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【人】 高野 景斗―― カウンター席にて ―― [ 悪い、待ったか。 たしかそんなふうに声を掛けた。 待ち合わせをしていたかと問われるなら 答えはNOなのだが。 約束をしていなくとも、なんとなく 会うことが出来る店が、 ここ、Madam March Hareであるのが、 常の姿ではあるが。 電飾の輝きが街を照らし、仲睦まじい恋人達が 手を取り合う今日という日に予約もせずに ふらりとやってこられるほど、この店は 暇ではないので、当然予約はしていた わけだが。 ] (1) 2023/12/21(Thu) 22:05:42 |
【人】 高野 景斗[ 今にもリア充爆発しろと言わんばかりの 友人はそれでもこういう日には、ここに訪れる。 昨年までであれば自分もそうだったかもしれない。 ケーキを買うでもなく、七面鳥の丸焼きを 食べるでもない、特別じゃないただの一日を ご機嫌な夜に連れて行くために。 その他にも恋人の顔を見るためという 理由があるが、今年も例年とそう 変わりはない、かもしれない。 ラジオを通し、リスナーに季節を告げ 聖夜に思いを馳せて――ついでにコーナーで それらしいシーンを演じ、仕事を終えて、今であるから。 ] (2) 2023/12/21(Thu) 22:06:02 |
【人】 高野 景斗 うん?ごめん、聞こえなかった今なんて? [ 問い返せばもう一度その問いは聞こえただろうか。 聞こえたとしたら ] ……特に何も考えてなかったなぁ クリスマスってそういう日だっけ? [ そう呟いたので。 彼は間違いなく、俺に余計な知識をひとつ 与えてしまったと、思う。* ] (4) 2023/12/21(Thu) 22:06:45 |
【人】 瑞野 那岐[扉が開かれる音に顔を上げて、 今夜ばかりは、いつもと違う挨拶を告げる。] メリークリスマス。 ようこそ、Madam March Hareへ。 [飲食業界はこの時期、どこも人で溢れ返る。 それはこの店も例外ではない。 いつもなら少し空きがある席も今日はテーブル席も カウンターも予約で埋まっていた。] (7) 2023/12/21(Thu) 22:53:45 |
【人】 瑞野 那岐メリークリスマス、高野さん。 お待ちしておりました。 [店内でしか使わない呼び名で出迎えて、 『Reserved』と書かれいた札を提げて彼を導いた。] (9) 2023/12/21(Thu) 22:54:28 |
【人】 瑞野 那岐[葉月さんと同じような労いにくすりと笑う。 飲食業に取って忙しいことは喜ばしいことだ。 ましてや、大切な時間を過ごしたいという気持ちで 選ばれた店なのならば。] 今晩はある程度、 同じようなメニューを選ばれる方が多いんです。 ですから、グリルチキンも多めに用意してありますよ。 [クリスマスの定番メニューはやはり人気のようだ。 料理のオーダーとドリンクを承ったなら、 ドリンクはグラスを取り扱い慣れている大咲や 沙弥さんの手を借りながら、 厨房の大型の冷蔵庫へ向かう。 ジングルベルのBGMに混ざる会話は>>4、 さすがに厨房の奥に下がれば聞こえるはずもなく。*] (10) 2023/12/21(Thu) 22:55:12 |
【人】 高野 景斗[ 高野さん>>9、と呼ばれるのはここや、 ひと目につく場所でだけ。 それはそれで。 というかよそ行きの顔を、新鮮に思うくらい には、この春は、夏は秋は、 色鮮やかに、過ぎて行った。 年末に仕事を入れるか否か、 真剣な顔して相談して、 これまでイベントを素通りしてきたから年末くらいは と零した己に、 高野さんの恋人なら年末を一緒に過ごせないくらいで、 不満を言うような人ではない、 と返された日々を懐かしく思うほど。 あの日話していた年末の特別番組が もう早々に迫っているため、稽古で スケジュールが埋まっており、寝顔を眺める だけのすれ違いも多くなってきたところ。 ] (11) 2023/12/21(Thu) 23:28:24 |
【人】 高野 景斗[ クリスマスというイベントを、 どう楽しむのが正解か考えるより前に 足繁く通ったこの店の中、 たくさんの人に幸せを、届ける彼の姿が 思い浮かんだ。 己もまた、彼に幸せを教わった一人なのだから 当然といえば当然の光景と言える。 家で家族や恋人と過ごす聖夜も、 にぎやかな場所で友人と過ごす聖夜も 大差はないのだ。それに、 ] 働いているところ、見るのも好きだからね [ 注文を終えた後友人に向けて零した言葉は それこそ厨房の奥に消えた彼には聞こえまい。 ] (12) 2023/12/21(Thu) 23:28:49 |
【人】 高野 景斗[ やがて忙しさの中でも、飲み物か料理か 彼が運んできたなら ] 忙しいだろうけど、一杯だけ付き合って [ とそう言い、好きなものを飲んで欲しいと 告げる。酒にあまり強くない上、職務真っ最中で あるならノンアルで、かもしれないが。それでも 一向に構わない。 ――し、本音を言えばあまり外で 飲んでほしくはないという ちっぽけな独占欲 も少々ある。のでノンアルは大歓迎というところ。 ] (13) 2023/12/21(Thu) 23:30:34 |
【人】 高野 景斗 メリークリスマス [ かちり、とグラスを合わせ愉しい夜を始めるとしよう。 ――もちろん、店長の杏さんを含め、 忙しく動き回る店員さんたちにも、こっそり 労う意味も込めて、一杯ずつ飲んでよって わがままを口にしたことだろう。 ] 終わるまで待ってていいかな? [ グラスを口元に引き寄せ軽く傾けた後、そう聞いたのは ここのところ互いに忙しくしていたから 少しでも、一緒に過ごす時間を、欲するが故に。** ] (14) 2023/12/21(Thu) 23:31:10 |
【人】 瑞野 那岐[クリスマスにローストチキンを食べるようになった由来は 当時、飢えに困窮していた移民たちに先住民が 現地の七面鳥をプレゼントしたことから始まったとか。 その出来事を感謝し、 七面鳥がごちそうとして振る舞われるようになり以降、 神の日であるクリスマスに食べる習慣がついたのだけど その事実を知らずに食べている人がほとんどだろう。 だが、そうして広まったローストチキンは この国でもクリスマスの定番となり、 我が店でもオープン前から出番を待つように 下味を付けているチキンが用意されている。] (15) 2023/12/22(Fri) 21:19:35 |
【人】 瑞野 那岐[付け合せのじゃがいもはあえて皮付きのまま乱切りにして オリーブオイルを絡ませながら焼き色をつけていく。 メインのもも肉は切れ目を入れ、 酒としょうゆ、みりんで作った下味をたっぷりと漬け込ませ 味が染み込むように揉み込んでおいたものを使う。 何度も出番を任されているグリルにはオリーブオイルを。 汁気を切ってから皮にしっかりと焼き色がつくように 上側にのせて更に全体にもオリーブオイルを塗りつける。 オーブンが仕事をするのを待つ間、 杏がこの日の為に選んだワインとシャンパンを運ぶ。 ロゼ マジュールというシャンパンは繊細なサーモンピンク。] ラズベリーやカシス、それと ほんのりといちごの香りもしますよ。 [そう解説を添えれば、誘いの声が掛かる。>>13] (16) 2023/12/22(Fri) 21:19:58 |
【人】 瑞野 那岐[酒にあまり強い訳ではない。 そのことは互いのマンションを行き来している 間柄である彼ならば知っていることだろう。 けれど今日は機嫌がいいのか。 隣の葉月さんも芳醇なワイングラスから 香りを広げ歓迎している。 ──きっと、特別なら夜だから。] ……口を湿らせる程度で良ければ。 [その時間を共有できるのなら、悪くはない。 そういって彼が飲んでいるシャンパンと同じものを 少しだけグラスに注ぎ、手に持ち合わせた。] (17) 2023/12/22(Fri) 21:20:13 |
【人】 瑞野 那岐[掲げたグラスに少しだけ近づけ、音を鳴らす。 先程口にした言葉を彼も口にする。 彼の視線が他に向けばグラスを置いて グリルに戻りちょうど焼き上がったチキンを オーブンから出す。良い焼き上がりだ。 茹でたブロッコリーと先程焼いたじゃがいもを添えて じゃがいもにはブラックペッパーを ブロッコリーの裾にはチキンの下味と同じソースを散らせて。] (18) 2023/12/22(Fri) 21:20:30 |
【人】 高野 景斗[ 彼に限らず。魔法使いの職場を、手際を 見学するのは好きだ。 手習い程度に料理を嗜むようになってより 尚更、己ではできない芸当、発想を 目の前で眺められるからこそ、 単独で来店する際は専らカウンター席が指定席。 メインのローストチキンは日本人には たまらない味付けだろう。下準備までは さすがに見抜けないが、オーブンに入っていく 姿を見るだけでもワクワクさせてくれる。 ローストチキンがクリスマスの定番になった 由縁については>>15よく、分からない。 昔七面鳥というワードが入った曲が 流行ったらしいことくらいしか。 ] 華やかでいいね、ありがとう [ グラスを受け取った後のわがままには 意外にも同じもの>>17、で付き合ってくれるらしいので 同じ色を纏ったグラスがかちりと鳴る。 ] (20) 2023/12/23(Sat) 16:04:01 |
【人】 高野 景斗[ サーモンピンクの柔らかな色が、 桜色の唇に触れ、流れていくのを 眺めた後、知った顔が現れたか、 それとも傍らの友人に話しかけられたか 己の視線が外れれば、彼は仕事へ戻っていく。 程なくして、今夜のご馳走、を手にして カウンターから顔を出す。 ] 付け合せもきれいだね さすが、今夜もいい仕事してる [ 骨付きのチキンにはアルミが巻いてある。 綺麗な所作で食べることは難しいかも しれないが、齧りつくのが正解な気がしてならず。 一度ナイフを取ったが、それを置く。 ] (21) 2023/12/23(Sat) 16:04:29 |
【人】 高野 景斗 うわ、すごくいい匂い あぁ……… 美味しい……… [ 出来立てのローストチキン、アルミの巻いて ある部分を手に、ふっくらとしている皮の部分に 齧り付くと、しっとりと柔らかい肉に じゅわりと下味が染み込んでいて、ボリュームが あるのに、くどくない。 空腹時なら2、3本いけてしまいそうだが まだ夜は始まったばかり。 がっついてしまうのは、もったいない。 店長たる杏さんのチョイスのシャンパンも さることながら、ただひたすらに、美味で。 これだからここなのだ、と何度目かの 再確認をしつつ、じっくりと時間を掛けて、 ローストチキンを咀嚼した。* ] (22) 2023/12/23(Sat) 16:05:00 |
【人】 瑞野 那岐[声のトーンを落とした返事には苦く笑う。 いつ雪が降り出すかも分からない夜に さすがに年末に大仕事を抱えている人を 待たせるわけにはいかない。 タイミングを見計らって店長には伝えよう。 料理の感想に思わず表情が綻ぶ。 見た目も派手なローストチキンに 齧りつくさまに珍しくワイルドさを感じれば くすくすと思わず肩を揺らして。] やっぱり、そう食べますよね。 [子供の頃ならば夢のような食べ方だった。 その心さえ持っていれば、大人になっても その感覚は残っているのかもしれない。] (24) 2023/12/23(Sat) 20:58:36 |
【人】 瑞野 那岐[料理の合間にメインディッシュに負けない ような華やかな会話をと思うけれど、 口下手な自身にはそれは難しい。 代わりに賑わうカウンターの会話に 相槌を打つことで聞き役に代わり、 料理の合間に少しずつ。 サーモンピンクのシャンパンのグラスを減らしていった。*] (25) 2023/12/23(Sat) 20:58:49 |
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