人狼物語 三日月国


82 【身内】裏切りと駆け引きのカッサンドラ【R18G】

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視点:


 
──幕間の観賞室。

今となっては王達は去り、人払いだってされていない
だというのにも関わらず、相も変わらずここは閑散としていて
今の時間は人っ子一人居なかった。

観客の無い"喜劇"を背に、薄明かりの下を探る。
誰も、従業員さえも覗く事のない、暗がりの中。
自身の手で隠したものを、探って

探って、

探って、

「──あった」

ずしりと重い、人の命を奪う為の道具。


込められた弾が、ただの一つも欠けていない
事を確認して──

 
──何をするでもなく、ただ懐に仕舞った。

初めから、使う事を想定して持ち込んだものだ。
"上"の意向によっては、迷わず命を絶っていただろう。
そして同時に、それを他者へと向ける事だって想定していた。
或いは、この凶器を誰かに握らせる事だって十分に有り得た筈だ。

たった一発の銃弾で人は死に、
たった一滴の毒で人は苦しむ。
それを与える事は躊躇わない。

ただ、何れも
今ではなかった。

特別な理由なんて何も無い、たったそれだけの事だ。