224 【R18G】海辺のフチラータ2【身内】
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rrr……
『……電話で失礼しますねご主人様』
『報告がこのような形になることをお許しください。
後で書面で纏めてきますので、それでは本題を』
『あの男は
ようです。
悪い琴線に触れたら
誰でも狙える
んじゃないんですか?
誰を目的としてそんな意志を持っているのか、
娯楽なのかどうかも直接話はしていませんので、不明です。
法案の件とも此方ともまた別の陣営のようですね、どう扱って良いのやら』
『それと、この通話もアジトも盗聴されてる恐れがあります。
張り付かれてはいないと思いますが、
この先は基本筒抜けになると思ってお喋りください。
そういう類の人間には誤魔化しきれないものがありますから、
あえて気にせず吹っ切れるのもいいと思いますよ』
『それでは、良い夜を』
rrr……
『……』
『………』
『……』
『…………そうですかあ。』
『了解です。』
『またいつでもアジトの方へ。』
『…少し、意見を聞かせて欲しいですねえ。』
『今日は、お疲れでしょうからあ』
『ゆっくり、おやすみくださいねえ。』
| 余談だが、この時もう一つ、 女は心底自分の行いを悔いていた。 "こんな日に限って"呑気にお菓子を焼き上げてきてしまったのだ。 「これ、どうしよう……」 まさかこの場で。こんな状況で。平然と。 「今日、苺のクロスタータを焼いてきたんですよ。よかったら食べて下さいね!」 なんて笑顔で返せる女だったら、今頃女の肩書は警部補になっていたか、この場に存在しなかったのかの二択に違いない。 とは言え女が今日持ってきた鞄は普段の物より明らかに大きいもので、時折菓子を署に持ってくる時はいつも同じものを使っていたから、今日が"その日"なのは周囲もすぐに察しがつくだろう。 #警察署 (5) 2023/09/14(Thu) 21:56:10 |
『アリソンより。報告事項はありますか?』
もし直接確認したいことがあるなら、と、日時と場所が指定されている。
夜中の桟橋からひそかに出航する、小型ボートの上だ。
──アリソン・カンパネッロ。
白昼夢のように聞き覚えのない名前が、突如脳裏に浮かぶ。
その人物の詳細こそはわからないが、多額の献金を現所長に行った事、マフィアの排除を望んでいる事、これによって速やかにこの震えあがりそうな悪法が施行されたという事実に、不思議と確信を持てた。
「……これもまた、私が見ている夢なのかしら」
「それでも、何一つ情報がないよりはきっと、」
アリーチェが今望んだのは、確かに「ほんの少しでもいいからこの件についての手掛かりが欲しい」と言う物で。
この夢がまた一つ、それを小さく叶えてくれた事に、まだ気づいてはいなかった。
| >>8 テオ 「もう。私が主催者だったら、 間違いなく一か月は開催を先伸ばしにしていたわ」 意地が悪く響く声色も幼馴染となれば怖くないのか、そう軽く拗ねたように肩を竦めて。 「この法を使ってくれるのがテオだけならそうも前向きに考えられるかもしれないけど…… それまでに冤罪の血の海で溢れないかが一番心配ね」 #警察署 (11) 2023/09/14(Thu) 22:37:31 |
不安に駆られて『会いたい』なんて。
バカみたい。……バカみたい。
だけど。
「……しょうがないじゃない」
「会えなくなるのは、嫌なんだもの」
| >>9 エルヴィーノ 「そっ、そう、ね……一体何が入ってるのか…… こ、こんな時に、場違いにもお菓子を……お菓子……」 失言した。さすがに女も即座に気づいた。 貴方の推測通り、出すにも出せず困っている。と言う所なのも事実。 さて次に述べられた言葉を聞けば、きらりと目が光って背筋がしゃっきりと伸びる。 「ほ、本当に? その、本当に丁度今、クロスタータを焼いてきていて……だから……」 「朝!そう!朝は食べた方がいいわよ、エルヴィーノ!」 白々しさを見事に理解しないで貴方が本気で独り言ちたのだと捉えた女は、ようやく取り出せると少し浮かれたように、仕方ないなと世話を焼けて嬉しそうに、鞄を開けて一切れの扇形になるよう複数切り込みの入ったお菓子を差し出した。 #警察署 (15) 2023/09/14(Thu) 22:53:45 |
「おう、『また』会ったな」
「あんたは警察、こっちはマフィア。
こんな夢をこんな時期に見るたあな」
夢を夢と認識できる夢の中、あなたの姿を認めれば。
これも予兆だったのかね、とぼやきつつ。
「法ってのは夢の中まで有効だったりするのかね。
それとも『バレなきゃ犯罪じゃない』か?」
| >>10 イレネオ 「そ、そうなの……よりによって 苺のクロスタータ、焼いてきてしまって……」 チラリ、電気鍋の方も見つめる。 明らかに自分の挙動不審な行動のせいで気遣って貰ったのは理解できたのか、さらに小さく縮こまって。 でも、しっかり鞄からお菓子は取り出して貴方が取りやすいようにそっと差し出す。 「……"こんな日"に、って、お、怒りません? その、一切れ食べてからこう、怒られると わたしとしてはとても助かりはするんですが……」 貴方が普段通りに受け止めていてくれている事を全く理解していないから、怒られる覚悟をすでに決めている決死の表情だ。 自分より年下だけど、自分よりも上司に当たる。 だから少しだけ改まった口調になっているけれど、何処かぎこちない上に発言もどこかズレていた。 #警察署 (16) 2023/09/14(Thu) 23:01:38 |
「ペネロペ!」
貴方の姿も存在していると認識すると、先ほど頭に叩き込まれた情報に靄突く頭が急速に覚醒したかのように引き戻される。
「よしてよ、貴方を逮捕するつもりはないし……
そんな権限、私にはないわ。あっても使う気もないけれど」
逮捕されたいって言うなら別だけど、と拗ねたように零し。
「……、アリソン・カンパネッロって人、知ってる?」
「俺ぁどっちかってえとあんたが現実でうっかり口滑らせて、
そんでお縄になる方を心配してんだけどな……」
「…アリソン・カンパネッロぉ?」
聞いて、暫し考え込む。
知り合いにも、過去に仕事で聞いた名前にも、
そして自分が以前に使った偽名にも。
この名前は心当たりがなかった。
「残念だけど知らねえな。
なんだ、人探しでもしてんのか?」
| >>18 テオドロ 「……犠牲を出した上に得るものがあるとしても、 犠牲にされた側には到底納得できないものなのにね」 「……言うならお外と家で、って事?」 これは、話題と名前両方に向けた言葉。 「ごめんね」と言って、次の呼びかけはテオドロに直しはするもののの、数日も日が空くといつもの呼び名に一戻りが普段の流れだ。 貴方がエルヴィーノのに向けた乾いた笑いの真意を知る事もなく、良かった。の言葉にうんうんと相槌をただ打つ。 >>19 エルヴィーノ 「よかった!やっぱりクロスタータは 朝食に食べるのが一番だから、丁度良かったかなって」 非常に残念ながら、そこに気づく女ならあなたの白々しさにも既に気づいていたというところであって、つまりは貴方の苦々しさに全くと言っていいほど気づいてはいない。 元々クロスタータはこの国では朝食に食べられることが多い。だからあなたが朝食を食べていなかったのも、これまでの面倒臭がりな不摂生としか思っていないのだ。 #警察署 (20) 2023/09/14(Thu) 23:28:47 |
「まあ。そ、そんな事は……な、ないわよ?
はぁ……もしなったらペネロペ、会いに来てね」
なんて、無理難題を述べる。
あらゆるもので鈍い女だが、さすがにこれもジョークの一つだ。本当に自分が捕まったのなら、真っ先に逃げて欲しがる。
「夢で会った」だなんて荒唐無稽な理由ですら逮捕されない暴利な悪法が施行されてしまったのだから仕方ない。
「その、さっき『少しでも手がかりが欲しい』って考えてたら、この名前が浮かんできて……」
そうして、先ほど浮かんだ内容を貴方にそのまま伝える。
法が施行され発表されたその日。
ひとりになったタイミングで連絡用の端末を取り出し、
届いたメッセージを眺める。
この狂犬には、これといって報告事項はないのだが、
確認すべきことがないとは言えない。
次はどのように行動するか。誰が怪しいか。
それを聞かないことには、次を選べないからだ。
敢えてメッセージには返事をせず、
夜中になる頃、指定された場所へと向かうだろう。
「おう、会いに行く会いに行く。夢ん中でな」
無理難題、もといジョークにはジョークで返しつつ。
実際それが実行可能であるかはともかくとして。
二度ある事はなんとやらと何処かでは言うらしい。
「手掛かりねえ……
まあ、こんだけ妙な事が続いてれば妙なりに
信憑性もあるってもんだが…」
「アリソンねえ。この辺りの人間らしくない名前だ」
時を同じくしてか、少し遅かったかもしれない。
もう1匹の狂犬もまた、メッセージを確認して。
此方もまた、報告する案件は無いけれど。
相談すべきことは山とある。
端末に向かう旨を打ち込んでから。
ポケットに仕舞って、待ち合わせの場所まで足を運ぶだろう。
「でも……本当に、気を付けてね。
今の警察は冤罪前提の検挙を行いかねないから……
私も、ノッテマフィアで捕まって欲しくない人は複数いるし、何とか少しでもこの法が早く撤回される事を望んでいるわ」
あなたの所属がどこのマフィアか聞いたことはないが、この地域のマフィアと言えばまずノッテだ。
だからつい真っ先にそこの所属を想定して話をしてしまう。
「私は一介の警察官だから、こんな事知ってもどうしようもできないけれど……
この法の施行の狙いを、少しでも力のある人に届けられれば何かが変わったりはしないかしら……」
三日月島は、夜も灯りが落ちることはない。
ただ海ともなれば、一部の港やホテル以外はとっぷりと夜闇を流したように黒く染まって、吸い込まれてしまいそうな暗い幕がどこまでも伸びている。
指定された桟橋に向かえば、そこにはきちんとした船倉を持ち、10人ほどなら乗れそうなプレジャーボートが停泊していた。
船のへりに腰かけた"アリソン"が手を振り、君たちを招き入れる。
『無事摘発できたようで、なによりです』
"アリソン"はスマートフォンの画面を見せて、にこりと笑う。
『海の上ならコンクリートマイクでも話は聞かれませんが、念のため。』
「ま、冤罪はボロボロ出てくるだろうな。
考えたかないが、その中にホンモノが混ざってる可能性もだ」
マフィアが関わっているのであれば、
逮捕状の必要なく逮捕が可能になってしまう。
少しでも言い掛かりを付ける余地があればお縄が現状だ。
これを機に理由はどうあれ検挙に躍起になる輩も居るだろう。
「力のある人間に、なあ。
そうは言ってもあんたの所は署長と代理があのざまだし…
ウチだってボスは出払ってる。アンダーボスか、
幹部がいいとこだ。そっちとそう変わらねえだろうな」
「そもそもこの法の狙いは何だ?マフィアを消したいだけ?
例の偉そうな署長代理様とやらに、
莫大なカネを握らせた理由がそんな単純なもんか?」
かつ、かつ、テーブルを指先で叩く。
「漁夫の利でも狙ってんのかね」
これも一介の構成員の知ったこっちゃないが、と。
『ああ、摘発は出来た。部下も一人残らず。
が、予定にはない警察官も一緒にしょっ引かれた。
恐らくは、別で動いている奴らの仕業だろう。』
アリソンに倣って、画面を見せた。
その表情はやや硬い。
『どこもかしこも今は混乱だらけだ。
探りを入れようにもまだ尻尾は掴めないだろうな。』
『出来る限り早めに掴みたいところですが』
そう簡単にはいかないだろうと同様に画面を見せ首を振る。
別で動いている1つ以外にもチームは存在するかもしれない以上、
下手に動いてこちら側が悟られるという自体は避けたい。
『何かきっかけが出来るまではまだ
水面下で探りを入れる以外他ないでしょうね』
勿論それは相手も同じ。
とはいえだ、硬直状態でいるのも困り物でしかない。
| >>22 テオドロ エルヴィーノ 「ふふ」 あらゆる事に鈍い女だけれど、その一言に嬉しさが増したのか、頬を僅かに赤く染めながら微笑みを浮かべた。 幼馴染がこの調子なのはいつもの事で。 投げやりだとしても伝えられる素直な言葉が心に沁みる。 「よかった。これで家に帰って一切れも減ってない クロスタータを見て途方に暮れる事もなくなったわ。 結構お腹膨れちゃうだろうから、無理しないでね」 「二人とも、いつも助けてくれてありがとう」 勿論何枚も食べて貰えれば助かるけれど、ここは優しい人が多いだろうから自分が持って帰る量を考えて気を使われることもないとは限らない。 だからつい、先手で無理をしないでと伝えてしまう。 (23) 2023/09/15(Fri) 0:26:43 |
『あなたたちの手際は確認しました。
次もお願いします』
『もう一つのチームについては、初手が警察官というのが妙ですね。
面倒なことになりそうです』
船倉の冷蔵庫を開けて、冷えたウイスキーグラスに注ぐ。
「アルコールがダメならブドウジュースもある」
冗談めかした笑い声をあげてから。
『そうですね。
探りはこちらも入れておきます。
そして、此方の仕事も。次のターゲットを決めましょう。』
『お二人は、次に狙うべき心当たりは?』
「う」
あのざま。そう言われると何も否定できない。
そもそもこの法案だって現所長が大きく関わっているのだ。
「漁夫の利、かぁ……」
「もしそうなら、手を組めたらもっと、って思うけれど……
……検挙ばかりしている側が言い出せることではないし、
今の警察も、そちらも絶対受け入れないでしょうね」
仕方のない事だ。そんな甘い世界ではなく、仲良くと手を組むと慣れあいは近いようでまるで違う話。
今までは緊張を放ちながらも付かず離れずの距離を取っていたのをぶち壊したのもこちらなのだ。
「……恨まれても仕方ない事、してるわね」
考えた末にその言葉が出てくること自体、やはり女の思考は比較的お花畑に近いのかもしれない。そんな小さな感情の話ではきっとないのに。
| >>24 ニーノ 「ニーノ」 「外に行くの?勿論、持って行って。……」 「今日、上手く焼けた自信作だから、可愛い一番弟子に食べて貰いたかったの」 小声でそう言ってウインクをした後に、一切れ。何かに包む?なんてやりとりもした後に貴方に満面の笑みで手渡して。「声をかけてくれてありがとう」と伝えながら、出ていく貴方に手を振って見送った。 「いってらっしゃい。がんばってね」 (25) 2023/09/15(Fri) 0:56:59 |
「爺さんの代と同じ事にならなきゃいいけどな」
ぽつり。
誰に言うでもなく零して。
「あーめんどくせ。こっちもそっちも、
自分の立場と身内の為にそうしてるだけだろ。
そんで起きた軋轢なら恨みっこなしだろうよ」
「ま、手を組めないのは否定しないが。
下は良くても上層部がダメだろうな、特にそっちが」
面倒だ、と思う。
立場や所属に縛られるこの社会というものは。
上が一言ダメだと言えば下もそれに倣わなくてはならない。
形だけでも。付かず離れずを保つのも、対立するのも。
「…はは、それなら明日も仕事だ。
ブドウジュースを貰おうかな」
いつも通りに振る舞い、笑い返す。
声で話す時はこの方が都合がいい。
『こちらは探り途中でまだ何も。
出来れば自分は二人の意向に沿いたい』
ちらともうひとりの狂犬を一瞥し、
心当たりはあるかと問うように僅かに首を傾ける。
『アリソン女史の方に心当たりは?』
「こっちは酒で良い。」
少し可笑しくて、笑いが漏れてしまう。
酒を飲まない選択肢がある訳がないのに。
『此方もまだ何も。
もしそうだとしたら厄介かもしれない奴は知ってるが。
流石に一般市民を引っ張るにも面倒があるだろうからな。』
確実にそうだと言う心当たりは此方も無い。
だから同じように女史の方を見てしまうだろうか。
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