「貴方たちは思ったより大変に手強いひとたちのようだ。
けれどね、この研修は全く意味のないものではないんだよ。"従業員"として必要なのさ。
自ら望んで、彼らのために働き、傅くことを当たり前としなくちゃいけない」
優しい手付きで二人の髪をそうっと撫でる。"準備"の為に不要な衣服は取り外し。
いかにも悪趣味な衣装や、毒々しい色の性玩具がモニターにうつされる。
見るに下品なローターから性器を象った尾付きのディルド、痛々しいピアス。
それは今仮面をつけた彼らのために用意されたものだ。
「せっかく二人いるのだから、ノン・ゼロサムゲームを講じるのもいいかもしれないね。
例えば双方の歯に、双方の毒そのものが解毒薬になるような毒を埋め込む。
手を縛り付けてワイヤーで固定し、向かい合わせる。口付け合わねば解毒は行えない。
牡犬が二人で睦まじくする様子は、客にも喜ばれるだろうね。そうしなければ、
君たちは死ぬ
」
――不意に二人の膝の裏をヒールが蹴った。躱すことをしてもいいだろう。
軽い蹴りが当たったなら、床に膝をついて跪くことになるだろう。
「己の命を優先した者から先に死ぬ。助け合う二人は、美しいだろう?」