203 三月うさぎの不思議なテーブル
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[料理の合間に先に出来たコールスローと、
蒸しキャベツは先に運んでおいたから。
先に食べ始めているかもしれない。
待ってくれているのなら、一緒に。
今しがた出来あがった料理をテーブルに運んで。]
……そういえば、昼は気づかなかったけど。
一緒に飯食うの初めてですね。
[いつも料理を食べてもらうことはあっても。
食卓を囲むのは初めてのこと。
座椅子が置かれた、斜め隣に腰を下ろして。
先に彼が食べ始めるのを眺めながら。**]
── 週末のデート ──
[玲羅を一目見て。胸がいっぱいで言葉が出なくなるかと思った。]
……おはよ。
今日も可愛いね。良く似合ってる。可愛い。
……ふふっ。可愛いね。
[ごめんね。俺の語彙力なんてこんなものだ。
でも。柔らかな色のニットもスカートも可愛いし。
デニム地のジャケットは玲羅の明るさや芯の強さを表してるようで良く似合う。
俺は目を細めて。可愛いってたくさん言った。
だって本当に可愛かったからね。]
[時計を見て見ればまだ15分前だ。]
玲羅だって早いじゃん。
俺はアレだ。本当は10分前に着くつもりだったんだけど。
余裕をもって家を出ようとしたら、アレよアレよと乗換が上手く行って、30分前に着いてた。
あははっ。楽しみにし過ぎ。
遠足前の小学生かっての。
[笑いながら。]
[ふと。このまま歩き出すのが躊躇われて。
手を差し出した。]
……行こう?
[手を繋いで歩きたいと思ったんだ。
とても自然に、そう思った。
俺は今胸がいっぱいで。
本当にコレお弁当入るのかな?とか頭を過ったけど。
きっと彼女と2人で食べれば、弁当も美味しいだろう。*]
―― 鴨が流行った夜 ――
[誘惑の一言に戸惑った反応を見て、
くすくすと笑いを零してしまう。
うちのシェフの腕は誰しもお墨付きなので。
どれを選んだとしてもオススメできるのだが。
『おまかせ』は、腕を信頼された証。]
かしこまりました。
鴨は神田さんと同じ鴨南蛮でいいですか?
[店長の腕はランチでも保証済み。
今は滅多に表に出てこないけれど、
俺に料理を作る切っ掛けを教えてくれたのは彼女だった。
鴨南蛮に使うロースはランチが終わった後に、
しっかりと、薄皮と脂を取り除いて、
じっくりと、焼いて煮込んだものがある。
鰹は美澄が作ったタタキを少し、分けてもらおう。]
[杏の手元で綺麗にスライスされていく鴨ロース。
食べごたえがあるぐらいの厚みを残している。
切っただけで、少し肉から染み込んだ汁が溢れる。
隣に並んで青い部分を切り落としたネギを
斜め切りにして。
フライパンを用意したなら杏がその前に立った。
投入されたネギに焼き色がついていく。
同じフライパンで鴨肉を焼けば
ネギの風味が肉にも移っていく。
その間にこちらは細打ちの蕎麦を茹でる傍ら、つゆ作り。
だし汁と醤油とみりんを足して濃い目に。
そこに焼いたネギと鴨肉を合わせたら、
味が染み渡るまで、少し時間を置いて。]
[ざる上げしたそばを、シンプルな白の器に盛る。
熱々のつゆとたっぷりとつゆを含んだ
ネギと鴨肉を乗せたなら、]
鴨南蛮です。七味はお好みで振ってくださいね。
[待ちかねていた神田と高野の前に、それぞれ置いた。]
[カツオは美澄が途中まで仕上げたタタキを貰う。
しっかりと焼き目の付いたカツオに
摩り下ろしたにんにくと酒を行き渡らせて、
そこに醤油と生姜汁を少し。
しっかりと和風の下味を付けた後は、
汁気を軽く切ってから、片栗粉をまぶして。
170度の油で揚げていく。
ぱちぱちと小さくなる油の音。
カラッと仕上がるようにあまり時間は掛けずに。
軽く茹でたグリーンアスパラと春人参は
箸休めに一緒に添えて、レモンも。
つけ塩にはオススメの琉球で取れた『雪塩』を乗せた。
その後もいくつか料理は頼まれただろう。
和食が好きなことはもう知っている。
その度に、彼が喜びそうなものを考えるのは、
好きな時間の、一つになる。
]
[料理を提供する側とされる側から、
少し、変化があった後。
またひとつ、仕事の合間に挟まれた誘いの言葉。
その時は、彼の家に招かれた後だっただろうか。
配信機能は最近ではネット回線を繋げれば、
テレビでも観れるようになったとか。
自宅で独りで見る時には、
タブレットを使っていたけれど。]
どんな映画ですか?
[観るとするなら大型のテレビがあった
彼の家になるだろうか。そんなことを考えながら。
また、一つ、約束を交わして。]
[そんな、いつかの帰り道。
早上がりで珍しく一緒になった帰路の時間。
振動が続くスマホに今にも舌打ちしそうな高野から、
その通知の数の多さの原因を知ったなら。
仲の良さにくすりと笑って、
隣を見上げただろう。]
別に、いいですよ。
葉月さんなら。
[度々、店内で二人がテーブルを共にする風景を
目にしていたので、嫌だと拒否する事もなく。]
[春先の
桜
の下を歩きながら。
人気の少ない夜道。
そっと、手を伸ばして
彼の指の隙間に自身の指をするりと、
絡
ませる。]
なんて、紹介してくれるんですか?
[通りすがる人も居ないから。
傾けた首の先、そんなことを尋ねながら。
月明かりの下に浮かぶ横顔を眺めていた。**]
― デートの日 ―
ふふふふ。ありがと。
[会うなり可愛い、を連呼する彼に
自然と表情が緩んでしまう。
照れくさそうに頬を染め、
目を細めて礼を言った。]
いや私も早く着いたけど、それ以上に早いじゃん。
30分前!あははは。
いや余裕もって家出るのはいいことだし
それだけ楽しみにしてくれてたのは嬉しいけどさ。
[からからと一頻り笑った後。
ごく自然な仕草で手が差し伸べられる。]
………うん。
[一度顔を見上げてその手を取り、
するりと指先を絡めてきゅ、と握る。
いわゆる恋人繋ぎと言うやつだ。
大きな掌のぬくもりに気分が浮つくのを感じながら
今日晴れてよかったねえ〜
などと笑いかけ、のんびり歩き出す。
目的地の公園へは駅からバスに乗って少し。
ぽかぽかと温かい気候の中桜も更に花開いて、
きっとあの日の夜桜とは
また違う風景が広がっていることだろう。
そう、絶好のお花見日和。というやつだ。**]
― ところで ―
[恐らくこのデートの日よりはあとのこと。
玲羅は普通にあれからも、
別段デートの名目ではなくとも
会社帰りに一人でうさぎ穴に顔を出すだろう。
そしてその時高野が居たのなら、
(そして取り込み中ではないのなら)
やっぱり気楽な調子でカウンターの隣席に座って
彼から貰った招待券が無事役に立ったこと、
あの日の恋の相談が上手くいった報告などをすると思う。
飲みながら、高野君の方は最近どう?デート誘えた?と
進捗を聞いたりもした。そんな夜があったかもしれないな。**]
| ん、ケイ ……ケイ。 [お客様にはさん付けだけど、そう言うなら >>58] 今日ね、やっぱラムのグリルでしょって思うけど カレーとか、煮込み系も捨てがたいね それとヒラメでムース作りたいかも [ナイフを持っていない方の手をひらり、同じように振り返し] (70) 2023/03/11(Sat) 19:06:28 |
| [肉と魚の下ごしらえ、野菜も一通り。 ストックのチェックも済ませ、フレッシュハーブを摘んで香りを嗅ぐ]
うん
[舌びらめとホタテを使ったムースは、ちょうど昨日、別の仕事で作っていた。 大福のようなふっくりとした仕上がりの、湯煎蒸しのムース。 それに白ワインを泡立てたソースをかけて提供しようとしたのだけど、移動中に振動でゆるくなってしまい、急遽クレープ仕立てにしたのだった。 ということで昨日の今日でリベンジマッチする機会はあるか] (71) 2023/03/11(Sat) 19:10:49 |
[
ちょっと?!指とか絡められたんですけど?!!
差し出した手に自然に指が絡まる。
俺は玲羅を見て、手を見て、それから真っ赤になった。]
も〜〜〜〜〜〜。
[ヤバい。どうしよう。急に手汗とか気になって来た。
さっきまでは、遠慮なく朗らかに笑う玲羅
と一緒に笑ってたのに。
赤い顔でジト目で見ても、俺が負けるんでしょ?
知ってる。経験者は語るだ。だいたい俺は玲羅に勝てない。
それでも負けず嫌いは反抗くらいするぞ。
ジト目で見て……
それから愛おしくて笑み崩れてしまった。]
[バスに乗って向かった公園は大きくて。
広々とした緑が広がっていた。]
晴れて良かったね〜。
[俺もそう返して。]
日頃の行いかな。
[とか。戯けた事を返した。
どっちの?両方のです。
暖かな春の陽気の中で、のんびり歩いて。
お花見をしながら、ここでも手は繋いでた。
あんまり歩き回って、靴擦れさせても嫌だから。
歩きやすい道を、ゆっくり歩こうね。]
……綺麗だなー……。
[俺は青空の下の桜を見上げて。ポツリと呟いた。
公園とか、神社とか、緑の多い場所は好き。
聞かれたら玲羅にもそう答えるし。
玲羅の好きな場所も聞きたい。]
玲羅は、公園とか好き?
……他にも好きな場所とかあったら、教えて?
たくさん知りたい。玲羅の事。
[のんびり歩きながらお隣に微笑んで。
お弁当を食べるのに良さそうな場所も見繕う。
椅子に座っても良いし、敷物を敷いても良いよ?
玲羅スカートだから、ベンチ探そう。
ぽかぽかの陽気。隣に好きな人。幸せだなって思った。]
[ふと。キスしたいなって思ったけど。
これ歩きながら突然したら怒られそう。
キスのTPOとか知りません。
お店じゃ無いし許されるかな?
思わず繋いだ指先をすりっと撫でて。
玲羅の事をみちゃったけど。
目が合ったら愛おしくて。幸せそうに笑った。*]
[スウェットのひと悶着を経て、車で一駅先の真白の家へ。
仕事先が郊外のこともあるので買った白の新車は小回り重視の軽自動車。
ハイルーフだから、小柄な彼女が乗ってもそんなに窮屈ではない筈。
消臭剤はアクアの香りとパッケージには書いてあった。
自分はもう慣れてしまったので何も感じないが、彼女の嫌いな香りでなければ良いなと思う。]
車酔いする方?
平気なら、今度ドライブもしようよ。
歩きだとちょっと難しいけど、
車があるなら山桜も見に行けるし。
シーズン終わる前にいちご狩りもしたいな〜。
[話すのはデートの計画。
そのデートが「彼女が希望して取る2日間」のことを指すのかは言わない。
連休を取るには予め交渉が必要だろうから、今月の話にはならないかもしれないし。
それに、その二日間の前にも休みがあって、特に彼女に予定がないならその時間を貰えたら嬉しい。]
[いちご狩りの農園は車で2時間くらい。
収穫したいちごでオリジナルケーキボトルを自分で作ったり、
ジャムに加工して持ち帰ることができる。
ケーキボトルに対しまだ真白に抵抗感があるならば、
摘んだいちごは加工をせずにそのまま持ち帰ってふたりで食べれば良い。
近くに温泉もあるから、帰りに寄っても良いかも。
そんなことを話しながら、ラジオから流れてくる曲を無意識に口遊んだり。
「ピュアマーメイド」の曲が流れた時には二人で同じ人物を思い浮かべたか、信号待ちで目を見合わせて笑った。]
今日は仕事も片付けたいし夜は仕事先で食べるから、
Madam March Hareには行けないや。
迎えに行きたいところだけど、
仕事先の予約時間考えたら厳しいかも。
[最初に送っていった日に、「無理はしない」と約束した。
とはいえ初めて二人きりで長く時間を過ごした後に逢えない時間が長いのは寂しくて無念が声に滲む。
もう少しだけ一緒にいたい。
だが昼間から路上駐車を長く続けるわけにはいかない。
彼女が外したシートベルトが戻る音。]
マシロちゃん、
[周りを素早く確認し、ヘッドレストに手をかける。]
―――――――、
[
ふ
、と零れた吐息。
真白の歯磨き粉は自分とは異なる銘柄だとわかる距離。]
……僕がいないお店で、他のやつが近づかないように、魔除け。
[悪戯っ子のように、にっと口角を上げて笑った。**]
[いやいや、これに関してはさ。私に非はないでしょう。
なんせ付き合いはじめて最初のデート。
微笑みながら手を差しのべる恋人。
この流れでむしろ恋人繋ぎ以外あります????
なので少しびくっとする気配がして
不思議そうな顔で見上げれば
少し高い位置にある彼の顔が
みるみるうちに赤く染まり。
照れてるんだな、ということはすぐに悟れて
牛になりながらジトッとこちらを見る彼を
にやにやしながら見上げた。]
え〜〜、なぁに〜?
……イヤだった?この繋ぎ方。
[イヤ、とは恐らく返ってこないだろうと踏んだうえで
わざとらしく首を傾げ、上目遣いでじっと彼を見つめ。
その後であはは、とおかしそうに笑おう。]
[駅前からバスに揺られ。
たどり着いた公園は広々としていて、
緑の中に花開いたピンク色が景色を彩っている。]
ね〜。
ふふふ、そうかも。
日頃徳は積んでおくもんですなあ。
[軽口にはふざけて同調しながら
のんびりした歩調で桜並木の下を歩く。
そこまで人は多くなく、時折カップルや親子連れ、
犬の散歩をしている人なんかとすれ違いながら
春の陽気ののどかさを感じていた。]
| いいですともー [ヒラメのムースにハーブ。注文を受けたカウンターキッチン] アイリッシュシチュー、いいな [日本風に表現するなら肉じゃが >>73アイルランドの星空についてゲイザーが話していたのを思い出す。 例のシャムロックのチョコがアイルランド土産ではなく、アイルランドからの輸入食品であったことに気づくのにだいぶかかったのはまた別の話。 それこそ、シンプルに塩味の煮込みだから後で別の味へアレンジが効くし、作っておこう] (78) 2023/03/11(Sat) 21:21:45 |
うん、綺麗。
公園好きかって言われたら
大人になってからはあんまり来る機会なかったかも。
友達と一緒だと街で遊ぶことが多いしさ。
でも、こうやってご飯持って、
好きな人とデートしに来るのは
のんびりできていいなー、…って思う。
だから今好きになった。
[正直に思うところを語りつつ、ふふ、と笑って。
彼は公園とか神社とか、自然の多い場所が好きみたい。
好きな場所を尋ねられれば]
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