取りは頭の中。]
(21) 2020/10/06(Tue) 9:47:24

【人】 二年生 小林 友

[そんな扱われ方をした便箋が……
 もう、裏なんかセロテープが無いとこの方が
 珍しいくらいになっているそれが、
 こうなる事なんて、分かっていたはずなのに。]


  ─────……あっ!


[何となく書き添えた、赤いハート。
 恥ずかしくなって消そうとしたら、
 びり、と音を立てて便箋が裂けてしまった。

 慌てて学習机の上に手を伸ばして
 セロテープを取ろうとしたら、
 手も触れていない便箋が、びり、びり、
 もう耐え切れないのだ、と言わんばかりに
 ひとりでに千々に切れていく。]
(22) 2020/10/06(Tue) 9:49:07

【人】 二年生 小林 友



  
ちょっ、えっ、待ってよ!



[慌てて便箋を手で押えても、手の下で
 容赦なく紙は裂けていく。

 たとえ破られても、
 焼かれても、また轢かれても、
 血の出るわけではなし、
 また痛たいということもなかったのです。


 この紙が無くなったら、菜月に逢えない。
 いやだ、いやだ、嫌だ!
 焦る俺を他所に、
 シャーペンと消えるインクの跡を刻んだ便箋は
 もう飛ばす寸前の紙吹雪みたいになっていて。

 ただ、この地上にいる間は、
 おもしろいことと、
 悲しいこととがあるばかりで、
 しまいには、魂は、みんな─────
(23) 2020/10/06(Tue) 9:55:46

【人】 二年生 小林 友

[ともかく、セロテープで繋いでしまえば……
 そう思って、紙から手を離した矢先。


 細かく千切れた便箋たちは、
 たちまち真っ青な
へと姿を変えて
 窓の外へと飛んでいくと、
 まんまるなお月様の方へと
 飛び立っていくのでした。]
(24) 2020/10/06(Tue) 9:59:36

【人】 二年生 小林 友

[行く手に美しい星の光る空を仰ぎ
 窓から身を乗り出すようにして
 俺は一人、大きな声を上げて泣いた。

 「さびくて、しかたがない!」


 真っ青な蝶の昇った空には
 ただ青ざめた顔をした月が
 黙って地上を見下ろしていた。]*
(25) 2020/10/06(Tue) 10:05:32

【人】 二年生 早乙女 菜月

[家に帰ってからも、私たちはやりとりを続けた。
 スマートフォンと違って、通知も一切なかったけど、
 時々、友君が書いている瞬間に立ち会えた。

 そういう時は、椅子とコップをもう一つずつ。
 一人用の勉強机に二人分並べて、
 頬杖をついて便箋を眺めた。]
(26) 2020/10/07(Wed) 6:16:23
[あはは、ごめんね。
 お客さんに上の子見てもらうために頑張ってたのに。
 ちょっとすねすねモードはいってた。

 そんなことを、返事に書こうかな。]

【人】 二年生 早乙女 菜月

[青インクと黒炭の染み込んだ便箋に、
 赤いハートが浮かび上がる。>>22
 可愛いの。見ちゃった。
 すぐに消そうとするのも可笑しくて、
 くすっと笑いが漏れる。

 自分のもろさをさらけ出す私に、
 友君はたくさん寄り添ってくれる。
 友君との会話が楽しすぎて、永遠に続いてほしくて。
 だから便箋はぼろぼろで、
 いつか破れてしまうことは分かっていたのに、
 目を逸らし続けてしまった。]
(27) 2020/10/07(Wed) 6:17:42

【人】 二年生 早乙女 菜月



[終わりの時間は、唐突で。]


 
(28) 2020/10/07(Wed) 6:18:40

【人】 二年生 早乙女 菜月

[世界の破ける音がした。]


 ……あ!?


[友君、破っちゃったのか。
 便箋、薄くなってるもんね。
 分かっていても、大きな裂け目がメッセージを破くのは、
 ショックな光景だ。

 ちぎれた断面を合わせると、
 もう一度、びり、と破けた。]


 え、うそうそ、 やだ、


[びり、びり、紙がひとりでに破けていく。
 便箋を押さえつけると、手と机の間から、
 一羽の蝶が飛び立った。
 青いはねを一心に動かして、
 透き通った美しい翅脈が見えるほど近くを通り過ぎる。]
(29) 2020/10/07(Wed) 6:20:42

【人】 二年生 早乙女 菜月

[もう一羽。もう一羽。
 するり、するりと手のひらの下から、
 蝶の群れがあふれ出す。
 友君と私の言葉を含んだ蝶は、
 青い翅をきらめかせ、
 銀の鱗粉を振りまきながら、
 窓から空へを昇っていく。

 月が二つに分かれた。違う、涙でぼやけているだけだ。

 ねえ、待って。
 もう一度だけ時間が欲しい。

 だって私まだ、好きってことさえ言えてない。

 そう蝶に訴えても、一羽だって振り向いてくれなくて、
 
 私達は、ちゃんとお別れさえできなかった。]**
(30) 2020/10/07(Wed) 6:21:25
[どんなに見つめても、影は影。
 うすぼんやりとした黒い輪郭が
 目の前で揺らいでいるだけ。
 触れたはずの唇が空を切って
 微かな空気の揺らぎだけが
 すう、と湿った唇を撫でた。

 唇を離すと、影の手が俺の手を取り
 心臓の辺りへと導いてくれた。

 どく、どく、と脈打つ肉の感触もなく
 俺の手はきっと、菜月の心に触れている。
 脆くて危うい其処はきっと、
 乱暴に暴けば傷が付いてしまう。
 けれど、それを躊躇う程度には
 柔らかくて、綺麗な形をしているのだろう。]

[俺は、ぐっと空を掻いて
 菜月の柔らかい部分に触れようとした。

 けれど、それはやっぱり虚空のまま。

 触れていたら伝えられたんだろうか。
 ありったけの「好き」の気持ちを
 菜月の中に撒き散らして……

 そこから奇跡でも芽吹いてくれていたろうか。]

【人】 二年生 小林 友




  「どうしたの?!もう夜も遅いのよ?!」


[驚いた様子の母さんを押し退けるように
 俺は家の外へと飛び出した。

 青い蝶は一匹残らず、
 大きな月へと旅立ってしまった。
 泣いても、叫んでも、
 ただ慣れた顔のご近所さんが
 窓からひょっこり顔を出すだけ。

 頬を伝う涙が口へと流れ込んで
 まるで、海に溺れたみたいに塩辛い。]


  
なつきィィィィーっ!!!



[どれだけ叫べば届くのだろう。
 世界を隔てて、君のところまで。]
(31) 2020/10/07(Wed) 19:21:09

【人】 二年生 小林 友

[この俺の有り様を見た人は聞くんだ。

  「ともちゃん、大丈夫?」
  「死のうとしてない?」
  「ダメだったらいつでもいいなさい」


 結局、誰も何も問題解決になってない。
 
 みんな、話して解決すると思ってる。
 話せば100%受け入れてくれる?
 気持ちを分かちあって「ひとりじゃないよ」?
 それはただの慰めで、解決じゃない。

 「陰キャだから、ひとりでいるから
  なんだか死にそうに見える」?
 問題はもっと奥深いぞ。
 俺は、ただ俺自身が嫌いなだけ。]
(32) 2020/10/07(Wed) 19:21:31

【人】 二年生 小林 友


[「俺」を受け入れてくれる
 菜月のところにいきたいだけ。]

 
(33) 2020/10/07(Wed) 19:21:52

【人】 二年生 小林 友

[俺は月を見上げて叫んだ。]


  途中で奪うくらいなら、
  なんで菜月にあわせたんだよ!!
  もううんざりだ、何もかも!!

  
さびしくて、しかたがない!



[青白い月が、まっすぐ俺を見ている気がして。
 その時、母さんや近所の人たちが
 何を言っていたかも、覚えていない。

 ただ、俺は声を限りに、願った。]
(34) 2020/10/07(Wed) 19:22:22

【人】 二年生 小林 友



  どうか、この俺を消してください。
  菜月がいないのなら、
  こんなところにいたくない!
  

[それを聞いた月は、何を思ったのだろう。

 ふわり、と掬うように俺の意識は途切れて
 闇の中へと堕ちていった。]*
(35) 2020/10/07(Wed) 19:23:42

【置】 サティ家次期当主 シャーリエ

 
私の騎士 リフル


 ずいぶんと経ってしまいましたがお元気ですか。
 あなたがいない間に庭はすっかり変わりましたよ。
 背の高いシイの木に小鳥が巣を作りました。
 小鳥の家族はいつも歌っています。
 朝がにぎやかになりました。
うらやましくなります

 料理人の彼はお屋敷から出て家を買ったそうですよ。
 1人部屋が寂しくなったのでしょうか?
隣にいる人って大切ですね

 私は去年の収穫祭でサーカスを見ました。
 彼らも旅から旅へ行く身だそうです。
 どこかであなたと同じ街にいることもあるのでしょうか。
私もあなたと同じ場所に

 この国にも技師が増えました。
 私たちはいつでもあなたを歓迎します。
 どうかお元気で旅路を歩まれますように。
私はあの日に戻りたい

       
あいた
い  


―― 数年しまわれたままの手紙より ――
(L1) 2020/10/07(Wed) 22:51:53
公開: 2020/10/08(Thu) 1:00:00

【人】 アクスル

 
[外へ出て、
 別れを惜しみながら帰国して……、
 それから何日後のことだったか。

 何日であれ、この日が来ることを
 今日か今日かと心待ちにしていた。]
 
(36) 2020/10/08(Thu) 0:06:01

【人】 アクスル

 

   治人!



[空港の到着ロビーでその姿を見つければ
 軽く手を振りながら
 長い脚を動かして寄っていく。
 袖口から微かに覗くのは彼から貰った枷。]



   ……治人。元気にしてたかな?



[仮にもセレブ。屋内でもつけていた
 変装用を兼ねるサングラスを外しながら
 顔が緩んでいくのを自覚する。

 到着予定時刻の二時間も前から
 ここで待っていた……、ことは、
 SNSでの目撃情報でも見られてしまわない限り
 わからないだろう。きっと。]
 
(37) 2020/10/08(Thu) 0:06:15

【人】 アクスル

 
[大切な彼を座らせる席だ、
 当然、ファーストクラスを手配した。

 サービスは充実していた筈だが
 12時間ものフライトを終えたばかりの彼。

 お腹が空いてないか訊ね
 空腹なようならレストランで食事をしてから
 不要なようならそのまま

 自宅である古城へと連れて行こうとするだろう。
 ……運転手付きの車で。**]
 
(38) 2020/10/08(Thu) 0:06:43

【人】 花の名 リフル

― 彼の人の旅立ちの日のあと ―

[私は、庭で彼女に手招きをした。
おいでおいで、と猫なで声で彼女を誘って、
彼女が来たらその場に座って
「膝枕をしてあげる」と上目に笑った]


  いいこ、いいこね、メグ。


[優しく髪をふわふわと撫でながら、
思い切り甘やかす様な声と手付きで彼女を可愛がる。

けれど、
その感覚も、声も、存在も、徐々に薄くなってゆく。
彼女に認知されなくなってゆく]


  ………メグ、
  私の事、
忘れないで
 ね……



[声が消え行く。

私、本当はあの日>>18
「もう私の事は忘れてね」って言おうと思ってたんだ。

私の声が、消え行く。
彼女はやがて目を覚ますだろう]
(39) 2020/10/08(Thu) 5:20:14

【人】 花の名 リフル

― 帰国者のあった日の朝 ―

[私は、きっと久々に彼女の前に現れた。
にっこりと、上品ながらも満面の笑みだった。
彼女はもうすごくしっかりしてきたのに、
私の方が昔に戻った様に「ねえねえ」と子供っぽく手を振った]


  また逢えたね。


[手を伸ばして、彼女が取ってくれるのを待った。**]
(40) 2020/10/08(Thu) 5:33:37

【人】 二年生 早乙女 菜月


「せーの!」「あ、い、う、え、お!」「せーの!」「か、き、く、け、こ!」……

[グラウンドに響く声は大きい。
 ちなみに体育館では発声練習禁止です。つば飛んじゃうから屋内はちょっと。
 肺一杯に空気を詰め込んで、おなかの底から声を出していると、頭がぼうっとかすんでくる。華やかさとは裏腹に、チアは地味な反復練習が多い。頭で考えなくても動けるように、ひたすら体に覚え込ませる。何十分も同じ動きをしていると、頭が白く溶けていく。
 そういう時間が、今の私には必要だった。]

「菜月、笑顔! みんなを元気にするのがチアなんだから!」

[指摘されて、にっと口角を上げる。
 笑ったんじゃなくて、口角を、上げた。

 皆を元気に、なんて、私にできるはずがない。
 友君に勇気づけられてばっかりだったんだから。

 細くなった筋肉に、必要以上に負荷をかける。
 生まれたての小鹿みたいに、歩くたびに膝が折れる。]
(41) 2020/10/08(Thu) 5:58:07

【人】 二年生 早乙女 菜月

「ナツキ……戻ってきたのは良いけど、正直、怖いよ。
 前はもっと、休憩時間も騒いでたのに。
 今のナツキは、練習だけしに来てるみたい」


心配してくれるのはわかるけど……ってこと
  俺もよくあるよ。

 友君の言葉がいつも、頭をよぎる。

 なにそれー私すんごい熱心じゃん! なんてはやし立てる。
 笑い飛ばして、無かったことにしようとする。]

「ろくに食べてないよね。
 いくらトレーニングしても、食べなきゃ意味ないでしょう。本当にやる気あるの?」

[そう言ってきた先輩もいた。さすが上級生、よく見ている。
 ウス、先輩ご馳走してくれるんスか? ありがとうございます、なんてへらへら笑ったら、もっと怒られた。
 あーあ、失敗しちゃった。]
(42) 2020/10/08(Thu) 6:00:17

【人】 二年生 早乙女 菜月

[柔軟体操をしていると、アキナと目が合った。
 アキナは一瞬、なんとも言えない表情を浮かべると、何かを言いかける。
 けど、その言葉が出てくる前に、他の部員に話しかけて、結局何も話さなかった。
 復帰しても結局、こんな感じだ。
 あれからうまく話せていない。
 ペアも外されてしまった。

もしかしたら自分の中に
汚い気持ちがあるかもしれない、って
菜月は言うけれどもさ
少なくとも「今」の菜月は
そんなことしないだろ。


「今」の私はどうだろう。
 優しい老夫婦が人魚を売ったように、表と裏はくるくる変わる。
 きっと私もたやすく、良くも悪くも転ぶ。

 チアリーディングはスポーツだ。
 グラウンドの外の花じゃない。技を競う真剣勝負。
 勝利の証は、会場に溢れる笑顔。
 誰かを応援するために、競い、高め合う。

 だから、応援したい人を失ったら、強くなれないのは当然のことで。]
(43) 2020/10/08(Thu) 6:01:13

【人】 二年生 早乙女 菜月

[そんなことは分かっていても、私は必死にチアに打ち込む。
 そうしていないと、友君のことを思い出してしまうから。
 線路や、紅葉や、月や。
 何気ない風景を見るたびに、友君の言葉が思い浮かぶ。

俺も、絵があるのも好き。
  けど、この本は写実的っていうか……
  読んでるうちに頭の中に風景が浮かぶんだ。


 そうだね、友君。
 世界にはこんなにも、友君と拾い集めた風景が散らばっていて。
 何もしないでいると、空を眺めるだけで泣いてしまう。

 自分の体を苛め抜いて、泥のように眠る。
 だけど夢の中では、いつもあの図書室にいて。
 目を覚ませば、友君ともう会えないことを思い出して、べそべそと泣いた。]
(44) 2020/10/08(Thu) 6:02:06

【人】 二年生 早乙女 菜月

「また延長ですか」

[司書の先生が呆れたように言う。
 あれから、図書室と友君の世界は断ち切れてしまった。それでも二週間に一度は足を運ぶ。
 小川未明童話集、「赤いろうそくと人魚」。私が唯一借りた本を、何度も延長する。
 「何か月借りるつもりですか」「卒業する時に買います」「これ備品だから高いよ。アマゾンの本が安いですよ」「この本が良いんです」「もう読み飽きたでしょう」「まだ読み終わってません」
 そう、まだ私はこの本を読み終えていない。
 友君と一緒に読もうと思っていたから。

 きっと、この本を読み終えることは、無い。]**
(45) 2020/10/08(Thu) 6:03:03