93 【身内】星の海と本能survive -Ap-02-【R18G】
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テレベルムのメスによる、一瞬の激痛が脳に送られた。
シトゥラのメスにより、視線の下から熱を伴った液体が噴き出した。
レグルスの棍棒が、鈍い音を立てて頭蓋を割る音を聞いた。
全身が痙攣したように震え、拘束具をギシギシと鳴らす。
キファによる処刑が、なんとか実行されるのを見届けた。
ラサルハグによる処刑が、粛々と行われるのを見届けた。
キューの銃弾が、肩の骨を砕くのを虚ろな視界に捉えた。
銃弾を受けた肩を、ぶらぶらと動かす。そこに意識的な動きは既にない。
シェルタンの一突きが、臓腑から血潮を流すのを止めることは無い。
カストルの銃弾を受けて、項垂れるような姿勢になる。
黒い手袋に包まれた両手を高く掲げている。
テレベルムの服は袖が長く、広い。
掲げれば幾重にも着込まれた服の袖が滑り落ち、彼の手袋が肘の奥まで伸びていることがようやく分かるのだが、そんなことよりこれはダブルガッツポーズである。
「完全勝利した」
さっきまで死んでたのだが?
ガッツポーズをおもむろに下ろした。
「言い訳をさせて欲しい。軍規により、精神鑑定を一度で通過できなかった場合、とても煩雑な手続きが必要になるのだ。だが私はそれを回避した。安堵に満ちてしまった」
ただいま。
「……それと、すまない。一足先に、ゲームを抜けてしまうことになる。貴方たちの苦悩を共に共有するには難しい立場となった……が、それ故にあらゆる陣営の苦痛も聞ける、ともいえる……」
流石に自分を殺した人間が自分に相談してくることはないかもしれないが。それはそれで寂しい気もする。分かたれていた首元を撫でつつ、数秒、思いを馳せる。
「上手く使ってくれ。完全勝利したので、私への負担は気にしなくていい。完全勝利したからな」
そして完全勝利への安堵に全部持っていかれた。
敗北した時の手続きといったら、それはすごく、とても────面倒なのである。人間兵器が精神壊したらそりゃそうなのだなあ。
「……ただいま。悪くないものだな」
人々の反応を受け、口元が綻んだ。
あとでパフェいっちゃう感じのハレの日感があった。初七日も過ぎてないし、今死んでる者も余裕で居るし、なんなら殺害を教唆し、実行した身ではあるが……
「特殊な能力を持たない民間人ならば、さほど厳密な鑑定ではなく、カウンセリング面が重視されると思うが」
受けたことはないのでわからない。
自分たちは適当に釈放するにはやや難しい立場なので、とりあえず監禁しとく、みたいな措置を取られるのはやむなし。それなりに長く生きているので、そのあたりとは折り合いがついているテレベルムだ。
寝転がっている人たちに合わせるようにその場に座り込んだが、190cmが座ってもデカいだけではあるのだった。
「普段から苦手な音や色などがあれば、事前に申請しておくといい。カウンセリング室はそういった希望に沿うだろう」
そこには、自己主張があった。
「──」「戻った、よ」
少し覚束ない、新しい肉体がロビーの扉を開け、
昨日と同じに聞こえる、少年の声がロビーに響く。
[[food.]]…はやめて、ロクムsweetを食べることにした。
「正常だよ。気分は…まあ、良くはないけど」
死の感覚は、確かにあった。
肉が裂け、骨が砕け、熱を失い、血に濡れ、意識がうつろうような。
ヌンキの声掛けに応え、シトゥラに視線を送り、
ムルイジには手を振って返し、キファの注文の手を止め、
バーナードにはおはようと返し、ラサルハグにも同様に。
シェルタンの頼んだ青汁の代わりに、トマトジュースdrinkを注文する。
「不思議なものだ、なのにこうして話をしている。言葉を発せば返るものがあるし、五体で触れることもできる。そうでなければ、幽霊と言われた方がまだ納得出来る気さえする」
ついに立ち上がったのだ。ハマルのハマルも自己主張している。
服の下で自己主張している。見えなくてもいいので、安全。
「サルガス、も噛めたらら、共有への占い結果連絡、な無くなるんだけど、ななな」
流石に今回、護衛が来そうだな。
「そそそう、だね、占い……カストル、か、テンガン、噛む、あ有りかも」
これで占いの信用もなくなるだろうし。
テンガン殺しなら強いて言うなら崩れ星の自滅を警戒しなければ、ぐらいか。
ご飯の時間なので、
シャトのおすすめスペシャルパフェ
をこれ見よがしに食べています。
「ええ 本来であればサルガス様へ襲撃を行いところですが
・・・そう簡単には 行きませんよね」
狩人はグレーのどちらか、と思い込んでもいいものか。
「そして占い 悪くはございませんが私がローラーになる以上キファ様とキュー様 どちらも欠けて欲しくはございません故」
崩れ星 これが誰かわからない以上なかなかに。
「悩ましい選択にございます」
「ところで私 コードネームは*ニコラシカ*がいいですね」
「ええ ええ 特に理由はございませんが せっかく話題に出ましたのでお時間あきましたがなんとなく今告げてみます」
何だかかっこいいですからね。コードネーム。
え?今?になると思いますが思い出した時に。
「き今日の白、から狩人っぽい、人、狙うう、はありかも」
グレーにいるとは限らない。
「に、ニ、コラ、シカ、ニコラシカ。長くて良い、な名前。よろしく、ニコラシカ」
何度か練習しながらあなたの名を呼ぶのだった。
「…………?」
一口食べるか
みたいな意思を込めてスプーンを差し出している。
バーナード、シェルタン……しかしシャト型クッキーは渡せない。これを食べたいなら個人的に決闘してくれ。
そんな目だ。
「サルガスさんは警戒されそうですし、今日の白から噛むのはアリだと思います。仮に狩人でないとしても、ほぼ確実に襲撃は通るかと」
「……確かに、占い噛みは崩れ星に巻き込まれる可能性がありましたね。すっかり失念しておりました。占いに手を出すのはもう少し待ってからも良さそうです」
シェルタン
「下の、杏のペーストと良く絡めて食べるといい。……と、メニューに添えてあった」
シャト受け売りの食べ方を推奨し、持ち手の長いスプーンを渡す。手の大きさが全然違うので、きっとシェルタンがもつとスプーンはとても長く感じることだろう。
「そうでございますね 白噛み賛成です
となりますと レグルス様 シトゥラ様 のお2人でしょうか」
「崩れ星に巻き込まれた際に困るのはお互い様ですからね
流れを持っていくために事故が起きては・・・」
占いに人狼がいる そう思わせたいのは勿論なのですが。
「ニコラシカ。かっこいいお名前ですね!」
「では私は……"ナツメ"にいたします。特に意味はありませんが、なんとなく思い浮かんだので」
コッコは動物を連想するし、ニコラシカは飲み物の名前だったはずだ。
なら自分は植物の名前から、という思いがあったりなかったりする。
「ええ ええ コッコ様 改めてよろしくお願い致します」
コッコ様、でいいのでしょうか。
そう思いながらも呼び返しました。
*ニコラシカ* カクテル 酒言葉は
「ふふ ありがとうございます
ナツメ様 なるほど 素敵でございます
ナツメ様も改めてよろしくお願い致します」
それぞれのコードネームが決まり大喜びな私です。ヤッタァ
動物と飲み物と植物 それぞれの違いがいいですね。
シェルタン
甘味を共有するのは悪くない経験だ。
自分が食べる分は僅かに減るが、総量が多ければそれも気にならない。こうして味の共有、共感を得ることの方が、テレベルムにとっては望ましい。
意外と甘党の多い同胞で僅かな袋菓子などを分け合うと、秒速で殲滅戦となり得るので。穏やかな分かち合いは彼にとって新鮮であり、ふむふむ、と何やら頷いているのであった。
「この船は甘味のレベルが高いと感じる。部屋に備え付けのココアパウダーで淹れたココアも香り高く滑らかだった」
よかったね。
バーナードの前でこれ見よがしにシャト型クッキーを食べながら、サルガスに深く頷いた。
「美味しい」
そう……。
「バーナードもこのように言っている」
何も言ってないよ。
| 「そういえば私が作ったパンも食え。 まだ数個しか減ってないぞ。 ちゃんと人数分用意したんだからな」
※実際にパン屋役職かどうかはともかく作っている (157) 2021/09/01(Wed) 20:54:04 |
「パン。いただこう。焼いた後、餡子をのせてたべる」
これは彼が恒星管理都市NAGOYAに赴いた時からお気に入りの食べ方の一つだ。さらにフルーツを乗せても美味い。
「私の体は燃費が悪いので、エネルギー源を好ましいと感じる傾向にある。」
なんらかの言い訳をしている。
サルガス
「いいだろう。我々はこの味を共有すべきだ」
そんなことはない。
シャト型クッキーは購買に売ってるみたいだし、クッキーが食べたければ買うのもありなのでは?と共鳴特殊能力で情報を分かち合う。共鳴者でよかったなあ。
「上と下で味が違う。色々試すといい」
え?マジ?ハマルごめん……
とパフェのスプーンを咥えながら申し訳ない気持ちになった。
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